神戸学院大学

被災地支援活動

5月19日~22日 学生ボランティア 報告

5月19日(木)~22日(日)に本学が実施した被災地ボランティアに、学際教育機構防災・社会貢献ユニット生20人、大学院生2人、同教授 前林清和、心理カウンセラー、四宮千佳子(TKKスタッフ)が参加しました。
以下のとおり報告します。

期間 2011年5月19日(木)~22日(日)1泊4日
内容 学生による被災地におけるボランティア活動の実施
目的
  1. 被災地のニーズに応える活動を行うことで、復興の一助となる。
  2. 被災地ボランティア活動や実態調査を通して、学生自身の成長を促す。
引率 前林清和 防災・社会貢献ユニット 教授
引率補助 四宮千佳子 TKK学び合い連携センター スタッフ
心理カウンセラー 荒屋 昌弘
参加学生 防災・社会貢献ユニット生20名、大学院生2名

スケジュール

5月19日(木) 17:15 KAC 出発
18:30 KPC 出発、バスにて宮城県へ。途中SAにて2、3時間おきに休憩
―バス車中泊―
5月20日(金) 09:00 石巻市ボランティアセンター到着
石巻市内にて、ボランティア活動
―活動内容(側溝のどろかき)―
16:30 石巻市ボランティアセンター出発、被災地(石巻港)調査後、ホテルへ
20:00 秋保温泉到着(宿泊:ホテルニュー水戸屋)
―就寝前に翌日活動についてのミーティング、足湯トレーニング―
5月21日(土) 07:00 ホテル出発
08:00 レントオールにて物品借用
09:00 名取市ボランティアセンター到着(ボランティア活動)、被災地(閖上地区)調査
―TKK活動内容1.(どろかき、ふれあい水プロジェクト)―
―TKK活動内容2.(足湯、ポップコーン、箸巻お好み焼き、子どもと遊ぶ、ふれあい水プロジェクト)―
―ボランティア活動支援室プロジェクト(入学式の記念写真撮影、ふれあい水プロジェクト)―
16:00 東北福祉大学学生と合同振り返り
16:45 名取市ボランティアセンター出発
17:30 レントオールに物品返却
19:00 秋保温泉(ホテルニュー水戸屋)到着。入浴後、バスにて神戸へ。途中SAにて2、3時間おきに休憩
―バス車中泊―
5月22日(日) 08:00 KPC帰着 学生、備品等のおろし
08:30 活動振り返り(C号館会議室 講師:前林清和人文学部教授)
09:30 解散

活動内容

5月20日(金)

  • 活動内容:側溝のどろかき掃除
  • 活動場所:石巻市大街道南地区(海から約1km地点)
  • 石巻市ボランティアセンター(以下石巻VC)経由、支援団体アモールのコーディネートで活動を実施(アモールは、石巻でボランティアを始めた個人らが集まって作った中間支援組織。現地の被災状況 やニーズを調査し、石巻市VCから紹介されたボランティアを差配している)
  • 道路両脇の側溝のどろかきを約20m程度行った
  • 側溝に溜まったどろ、道路にあるゴミを土嚢に詰め、一か所にまとめる作業を行った
  • 梅雨に入るため、側溝のどろは地域住民の大きな悩みである
  • とても臭いがきつく、ハードな作業であった。ニュースでは伝わらない現地の状況を五感で知ることができた
  • 近所のおじいさん(80歳)がどろかき作業に協力してくれ、最後には飲み物を差し入れてくれた
  • 活動終了後は石巻港付近をバスで走り、被災状況を目の当たりにした。津波の威力の大きさに言葉がなかった。途中、土葬場も目にし、学生は衝撃を受けていた
  • 石巻VC情報・・避難所とボランティア活動のマッチングは基本的にしていない。石巻市の避難所での炊き出しはNPOピースボートがマッチングしている。それ以外の活動(子どもと遊ぶ等)については、ボランティアが直接避難所と調整をしている

5月21日(土)

TKK活動内容1.(どろかき、ふれあい水プロジェクト)

  • 活動内容:家庭の庭のどろかき掃除
  • 活動場所:名取市小塚原地区(海から約2km地点)
  • 学生8人が活動し、活動後には閖上地区を調査

  • 住民の方も一緒に作業を行った
  • 活動中、腕に軽い擦り傷の怪我をした学生がいた。破傷風の問題があり、病院へ連れていき、治療を受けた。また帰着後、ボランティア保険の手続きを行った

TKK活動内容2.(足湯、ポップコーン、箸巻お好み焼き、子どもと遊ぶ、ふれあい水プロジェクト)

  • 活動場所:名取第一中学校(130人規模)
  • 学生12人が活動し、活動後には閖上地区を調査
  • 約30人の方々に対し、足湯を行った
  • 避難所から椅子をお借りし、屋外で実施した。
  • 最初は緊張していた学生だったが、会場には笑い声が響いていた
  • 「若い人にこうやって話を聴いてもらえてうれしい」という感想をうかがった
  • 避難者の方々から、被害状況や津波の様子を直接うかがった
  • 神戸学院大学の学生がひとりひとり書いたメッセージをつけたボトルドウォーターをお配りした(神戸市水道局、本学の共同企画)
  • 約200食の箸巻お好み焼きを振るまった
  • 天かす、紅ショウガ、桜えびを入れたお好み生地 を薄く焼き、箸に巻きつけたものが箸巻お好み焼き
  • 箸に巻きつけると食べにくいため、箸は添えるだけとした
  • 行列ができ、大盛況であった
  • 避難所から出られない方のため、避難所の中でも配布した
  • 人数は少なかったが、子どもと体を動かして遊んだ
  • 親御さんは「こうやって優しく遊んでくれるお兄さん、お姉さんが来てくれると助かる」「ぜひまた来てください」とおっしゃっていた

