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 有瀬キャンパスエリア 明石グループ


研究活動ニュース

2021年10月13日      活動報告

2018年度第5回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。11/28


 2018年11月28日(水)、第5回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ「記憶から歴史を物語る~大蔵地区の記憶継承の拠点構築に向けて」を開催しました。地域の方が12名、学生が18名参加しました。
 

 
 共同体の歴史とは何でしょうか。それは、その共同体に生きた人々の記憶の集積といえます。高度経済成長期以降、日本各地で開発が進み、気が付けば、全国同じような風景がひろがっています。このような事態に直面し、現在いくつもの地域共同体で、「自分探し」が行われています。

 神戸学院大学地域研究センターでは、明石ハウスを拠点に、大蔵地域の記憶を集積する計画をあたためています。

 今回は、そのプロジェクトの導入として、地域の人たちから集められた写真と思い出語りから、どのような地域の姿が浮かび上がるかをご紹介しました。



 当日は、数多くの地域の方々と神戸学院大学の教員と学生が集まってくれました。大蔵地区の古い写真を見ながら、あれこれ記憶語りをするなかで、この地域の歴史が形作られる、そんな時間になりました。         
   (文責 三田牧)
                              

 
                          

2019年6月28日      活動報告

2019年度第1回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。5/22


 5月22日(水)、第1回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ明石の文学シリーズ第1回として、「新元号『令和』と明石」を開催しました。地域の方が14名参加されました。
 

 
 新しい元号「令和」は『万葉集』に収められた「梅花歌三十二首」の序文を典拠としています。当時、北九州にあった大宰府には、大伴旅人や山上憶良など優れた歌人が集まり、和歌の催しが頻繁に行われていました。「梅花歌三十二首」もそうした環境のなかで詠まれた作品で、土地柄、また旅人たちの好みによって、中国文化の色濃い影響を受けています。

 たとえば、話題となった「時に、初春の令月、気淑しく風和らぐ」の一節。「国書(日本で作られた書物)を典拠とする元号は初」と話題になっていますが、これもまた「仲春の令月、時和し気清む」(張衛「帰田賦」、『文選』巻十六所収)、 「天朗らかにして気清み、恵風和暢す」(王義之「蘭亭序」)といった中国文学の表現に学んだものです。彼らは自分たちの文化にせまく閉じこもるのではなく、ひろい視野に立って、旺盛に海外の言葉や表現を取り入れようとしていたのです。



 さて、大宰府での生活は旅人個人にとっても大きな意義を持つものでした。このころの旅人には「わが盛りまたをちめやもほとほとに奈良の都を見ずかなりなむ」(『万葉集』巻三・三三二)、わが命はふたたび若盛りの年に立ちもどることがあるのだろうか、もしかすると奈良の都を見ずに終わりそうだ、といった歌があります。みずからの人生を深く見つめ、命のはかなさをうたう作品です。
 
 大宰府に赴任した年、旅人は妻を亡くしています。当然、そのことは彼の文学に大きな影響を及ぼしたことでしょう。しかし、これほどまでに孤独な味わいが生まれてくる背景には、ほかの理由もあったように思うのです。
 
 

 旅人が九州での任を終え、都に帰るとき、扈従した人の詠んだ歌が『万葉集』には残っています。「家にてもたゆたふ命波の上に浮きてしをれば奥か知らずも」(巻十七・三八九六、作者未詳)。家にいても定めなくゆらぐ命。船の上にいると、いっそうたゆたうように、行きつく先も分からないような不安を感じる―。

 当時の人々にとって、旅は苦しみそのものでした。陸路を歩くか、船に乗るしかないため、肉体的な消耗から病を得ることはめずらしくなく、『万葉集』にも旅の途中で亡くなった人の姿が登場します。飢えや遭難、難破などの危険も、現代よりはるかに身近なものだったでしょう。何より人々の生活範囲が格段にせまかった時代、まったく見知らぬ「異界」へ足を踏み入れる恐怖は大きかったと思います。
 


 そうしたなかで彼らは、自分という存在がいかにかけがえのないものであるか、痛烈に実感したのではないでしょうか。ふるさとの村落社会から切りはなされ、ひとり「異界」と対峙せざるをえなくなったとき、万葉人ははじめて「自分は自分であって、ほかのだれでもない」という感覚を持ったのだと思います。

 旅の途中で危険な目にあえば、死ぬのは自分であって、それを肩代わりしてくれる人はいない。故郷にいたときは、「家」にくるまれ、家族に守られ、村落社会の一員であることに甘んじて、意識したことすらなかった「自分」が、実ははかなく、もろく命しか持たない弱い存在である、と旅は気づかせてくれる。

 旅人の歌を深めたのは、そうした旅の経験だったのではないでしょうか。残念ならが、大宰府へ向かう道中で旅人がどのような作品を作ったかはわかりません。しかし、それがしみじみとした抒情と、胸をしめつけられるような悲しみに満ちた和歌であったろうことは容易に想像できます。旅によって、彼は「たゆたふ命」を見出したのだと思います(山本健吉『詩の自覚の歴史』)。

 
 
 さらに想像をたくましくすれば、このとき大きな役割を果たしたのが明石であったに違いありません。『万葉集』を見ると、旅ゆく歌人たちは繰りかえし、明石から西へゆく悲しみ、西から旅をしてようやく明石にたどりついた喜びをうたっています。有名な柿本人麻呂「灯火の明石大門に入らむ日や漕ぎ別れなむ家のあたり見ず」「天離る鄙の長道ゆ恋ひ来れば明石の門より大和島見ゆ」(巻三・二五四、二五五)などは、その代表例です。
 
 明石は播磨、須磨は摂津に属します。当時の人々の意識では、摂津(須磨)までが畿内(都の周辺地域)であり、播磨(明石)からは鄙の地(いなか)でした。明石は「異界」の入り口であり、だからこそ旅の悲しみや喜びをつよく感じる場所だったのです。

 旅人もおそらくはこの明石沖で、悲しい旅の歌を詠んだことでしょう。そしてそれをきっかけにして、みずからの命を見つめ、新しい、深々とした歌境をひらいていったのではないでしょうか。大宰府における旅人の歌人的成長には、明石が大きな影を落としていると想像する所以です。
 
                          (文責 中村健史)

2019年6月25日      活動報告

2018年度第6回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。1/23


 1月23日(水)地域研究センター明石ハウス(大塩邸)で中山ゼミ3回生がリーディング公演を行いました。「アタシノアカシ第3弾~声で届ける明石物語~」と銘打って、以下の4本の短編作品が上演されました。
 

 
①『粉もん戦争』(作・演出 山岸睦)
 平凡な毎日を送っていた4人の粉もん達――明石焼き君、たこ焼きさん、お好み焼き君(関西風)、お好み焼きさん(広島風)――が日本一の座をかけて熱戦を繰り広げます。いったい誰がいちばん美味しいのか?互いを評価しあう食レポの力が見ものです!

          

②『時の道』(作・演出 石原周)
 明石に実在する『時の道』。その階段を1段ずつ上がるごとに、自分の未来がわかるという。そんなわらべ歌を聞きつけたオカルト研究会の女子2人、深夜のフィールドワークに出かけることになります。彼女らを待ち受ける運命やいかに?!
 
 

③『明石一客』(作・演出 松川心)
 上方落語会でもめったに上演されない「明石飛脚」。この噺を現代に置き換えてアレンジしました。飛脚は現代の郵便屋さん。落語と同様、大阪から明石までの仕事を頼まれたところから始まります。さて、主人公は無事に仕事をやり遂げられるのでしょうか?。
 


④『盲杖桜』(作・演出 山本優香)
 16年ぶりに明石にもどってきた青年。彼は小学1年生の時、1年間だけ明石に暮らしたことがありました。幼い記憶に残る老夫婦との出会い、忘れられない桜の木の名前。おとなになったらもう一度見たい、そんな景色がこの明石に、あったのです。「どうしても、これを見たかったんだ。大切な人といっしょに」。

 

 今回は会場が小さいために、あえて動きの少ない声だけで表現するリーディング公演を行いました。当日は20数名の方にご覧いただき、客席は満席。観客アンケートには、「どの作品も特色があり、引き込まれました」(20代男性)、「目の前で声の演劇を鑑賞したのは初めてで、楽しめました」(60代男性)、「リーディングでも情景が頭に浮かびました」(40代男性)、「演じることにより、自信・経験が身につき、良いことだと思う」(70代男性)、「ちゃんと人に聞かせる力がありました」(40代女性)、「面白い、良い公演をありがとうございました。ゼミで協力し、創り上げる大切さを関わることができて良かったです」(20代男性)など、温かいお言葉をいただきました。 



 ゼミ生アンケートでは、「4班に分けたことで、集まりやすかった」と少人数体制のメリットがあげられました。また「今までで一番お客様を近くに感じた」「帰り際に、学生が作ったものはわかりやすく、新鮮でとても面白かったと言ってもらった。このような生の声が聞けるのも地域での公演ならでは」「お客様への対応も自分から進んで動けるにようになりたい」と、小さな空間が生んだ効果にも新たな発見がありました。

 また最後の公演を終えて、「できるなら4回生になってもやりたい。みんなと作品を創り上げるのが好き。すごく楽しかった」「一つの目標に向かって意見を出し合い、ぶつかり合い、苦楽を共にしたことで団結力が生まれた」「1年間で作演、役者、スタッフをすべて経験したが、どの役職にもやりがいと辛さがあり、すべてが必要な職務なのだと知った」などの感想が寄せられました。観客の皆様の励ましを得て、学生たちは素晴らしい経験をさせていただいています。

 これからも中山ゼミの教育発表の場として、「アタシノアカシシリーズ」を続けていこうと思います。次回公演は7月23日(火)19:00より神戸学院大学有瀬キャンパス学生会館マナビーホールで行います。ぜひお運びいただき、学生たちにお声をかけていただけますようお願い申し上げます。
  
                          (文責 中山文)

2019年3月20日      活動報告

2018年度第7回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。2/20


 2019年2月20日(水)、第7回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ「明石原人って何?―明石人と日本の旧石器時代―」を開催しました。参加人数は地域の方が15名と、たくさんの方に集まっていただきました。
 

 
 1931年4月18日、兵庫県明石市の西八木海岸において直良信夫が古い人骨の一部(寛骨)を発見しました。その後「明石原人」と呼ばれるようになるこの人骨化石は、数奇な運命をたどりました。日本列島にいつ人類が来たのかということを念頭に、この明石原人とは何だったのかを考えてみたいと思います。
 
