被災地支援活動
10月21日~24日 学生ボランティア派遣 報告書
標記の件、下記のとおり報告いたします。
プログラム名 | 宮城県災害支援学生ボランティアバス(大学主催) |
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日程 | 2011年10月21日(金)~24日(月)3泊4日(2泊は車中泊) |
行程・内容
10月21日(金)(神戸学院大学有瀬キャンパス:KAC)
16:45 | KAC 15号館151K教室集合、事前研修会 |
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18:00 | KAC 15号館前にバス到着、備品等積み込み |
18:30 | KAC 出発。バスにて宮城県へ。途中SAにて2、3時間おきに休憩 ―バス車中泊― |
10月22日(土)
09:30 | 仮設住宅近くのミニストップ駐車場(打合せ) ※開成地区ささえ合い拠点センターにて集会所の鍵を預かる |
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10:00 | 石巻市の仮設住宅(南境団地:250戸)で活動 ・第2、第4、第5集会所の3斑に分かれて活動 【午前の部】10:30~12:00、【午後の部】13:00~15:00 活動内容:①編み物、②ほっとサロン(茶話会)、③ぬりえ、おもちゃ、④交換日記設置/外灯の場所確認、⑤心身障害児通園施設「かもめ園」訪問 |
12:00 | 昼食休憩(グループごとに、リーダーの指示に従う) |
16:00 | 活動終了、後片付け ※仮設住宅集会所の鍵を返却 (途中、30分程度、沿岸部を視察) |
18:30 | 松島町フットボールセンター(宮城県宮城郡松島町手樽字大蓬沢13-1) ―就寝前に、活動のふりかえりと翌日の打合せ― |
10月23日(日)
08:00 | 宿泊施設出発 |
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09:00 | 閖上地区を15分程度視察 |
09:30 | 名取市仮設住宅(箱塚屋敷:165世帯、430人、倉田字箱塚屋敷)で活動 ・バスはダルマ薬局手倉田店の駐車場に駐車 活動内容:①編み物、②腰かけ兼踏み台制作、③ほっとサロン(茶話会)、④球根植え |
12:00 | 昼食休憩(グループごとに、リーダーの指示に従う) |
15:00 | 活動終了、後片付け。備品はダルマ薬局脇に集め、仮置き |
16:00 | 現地の銭湯で入浴 ※タクシーで移動 ・スーパー銭湯極楽湯 名取店(名取市田高字原463、TEL022-383-1126) |
18:00 | 銭湯を出発(バスはこの時間に合わせて、銭湯前に到着) |
18:30 | ダルマ薬局で備品積み込み確認、神戸へ。途中SAにて2、3時間おきに休憩―バス車中泊― |
10月24日(月)
07:30 | KAC帰着 備品等のおろし |
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08:00 | 次回バスへの引き継ぎミーティング(記録作成)、事後研修会(15号館151B教室) |
09:30 | 解散 |
参加者
学生16人 | 一般申込み5人(内1人体調不良で途中帰宅)、ボランティア団体2人、社会リハビリテーション学科3人、学際教育機構防災・社会貢献ユニット生6人 |
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引率者2人 | 松原加代子(社会リハビリテーション学科 講師) 松宮慎治(学生支援グループ 職員) |
現地派遣者1人 | 四宮千佳子(TKK学び合い連携センター スタッフ) |
活動詳細
10月21日(金)事前研修会
- ガイドブックに沿って、活動や被災地での心構え、活動の注意点、具体的な活動の情報提供
- 現地派遣者からの仮設住宅や集会場(活動拠点)の情報提供 (写真1)
