被災地支援活動
5月12日~15日 学生ボランティア 報告
5月12日(木)~15日(日)に本学が実施した学生ボランティアバスに、一般申込み7人、総合リハビリテーション学部9人、ボランティア団体3人、防災・社会貢献ユニット3人が参加しました。
以下のとおり報告します。
プログラム名 | 宮城県災害支援学生ボランティアバス(大学主催) |
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目的 | 宮城県名取市、石巻市でのボランティア活動 |
日程 | 2011年5月12日(木)~15日(日)3泊4日(2泊は車中泊) |
行程・内容
5月11日(水) | 12:20~13:10 | 事前説明会(KAC225教室) |
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5月12日(木) | 18:45 | KAC発 |
19:40 | KPC発、宮城県へ。バス1台、車中泊。 | |
5月13日(金) | 08:30 | 東北福祉大学到着(ボランティアセンターにあいさつ) |
10:00 | 名取市ボランティアセンター到着
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15:30 |
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16:30 | 名取市ボランティアセンター出発、夕食後、ホテルへ | |
18:00 | 宿泊施設到着、19:30活動ふりかえり(4斑で、学生の気持ちを聞く) | |
5月14日(土) | 06:30 | ホテル出発(大型バス) |
09:00 | 石巻市ボランティアセンター到着
※東北関東大震災共同支援ネットワークの武田和典氏のガイド |
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16:00 | 石巻市ボランティアセンター出発 | |
18:30 | 宿泊施設で入浴のみ利用。バスにて神戸へ。車中泊。 | |
5月15日(日) | 08:30 | KAC帰着 学生、備品等のおろし(支援室) |
09:00 | 活動振り返り(KAC151K 講師:前林清和人文学部教授) | |
10:00 | 解散 |
参加者
学生22人
一般申込み7人、総合リハビリテーション学部9人、ボランティア団体3人、防災・社会貢献ユニット3人
引率者
3人
藤井博志(総合リハビリテーション学部教授)
西垣千春(総合リハビリテーション学部教授)
川口謙造(ボランティア活動支援室)
現地Co
1人
四宮千佳子(TKK学び合い連携センター)
活動詳細
5/13(金)
名取市の被災地宅の片づけ手伝い(名取市災害ボランティアセンターの紹介)
- 別行動(避難所回り)をした学生2人を除く20人で、ひとつの家屋(農家)の片づけを担当した。海岸から約3㎞地点にある家屋を取り囲む竹林(幅3m程度)の中に堆積した漂着物のかき出し作業を行った。漂着物は大半が竹林の枯葉と津波が運んできた瓦礫類が混在したもので、泥は3月時点に比べ乾燥しており枯葉等の下に堆積している状態であった。敷地が約300㎡あり、20人/日でも完了できない作業量であった。津波が運んできた小作りな箪笥の解体も行った。
- 名取市の災害ボランティアセンターは、ボランティアの紹介、備品管理、その洗浄と 役割分担が機能していた。また所長はじめスタッフの対応が丁寧で好感がもてた。
- 活動中、足に軽い切り傷の怪我をした学生がいた。破傷風の問題があり、病院へ連れていき、治療を受けた。また帰着後、ボランティア保険の手続きを行った。
名取市内避難所回り(9ヶ所、引率者と学生各2人で2グループ)
- 2グループで手分けして、避難所を回った。5/26-29バス(TKK)で実施する記念写真プログラムの案内チラシを配布した。