 直良が発見した人骨化石は、東京大学の松村瞭に送られましたが、何の成果発表もないまま、直良に返却され、1945年5月25日の東京大空襲によって焼失してしまいました。その後、1947年に長谷部言人が東京大学に保管されていた石膏模型を再発見し、壮年男性の腰骨だが現代人に比べて類人猿に近い特徴があり、原人のものであるとしてNiponanthropus akashiensisと命名しました。以後、この人骨は明石原人と呼ばれるようになりました。

          
 
明石で発見された人骨化石が「原人」であるなら、相当古い時代に人類が日本列島に来たということになります。1949年、相沢忠洋が群馬県岩宿の関東ローム層から黒曜石製の打製石器を発見し、その後の芹沢長介らの調査によって、日本における旧石器時代の存在が証明されました。日本にもかなり古い時代から人類が来ていたという可能性が高まったのです。
 
 一方、明石人骨については、1982年に遠藤萬里と馬場悠男により石膏模型の詳細な解析が行われ、「明石原人」は現代的であるとして、原人ではなく、縄文時代以降の新人であるという説が打ち出されました。その真偽を確かめるため、1985年、国立歴史民俗博物館の春成秀爾が西八木海岸で本格的な発掘調査を実施しましたが、人骨化石の発見には至りませんでした。春成らの調査によれば、明石原人が発見されたとされる西八木層Ⅳ・Ⅴ層の時期は最終氷期前葉の寒冷期から温暖期、約6~7万年前ごろと推定され、自然破砕礫が多数出ましたが、石器は1点だけしか発見されませんでした。ただひ、ハリグワ(クワ科)の樹幹を用いて、一端が尖る板状に加工した木器が出土しました。また、百々幸雄が遠藤・馬場の明石人=現代人説の検討をおこない、明石人は完新世人であり、現代の骨と考えてもおかしくないと結論されました。
 
 西八木層から出土した木器および石器の存在は、6~7万年前頃に人類がいたことを示していますが、明石人骨は新人(ホモ・サピエンス)であるとされたのです。

 

 人類は700万年以上前にチンパンジーとの共通祖先から分かれて、アフリカ大陸で独自の進化を始めました。200~250万年前頃に最初のホモ属が出現し、200万年前頃に最初の出アフリカ(アフリカの外へ進出)が起きました。この初期のホモ属が原人です。その後、原人は何度か出アフリカを繰り返し、ヨーロッパやアジアに拡散しました。その後、アフリカにとどまっていた原人の仲間の中から、20~30万年前頃にホモ・サピエンスが進化し、10万年前頃から出アフリカを開始しました。現在地球上にいる75億人の人間は、全てホモ・サピエンスです。   


 日本列島に人類がやってきたのはいつなのでしょうか。日本は、酸性土壌の占める地域が多く、旧石器時代のような古い人類化石は溶けてしまって残りにくいようです。石灰岩土壌の沖縄では3万年以上前の人類化石が見つかっていますが、本土では2.2万年前の浜北人骨(静岡県)が最古のものです。一方、石器などを伴う旧石器時代の遺跡は国内に5,000ヵ所以上発見されています。ただし、そのほとんどが4万年前以降(後期旧石器時代)の遺跡であり、10万年前頃にアフリカを出て世界中に拡散したホモ・サピエンスが日本列島に到達したのは、4~5万年前頃だろうと推測できます。
 
 だとすれば、西八木の遺跡で発見された木器や石器には謎が残ります。もしその推定年代がもう少し遅い4~5万年前頃なら、その製作者はホモ・サピエンスであると考えられますが、年代推定に問題がないのなら、その製作者はホモ・サピエンスではない旧人の可能性もあるのです。
 
 日本国内には、少数ながら、10万年前頃にまでさかのぼる旧石器時代の遺跡が知られており、また、近年、周辺の大陸のさまざまな場所から原人や旧人段階の化石人骨が報告されています。明石人骨が「原人」でないことは明らかなようですが、日本列島にホモ・サピエンスが到達する前の前期・中期旧石器時代については、謎として残ったままです。
                           (文責 早木仁成)

2019年1月9日      活動報告

2018年度第4回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。10/31


 2018年10月31日(水)の第4回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェでは、哲学カフェを開催しました。参加人数は、地域の方が10名、学生が14名でした。
 本学人文学部人文学科卒業生である今野未来さんがファシリテーター(司会者)をつとめました。地域の方々に加えて、人文学科から平光ゼミに所属する学生たちも参加しました。


 
 当日は、当ウェブサイトでの告知をご覧になってはじめて参加された地域の方、そして学内での掲示によって哲学カフェの開催を知った学生たちも参加され、会場は大いににぎわいました。当初予定していた人数よりも参加者が増えたため、議論の場を二つに分け、今野さんが司会するメインテーブルと平光講師が司会するサブテーブルを用意しました。それぞれのテーブルに異なる話題を割り振り、参加者のみなさんには好みの話題のテーブルを選んで、座ってもらいました。


          


哲学カフェの開始にあたって

 哲学カフェ開始にあたって、まず、参加者全員にむけて、今野さんから哲学カフェのルール説明がありました。
1:発言は挙手によること。
2:誰かが話しているときには、別の人がその話をさえぎって
  話さないこと。
3:論破を目的とした発言はしないこと。
4:自分の言葉で語ること。著名な思想家や作家等の名前を出  して、自らの発言の権威づけをしないこと。




メインテーブル


ファシリテーター:今野未来
話題:「選ぶ」とはどういうことだろう

 はじめは、参加者のみなさんが何をどのように発言したらよいか、迷っている様子でした。しかし一つ二つ意見が出始めると、だんだんと対話が活発になっていきました。
 さまざまな意見が出るなかで、地域の方々と学生とのギャップも見られました。しかしこのギャップを、地域の方も学生も、お互いに興味深く感じている様子でした。そして最後まで発言が絶えない、楽しい対話がひろがっていました。


   


サブテーブル


ファシリテーター:平光哲朗
話題:「罪悪感」とはなんだろう

 それぞれに思うところをみなさん語ってくれました。ある学生から、罪悪感は不要ではないのか、という刺激的な発言がなされ、それを巡って議論が活発に行われました。また、ウェブを見てはじめて参加された地域の方から、動物にも道徳感情と思われるものが観察されるのでは、といった発言があり、ではAIはどうだろうか、など、多彩な議論が引き出されました。
 

       


哲学カフェ全体について


 両テーブルともに、参加者のみなさんはそれぞれのテーマについてじっくりと考えつつ、また、他の参加者の発言に刺激を受けながら、自分の考えを述べていました。そして時に、沈黙の時間も訪れます。その沈黙のあいだ、もう一方のテーブルの議論の声が聞こえてきます。同じ空間のなかで、二つのテーブルが異なる話題を議論したことによって生じたことです。これもまた、なかなかに味わい深いことでした。
   
                            
(文責 平光哲朗)

2018年9月28日      活動報告

2018年度第3回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。7/20


 2018年7月20日(金)の15時から、第3回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。夏休みワークショップとして、テーマ「『地震の話』実験してみよう!どこまでできそう?地震予知!」を本学人文学部教授大塚成昭が担当しました。
 今回は、これまでの開催とは、やや目的を変えて、地元の小・中・高の生徒さんを対象にしたワークショップ形式にしました。そのため開始時刻も従来の17時ではなく15時としました。また、作業空間や実験道具の数に制限があるので、人数制限をせざるをえず、これまでの完全自由参加ではなく、参加申し込み予約制(先着20名)としました。見学のみのかたについては、これまで通り、部屋の空間が許す限り先着順で入って頂くこととしました。参加人数は、事前予約の小学生7名とその付き添いの方と一般参加者を含め14名でした(写真1)。


          
写真1 参加者の様子

 はじめに地震災害の怖さを知ってもらうために平成7年兵庫県南部地震(M7.3)によって引き起こされた「阪神・淡路大震災」の際の災害事例と平成20年岩手・宮城内陸地震(M7.2)の際に発生した大規模な山崩れ(地すべり)を紹介しました。
 つづいて、地震の原因、地震発生の仕組みなど地震現象についての解説をしました。参加者には、プレート境界地震発生模型を操作してもらい、プレート境界地震の起こり方を確認してもらいました(写真2)。
 

   
写真2 プレート境界地震発生模型を使った学習 

 地震災害を小さくするための対策についていくつかの方策を紹介した後で、その一つとして、「地震予知」をとりあげました。
 プレート境界地震であれ、活断層で起こる内陸地震であれ、地震発生はばねと錘ブロックで構成される模型(写真3)を使った摩擦すべり現象に似ています。参加者は、この模型を使った地震発生予測(地震予知)実験を行いました(写真4)。


       
写真3 摩擦すべりの実験器具
 

       
写真4 摩擦すべり実験の様子

 実験では、最初にバネの先端の位置とブロックの先端の位置の目盛を読み取ります。装置のハンドルを回してバネを伸ばしていくと、バネによってブロックを引っ張る力がブロックと台の間の摩擦力を超えた瞬間にブロックがずれ動きます(写真5)。
 そこで、ハンドルを止めて、バネの先端の位置とブロックの先端の位置の目盛を読み取ります(写真6)。これを何度も繰り返して実行してもらいました。


    
写真5 ブロックがすべった後の状態

   
      
ブロックの先端の位置の目盛を読む


       
バネの先端の位置の目盛を読む
写真6 ブロックの先端の位置とバネの先端の位置の読み取り


 もちろん、1回目は、バネがどこまで伸びた時にブロックが動くか分かりません。しかし、2回目は、バネの先端の位置が、1回目にブロックが動いた時の位置に近づくと「そろそろブロックが動きそうだ」と思います。これを繰り返して、「どこまでバネが伸びたら動くか」、「ブロックはどれだけ動くか」を予想してもらいました。そして、「大凡の次のブロックが動く時期(バネの伸び)と「大凡のブロックの移動量」を言い当てることはできる一方で、毎回、ブロックが動く瞬間のバネの伸びもブロックの移動量も異なり、それらを正確に言い当てることは、非常に難しいことを体験してもらいました。

 この実験を通して、地震という自然現象もこのブロックの摩擦すべり現象と類似した現象であり、地殻変動の観測や地震活動の観測などを継続的に行いその変化を監視することで、地震発生の長期予知はある程度可能である一方、直前予知は非常に難しいことを学んでもらいました。

                            (文責 大塚成昭)

2018年9月19日      活動報告

2018年度第2回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。6/13


 2018年6月13日(水)の18時から、第2回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催し、14名の参加者がありました。今回は「基本イメージから考える英語の前置詞・副詞ー空間を表す語を中心にー」というテーマで、前置詞・副詞の on と about を用いた表現を中心に本学人文学部の熊田俊二が話をしました。



 on や up、down のような空間における「もの」と「もの」との位置関係を表す前置詞・副詞は、それぞれの語がいくつもの異なった意味を持っていることから「多義語」と呼ばれています。たとえば『ジーニアス英和辞典』で on を引くと、前置詞で18、副詞で6、形容詞で4、名詞が1の合計29の語義があげられています。私たちはこのような多義語をどのように学習していけばよいのでしょう。それぞれの語に対して辞書にあげられているような多くの意味、さらにイディオムまで1つ1つ理屈抜きに暗記するしかないと考えている人も多いのではないでしょうか。
 