- V-TOP(引き継ぎを行う学生グループ)の活動紹介、木工プロジェクトおよび編み物について説明
- チームワークづくりについては、自己紹介(参加動機、今の気持ちを含め)のあと、リーダー1人、サブリーダー1人、備品担当2人を選任。また現地でのグループ行動のために、班分けを行った
- 事前研修後、備品の点検、バスへの積み込みを学生、引率者の協働で実施
10月22日(土)石巻市仮設住宅 南境団地にて
- 約250世帯、約460人の方が居住されている
- 集団移転ではなく、さまざまな地域から集まってできた団地。自治会はまだない
- 第2、4、5団地に集会所があり、3箇所にて活動(編み物、ほっとサロン(茶話会)、ぬりえ、おもちゃ、交換日記設置/外灯の場所確認、心身障害児通園施設「かもめ園」訪問)を行った
編み物会、ほっとサロン(茶話会)、おもちゃ遊び
- 前回のバスで、住民の方へ編み物の先生になっていただくよう依頼済み。住民同士で教え合い、編み物を楽しんでいただく時間を設けることが目的。午前、午後と続けてお越しいただく方が多かった(写真2~5)
- 編み物の備品(編み針、テキスト、毛糸など)は各集会所に寄贈した(写真6~7)
- おもちゃを持ちこみ、子どもと遊んだり、会話のきっかけを作った
- 上述の活動をしながら、お茶・コーヒー・紅茶・お菓子などを楽しんだ
ぬりえ
- これまでの活動時、子どもたちから「ぬりえがしたい」との要望あり
- 筑波大学の学生が中心となって、ぬりえデザイン画を募集・デザインし、企業と協力して印刷し、被災地へ送る活動「ぬりえ日本」を実施している
- 「ぬりえ日本」から原画を寄付いただき、実施した。子どもだけではなく大人も楽しむことができた。(写真8~9)
交換日記設置/外灯の場所確認
- これまで住民の方から伺った要望に対する対応をすべてきちんと住民の方にお伝えできていなかったため、住民と神戸学院大学の情報交換ノート(交換日記)を各集会所に設置した。
- 内容は、①今回の活動内容、②次回の活動日程、③住民コメント記入欄(自由記載)、④ニーズに対する対応、ほか。例えば石巻市役所から回答を得たこと(宮城県が雨除室や雨どいを発注予定であること、集会所利用ルールは住民の方で自由に決めて運用してもらいたいこと、など)を記入している。そのほか、第2集会所では、終了前に学生からのメッセージを記入した
- 前回活動時に「外灯が欲しい」というニーズがあり、市に報告したところ「発注予定であるため、具体の場所を教えてほしい」という返答があった。今回住民の方に希望の場所をお伺いした
心身障害児通園施設「かもめ園」訪問
- 社会リハビリテーション学科による企画で、明舞団地ボランティアグループから寄贈された電子ピアノやラジカセをかもめ園にお届けした。(写真10~11)
沿岸部の視察
- 仮設住宅での活動を終えたのち、宿泊施設へ向かう前に、沿岸部の視察を行った。(写真12~13)
活動終了後の振り返り
- リーダー・サブリーダー・引率で、翌日活動内容について打ち合わせをし、方針を確定した
- リーダー会議終了後、全員で初日の振り返りを行った。活動内容ごとに班に分かれ、活動内容の共有、気づき・感想、被災者の方から聞いたこと、困ったこと、明日への抱負などを共有した
- 翌日活動のグループ分け、段取り確認を行った(写真14~17)
その他
- 学生1人が夕食時、体調不良(発熱、吐き気など)を訴えたため、全体振り返り終了後に近くの病院で診察を受けた。
- 本人の希望により、翌日23日に飛行機で帰宅することになった。教員(松原)が引率し、23日8時仙台空港発伊丹空港行きの飛行機にて無事帰宅。松原は再び飛行機で仙台に戻り、最後まで引率を続けた。
10月23日(日)名取市仮設住宅 箱塚屋敷団地にて
- 165世帯、約430人の方が居住されている
- 集団移転ではなく、さまざまな地域から集まってできた団地。自治があり、集会所も活発に活用されている
- 活動内容としては、編み物、ほっとサロン(茶話会)、ぬりえ、おもちゃ遊び、腰かけ兼踏み台制作、名取市と自治会の要望に基づく球根植え付けを実施した