- 災害直後の避難所とは様子が変わっており、外部の人間が中に入りにくい状況であった。今後、学生によるボランティアプログラムづくりの検討課題となる。
- 避難所は以下の通り。括弧内は避難者数(5月10日現在)
【徒歩配布班】文化会館(240)、増田小学校(42)、増田中学校(64)、下増田小学校(43)
【タクシー配布班】高舘小学校(108)、名取第二中学校(125)、増田西小学校(59)、名取第一中学校(123)、館腰小学校(140)
※市内の避難所には、自治労兵庫県本部から避難所運営支援要員が派遣されていた。
名取市閖上(ゆりあげ)地区視察(26人がタクシー7台に分乗して、被災状況の視察)
- タクシーの運転手(被災者)の案内で、名取市沿岸部の壮絶な被災状況を視察した。
被災状況はこれまでの調査隊等で報告があったとおりだが、実際に現場を見ることで 被災者のおかれている状況がよく理解できた。一方で風景は言葉を失うほど強烈である。/li>
5/14(土)
石巻市の被災地宅の片づけ手伝い(石巻災害ボランティアセンターの紹介)
- 沿岸部家屋の片づけ。漁港市場、市立病院の近く。たまたま石巻市社会福祉協議会会長の自宅であった。会長は災害以降、不休でボランティアセンターに詰めて仕事をしていたが、ようやく2日(土、日)休みが取れ、自宅の片づけ作業ができるようになった。
- 沿岸部コミュニティは壊滅状態で、高台手前の家屋やお寺などが倒壊を免れていた。まさに「瓦礫世界」の中での作業であった。行方不明者も多数いるという。
- 家屋の裏の倉庫の片づけ、裏庭の家財や漂着物の屋外への排出作業を行った。
- 3世帯家族と一緒になって作業をした。時折、家族と話もできたので手伝いの手ごたえが感じられる活動となった。また会長から市への倒壊したコミュニティの復興への要望書を見せていただいた。寺もあり歴史のある町とのことで、住人としてここを復興したい、だからこそここに住み続けることが大切との思いが伝わってきた。
- 家族、学生と引率者が協力して、片づけの目標は達することができた。充実感を感じることができた。別れに、学生に挨拶をした際に思わず涙された会長の姿が印象に残る。
- 会長の計らいで、石巻市の被災全容を高台より視察することができた。
石巻市内の避難所視察(教員1人と四宮、学生2人)
- 東北関東大震災共同支援ネットワークの武田和典氏の案内(引率者、藤井先生から依頼)で、避難所を回った。神戸市水道局と本学による協働プロジェクトのメッセージ付き水を届けた。
- 視察した避難所は以下の通り。
宅老所(民家の風呂を開放し、避難所から自宅に戻った人々同士のコミュニティづくり)
海遊館(福祉避難所)
ビッグバン(避難所)
桃生小学校(避難所)※ふれあい水プロジェクト実施
東北関東大震災 共同支援ネットワーク事務所訪問
活動中の振り返り、事後研修会
- 参加学生ひとりひとりから、丁寧に感じたこと、意見等を言葉にしてもらった。
※記録は支援室で保管。 - 被災地での活動による精神的なケアについて、今後課題となる。
今回の参加学生について、精神的な負担を感じている学生には、引率者が中心となって 状態の見守りと、必要時はカウンセラーにつなぐことにした。支援室でも欠席届を取りにくる際に、「体調等は大丈夫か」と声かけを行い状況の確認をした。 - 以下、活動期間中に行った振り返りの一部。
「被害の大きさ、深刻さに驚いた」
「もう2カ月もたっているのに片づけが済んでいない。微力だがボランティアを続けていきたい」
「避難所はプライバシーがなくて大変そうだった」
「泥かきの時、写真や賞状などの思い出がでてきた。泥かきはただのゴミ拾いではない」
西垣(引率者)からの感想、提案
全体を通しての感想
学生は自ら志願しての参加であったため、現地での動きもスムーズで、活動にも熱心に取り組んでいた、と感じた。せっかく現地に来ての活動であるので、人と出会い、現実を共有したいとの思いがあり、数少ないコミュニケーションの機会を積極的に捉えていた。