 
 ところが、英語を母語とする人たちが前置詞や put on、take off などのイディオムをどのよう認知し、処理しているかを調べてみると、私たちがするようなまる暗記とは違うように思われます。今回はそれぞれの語の一番基本的な意味を考えてそこから様々な意味をつなげていくことで、母語の日本語を使うのと同じような感覚、すなわちフィーリングで操ることができないかを探ってみようと思いました。以下で当日考えた例の一部を紹介します。


 
 on の一番基本的な意味は「~の上に」だと考えている人が多いのですが、実は「接触」が一番重要な意味で、そこから on
の多くの意味がつながってくるということを最初に確認しました。A is on B では、A が B の上にあってもお互いが接触していなければこの表現は使えません。on の反対は off(分離)になります。
 on、off と言えば電気の「オン」「オフ」が頭に浮かびます。英語で turn on the light、turn off the light という表現を使いますが、「スイッチのつまみを turn して on にする」と電流が通って電気がつくし、「 turn して off にする」と電気が消えてしまいます。



 
 switch on/off the light、put on/off the light も同じ意味で使用します。switch は動詞として用いられて「スイッチを操作する」という意味です。それぞれ「スイッチを回して on/off の状態にする」「 light を on/off の状態に置く」と考えることができます。
 on には a book on animals のように「~に就いて」という意味があります。この場合も book と animals(本とそのテーマ)とは非常に強いつながりがあり、離れたものではないので「接触」という概念を用いた表現になります。日本語の「つく」も漢字であらわすと「就く」「付く」「即く」などがありますが、いずれも語源は「くっつく」のようです。



 about にも「~について」という意味があります。about は「~の周りに」「~の周辺で」が基本的な意味なので、onほどのぴったり感はありませんが繋がりはありそうです。about 30は「30のまわり」ということで28、29や31,32あたりが該当します。be about to(do)というイディオムを高校で習った人も多いと思います。これも「何かをすること(to do)の(時間的に)周辺、近くにある」から「まさに~しようとしている」という意味になります。このようなイディオムはまる暗記していれば忘れたらそれでおしまいですが、基本的な意味をもとに感覚をつかめば語感というものを少し感じられるのではないでしょうか。

 
 私たちは日本語でも空間の概念をたくさん使って表現しています。たとえば「仕事の前に」「仕事の後で」の「前と後」、「上機嫌」「気持ちが沈む」の「上と下」、「時間内に終える」「時間外診療」の「内と外」などです。日本語について考えてみても面白いと思います。

                            (文責 熊田俊二)

2018年6月19日      活動報告

2018年度第1回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。5/30


 2018年5月30日(水)の18時から、第1回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。21名の参加者がありました。今回は、「忘れられた明石八景-俳諧師・西山宗因-」というテーマで、本学人文学部准教授の中村健史が話をしました。


 
 ○○八景という言い方は、もともと中国の「瀟湘八景」がもとになっています。日本には鎌倉時代の終わりごろに伝わり、「近江八景」をはじめとして各地で八景をつくるのが大流行しました。今は忘れられていますが、じつは明石にも「明石八景があったのです。


 
 最初に思いついたのは、どうやら当時の藩主・松平信之
(1631-86)だったようです。新田開発や治水事業によって明石では今でも名君と慕われる人物ですが、彼は文化的なことがらにも関心が深く、1669年、幕府の儒官であった林鵞峰
(1618-80)に依頼して「明石八景」を選ばせています。
 さらにその三年後、信之は当時俳諧師として有名だった西山宗因(1605-80)を明石に呼びよせ、「明石山荘記」という文章を書いてもらいます。鷹狩りに招いて、郊外にあった別荘を自慢したらしい。その末尾に明石八景の句が添えられています

 
 
 はじめは、
仙廟旦霧
 これは人丸神社の朝霧という意味です。宗因の句は「朝霧に隠れぬ浦の昔かな」(朝霧も隠すことのできない明石の浦の古え)。『古今集』にある柿本人麻呂の歌「ほのぼのと明石の浦の朝霧に島隠れ行く舟をしぞ思ふ」を踏まえています。

 次は
大倉(蔵)暮雨
 「空や雨谷の名に立つ夕霞」。空に降る雨は夕霞を呼びよせるので、大蔵谷という地名のとおり、谷を真っ暗にしている、と地名を掛詞にしています。

 三つ目は、
藤江帰帆
 藤江は鹿の瀬の古名と言われています。「たそがれの藤江や春の港舟」(藤は暮春に咲くというが、その名のとおり藤江の舟も夕暮れには港に帰ってくる)。白居易の「紫藤の花の下に漸く黄昏たり」(藤の花のもとに春の最後の一日が暮れてゆく)という詩を踏まえています。

 四つ目は、
清水夕照
 この「清水」は野中の清水(神戸市西区岩岡町)のことです。「結ぶ手に夕日を返す清水かな」。清水を手にすくうと、そこに夕日が反射している、という句ですが、漢語「返照」(夕日のこと)を上手に詠みこんでいます。技ありの一句ですね。

 五つ目は、
印南(いなみ)鳴鹿
 「印南野は籬に鹿の鳴く音かな」。印南野は鹿の名所だけあって、家の垣根のすぐそばまで鳴き声が聞こえる、の意。

 六つ目は、
絵島晴雪
 絵島は淡路の岩屋港にある小島です。「昔ながら絵島を乗する小舟かな」。これはぼくにはちょっと理解がゆきとどきません。直訳すれば「雪ごと絵島を載せている小舟だなあ」という意味なのですが....。

 七つ目は、
尾上晩鐘
 加西市の尾上神社のあたりです。鐘の名所として有名でした。句は「花は根に鐘は尾上の夕かな」(散った花は木の根元に、鐘の響きはそれを撞いている尾上へ、それぞれ帰ってゆく)

 最後は、
明石秋月です。
 「月もこのところや思ふ明石潟」。月も土地柄を考えて、明々と明石の浦に照っているという、またしても地名の掛詞です。ただし、『源氏物語』の明石の巻には、皎々と照る十三夜が印象的に描かれていますから、この句はそれを踏まえているのではないでしょうか。一句目の人麻呂と対応させるねらいがあったのでしょう。

 

 ○○八景というとき、現在では地名のみを挙げることも少なくありませんが、江戸時代以前は「地名と、その場所がもっとも美しく見える状態」をともに紹介するのが普通でした。たとえばただ「明石」というだけでなく、明石という場所がもっともきれいに感じられるのは「秋月」のときだから、「明石秋月としよう、というふうに。
 ですから「明石八景」は単に地名を列挙したものではなく、当時の人々が明石という土地をどのように眺めていたか、ということを教えてくれる資料でもあります。今は忘れられた「明石八景」ですが、ぜひとも多くの人々に知っていただきたいと思います。
                   
   (文責 中村健史)

2018年2月20日      活動報告

2017年度第6回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。2/21


 2018年2月21日(水)の18時から、第6回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。11名の参加者がありました。今回は、「近代劇と女優ー貞奴と須磨子を手がかりに-」というテーマで、本学人文学部教授の伊藤茂が話をしました。


 
 ご存じのように歌舞伎の創始者、出雲の阿国は女性でした。しかし、1629年に遊女歌舞伎が禁止されてより、明治時代まで女性は舞台に立てませんでした。その間、女優に代わって、男性が「女形」という独特な演技スタイルで女の役を演じていました。
 明治になって、西欧の演劇が紹介されるにつれ女優の重要性が認識されるようになります。演劇の近代化を成し遂げようとするとき、女優はどのようにして生まれたのか?その先駆けだった川上貞奴と松井須磨子を手がかりに、近代劇と女優の関係を追っていきます。


 
 明治20年ごろ、それまでの歌舞伎に対抗して新しい演劇(新派劇)が誕生します。初期の新派劇は自由民権運動と関係して政治的主張を含んだものでした。多くの劇団が生まれる中、川上音二郎が川上一座を旗揚げし、社会風刺を盛り込んだオッペケペー節で人気を博します。その音二郎の妻が貞奴でした。彼女は日本橋芳町の人気芸者でした。
 結婚後、川上一座は成功と失敗を繰り返しますが、1899年にアメリカ巡業を企画し、太平洋を渡ります。その旅の途中、劇団員が不足したためやむなく貞奴が舞台に立ちます。貞奴の美貌と芸の巧みさは、たちまち海外のプロデューサーの目に留まり、パリ万博に招かれて公演。そこでも大成功をおさめ、貞奴は一躍パリ社交界の花形になります。
 帰国後、川上一座は「正劇」と称して外国演劇の本格的な上演を目指すのですが、貞奴は常に一座のトップ女優でした。近代日本の本格的な女優は彼女から始まったと言っていいでしょう。貞奴は音二郎の死後も女優を続け、1918年に舞台を引退します。



 川上一座が「正劇」を始めたころ、坪内逍遥を中心に文芸協会が発足します。当初は文化芸術全般の改革を目指していましたが、やがて島村抱月ら若い研究者たちとともに演劇に特化した活動を始めます。そして新たに俳優の養成も開始します。そこに応募してきた一人が松井須磨子でした。逍遥らは、松井須磨子を女性の自立と開放をテーマにした「人形の家」のノラに抜擢します。彼女が演じたノラは、日本の女優の可能性を見出した点で高く評価されました。ただ、この公演の稽古中、演出家の島村抱月と須磨子が恋愛関係になり、ことに抱月には妻子がいたため大きなスキャンダルとなって、二人は逍遥から除名、破門されてしまいます。。

 
 
 その後、抱月と須磨子は劇団「芸術座」を旗揚げし、芸術性と商業性の両立を目指した演劇活動を始めます。抱月の優れたプロデュース力によって順調に活動を場を広げ、また須磨子も人気女優となっていきました。しかし1918年、スペイン風邪によって抱月が急逝し、その翌年、須磨子が後追い自殺を遂げたことで芸術座の活動はあっけなく終わります。



 当日は、上記の歴史時間的流れについて、多くの写真や映像を音源を交えながら、できるだけ具体的なイメージをつかんでいただけるようにしました。
 そのうえで、後日談的に築地小劇場の女優、東山千栄子と山本安英の舞台映像を紹介しました。なぜなら、貞奴引退の6年後、須磨子の自殺の5年後に築地小劇場がスタートしているからです。築地小劇場は日本の新劇の本格的スタートとして、それまでの演劇と一線を画すと考えるのが定説ですが、しかし実際には旧世代と思われていた貞奴や須磨子とわずか5~6年しか間が開いていないとすれば、彼女たちと築地小劇場の女優たちとは本当に非連続だったのか、と新たな疑問が湧いてくるのです。
                   