閖上地区視察
- 宿泊施設を出発し、仮設住宅へ行く途中に、閖上地区の視察を15分程度行った(写真18)
編み物会、ほっとサロン(茶話会)、ぬりえ、おもちゃ遊び
- 石巻同様、住民同士で教え合い、編み物を楽しんでいただく時間を設けることが目的
- 編み物の備品(編み針、テキスト、毛糸など)は各集会所に寄贈した(写真19)
- ぬりえやおもちゃを持ちこみ、子どもと遊んだり、会話のきっかけを作った(写真20)
- 学生が住民に東北弁を教えてもらい、住民と学生との間で話が弾んだ
- 上述の活動をしながら、お茶・コーヒー・紅茶・お菓子などを楽しんだ。
腰かけ兼踏み台制作
- 夏から継続している木工プロジェクトのひとつ。13台制作し、お待ちいただいている住民の方にお渡しした
- 高さを低くして欲しい、やすりをもっとかけて欲しいなどのメンテナンスも実施した(写真21~22)
スイセンの球根植え付け
- スイセンプロジェクト(多賀城ロータリークラブ、希望の花いわて、瀬戸夢愛らんど、他)からスイセンの球根2,000球が箱塚屋敷に寄贈された
- うち900球は各戸配布し、残り1,100球をパブリックスペースに植え付けした。住民、子ども達も手伝ってくれ、一緒に植え付けや水やりを行った
- 仮設住宅に向かう道路脇の一角に植え付け、看板も設置した(写真23~25)
10月24日(月)事後研修会、活動振り返り
- KAC帰着後、151B教室において、最終日の振り返りを行った。活動内容ごとに班に分かれ、活動内容の共有、気づき・感想、被災者の方から聞いたこと、困ったことを共有した
- 事後研修会では、参加学生ひとりひとりから感じたこと、意見等を言葉にしてもらった。以下は学生コメントの抜粋である(写真26~27)
(学生)
- 短い間でいろいろできなかったと思っているかもしれないけど、自信をもってください。自分や一緒に行った周りの子を誉めてあげてください
- 今回3回目。前回行ったときは泥かきをして、体力的にしんどかった。今回はコミュニケーションが中心で、物をつくって提供など、違う形のボランティアで学ぶことが多かった。反省点はいろいろあるが、ここでできる支援を行っていきたい
- 今回2回目。おもちゃを投げるなど、子どもの暴力的行為が気になった。遊び場が少ない。他の地域など、コミュニティをもっと広げていきたい。イスを心待ちにしてくれていることがうれしかった。もっとニーズに応えていきたいと思った。今回のことをレポートにまとめて発表する授業があるので、良い発表にできるようにしたい
- 今回3回目で半年ぶり。前はゴミがたまっていたりしたが、同じ場所が今回行ってみたらきれいになって、人通りもあった。復興を目の当たりにできた。仮設住宅に入るのは初めてだった。前に現地に行ったときより雰囲気が明るくなったように感じた。1、2回生はこれからも現地へ行く機会があると思う。人と人とのつながりを大切にして、積極的にコミュニケーションをとっていってほしい
- 4月下旬に行ったときは、人も少なくて、一人の子どもに何人も学生がつくという感じで、自分が何をしに行ったのかわからなかった。でも今回は目標をもって活動して、充実したものになった。前に行ったときは防災・社会貢献ユニット生だけのバスだったが、今回ユニット生以外の人とのかかわりがあって、良い刺激になった。テレビでの放送も減ってきて、意識が低下してきている。長い支援が必要だと感じた
- 経験者が多くて緊張していたが、たくさんコミュニケーションがとれて嬉しかった。学生主体のボランティアなので、学生みんなが協力して活動していく必要があると感じた。今回いいなと思ったことは、みんなのON・OFFがはっきりしていたこと。作業するときは集中して、夜は仲良くふざけたり騒げたりして良かった。他の人に伝えることが使命だと思うから、今回のことをいろんな人に話して一緒に活動できる仲間を増やしていきましょう