ボランティア活動支援室プロジェクト(入学式の記念写真撮影、ふれあい水プロジェクト)

  • 活動場所:名取文化会館
  • 入学式に記念写真を撮ることができなかった子どもたちのため、写真を撮影・プレゼントする試み
  • 計22人の新入学生の入学記念写真を撮影
  • 兵庫県立大学経済学部のご協力で、貸衣装・靴(子ども用、母親用)、お菓子等を用意した
  • 全国赤十字ビューティーケアボランティア連絡会の ご協力で、プレゼント用衣装・靴・文具を提供した
  • 子ども達のみならず、親御さんたちが大変喜んでくださった
  • 事前配布したチラシを見て、小学3年生の男児が来場した。近所に住んでいたが、異なる避難所にいた新1年生の女児に会いに来たとのこと。偶然に女児が来場し、再会を果たすことができ喜んでいた

東北福祉大学学生と合同振り返り

  • 東北福祉大学学生3人(三つの避難所で子どもと遊ぶ活動を実施)、本学学生2人(どろかき、炊き出し)が代表して活動内容、気づき等について発表
  • 学生からはボランティアの意義、限界、被災者との心のつながりを実感したという発表が見られた
  • 発表をうけ、東北福祉大学教授生田目氏、前林教授からコメントした
  • このように大学同士が連携し、合同で振り返りができたことは意義があった

5月22日(日)

  • 事後活動振り返りを実施(場所:神戸学院大学KPC C号館会議室)
  • ストレッチ、自律訓練法で体と心をほぐした後、ひとりずつ感想、気づき、感じたことを共有した
  • アンケートの実施(心と体の状態をみるもの)
  • 学生は26日(木)までにレポートを提出する(レポート内容:1. 思ったこと・感じたこと、2. 得たもの、3. 次回ボランティアへ行く人へのアドバイス、4. 活動への意見・要望など、5. 活動中に現地の方から聞いた内容)
  • 振り返りには、これまで2回被災地ボランティアに参加した学生も同席。「感じたこと、学んだことを次のボランティア学生に引き継ぐような取り組みをしていきたい。そのときには協力してほしい」と呼びかけた

学生の感想、気づき(抜粋)

  • 一番感じたのは、TVで見るのと自分の目で見るのは違うということ。TVでは実感がわかず、大変だなと思うくらいだったが、実際に見たら言葉にならなかった。自分の出来ることを精いっぱいやろうと思って活動した。1日目はにおいも(泥の)量もすごかった。住民の人はそれを毎日やっていると思うと・・・。
  • 2日目の名取ボランティアセンターから民家へどろかきへ行くとき、ボランティアの人たちがマイクロバスを笑顔で見送ってくれた。それでがんばろうと思えた。帰ってきて「お疲れ様」という言葉をかけてもらい、苦しい時こそ人とのつながりが大切ということをじかに学べてよかった。
  • 地震のあとすぐは自分が何もできずに焦っていたが、今回時間をおいてボランティアに行くことになって、どこか日本で起きている他人事のように思っていた自分がいた。被災地に行って、この間自分が何をしていたのだろうと自己嫌悪になった。被災地に行かなくてもできる活動はあるし、私たちが行って、まだ行ったことのない人たちに伝えることで周りが関心を持つことができると思う。その現場で活動することも大事だが、伝えていくことも大事。
  • 被災地(石巻)を見たのは初めてだった。まだまだ手が回っていないところはたくさんあると感じた。避難所の方は明るく元気にふるまっているけれど、メッセージカードを読んで泣いている人を見て、思い出したくない過去なのかもしれない。被災者の気持ちを聞いて、今後反映させていきたい。
  • テレビでは悲惨な状況を見ていた。1日目のどろかきをしてみて、視覚的なことは伝わるが、嗅覚などは伝わらない。どろ、下水、石油もまじってすごい臭いだった。テレビでは伝わらないから、実際に自分で行かないと現地の人の悲惨な状況は伝わらない。2日目の合同振り返りのとき、復興まで10年20年かかるかもしれないという話を聞いた。その初心の気持ちを忘れずに、若い私たちが復興に向けて取り組んでいかなければならない。
  • 閖上でタクシーの運転手さんから「にぎやかな町が、今は何もないのは不思議な感覚」「津波は波というよりどろの塊が押し寄せてくるような感じだった」と聞いた。10mものどろが襲ってきたら逃げ切れない。その人たちの気持ちを思うと・・・。また行きたい。次は今回見た光景が少しでも良くなっていたらいいなと思う。
  • 何か月、何年と向き合っていかなければいけない。大変なことだ。次に行く機会があれば復興の力になりたい。
  • 4月に行って、今回2回目。地域差があると感じた。名取は次の段階で、避難所はまもなく撤退する。石巻ライフラインがまだ完全ではない。時間ごとに求められることが違う。次に行くときにはまたニーズが変わるだろう。1か月後、1年後の生活をボランティアは考えていくべき。ボランティアは、ただボランティアをするだけではない。何を求めているのかを肌で感じることが大事。それが次の支援につながっていく。また神戸の人たちに伝えることも大事だと思う。ニュースで取り上げられることが減っている。被災地のことが遠くなっているため、人に伝えることで、支援の輪が広がっていく。