   (文責 伊藤茂) 

2018年2月20日      活動報告

2017年度第5回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。1/29


 2018年1月29日(月)の17時半から、第5回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。今回は、人文学部中山ゼミ2回生がマナビーホールで『新年明石伝説物語』の創作劇上演を行いました。この上演は、中山教授が開催した国際シンポジウム「大学生における演劇教育の効果とファシリテーターの役割―日本・中国・台湾比較」の第3部として設定されたものです。
 自分の通う明石の町をもっとよく知りたいと、学生たちが歴史を調べて脚本を書きました。照明や音響などの演出も自分たちで決め、稽古を重ねてきました。演劇部員でもない普通の人文学部生が、知恵を出し合って作り上げた作品です。会場をいつもの大塩邸から神戸学院大学有瀬キャンパスへと移したこともあり、市民の皆さまには神戸学院大学の新たな一面を見ていただくことができました。


 
 『新年明石伝説物語』は、「明石」の名前の由来をもとにしています。
 昔々、この地で妻をもつ男が小豆島に住む美女に恋をしました。彼は毎日鹿の背に乗り、瀬戸内海を渡って美女のもとに通いました。その日も妻の懇願を振り切ってかの地へ向かっていたところ、鹿が漁師の放った矢にうたれてしまいました。男は鹿とともに海の底へ。血で赤く染まった鹿はそのまま岩になり、それが赤い石、赤石、明石と呼ばれるようになったということです。


 
 さて、この伝説の男、死後はいったいどうなったのでしょうか?もしあなたが男の妻だったら、どんな気持ちになったでしょう?



 舞台では、初詣に来た神戸学院大学人文学部生の福山幸男君が、男と鹿の霊に取りつかれるシーンから始まります。夫の女好きにほとほと嫌気がさした妻が、ついに家を出た!福山君は二人に彼女を捜しだす手伝いを頼まれたのでした。
 一方、明石にさまよい出た妻は、人文学部のマドンナ桐野に取りついて夫の愚痴を聞いてもらいました。時はまさに初売りセール。桐野に連れられた妻は一変した故郷の地をめぐり、ウインドウショッピングでストレス発散。徐々に落ち着きを取り戻していきます。そして最後は思い出の海へ。そこで彼女が見たものは・・・。

 



 寒い中、50名弱のお客様に見ていただきました。アンケートでは、「おもしろかった」「演劇部でもない普通の学生さんだとは思えない」「7月に見たときよりも格段に上達していた」とおほめの言葉をいただき、学生たちもさらにやる気を燃やしています。明石の名前については、別の由来もあるそうです。これからも明石についての情報をいろいろ調べ、「アタシノアカシ」シリーズを続けていきたいと思います。ぜひまたご来場ください。
                   
   (文責 中山文) 

2018年1月10日      活動報告

2017年度第4回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。11/29


 2017年11月29日(水)の18時から、第4回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。今回は「神になった人麻呂-鎌倉・室町時代の和歌秘伝」というテーマで、本学人文学部准教授の中村健史が話をしました。


 
 人丸神社の祭神として明石と深いかかわりを持つ柿本人麻呂ですが、彼が「神」に変貌してゆくなかで大きな役割をになったのは、『古今和歌集』をめぐる注釈や秘伝の数々でした。
 現在、人麻呂の歌といえば「天離(あまざか)る鄙(ひな)の長道(ながぢ)ゆ恋ひ来れば明石の門(と)より大和島見ゆ」(『万葉集』巻三255)がよく知られています。しかし、平安時代には『古今和歌集』に収められた「ほのぼのと明石の浦の朝霧に島隠れ行く舟をしぞ思ふ」(羈旅409)のほうが有名でした。『万葉集』が国民的文学として尊重されるようになったのは明治以後のこと。それまでの人々は、「ほのぼのと」の歌こそが人麻呂の代表作だと考えていたのです。



 平安以後、『古今集』は和歌の聖典としてひろく読まれ、 『万葉集』はもとより、『古事記』や『源氏物語』よりも格の高い作品でした。人麻呂はその『古今集』のなかで、「歌の聖(ひじり)なりける」(仮名序)と讃えられています。人々の尊敬を集めたのも当然でした。ですが、これだけでは神として祀られるのに不充分です。神であるためには、もっと神秘的な何かが必要でした。
 


 人麻呂がどんな人生を送ったか、伝記的な事実はほとんど分かっていません。『古今集』が編集された10世紀はじめにも、事情はほぼ同じだったでしょう。けれども「歌の聖」である以上、人となりを知りたいと思うのは人情です。その期待にこたえたのが『古今集』の注釈書でした。


 
 鎌倉時代から室町時代にかけて数多く作られた『古今集』の注釈書には、ときに読者の関心を引こうとして、奇想天外かつ荒唐無稽な解説を「創作」したものがあります。人麻呂もまた例外ではありません。住吉明神の化身としてこの世にあらわれたという説もあれば、「ほのぼのと」の歌に仏教的な意義を読みとろうとする試みもありました。歌聖の虚像はとめどなくふくれあがり、神秘的で、超常的な「神」へと成長していったのです。
 
 当日は、寒い中11人の参加がありました。明石に縁のある有名人がテーマで、熱心に聞いていただきました。

                   
   (文責 中村健史) 

2017年11月14日      活動報告

2017年度第3回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。11/1


 2017年11月1日(水)の18時から、第3回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。12名の参加者がありました。今回は、「グローバル・ヒストリーで読み解く世界史」というテーマで、本学人文学部准教授の北村厚が話をしました。



 まず現在の日本の歴史教育が大きく変化しているという話をしました。2020年度以降の学習指導要領では、高校の地理歴史科に「歴史総合」という新しい科目が加わることになっており、それは日本史と世界史を総合させたものになるということでした。そのキーワードの一つが「グローバル化」です。最近の世界史の教科書でもグローバル化を意識した内容が多く盛り込まれています。これは2000年ごろから歴史学会で盛んに提唱されている「グローバル・ヒストリー」という新しい歴史の見方が反映されていると考えられます。そこで、現在の世界史教科書の内容でグローバル・ヒストリーを通史的に描いてみようと考えました。今回はその中から16世紀と19世紀の話をしました。
 


 16世紀は「大交易時代」の最盛期です。「大交易時代」とは最近の教科書の言い方で、ヨーロッパ中心的な「大航海時代」という時代概念ではなく、すでにアジアの海域が密接に結び合って盛んに交易していた15世紀以降の時代を指します。16世紀にはアジアの海だけでなく、ポルトガルやスペインによって大西洋と太平洋も結びつけられました。それらを結びつけたのが、アメリカや日本で産出される銀のネットワークでした。


 
 19世紀にはイギリスなどによってアジアの港湾都市が開港させらていきますが、実はアジアは欧米に支配されるだけではなく、「アジア間貿易」のネットワークを自ら構築して独自の分業体制を作り上げていきました。そうした近代アジアの結びつきを生み出したのは、神戸をはじめとする新しい開港場だったのです。アジア間貿易の主役の一つは世界各地に広がる華僑社会です。この華僑ネットワークに乗って孫文もまたたびたび神戸を訪れたのだという話をしました。



 今回は世界史の話をここ地元神戸や兵庫県に結びつけてお話したこともあり、会場からは地元ならではの質問が相次ぎました。昨年の神戸開港150周年を機に、神戸と世界とのつながりを非常に意識されており、積極的な意見交換がなされました。

                   
   (文責 北村厚)                  

2017年10月2日      活動報告

2017年度第2回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。8/2


 2017年8月2日(水)の18時から、第2回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。16名の参加者がありました。今回は、人文学部で映像学を専門としている上田学が、「明治大正時代の映画館」というテーマで話をしました。

 

 全体として、無声映画時代の日本の映画館について、主に建築の様式から、その文化の変遷を解説していきました。映画館のような、人々にとって当たり前のように存在しているマス・カルチャーは、却って資料が残りにくく、当時の文化の全容を把握することは難しいものです。建築様式を示す平面図を資料として用いることは、そのような失われた失われた文化を理解するための一助となります。
 


 日本映画は、19世紀末に誕生してから、様々に表現の形式を変えて、現在に至っています。そのような形式の変化は、映画館の建築様式の変遷とも結びついています。1896年にアメリカ合衆国から、翌年にフランスから、相次いで神戸に映画が輸入されます。その後、1903年に日本初の映画館、電気館が東京浅草に誕生しますが、その建築様式は見世物小屋を改装したものでした。それは、同時代の映画が見世物の表現形式をもっていたことと密接に関連しています。電気館は、1909年に大規模な改築がおこなわれ、今度は芝居小屋を模した建築様式へと変化します。これは同時期の日本映画や輸入映画が、見世物的な表現から、演劇的な表現へと変化していったことと結びついています。


 
 大正期に、映画が演劇的な表現から離れて、映画独自の様々な表現形式を発展させていくなかで、映画館もまた、スクリーンの映像を純粋に楽しむことができる建築様式へと変化していきます。その後、1930年代に、日本映画は無声映画からサウンド・フィルム、いわゆるトーキーへと変化していきます。トーキー化にともなうラウドスピーカーの設置は、数百人の収容に限られていたサイレント時代の映画館の建築様式を、日本劇場に代表される数千人の規模へと、格段に拡大させていくことになりました。このように、映画館の建築様式は、映画の表現形式と密接に結びついて変遷したのです。
 
 
                          (文責 上田学)

2017年7月18日      活動報告

2017年度第1回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。6/14


 2017年6月14日(水)の18時から、第1回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。11名の参加者がありました。今回は、人文学部で英語学・言語学を専門としている出水孝典が、「男女の話し方の違いはなぜ生じるのか」というテーマで話をしました。



 初めに、女性らしい話し方、つまり女ことばには、発話の口調を弱めるものと強めるものがあることを概観した後で、そのような話し方が生じる理由として、ロビン・レイコフの支配説と、デボラ・タネンの相違説という2つの説があることを紹介しました。支配説によると、女性が弱めた言い方をするのは男性に支配され、自信を持てず不安だからであり、強めた言い方をするのは男性優位の社会で、強めた言い方をしないときちんと話を聞いてもらえないためだとされます。一方、相違説によると、女性が弱めた言い方をするのは相手との親密な関係が壊れないように押しつけがましくない言い方をするためであり、強めた言い方をするのは、相手に自分の感情を伝え、共感を持ってもらい、より親密な関係になるためだとされます。。
 