- 前に行ったときは炊き出しで、忙しくてコミュニケーションがあまりとれなかった。でも今回はいろいろ関わることができて、たくさん笑顔を見ることができて良かった。学ぶことがとても多かった。これからも参加したい
- 今回3回目で、顔を覚えてくれている人もいて、子どもたちとも友達みたいに遊べた。コミュニケーションがたくさんとれた。編み物を教えてもらいながら日常会話ができた。今まで震災の話を聞くことがなかったが、名取で編み物会に参加しているときに、編み物の話をしている流れで震災の話がでてきた。「編み物好きでよくやっていたのだけど、震災で全部流されちゃった」と。それに対して「ああ、そうなんですか…」としか言えなかったことをダメだと思った。対応の仕方がわからない。球根を一緒に植えたりして楽しかった。充実した2日間の活動ができた
- 初めての参加で緊張していて不安も大きかった。でも実際に行ってみて「神戸学院大学から遠いのによく来てもらってうれしい」「学生が帰っていくと子どもが寂しくて泣いているのよ」と言ってもらえて、来てくれることを嬉しいと思ってくれていることが嬉しかった。自分にもできることがあるのだなと思った。充実していた
- 初めてで戸惑いもあったが、たくさんの人にフォローしてもらって嬉しかった。『頑張ろう日本』というポスターを目にしたり、こちらが元気をもらうことが多かった。この経験を次に生かしたい
- 今回2回目だった。先輩多くてよい刺激になった。子どもとたくさん触れ合えてよかった
- ふがいない4回生でした。いろいろ後輩たちから学ばせてもらった。前回行って炊き出しを行ったときは、ふさぎこんでいる人が多かった。今回は笑顔も見ることができて楽しんでくれていた。しかしそれは一部の人。ボランティアの手をもっと広げていきたい
- 初めての参加。現地のことはテレビでしか知らない。現地の人はとても活発で元気をもらった。楽しかった。また行きたい
- 不安だったが、最初から温かくしてもらった。「次はいつくるの?」と楽しみにしてもらっている。継続的に活動していきたい
- 毎回行って思うことが、現地の人が明るくて元気で、こっちが元気をもらう。今回一番心に残っていることが、前に泥だしに行ったところ(福祉施設)の周辺に何もなくなっていたこと。前は車や船がごろごろ転がっていた。震災から7ヶ月経っても復興はこの状況で、これからどうなっていくのだろうと思った。でもお花が咲いていたりして、地球は頑張っていると感じて希望がもてた。被災地は厳しい現状だが、いろんなところに希望があるから、その希望を増やしていきたい。どんどん次につなげて前に進んでいきたい
(引率)
- 今回初めて現地へ行った。被災者から震災の話が出ることは行った人から聞いていて知っていたが、どう対応していいか分からなかった。自分の目で見て耳で聞くのと、テレビや新聞の情報とでは大きな差があると思った。たくさんの学生と話すことができて、みんなのことを優しくて素直で尊敬できる子たちだと思った。教職員は移動手段が新幹線や飛行機でなく、夜行バスであることから、行きたがる人が少ないので「行きたい」の声を増やしたい。そう思えたのはみんなのおかげ。このボランティアバスについて発表とかする子はぜひ日にちを教えて欲しい
- 他学部・複数学年と学生の授業や将来のことをいろいろと話ができて、教員としてよかった。仕事上、海外の人とお話をする機会があるのだが、毎回、原発と義援金の使い道について聞かれる。今回初めて現地へ行って、義援金の使い道などお話を聞いて、日本人としてこういう使い方・活動をしているのだと理解でき良かったと思う。反省点として、学生主体の活動に教員がどこまで踏み込んで良いのか分からず、言いたいことを我慢したし、言い過ぎてしまったと思うことがあった。教員から学生に与える一言の影響力は大きく、教員として普段から言葉には気を配っているが今回もこのことを考えた。そのほか、被災者とどう関わっていくべきかのハウツーの必要性を感じた。最後に、体調を崩した学生の様子の変化にもっと早く気付いてあげることができればよかった。しかし、その学生は体調が良くなればまたリベンジして参加したいと言っており、少し安心した
以上