神戸学院大学

被災地支援活動

大学間連携災害ボランティアネットワーク主催シンポジウム「東日本大震災と学生ボランティアの役割」~大学間連携による取り組みとその課題~

報告書

日程

2011年12月16日(金)~17日(土)

会場

東北学院大学土樋キャンパス・押川記念ホール(8号館5階)

主催

大学間連携災害ボランティアネットワーク
青山学院大学、桜美林大学、関西学院大学、熊本学園大学、神戸学院大学、西南学院大学、中央大学、中部学院大学、名古屋学院大学、明治学院大学、山形大学、立命館大学、麗澤大学、東北学院大学

参加

【学生】3人(全日参加)
  • 金澤 愛香 人文学部人間心理学科3年(防災・社会貢献ユニット、ボランティア団体「VAF」元代表)
  • 山端 宏 法学部法律学科2年(ボランティア活動支援室学生スタッフ代表)
  • 藤井 一樹 経済学部経済学科1年(災害ボンティア団体「V-TOP」代表)
【教職員】4人
  • 松本 史朗 事務局長(12/16のみ参加)
  • 田中 康介 学生支援センター所長(12/17のみ参加)
  • 川口 謙造 学生支援グループ(ボランティア活動支援室)(全日参加)
  • 四宮 千佳子 TKK学び合い連携センター(現地派遣者)(全日参加)

プログラム(およびキーワード)

第1日目:12月16日(金)

12:00~13:30 各大学によるポスターセッション(8号館第1・2会議室)
  • 学生がパネルを準備し、本学のボランティアバスおよび後方支援活動等の紹介を行った。
  • 14大学による災害支援の取り組みのパネル発表および被災者支援物産の販売コーナー 他。
13:30 開会の挨拶
  • 各地のボランティアセンター(社会福祉協議会他)、大学間の連携のあり方
  • 経験のフォーマライズとマニュアル化
  • 学生の教育・研究とボランティア 他
13:45 基調講演「ボランティアと市民社会~阪神・淡路大震災と東日本大震災からの問題提起」
東京大学名誉教授 似田貝香門
  • 「職能ボランティア」としての研究者の参画が必要
  • 行政の特性(依法性・公平性・説明倫理他)とボランティアの特性(応答性・必要な活動を必要なところに・実践知他)
  • ボランティアの工夫=周辺的素材を集め実践(文化人類学=ブリコラージュ)
  • 大学の問題=登録・管理・許可と行政的な業務に陥っている。自発的な参加に「派遣」という言葉は馴染まないはず!
  • 「ネットワーク」(外に「開かれた」複数の主体)の困難 =「われわれ」という複数性(つなぎの機能が必要)
  • 阪神・淡路大震災で出現した新しい支援の論理 = 阪神・淡路大震災では135万人のボランティアが現地で活動をした。しかし、行政の機能、市民の意識から「ボランティアの入門」段階でしかなかった。
  • 大学の被災地支援へのミッション = 時間の経過は被災を忘却する。
    しかし、「被災地支援」というミッションがたてられたならば、すべての大学活動、運営の基礎に据えられる必要がある。
    = しかし、ミッションは常に初発点であり、経過的であり、未完のものである。
    「被災地を支援してきた」という歴史(既に~した)と「いまだ~できていない」との緊張関係の中に、位置づけられるものである。
15:20 セッション1「震災ボランティアへの取り組みとその課題(1)」
関西学院大学、青山学院大学、宮城学院女子大学 他5大学からの報告
  • 関西学院大学=他大学学生との混合バス(「あいのりバス」、大学がバスを出す。現地の活動は学生が自己責任で探す)
  • 青山学院大学=スタディツアー(震災を風化させないために学生が現地に赴く学習体験プログラムとして実施)
  • 宮城学院女子大学 = 災害復興ボランティアに敢えてこだわらないことが継続には必要ではないか。被災地の「日常」をいかに支援していくのかという発想。
  • 明治学院大学=被災で失われた地域の文化(方言、食文化、生活習慣他)を保存する活動(吉里吉里語辞典)。
◎報告を受けての討論(文部科学省、新聞社、大学関係者)
  • 文科省:活動の「単位化」、専門知による大学連携、大学改革と連携 他
  • 河北新報社:東北学院と提携(情報ボランティア)、仮設住宅への瓦版配布 他
  • 東北学院大学:建前ではない「地(域)」学連携・「社(会)」学連携を。
18:00 東北学院公開クリスマス
  • 神戸学院大学は翌日の発表の打合せを行った。
20:00 懇親会(東北学院サテライトステーション)
  • 学生、教職員参加で他大学との交流を行った。積極的な学生の交流が目立った。