 このように同じ現象に対して複数の見方ができることこそが、学問の醍醐味であることをお伝えした上で、相違説についてさらにお話ししました。これによると、女性が会話する主目的は、類似点や共通体験を示すことで、親密な関係・人脈を確立することです。一方、男性が会話する主目的は知識・技能を誇示したり、情報を伝えたりすることで自分の地位を維持することです。後半では、実際に男女の掛け合いになっているJ-popの歌詞を取り上げ、男性のパートと女性のパートが、それぞれの性別による会話目的の違いを如実に反映していることを具体的に示しました。


 
 具体的な内容の話であったので、ご参加のみなさんからも熱心な質問がありました。ありふれたことばの使い方であっても、そこからさまざまな興味深いことを読み解けることを、J-popの歌詞という具体的データに理論を援用することで提示することができる良い機会となったと思います。
 
 
                          (文責 出水孝典)

2017年4月11日      活動報告

2016年度第6回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。2/22


 2017年2月22日18時30分から、2016年度の最終回(第6回)となるHSカフェ「今、作られる音楽」を実施しました。講師は、現代音楽の作曲家でもある本学の宇野文夫先生にお願いしました。



 はじめに宇野先生から、ポピュラー音楽と現代音楽の違いについてお話しいただきました。現代音楽は、クラシック音楽をベースに、ベートーヴェン以降顕著になった宗教性を排除し、作曲者の思想(想い)がより強く反映された音楽(つまり、作曲者によるひとつの表現)であるとのことです。宇野先生は、芸術というものは、現実社会で起こるさまざまな理不尽なことにも深く関連するものであると、例を挙げて語られました。また、現代音楽で使われる不協和音について、協和音と併せて実際に音を聴きながら、どのような聴き心地かを体感しました。
 


 その後、宇野先生から新作曲をご披露いただきました。演奏は宇野先生のゼミの学生たちで、テナー・サクソフォン、ユーフォニアム、フルート、スネア・ドラムの編成です。曲は不協和音が多く使われ、リズムも予測の難しいもので、ポピュラー音楽やクラシック音楽とは全く違っていましたが、背後にある作曲者のメッセージ性がうかがえるように感じました。
 演奏後には、演奏した学生から、普段演奏している音楽との違いなど、感想を聞いたり、参加者の方に即興の踊りと演奏の共演をしていただいたりと、フロアからの質問も多くあり、盛りだくさんな内容でした。
 作曲者から作曲の経緯を聞いたり、演奏者がどのような気持ちで演奏しているかなど、音楽を鑑賞するだけではわからない「裏側」について知ることのできる貴重な機会となりました。
 
 
                          (文責 福島あずさ)

2017年1月30日      活動報告

2016年度第5回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。1/11


 2017年1月11日(水)に、第5回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを18時から開催しました。寒中、12名の参加者がありました。


 
 今回の講演は、神戸学院大学人文学部金益見(きむいっきょん)講師の「やる気とか元気が出る『えんぴつポスター』の話」で、大阪市立東生野中学校夜間学級のお話を聞くことができました。こちらの生徒さんは、戦争や貧困、病気、家庭の事情でやむを得ず義務教育を修了できなかった、在日コリアン一世・二世が約8割を占めていて、約9割が女性で平均年齢は67歳という、全国でも珍しい夜間中学校なのだそうです。

         
 
 この学校の屋外掲示板に張り出されるという、手書きの文字が書かれた「えんぴつポスター」。生徒さんのさまざまな思いが鉛筆の形をした枠の中に、時に笑いを込めて、時に恥じらいを込めて、時に直球ど真ん中で記されているというものです。これがずっと気になっていたという金先生は、研究する許可をもらうと、1枚1枚に目を通されたそうです。そして、夜間中学校に通われる元気な生徒さんたちが記した心の声を読み解き、著書にまとめられました。



 今回、夜間学級の生徒さんならではの、明るく、そして万事にまじめな個性を紹介されたのち、学校のこと、家族のことなど、いくつかの分類でとくに目にとまった作品そのものを、鋭い感性と優しい眼差しで読み解かれ、紹介されました。
 夜間学級の情景が目に浮かんだのでしょう、ご参加のみなさんからも熱心な質問がありました。今回のカフェでは、夜間学級の存在を知り、その空気を感じ取ることまででき、大変意味深いものでした。
 
                            (文責 矢嶋巌)

2016年11月25日      活動報告

2016年度第4回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。11/9


 今回は、本学人文学部人文学科地域社会領域の人文地理学が専門の矢嶋巌先生による「企業の森の取り組みと地域社会」の講演でした。地域から19名の参加がありました。


 
 講演は内容量がとても多く、いつもよりも10分ほど長い充実の70分の大講演でした。その後も多くの質問が飛び交う活発な質疑応答が20分程度続き大変盛況でした。
 特に和歌山県でのPanasonicによる森作りの事例では、森林環境への貢献に加えて、社員旅行や研修としても活用されている側面があることを知り、とても新鮮でした。
 
 
 
 矢嶋先生は地元の中崎まちづくりの会の部会長をされているだけに、いつもよりも地域の方が多目で、地域に根差した活動の大切さをいつも以上に感じた講演会でした。
 
                           (文責 鹿島基彦)

2016年11月7日      活動報告

2016年度第3回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。10/20


 今回は、古民家の住環境について、自然科学の立場から研究すると何が見えるか、というテーマの講演でした。講演者は気象学が専門で、大蔵谷地区と宇多津町(香川県)における古民家の室内環境実測調査結果に基づいて報告しました。当日は、地域から17名、神戸学院から3名の参加がありました。


 
 まず、古民家と現代の家屋では住環境の作り方において大きな差異があること、つまり、現代家屋では部屋の気密性を高くしてエアコンによって屋内環境をコントロールしようとするのに対し、古民家では家の中と外との空気を通わせながら屋内環境を調節しようとしている、という指摘がありました。その上で、古民家の各部屋の気温の実測結果などから、どのようにすれば古民家を生かしつつ、より快適な暮らしができるかについていくつかの提案がありました。
 
 
 
 フロアからは、実際に古民家に住まわれている方ならではの現実的な意見がありました。また、かつて古民家に暮らした方が、その家の価値について思いを馳せるという場面もありました。
 このような場が、研究と実際にそこで暮らす方々の対話の糸口になればと思います。
 
                          (文責 三田牧)

2016年8月25日      活動報告

2016年度第2回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。7/28


 今回は学生による研究発表という、はじめての試みでした。
 講演者の谷口恵太君は、明石、大蔵海岸の風景の変遷について、文献調査と聞き取り調査を精力的に行ってきました。


 
 万葉の時代から和歌に詠われた明石浦。時代が変遷し、海岸浸食が進んでいく江戸時代から昭和。そして大規模な埋め立てに至る前の戦前・戦後。そこに生きた人々の生き生きとした体験を交えつつ、明石の海岸風景に映し出された人々の生活史と心的意味の変遷を明らかにしようとしています。
 
 
 
 今回の発表は卒業研究の中間報告という位置づけで、地域の人に話を聞いていただき、意見やコメントをいただくことを目的としていました。当日は、大学関係者を除くと20名の参加者があり、大蔵海岸に想い出を持つ人たちの貴重な意見をいただきました。ありがとうございました。
 
                          (文責 三田牧)

2016年7月5日      活動報告

2016年度第1回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。6/22


 2016年6月22日(水)18:00より2016年度第1回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。2月の前回から4ヶ月ぶりの開催、さらに足元の大変悪い(土砂降りの雨の)中でしたが、10名もの地域の方にご参加いただきました(大学関係者が参加者の皆さまより遅れての到着となってしまい、大変ご迷惑をおかけしました)。大学からは学生を含め7名の参加がありました。
 この日は神戸学院大学人文学部松井吉康講師による「イスラムの合理性」という講演でした。松井講師は宗教学、哲学がご専門ですが、今回、日本であまり知られていないイスラム教徒の思想や行動について、キリスト教や日本人の宗教観と対比しながら、お話しされました。
 

 

 イスラム教とキリスト教の神は同一なのに、なぜ対立が生まれるのか、イスラム教徒はなぜ断食や1日に複数回のお祈りなど、厳しい戒律をきちんと守ることができるのか、イスラム圏の物乞いとイスラム教との関係性など、イスラム教徒の思想とそこから生じる行動についての解説に、参加者の方も「なるほど!」と何度も頷きながら聞き入っている様子がとても印象的でした。
 講演後の質疑応答も大変充実しており、参加者からの鋭い質問に対し、松井講師が大変生き生きしながら応えるやりとりが続き、いつもより長めに質疑の時間をとりました。一般的には避けられがちな宗教に関する話題ですが、国際化が進むなか、日本でも今後どのようにイスラム教徒と共存する道を構築できるのか、という点を考えさせられました。
  

 次回は、7月28日(木)に、人文学部の4回生、谷口恵太さんが卒業研究として取り組む、大蔵地域の暮らしの変遷についての講演が行われます。
 ぜひ、ふるってご参加ください。
 
                          (文責 福島あずさ)

2016年7月5日      活動報告

2015年度第5回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。2/12


 2016年2月12日(金)に、第5回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを18時から開催しました。当日は寒い中にもかかわらず、7名の地域のみなさんと大学スタッフ5名の、計15名が参加しました。
  
 
 今回の講演は、神戸学院大学人文学部三田牧准教授の「パラオの子どもたちの日本植民地経験」でした。子どもの時に日本の植民地支配を経験したパラオの人たちが、皇民として教育され、かつ島民として差別もされていた記憶について、長期にわたる調査に基づく詳しい説明を聞くことができませんでした。そして、聞き取り調査では、調査者からの質問を受けて、語り手は過去の出来事を想起し、その意味を再解釈し、時に新しい意味を発見することが示されました。すなわち、対話の中で過去の出来事の再解釈が起こり、記憶が活性化されます。そして、過去の語り、解釈はひととおりではなく、「歴史」は常に語りなおされると結論づけられました。
 


 この発表で紹介されたパラオの人々と同世代で、日本で生まれ育った参加者からは、それぞれの経験に基づいた質問が活発に出されました。戦争や植民地支配がもたらした影響について考える、意味深いカフェとなりました。

                             (文責 矢嶋巌)

2016年3月7日      活動報告

2015年度第4回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。1/27


 2016年1月27日(水)18時30分から、第4回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。大変寒い中、12名の地域の皆さまと6名の神戸学院大学関係者の合計19名が参加しました。
 今回の講演者は神戸学院大学人文学部人文学科人間環境領域の乾幸雄准教授でした。乾先生の専門は数学で、数字を使った文化習慣である「暦」について詳しく解説をしていただきました。
 
 

