共通教育科目「地域学入門A」で兵庫県広報プロデューサーの特別講義がありました
2025/04/16
共通教育活性化プログラムを活用して鵜飼昌男講師が担当する共通教育科目「地域学入門A」で4月15日、兵庫県広報プロデューサーの有田佳浩さんの特別講義がありました。
有田さんは大阪府岸和田市出身。大学在学中から編集プロダクションを設立し、多くの雑誌の特集を手掛けました。2018年から兵庫県の編集デザインディレクターを務め、21年に現職に就任、週3回程度県庁で勤務しています。
■「兵庫五国連邦」創設
講義のテーマは、但馬、播磨、淡路、丹波、摂津(神戸・阪神)で構成する「兵庫五国」の各地域の特徴や魅力を全国にアピールするために作った「U5H 兵庫五国連邦」「United 5KOKU of Hyogo」のロゴを使った広報戦略でした。「自身の生活する地域は知っていても他の「五国」のことをあまり知らない人は多い。古里を知り、県内の他の地域も知ってもらい、兵庫としてのまとまりを見出していきたい」というのが出発点だったといいます。
■有田佳浩さんのアイデアの数々
公務員の枠をはみ出たアイデアの数々。漫画家の「もぐら」さんに依頼して「兵庫五国」の各地域をキャラクターにした漫画とストーリーが出来上がりました。2021年には単行本「あるある兵庫五国」(ぴあ株式会社)を出版。ロゴは「私は兵庫、けれども、○○です(○○は但馬、播磨、淡路、丹波、神戸・阪神の5パターンがあり)」のコピーとともにポスター、シールなどにプリントされました。例えば播磨バージョンなら「祭りの時 仕事してたら 怒られました」という具合にユーモラスな「あるある」の一文が入っています。ピンバッジやエコバッグなどのノベルティグッズもあります。
■淡路のポスターは東淀川の淡路にも貼る!
高校生や大学生と一緒に動画も制作。さらにポスターは駅、商業施設などに貼ってもらい、ポスターを貼る作業のメイキング動画も公開。播磨バージョンのポスターは高知のはりまや橋、丹波バージョンは京都の京阪電車丹波橋駅、淡路バージョンは大阪市東淀川区の淡路と、同じ地名の他府県に出張して貼ってもらいました。何事も面白がることが大事だそうです。「現地を回って同じ地名に歴史的な関係があることが分かりました」と思わぬ成果もありました。
■「違和感を大切に」学生へのメッセージ
最後に「最初に県庁で仕事をすることになってレクチャーを受けたときに言われた『兵庫の魅力は兵庫五国の歴史や文化の違いにある』という上から目線と感じた言葉に違和感を持ったのが原点だった」と話しました。学生には「何か事業を始めるとしたら違和感を大切に」と、メッセージを伝えました。
■企画を通すには交渉相手を知ること
学生からは「県庁内で企画を通すために上司に根回しを重ねていく過程で、そのこつやポイントは何でしたか」と質問がありました。有田さんは「(交渉)相手のことを良く知ることです。円滑なコミュニケーションが大事です。人脈を持っている人を味方につけることも必要です」と答えました。
「兵庫五国連邦」のホームページ(こちら)には県民を巻き込んで投稿してもらうコーナー「『ふるさとあるある』エピソード」などコンテンツは拡大を続けています。今後の課題は県のほかの事業とコラボすることだといい、ホームページを見ると「万ぱくぱく」「わが家のズボラ朝ごはん」などのコンテンツでコラボが始動していました。