引率の役割が余り明確ではないため、行く前にもうすこし学生と話しをし、ともに活動する気持ちを高めていく必要があったのではと感じた。
私も初めての現地入りで、目の当たりにした光景に、津波の怖さを知ると同時に、被災したところとそうでないところの区切りが明確であることにも驚いた。被災された人、復興に携わっておられる人、ボランティアの人に出会い、お話をさせていただき、共有するべきことは何かを真剣に考えていく機会をいただけたと思う。
今回の現地活動は、大学で準備するプログラムではなかったので、たまたま最も被害の大きかった地区に入ることになり、学生はほとんど事前学習もせず、また感じたことをどう昇華するか、他の人と共有するかを明確にしていなかったので、かなりハードなスケジュールになったと感じた。
これからの課題
継続ボランティアの目標の設定
- キャッチコピー作成
理念となるフレーズをつくると、参加意欲がわき、つながりを感じるのではないか。 - プログラムづくり
8月で避難所がなくなる予定であれば、地区を定め、仮設住宅への移動、そこでの訪問活動を継続して行うプログラム、対象やテーマ設定して活動するプログラムなど
事前、事後プログラムの充実
- 事前プログラム
2、3週間前には学生を集め、参加の心得、留意点伝達だけでなく地域の実情、プログラムの運営についてグループワーク研修を実施 - 事後プログラム
報告会や発表展示の場を設け、学生が現地で経験したこと、感じたことを昇華させる機会作り。心のケアの役割も果たす。
大学全体への復興支援のプログラムにつなげる
- 大学内の活動場所づくり
ボランティアバスに参加したものを中心に、もっとできることのアイデアの受け皿をつくる。現地に行ってその後に生み出されるものを育てることが、本当の意味での 復興支援になる。大学が大きな予算を投じて学生を送る教育的意義を考えること。
例:現地とのやり取り・・・手紙、写真送付
必要なものを送るための活動
義援金の継続募集活動
藤井(引率者)からの感想、提案
全体の感想
- 混成チームであったにもかかわらず、統率のとれた良いチームであった。
- その他、プログラムについての感想は西垣先生に詳しいので省略する。
今後の派遣のありかたについて
派遣される学生はかわっても、大学として支援の継続性をもたせる派遣の方法が必要。
- 東北の被災者は忍耐強く内向的であるので、継続的なかかわりの中で信頼していただけないとニーズを表明していただけない。とくに、今後は、被災地ニーズは刻々と変化するので、その変化を把握してタイムリーに対応できる派遣の仕組みが必要である。(6月中の仮設住宅移住、重介護者・生活困難者の避難所滞留、地域外避難の複層化等、かつ、地域・場所によってそれぞれのニーズの多様化がみられ、本学が神戸で考えるプログラムがマッチしない状況も起こると予測される。)
- 方法としては、地元の中間支援組織(東北福祉大学ボランティアセンター、社会福祉協議会・災害ボランティアセンター、地元被災者支援NPO等)との連携、支援地域・仮設住宅地等の固定化が必要。
- 今後、仮設住宅等への支援については、阪神淡路大震災時にも取り組まれたように、「ふれあいセンター(仮設集会所)」を拠点とした訪問活動や引きこもり防止のための食事会やイベント等、学生が活動しやすいプログラムが求められることになる。仮設住宅地を固定して、かかわりができれば本学学生の活躍の場が広がると予想される。
- 補足情報として、宮城県内の災害ボランティアセンターは県域全体として、家屋の泥かきや整理ボランティアに特化してコーディネートしている傾向にある。今後、避難所や仮設住宅へのボランティア派遣を行うかどうか不明。確認する必要有。
- また、宮城県にこだわらなければ、さくらネットによる岩手県内への学生派遣が考えられるので、そのプログラムにタイアップする方法も考えられる。(さくらネットは岩手県社会福祉協議会との連携もよく、地元社会福祉協議会・災害ボランティアセンターと連携して、泥かきボランティアだけでなく、子どもとの遊び等被災者と触れ合うプログラムを用意できる。)