 
 特に、今年は原則4年に1度の「うるう年」ですが、100年に1度はその「うるう年がない年」があることや、さらに、400年に1度その「うるう年がない年がない年(だから、ある年)」があるグレゴリオ暦を、現在我々は用いていることなど、身近な事柄でありながら意外と知られていない話を聞きました。
 また、その暦を明治時代に日本政府が導入した際に、給料を約1ヶ月分ちょろまかした逸話などもご紹介いただき、難しい話を楽しく聞くことができました。
                           (文責 鹿島基彦)

2016年1月20日      活動報告

2015年度第3回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。12/23


 2015年12月23日(水)に、中崎まちづくりの会歴史・文化部会と共催して、第3回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ/中崎まちづくりの会歴史・文化部会勉強会を、18時30分から開催しました。当日は雨が強く降り、足下が大変悪い中でしたが、15名の地域のみなさん、大学スタッフ10名の、合計25名が参加しました。
 中崎まちづくりの会は、大蔵八幡町から中崎町2丁目までの広い範囲に及ぶ明石市立中崎小学校区を区域とする、明石市のまちづくり協議会の1つで、2年前に発足し、住民のみなさんがさまざまな活動に取り組まれています。
 この日の発表は、中崎まちづくりの会会長の伊藤一氏による「島根県雲南市におけるまちづくりの取り組みから学ぶものは?」と、大蔵地域の重鎮で大蔵谷財産区委員の濱脇信也氏による「大蔵谷財産区について」でした。



 伊藤氏の発表では、雲南市のまちづくりの基本姿勢である協働のまちづくりに基づいて推進されている、全国的にも先進的な取り組みである地域自主組織について、数多くの資料に基づいた紹介がなされました。そこでは、雲南市各地区の特徴を活かした活動がなされているとのことで、中崎まちづくりの会における今後の運営において参考になる点もいくつか指摘されました。
 濱脇氏の発表では、財産区についての成立の歴史的経緯と制度を踏まえて、明石市における財産区の概要が示された、市の指導に基づき財産区が保持する財産の管理や売却に関する仕組みについて、具体的な例に基づいた解説がありました。その上で、現在大蔵谷財産区が保持する財産の現状について述べられ、将来へと引き継がれていかねばならない財産区の実情が紹介されました。
 地域研究センター明石ハウスが位置する中崎小学校区が有している、長い歴史の重みと将来への課題について、いろいろと考えさせられたサイエンスカフェ/勉強会でした。

                           (文責 矢嶋巌)

2015年12月10日      活動報告

2015年度第2回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。11/25

 2015年11月25日(水)、第2回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。
 冷たい雨が降る中、12人の地域の方々と大学スタッフ13人、総勢25人が参加しました。足を運んでくださった方々にお礼申し上げます。


 
 今回の講演は、神戸学院大学人文学部長谷川弘基教授による「早世の天才詩人ジョン・キーツの話」でした。



 ジョン・キーツは日本ではあまり知られていませんが、イギリスではシェイクスピアに次いで知られる「天才詩人」であるとか。この講演では、なぜ彼が天才と評されるのか、キーツの作品「秋に寄せる」を読み解きながら解説されました。


      

 英文の詩が情感の豊かさや自然観察の細やかさだけでなく、非常に哲学的なものであること。そして、それは、言葉ひとつひとつが含む意味の広がりを理解してこそ読み解けることがわかりました。
 また、キーツののライフ・ヒストリーを追うことで、彼の作品が存命中は認められなかった背景に、階級差などイギリス社会の閉鎖性があったことも知りました。


     

 美しい秋の情景を思い浮かべながら、若い詩人がひとつひとつの言葉に込めた「意味」に思いをはせるひとときでした。
                             (文責 三田牧)

2015年11月12日      活動報告

2015年度第1回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。10/21

 2015年10月21日(水)、大塩家にて第1回大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェを開催しました。
 参加者は地域の方々20名、大学スタッフ9名の総勢29名で、大変盛況でした。足を運んでくださった方々にお礼申し上げます。

 
 
神戸学院大学人文学部長の寺嶋秀明による講演「子どもたちはどのように学習しているのか?狩猟採集民の研究から考える」では、大人が「教える」のではなく、子どもたちが「勝手に学んでいく」という、学習のありかたが紹介されました。
 また、アフリカの狩猟採集民の暮らしが思いのほか余暇が多く、食物獲得のために割く時間もそう多くはないことが紹介され、日本でイメージする狩猟採集民社会とは少し異なる面が見えたように思います。講演後、フロアからは活発に質問が出されました。
 


次回はイギリス文学について、人文学部教授長谷川弘基が講演いたします。毛色の全く異なる講演をどうぞお楽しみください!
(文責 三田牧)

2015年7月15日

『2014年度研究成果報告書』を発刊しました。(明石グループ)




明石グループの活動報告、『平成24年度研究成果報告書』を発刊いたしました。PDFにてご覧頂けます。

2015年7月15日

『2014年度研究成果報告書』を発刊しました。(明石グループ)




明石グループの活動報告、『平成24年度研究成果報告書』を発刊いたしました。PDFにてご覧頂けます。

2013年12月18日      活動報告

2013年度第9回大蔵谷なう。を開催しました。12/18(水)

 いよいよ2014年が幕を開けましたが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。本年も明石ハウス(大塩邸)と地域研究センターをどうぞよろしくお願いいたします。
 さて、昨年の12月18日(水)に第9回大蔵谷なう。「モノづくりからはじまるマチづくり」が開催されました。今回、講師としてお迎えした奥田達郎先生(奥田達郎建築舎・主宰)は、古い家屋の改修(リノベーション)を通して地域活性化(まちづくり)に取り組んでいらっしゃる建築家です。今回は、キャンドルシェイドのワークショップからぶっ続けでご講演いただいたので、さぞ、お疲れのことだったと思います。本当にありがとうございます!



 今回の講演で、奥田先生は3つの大きな主張をされました。それは①古い建物には価値や魅力があること、②古い建物のリノベーションを通して地域や街の活性化に貢献できること、③そのひとつに「モノづくりワークショップ」というリノベーションの手法がある!ということでした。「モノづくりワークショップ」とは、リノベーションの際に必要となる諸々の作業(たとえば、壁塗りや家具、照明の作成など)を、建築物の持ち主だけでなく、地域住民も巻き込みながら、自分たちの手で作ってみるというやり方のことです。
 奥田先生は、実際にこの手法を用いて、古民家の学生向けアパートメントへの改修や、廃校となった小学校のカフェへの改修を成功させており、今回の講演ではそれらの事例も合わせてご紹介いただきました。この手法によって所有者だけでなく、地域住民たちもその建物に愛着を感じ、完成後も関心をもって接してくれるという効果があるようです。特にカフェなどの店舗は、集客の継続にもつながっているようです。ちなみに、このモノづくりワークショップの手法、当初は、改修にお金がかけられないことから生まれた策だったようです。安く上がるというのも魅力のひとつですね。



 奥田先生の講演を通じて私なりに感じたことは、建築物とは、単に立ててしまえばそれで終わりというような独立したひとつのモノではなく、建てられている場所や街と密接なかかわりを持ちながら維持されていくものだということです。それは、換言するならば、建築物とは、建てた建築家や所有者だけのものではなく、地域住民との関わりのなかで生かされていくものであるともいえるでしょう。モノづくりワークショップの手法は、ある意味、これまで建築家や所有者によって囲い込まれてきた建築物を、地域住民に開くという側面ももっているといえるのではないでしょうか。



 ちなみに、今回も約30名の参加者にお集まりいただき、大盛況のうちに会を終えることができました。奥田先生は神戸学院大学のOBということもあり、学院の学生たちもたくさん参加してくれました。今年度もいよいよ終わりに近づいてまいりましたが、今後も、積極的にイベントを企画していく予定です。ぜひ、ご参加のほどをよろしくお願いいたします。
(文責 吉田佳世)

2013年12月18日      活動報告

大蔵谷をキャンドルで彩ろう♪クリスマスキャンドルシェイド作成体験』を開催しました。12/18(水)

 こんにちは。博士研究員(PD)の吉田佳世です。12月18日(水)に明石ハウス(大塩邸)では、クリスマス企画として、奥田達郎さん(奥田達郎舎・主宰)を講師としてお迎えし、お子さまから大人まで楽しめるクリスマス・キャンドルシェイドの作成体験ワークショップを開催しました。



 今回のワークショップで作るキャンドルシェイドは、要らなくなった空きびんと色画用紙を組み合わせて作るエコ・フレンドリーなものです。子ども用のキャンドルシェイドには、空きびんと色画用紙両方に「夏の思い出」をテーマに絵を描いてもらいました。

(上の写真:荒木文紀さん)

 大人向けのキャンドルシェイドは、色画用紙を切って、折って作りました。講師の奥田先生からは「ひし形と花びら型の無地のものを皆で協力してたくさん作ってください」との事だったのですが、ご参加いただいた大人たちは、これが一体どうなるのか、疑問を持ちつつも作業を進めました。

 たくさんのキャンドルシェイドが完成したところで、ライトアップです。カウントダウンの後に、その答えがようやく見えてきました。子ども向けのキャンドルシェイドは、内側のビンに描かれた絵が影になって浮かび上がり、外の絵と混じり合います。また、大人用の無地のキャンドルシェイドは、複数を組み合わせることで、桜の花びらや雪の結晶として浮かびありました。とても綺麗で、参加者一同うっとりとキャンドルの明かりを楽しみました。

(写真:荒木文紀さん)

(写真:荒木文紀さん)

 また、今回は玉田清美さんをボランティア講師としてお迎えし、クリスマス用のデザートにぴったりのパンナコッタをご披露いただきました。デザートが出てくるとは思わなかったお子さんたちは大喜び!大人の参加者の方々も、楽しんでいただけたようです。

(写真:荒木文紀さん)
 今回は、神戸学院大学の学生(7名)をはじめ、下は4歳から上は85歳までという幅広い年代の参加者(約30名)にお集まりいただきました。普段の活動ですと、どうしても同世代で固まってしまうことが多いのですが、今回のイベントを通して世代を超えたつながりの形が見えてきたのではないでしょうか。

今回、参加者のおひとりである荒木さんよりお写真のご提供をいただきました。どうもありがとうございました。                (文責 吉田佳世)

2013年12月14日      活動報告

学生主催イベント『大塩邸を温めるプロジェクト・大塩邸を知ってもらう会』を開催しました。12/14(土)

 こんにちは。博士研究員(PD)の吉田佳世です。12月14日(土)に明石ハウス(大塩邸)では初の試みとなる学生主催のイベントが開催されました(代表:宮崎景太 3回生)。



 この日、天気予報では「12月の寒さの底」といわれ、とても寒い日だったのですが、まず最初に学生たちは大塩邸の庭掃除ボランティアをしました。大塩邸の庭は、これまで、草木が繁茂し誰も入れない状態でした。それを学生たちは見事にきれいな状態にしてくれました!






