被災地支援活動
6月10日~13日 学生ボランティア 報告
6月10日(金)~13日(月)に本学が実施した被災地ボランティアに、学生20人、総合リハビリテーション学部講師 九十九綾子、学生支援グループ職員 飛岡憲、現地コーディネーター 四宮千佳子(TKKスタッフ)が参加しました。
以下のとおり報告します。
プログラム名 |
宮城県災害支援学生ボランティアバス(大学主催) |
目的 |
宮城県石巻市、名取市でのボランティア活動 |
日程 |
2011年6月10日(金)~13日(月)3泊4日(2泊は車中泊) |
行程・内容
6月10日(金)
15:00 |
事前研修会(KAC117B) |
16:30 |
KAC発 |
17:30 |
KPC発、宮城県へ。バス1台、車中泊 |
6月11日(土)
09:30 |
石巻市内の避難所(ビッグバン)到着
- 炊き出し(焼きそば)
- 肩もみマッサージ(タクティールケア)
- 子どもと遊ぶ
- 被災地調査(雄勝地区)
※神戸市水道局のメッセージ付き水を届ける |
17:00 |
ビッグバン出発、ホテルへ |
19:00 |
仙台市内宿泊施設(ホテルニュー水戸屋)到着 |
20:30 |
活動ふりかえり(3斑に分かれて、学生の気づき・感想などの共有) |
6月12日(日)
07:30 |
ホテル出発 |
08:10 |
名取市災害ボランティアセンター到着
- 泥かき(小塚原地区カーネーション農家のビニールハウス内)
|
13:00 |
活動終了 |
14:00 |
名取市災害ボランティアセンター出発 |
15:00 |
宿泊施設で入浴のみ利用。バスにて神戸へ。車中泊 |
6月13日(月)
07:30 |
KAC帰着 学生、備品等のおろし(支援室) |
08:30 |
事後研修会、活動振り返り(KAC117A 講師:堀越京子TKK学び合い連携センターコーディネーター) |
09:45 |
解散 |
参加者
- 学生20人
- 一般申込み5人、総合リハビリテーション学部4人、ボランティア団体6人、防災・社会貢献ユニット5人
- 引率者2人
- 九十九綾子(総合リハビリテーション学部 講師)飛岡憲(学生支援グループ 職員)
- 現地派遣者1人
- 四宮千佳子(TKK学び合い連携センター スタッフ)
活動詳細
6/10(金)事前研修会
- 有瀬キャンパス117A教室にて事前研修会を行った(15時~)
- 前林教授から、ボランティアに行くにあたっての心構え等諸注意の説明を受けた
- 自己紹介や簡単なゲームで交流を深めた
- 班分けをし、有瀬キャンパスを出発
- ポートアイランドキャンパスで荷物の積み入れを行い被災地に向け出発
6/11(土)石巻市内の避難所(ビッグバン)でのボランティア活動
ビッグバンでは、継続してボランティア活動を行っている。今週は3週目にあたる。
炊き出し(焼きそば)
- 先週のボランティア時にヒアリングを行い、要望の多かった焼きそばを提供した
- 材料は避難所近くのスーパーで入手した
- 約300食の焼きそば、約100食の野菜炒めを提供した
- 神戸市水道局との共同企画「ふれあい水プロジェクト~学生のメッセージ付きボトルドウォーター配布~」を実施した。120本を配布した
- 「いつも冷たいお弁当を食べることが多く、温かい食事は有難い」という声を聞いた。480名というたくさんの方が避難されていると、自分達で食事を準備することは不可能とのこと
- 常に行列ができ、焼きそばの提供までに時間を要してしまった。もっと効率化をし、待ち時間を少なくする工夫が必要であった(ある程度焼いてから提供を開始する、鉄板の数を増やす等)
- 仙台のイベント会社は、ソフトクリーム・コーヒー・ジュースの炊き出しを行っていた(10時~12時)
- ピザーラは、ピザの提供とプラスチックマグカップの配布を行っていた(16時~19時)
肩もみマッサージ(タクティールケア)
- タクティールケアとは、背中や手足を柔らかく、なでるように触れることで、不安やストレスを軽くするスウェーデン生まれのケアのこと
- 引率教員(社会リハビリテーション学部)の指導により、実施した
- 「体がぽかぽかした」「若い人に話を聞いてもらえてうれしい」という感想を聞くことができた
子どもと遊ぶ
- 幼稚園児~小学校生徒まで、約15人の子どもと遊んだ
- うちわにお絵かき、風船うちわバレーボール、キャッチボール、肩車等をした。また東京の玩具業者が運び入れた遊具を使い、体を動かした
- 貝塚市立第二中学校の有志生徒が作成した「メッセージ付きうちわ」「メダル」を渡すと大変喜んでくれた
被災地調査(雄勝地区)
- タクシー運転手(被災者)の案内で、沿岸部(雄勝地区)の壮絶な被災状況を視察した。雄勝地区も壊滅した町のひとつ
- 肉眼で被災地を見ることで、津波の威力、被災者の生活に与えた影響、おかれている状況がよく理解できた
- 震災後に立てられたであろう電柱の数に、人間の前向きな力を感じることができた
振り返り
- ホテルに戻り休憩後、3斑に分かれて気づき・感想、被災者の方から聞いたこと、困ったことなどを共有した
6/12(日)泥かき(名取市災害ボランティアセンターの紹介)
- 小塚原地区カーネーション農家のビニールハウス内の泥かきを行った(海から約3キロ地点)