第2日目:12月17日(土)

9:00 セッション2「大学間連携によるボランティアの取り組み~夏ボラ・気仙沼プロジェクトを振り返って」(大学生を中心とした発表)
桜美林大学、西南学院大学、名古屋学院大学 他6大学から報告
  • 桜美林大学=風化させないために写真展、講演会を実施(ACT FOR JAPAN)
    =原発問題について「学生投票」、他大学へ広げ、国会に提出する。
  • 西南学院大学=アンカー活動(漁師さんの手伝い)、写真清浄活動
  • 名古屋学院大学、明治学院大学=気仙沼プロジェクト報告
    =気仙沼復活祭手伝い、瓦礫撤去など。延縄(はえなわ)等、漁の知識。
    =働く意欲の低下、過剰な支援で自治活動が阻害されていないか点検。
    →名古屋からヒッチハイクで会場に来た学生が報告をしていた。(活動的)
  • 東北学院大学=学生の活動を通して、「心のケア」の問題等を提起。
11:00 ラウンドテーブル「気仙沼の現状と展望」
東北学院大学気仙沼同窓会支部長、市会議員他、被災者からの報告、提起等
  • 発災直後から現在に至るまでそれぞれの時期でニーズや支援の内容が変わる。
  • 現在は、仮設住宅での問題(健康、孤独死、高齢者・障害者、冬期対策他)、国・県・市の復旧復興への取り組みが不明であり、大きな不安がある。
  • 宮城県の復興支援の遅れに対する憤り。
  • 被災者だけでなく、支援する人の支援も必要(支援がない)
  • 「みなし仮設」への国、県の支援がない、支援物資が届かない
  • 東北なのに、仮設住宅に断熱材が入っていない
  • ボランティアの支援に慣れていない被災者
  • 大学生ボランティアについて、若者がいるだけで頼もしく、安心感を抱く。被災地を長期にわたってみてほしいと願う。
13:30 セッション3「震災ボランティアへの取り組みとその課題」
山形大学、神戸学院大学、熊本学園大学 他5大学から報告。
  • 神戸学院大学から、金澤が代表で報告した。
    =神戸学院の活動、仮設住宅での活動展開、支援の考え方(自立を支援!など)
    大学ボランティアバスの課題(メンバーの入れ替え、研修のあり方)、仮設住宅の現状(自治会の有無)
    学生が自発的に、他大学と連携し、企画を実現することをめざしたい。 他
15:00 閉会

参加学生の所感

  • 他大学学生との交流で大きな刺激を得た。他大学生の被災地支援への主体性が高く、本学学生は大学へ「おんぶにだっこ」ではないかと感じる。
  • 得たこととして、「学生が主体となって活動する重要性」「他大学の報告でヒントを得た」「他大学学生とSNSで交流」。具体的な計画として、「報告書を作成、メンバーへ報告」「学内の団体連携を再考」「活動と学生の教育的な効果を検証」などがあげられる。
  • また、桜美林大学の原発に関する「学生投票」は本学でも広げてみたいと考えている。

パネルセッション

学生が準備作成したパネルを展示、学生が口頭で説明。

シンポジウム会場

学生、教職員等が報告、討議を行った。

懇親会

狭い会場にひしめき合い、
各大学間で積極的な交流が行われた。

学生の報告

緊張の中、精一杯報告をしました。