 学生たちは「庭木の剪定知識はぜんぜんない」と言っていたのですが、なかなか上手でとても感心しました。ミッキー型の木も誕生。今後は、庭を使ってイベントができるようになるかもしれませんね。

 

 後半は地域の人との討論会(茶話会)でした。大蔵谷に縁のある地域の方々にお集まりいただき、お話をしていただくとともに、学生たちも自分の研究のこと、就職のこと色々なことを相談にのってもらったようです。



 今回は学生が最初から最後まで企画・運営を行うという明石ハウスでは初の試みだったのですが、地域の皆さまのお力添えもあり、大盛況のうちにイベントを終えることができました。今後も学生さんたちが積極的に大塩邸を利用してくれるとうれしいなと思う今日この頃です。

(文責 吉田佳世)

2013年11月13日      活動報告

2013年第8回『大蔵谷なう。』特別企画を開催しました。11/13(水)

 こんにちは。博士研究員(PD)の吉田佳世です。冬の匂いがする今日この頃ですが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。大塩邸では、ホットカーペットを付けました。去る11月13日に私どもがお借りしております明石市大蔵地区の古民家・地域研究センター明石ハウス(通称:大塩邸)にて第8回『大蔵谷なう。』が開催されました。

   

話題提供者は首都大学東京大学院博士後期課程の四條真也先生でした。今回は「男性のフラ――再生の物語」というテーマで、ご講演をいただきました。映画「フラガール」をはじめ、日本ではフラは女性のものというイメージがありますが、ハワイを含むポリネシアのダンスは、武術(ルア)がその原型であり、男性を主な担い手とするものだったようです。今回の講演では、なぜ男性の踊りだったフラが女性の踊りへと変化したのか。その歴史的経緯と、男性のフラを再生しようとする現代的な動向についてお話しいただきました。そして何といっても、今回の大蔵谷なう。の目玉は四條先生によるフラの実演でした。伝統的な男性フラと現代的なものへとアレンジした男性フラ2曲を披露してくださいました。私、吉田の個人的な感想としては伝統的な男性フラの方が特にかっこよくて、素敵だと思いました(でも、実際はフンドシで踊るのでハワイ男性にはあまり人気がないとか…残念)。


フラが女性のものへと変わっていったのは、西洋社会との接触が大きな契機だったようです。神に対して捧げられる踊りであるフラが、西洋人(キャプテン・クック)に歓待のために披露され、その際、女性の踊りが喜ばれたこと、また、植民地政策が進行する中で、現地の民俗宗教との結びつきの強いフラをはじめとする伝統文化は、「劣ったもの」「価値のないもの」として価値づけされ、禁止されていったこと、これらの影響が男性フラの衰退に拍車をかけたようです。1970年代以降、伝統的ハワイ文化の再興は進んではいますが、まだまだ男性フラの普及は女性に比して遅れているようです。吉田の専門分野であるジェンダーの観点から言えば、やはり、見られる(鑑賞される)性=女性という西洋的な価値観は、現代ハワイ社会でも強固になっているというのが見て取れるのではないでしょうか。



 この日も大賑わい。約45名(講演者・学生等含む)の参加者が大塩邸に詰めかけました。なかにはフラの経験者の方もいらっしゃったようです。伝統的なフラを四條先生が踊られると、参加者からは、その勇壮さ、しなやかさに感嘆の声が上がりました。講演の最後には、四條先生によるフラのステップの指導もありました。参加者の皆さんもノリノリでやってくださいました。
 動きがあるとやっぱり楽しいですね!今後も様々なテーマで勉強会を企画していく予定です。是非、ご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。

(文責 吉田佳世)

2013年10月30日      活動報告

2013年第7回『大蔵谷なう。』を開催しました。10/30(水)

 こんにちは。博士研究員(PD)の吉田佳世です。ずいぶん寒くなってまいりましたが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。私どもがお借りしております明石市大蔵地区の古民家・地域研究センター明石ハウス(通称:大塩邸)にて第7回『大蔵谷なう。』が開催されました。

 

話題提供者は神戸学院大学人文学部教授の早木仁成先生でした。今回は「人間性の起源を考える」というテーマで、人間に近い遺伝子をもつチンパンジーの生態を通して、私たちが普段人間にしかないと思っている特徴(喜怒哀楽・理性・知性・文化)が、本当に人間固有のものなのかを考えました。


この日も大賑わい。30名(講演者含む)が参加しました。アメリカのブッシュ元大統領の様々な表情とチンパンジーのそれとを比較した写真は来場者の笑いを誘いました。本当にそっくり!ヒトがいろいろな表情を通して喜怒哀楽を表現するように、チンパンジーもいろいろな表情によって喜怒哀楽を表現しているということがよくわかりました。



同じようにチンパンジーの生態を見ることによって、人間にしかない特徴と思われがちな理性・知性・文化も、人間ほど高度に洗練されたものではないけれども、同じようにチンパンジーもこれらの特徴を備えていることがわかりました。とくに、チンパンジーにも食文化の違いがあるという話題は、参加者の関心を刺激したようです。アフリカの西と東で、チンパンジーの食文化がアリ釣り文化圏とナッツ割り文化圏に分かれるという話を受けて、参加者からは「ぜひ、異文化交流してほしいものだ」という面白い意見も飛び出しました。




早木先生の「今、私たちが『人間らしさ』と考えているものの素材は人類誕生以前からすでに用意されていたこと。人間というのはそれを成熟・洗練させた生き物だといえるのではないか。そして、『人間らしさ』が必ずしも良いことばかりではないことも忘れてはいけない」という言葉は、人間も自然の一部であること、そして、「他の動物とは違う」と思い込んでいる私たちの驕りにも気が付けた瞬間でした。
 今後も様々なテーマで勉強会を企画していく予定です。是非、ご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。

(文責 吉田佳世)

2013年10月13日    活動報告

写真展「写真展deひとやすみ、明石ハウスdeひとやすみ」を開催しました。10/13(日)

 稲爪神社の秋例大祭(本宮)に合わせ、大塩邸でも半日限定の写真展&無料のカフェイベントを行いました。2013年7月に行われた稲爪神社の夏祭りに撮影したものを中心に写真約100点を展示しました。
 

 今回は、「ひとやすみできる写真展」をコンセプトに学院生による無料のカフェ・サービスを行ったので、いつもの大蔵谷なう。の参加者とは違って、家族で、夫婦で、お友達同士で、ペットのお散歩がてらなどなど、気軽に来て下さる方が多く、とてもゆったりした雰囲気となりました。







こういった企画がもっとあるといいなと思う今日この頃です。


(写真・文責 吉田佳世)

2013年10月12日、13日活動報告

稲爪神社の秋例大祭に参加しました。10/12(土)〜10/13(日)

 こんにちは。博士研究員(PD)の吉田佳世です。神戸学院大学・人文学部の学生・教員が、今年も、大蔵地区で行われるビッグイベント稲爪神社の秋祭大祭に参加させていただきました。毎年恒例となりつつある、学院生たちの聞き取り調査の実施と御輿への参加ですが、今年も楽しく、無事に終えることができました。実は、私、吉田は、お祭り初参戦。初めてみるものばかりで大興奮でした。


(写真:矢嶋巌)


(写真:小杉悠太)

12日は宵宮(よいみや)ということで、獅子舞と囃口流しの門付けが始まりました。


(写真:野田育秀)


(写真:矢嶋巌)


(写真:野田育秀)

宵宮のメイン・イベントは、何といっても夕刻から行われる宮入です。稲爪神社の神門前にて、獅子舞と囃口流しが披露・奉納が行われました。去年参加した学院生にベストポジションを教えてもらい、ものすごくいい場所からみることができました(しかし、カメラを持っていなかったので、写真を一枚も撮らないというのんびりぶりでした。そのおかげでしっかり堪能できたわけですが…)。獅子舞ってこんなにアクロバティックなものだったんですねえ。こんなに動きのある獅子舞は全国でも珍しいそうです



(写真:矢嶋巌)

13日は本宮(ほんみは)。この日は、いよいよ御輿が登場しました。御輿が地域を練り歩く神幸行列が行われました。私は見られなかったのですが、今年は魚の棚(うぉんたな)にも行列がいったようです。


(写真:吉田佳世)


(写真:吉田佳世)

午後3時頃に、大塩邸のはす向かいにある八幡神社に各種の御輿が運び込まれはじめました。これら御輿が、旧西国街道である大蔵谷のメインストリートを通って、稲爪神社に奉納されるのです。ここでいよいよ学院生の出番です。男子学生は灯篭の御輿を、女子学生は少し小ぶりの御輿を担ぎました。


(写真:吉田佳世)


(写真:吉田佳世)

そして、学院生の御輿が出発した後、大蔵谷の男性たちによる御輿が八幡神社を出発しました。やはりホンモノは違うというか、学生が担ぐよりも動きが大きくて迫力満点でした。大塩邸の前も御輿が通りました。感激です。

(文責 吉田佳世)

2013年10月2日       活動報告

2013年第6回『大蔵谷なう。』を開催しました。10/2(水)

 こんにちは。博士研究員(PD)の吉田佳世です。私どもがお借りしております明石市大蔵地区の古民家・地域研究センター明石ハウス(通称:大塩邸)にて第6回『大蔵谷なう。』が開催されました。第6回の話題提供者は近大姫路大学の倉田誠先生でした。「島に『障害』がやってきた!――南太平洋島嶼国サモアの障害者福祉」というテーマで、日本のずっと南にある島、ポリネシア・サモアに住む人々が西洋由来の「障害」という概念とどのように向き合っているのかについてご紹介いただきました。


この日は20名(講演者含む)が参加しました。なんと、講演者である倉田先生はサモアの民族衣装を着てお話してくださいました。現地の人みたいに似合っていました!