- 津波は約150cmの高さがあった。ひとつのハウスの敷地が約500㎡程度あり、20人/日でも完了できない作業量であった。ビニールハウス内の通路の泥かきは完了できたが、作付け部の泥かきまではできなかった。翌日のボランティアにバトンタッチすることとなった
- ビニールハウス内は高温となるため、1回の活動は4時間に設定されている
- 30分ごとに休憩をとり、熱中症や脱水症状に配慮した
- 農家のご主人も一緒に活動した。「来年度の作付けを目標に頑張っている」「海水を含んだ泥が入ってきているため、目標どおりにいくかどうか不安」とおっしゃっていた
- たくさんの思い出(写真、アルバム、プリクラ、はがき等)が漂着しており、災害ボランティアセンターへ持ち帰った
- 他にも約40人のボランティアが時間差で活動した。現在、名取市災害ボランティアセンターは集中的にこのハウスの泥かきを行っている
- 作業後、災害ボランティアセンターの計らいで、被害の大きかった閖上地区を案内いただいた
6/13(月)事後研修会、活動振り返り
参加学生ひとりひとりから、丁寧に感じたこと、意見等を言葉にしてもらった。以下は学生コメントの抜粋である
- 子ども達の口や機嫌が悪く、ストレスが溜まっていると感じた。お店も開いており、人々は復興に向けて頑張っていると感じた。他方で、家屋やがれきがそのままになっているのを見て、復興まで時間がかかると思った。
- 初めて参加した。色々な衝撃を受けた。子どもたちに「死神」と言われ、ショックだった。避難所の方も明るく振舞っていたが、言葉の端々に不安を感じた。心のケアが大切だと思う。被災地はテレビで見るのと自分の目で見るのとでは全然違う。生活が一瞬にしてもぎ取られた生々しさを感じた。
- 被災地調査で非現実的な光景を見て、自分が何も感じなかったことに驚いた。もっと色々感じるかと思ったのだが、呆然として何も感じなかった。避難所ではお年寄りとお話をする機会があればよかった。焼きそばももっと効率よくできたらよかった。阪神淡路でも復興まで時間がかかったので、今回もそれ以上にかかるだろう。
- 自分にも何かできないかと思って参加した。お金だけではなく、人の力が必要だと感じた。
- これまでボランティアに参加したいと思っていたが、壁があり参加できなかった。今回参加して、自分にもできることがあると気づくことができた。泥かきでは、あれだけの人数が行っても追いつかない。ボランティアの必要性を感じた。
- 震災から3か月。食料を手に入れるにしても、行列に並んで時間がかかる。それだけでストレスになるだろうと感じる。焼きそばを焼くのに忙しく、コミュニケーションが取れなかったのが残念。被災地を調査して、まだまだボランティアが必要と感じた。
- 被災地を見て、茶色一色だった。他の色がなかったのが強く印象に残った。
- 初めて参加した。避難所に行ったとき、施設の方が「物資は十分。気持ちで来て欲しい」という話をしてくれた。行きたい・行こうという意思を持って被災地に実際に行くことが大切だと感じた。被災地調査の時、洗濯物が干されている家があり、生活が一瞬のうちになくなったのだと思った。普通の生活の大切さを感じた。
- 中学生、高校生は遊具等では遊ばない。この年齢層に対して何かできないかと思った。被災地では草花が咲いていて、自然の戻ろうとする強さを感じた。人間も頑張らないとと思った。
- これだけの人数が泥かきをしても、ひとつのビニールハウスを終了できない。津波の被害が広範囲にわたり、人手不足を感じた。ボランティアも入れ代わり立ち代わりなので、避難所の方も緊張してしまうのではないか。継続して行けたらいいと思う。
- 2回目の参加。場所や月日の経過によって、ニーズが変わってくる。自分達で必要なことを考えるのも大切だが、被災者から直接ニーズを聞き取る機会があれば嬉しい。
- 多くのことを学んだ。被災地調査では、何も考えられないくらいショックだった。2日目の入浴後、ホテルで石巻市の住民(在宅避難者)の方とお話をすることができた。避難所だけではなく、在宅避難者の大変さを知ることができた。また皆で協力して炊き出しをできたことがよかった。
- できることは限られているが、向こうで感じたこと・考えたことを神戸でどう生かしていくか、新しい活動に生かしていくかが重要だと思う。
引率者(九十九)からの感想、提案
- 学生は大変熱心であった。何事に対しても能動的に、積極的に動いていた。同時に協調する姿勢も見られた。今後は、事前研修会の設定にゆとりを持たせて、そこで学生のアイデアを活用した支援活動について考える時間を持つことが望まれる。
- 今後のプログラムについて検討が必要であろう。東北福祉大学との連携を軸に、例えば「子ども」については現地の教育委員会や学校、既に活動実績のあるNPO等との連携、「高齢者」であれば現地の介護スタッフとの連携などが考えられる。
- 「関西圏の支援団体と現地を神戸学院大学が結ぶ」という視点が加わることによって、さらに幅広い支援が可能となるだろう。今回、準備期間が短かかったにもかかわらず、貝塚市立第二中学校の生徒会を中心としたメンバー120名ほどの協力をいただき、うちわとメダルを現地へ届けることができた。関西圏では他にも支援をしたいと考えている団体は多く、その大きな力と現地を有機的につなぐ役割を神戸学院大学が担うことは意義深いと考える。
現地の状況
活動の様子