 

もともとサモアには「障害」という言葉はありませんでした。私たち日本人の目からすれば障害と思える症状も、サモアの人々にとっては、あくまで個人の身体的特徴のひとつにすぎないものとして捉えられていたようです。しかし、国連を中心とする世界規模での障害者福祉の展開により、1980?1990年代ごろからサモアにも障害者を支援するNGOが誕生しはじめました。それによって「特別な配慮もしなければ、排除もしない」というこれまでのやり方が、「何らかの配慮しなければならないもの」へと変わってきたのです。

しかし、サモアの障害者教育は、日本のように「ろう者ならろう学校に行く」というような、特定の障害者だけを集めて囲い込んでしまうというやり方ではありません。聴覚障害、視覚障害、肢体障害、知的障害、発達障害など、様々なタイプの障害をもつ子どもたちはもちろん、障害のない子も、同じ教室のなかで勉強をします。お互いに模索していくなかで、健常者と障害者の区分を超えるコミュニケーションの取り方を編み出している姿が紹介されました。




参加者からは「日本では障害を持った子を子を産み、育てることを『十字架を背負った』と思っている親が未だに多い。サモアのようにもっと寛容にいろいろな個性をもつ存在として認められる社会になったらいいのに」という意見が聞かれました。
 今後も様々なテーマで勉強会を企画していく予定です。是非、ご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。

(文責 吉田佳世)

2013年7月17日      活動報告

2013年第5回大蔵谷なう。夏休み特別企画を開催しました。7/27(土)

 こんにちは。地域研究センターPDの吉田佳世です。私どもがお借りしております明石市大蔵地区の古民家・地域研究センター明石ハウス(通称:大塩邸)にて大蔵谷なう。夏休み特別企画「バリ島の芸能世界――仮面・音・舞」が行われました。

 

 第5回は国立民族学博物館の吉田ゆか子先生と、バリ・ガムランと舞踊グループであるバパン・サリのメンバー5名をお招きしました。夏休み特別企画ということで、インドネシア・バリ島の音楽と舞踊についてのお話を伺うだけでなく、実際に、バパンサリの皆さんにバリ舞踊とガムランの実演をしていただきました。



この日はこれまでにない大塩邸が爆発するかと思うほどの超・超満員。80名以上の参加者がガムランの音、舞踊の美しさ、仮面の妖しさに酔いしれました。参加者も大盛り上がり。実際に仮面に触ることもできました。






 今後も様々なテーマで勉強会を企画していく予定です。今後もご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。

(文責 吉田佳世)

2013年7月17日      活動報告

2013年第4回『大蔵谷なう。』を開催しました。7/17(水)

 こんにちは。地域研究センターPDの吉田佳世です。私どもがお借りしております明石市大蔵地区の古民家・地域研究センター明石ハウス(通称:大塩邸)にて第4回『大蔵谷なう。』が開催されました。

 

今回の話題提供者は神戸学院大学人文学部教授の中山文先生でした。テーマは、「中国のタカラヅカ」との異名を持つ越劇(えつげき)についてでした。その異名の通り、女性の俳優だけで舞台が構成される演劇です。中国でおよそ千年にわたって語り継がれてきた有名な作品である「梁山伯と祝英台(りょうざんぱくとしゅくえいだい)」の映像を見ながら、越劇の美しさ、楽しさを堪能しました。

この日も超満員。45名(講演者含む)の参加者が、中山先生の解説のもと映像を楽しみました。意外だったのが、女性より男性の参加者が多かったということ。タカラヅカにもコアな男性ファンがいると聞いたことがありますが、演劇に性別は関係ないのだなと気が付いた瞬間でした。字幕があるとはいえ、衣装の色とその意味など、先生の解説がなければ気が付かないことも知ることができました。



また、この日は越劇の衣装展示もありました。中山先生の最後の「日本では対中関係の悪化の中、中国に対して否定的な報道が盛んになされている。でも、私は草の根から中国の良さを発信することで両国の相互理解を深めていきたい」という言葉は、参加者の胸を打ちました。



 今後も様々なテーマで勉強会を企画していく予定です。今後もご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。

(文責 吉田佳世)

2013年6月12日       終了したイベント

2013年第3回(通年第9回)『大蔵谷なう。』を開催しました。6/12(水)

こんにちは。地域研究センターPDの吉田佳世です。空梅雨かと思いきや雨の日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私どもがお借りしております明石市大蔵地区の町屋・大塩邸(地域研究センター明石ハウス)にて第3回『大蔵谷なう。」が6/12(水)に開催されました。一般・学内合わせて33名の方にご参加いただき、活発な議論が交わされました。

 

今回の話題提供者は神戸学院大学人文学部の三田牧准教授でした。テーマは沖縄県の南部にある漁師町・糸満(いとまん)の魚文化についてでした。魚を売ることを生業としているアンマー(沖縄の方言でお母さんを意味します)と客とのやり取りを詳細に分析しました。そこから見えてきたのは、単に魚を売るといってもスーパーマーケットで魚を売るのとは違う、客の要望や個性に合わせ、本当に求めている魚を提示するアンマーたちの技術でした。

この日も超満員でした。大塩邸のある明石市は同じく魚が名物な地域であるため、参加者のみなさんは自分たちの街との共通点を見出しながら、話を聞かれていたようです。



その後、質疑応答が活発に行われました。近年、糸満の魚食文化が失われつつあいという三田先生のお話に対し、明石も同じように魚文化が失われつつあること、そして、どのようにすれば、明石の魚文化を守れるのかということについて議論が交わされました。議論の結果、年長者たちがもっている記憶の掘り起こしを通して、明石の魚文化の良さをひとつの資源として捉える試みが重要であるというひとつの結論が浮かび上がってきました。
 今後も様々なテーマで勉強会を企画していく予定です。今後もご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。

(文責 吉田佳世)

2013年5月29日       終了したイベント

[コラボ]明石市民活動団体:地域子育て見守り・地域の歴史発見隊主催の勉強会を大塩邸にて開催しました。5/29(水)

 地域研究センター博士研究員(PD)の吉田佳世です。博士研究員(PD)の研究活動の一環として、昨年度より、明石市民活動団体:地域子育て見守り・地域の歴史発見隊(代表:木下カヨ子さん)主催の勉強会を大塩邸にて開催し、そこで当センターの博士研究員も講演させていただいております。5/29(水)に第5回の勉強会開催されました。この日は、民俗学をご専門とされている明石市文化財審議委員の田下明光先生と吉田佳世が講演しました。嵐のような風が吹き荒れた日でしたが、そんなことはもろともせず、総勢30名の方にご参加いただき、アットホームながらも活発な議論が交わされました。

演目:
① 田下明光先生(明石市文化財審議委員:日本民俗学)
  『明石の海の記憶、そして伝承』
② 吉田佳世(神戸学院大学PD:社会人類学)
 『伝統的知識の重要性――沖縄のマブイ(霊魂)を事例に』

主催:地域子育て見守り・地域の歴史発見隊
協力:神戸学院大学地域研究センター吉田佳世(PD)

 
 司会は代表の木下カヨ子さんでした。地域子育て見守り・地域の歴史発見隊は女性たちによる地域振興を目指す市民活動団体です。女性の視点を生かした子育てと文化振興の融合を目指した独創的な活動を展開されています。


 会場は超満員。総勢30名の皆さんにお集まりいただきました。女性のつながりの強さを実感しました。


 講演者の田下明光先生です。明石に伝わる伝承を「海」そして「鉄」をキーワードに、再提示していただきました。おもしろい! 次の講演者である私にも「海」から「沖縄」へうまくバトンタッチしていただきました(撮影者のため写真はありません)。


 最後は、明石市歌を歌いました。いわゆる普通の女性たちが、これまで難しいと思われていた学問的な話題について、気軽に語り合える場所をうまく実現させている会です。ご興味のある方はぜひご参加ください。

文責 吉田佳世

2013年5月21日       終了したイベント

2013年第2回(通年第8回)『大蔵谷なう。』を開催しました。5/21(火)

 こんにちは。地域研究センターPDの吉田佳世です。気持ちの良い季節になってまいりました。わたくしどもがお借りしております明石市大蔵谷地区の町屋・大塩邸にて第2回『大蔵谷なう。」が5/21(火)に開催されました。一般・学内合わせて30名の方にご参加いただき、活発な議論が交わされました。

 
 大塩邸外観です。屋根が丸くカーブしているところがとても柔らかい印象を与えてくれます。海からの風が気持ちよく吹き込みます。


 この日も超満員。古民家をいかに『再生』するのかという問題は、大蔵谷地区でも関心を同じくしています。それだけに、参加者の皆様の意識の高さがうかがえます。


 今後も様々なテーマで勉強会を企画していく予定です。どうぞ今後もご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。

(文責 吉田佳世)

2013年5月10日       終了したイベント

2013年第2回(通年第8回)『大蔵谷なう。』開催のお知らせ。5/21(火)

 ⇒ポスター拡大(1.3MB)

 大学と地域との交流・研究拠点として、お借りしております明石市大蔵八幡町の大塩邸にて、第2回『大蔵谷なう。』勉強会を開催致します。第2回目(通年第8回)は松田ヒロ子准教授(神戸学院大学)より『台湾の古民家再生』についてお話しいただきます。お気軽にご参加くださいませ!!

 2回目の『大蔵谷なう。』は、「台湾の古民家再生」をテーマに、台湾に今も残る日本式木造家屋が、近年、再評価されている動向についてご紹介いたします。古民家の再生を通して、日本と台湾という海を越えたつながりが生まれている様子は、「近代化のなかで私たちはどのように人々とつながっていけばいいのか?」という問いに対するひとつの答えを示してくれます。大学内外・老若男女問わず、お気軽にお立ち寄りくださいませ。皆さまのご参加をお待ちしております。

テーマ 『台湾の古民家再生』
日時  2013年5月21日(火)19:00~20:00(開場18:30)
話題提供 松田ヒロ子(神戸学院大学人文学部准教授)
会場 大塩邸(明石市大蔵八幡町5-23)
※大塩邸は明石市の都市景観形成重要建築物です。
参加費・申し込み 不要
主催 神戸学院大学地域研究センター

2013年5月15日

2013年第1回(通年第7回)『大蔵谷なう。』を開催しました。5/1(水)

 大学と地域の交流・研究拠点として、私どもが2012年7月からお借りしております明石市大蔵八幡町の大塩邸にて、第1回『大蔵谷なう。』を開催いたしました。
 総勢33名の方々にお集まりいただき、「沖縄のくらしと健康」について活発な議論がかわされました。大勢の方々にお集まりいただき、誠にありがとうございました。今後も様々なイベントを開催してまいりますので、お見守りいただきますようよろしくお願い申し上げます。


話題提供者は4月から当センターに着任しました吉田佳世でした。



たくさんの方々にお集まりいただき、大感激でした!

テーマ:『沖縄のくらしと健康』  

日時:201351日(水)17:0018:00(開場1630
話題提供:吉田 佳世(神戸学院大学地域研究センター 博士研究員)
会場:大塩邸(明石市大蔵八幡町5-23
※大塩邸は明石市の都市景観形成重要建築物です。
主催:神戸学院大学地域研究センター

2013年4月23日 終了

2013年第1回(通年第7回)『大蔵谷なう。』開催のお知らせ。5/1(水)

 ⇒ポスター拡大(1.1MB)

大学と地域との交流・研究拠点として、私どもが20127月からお借りしております明石市大蔵八幡町の大塩邸にて、2013年度も地域の皆さまとの交流を目的とした『大蔵谷なう』。勉強会を開催致します。第1回目(通年第7回)はこの4月より当センターに博士研究員として着任いたしました吉田佳世が『沖縄のくらしと健康』をテーマにお話をさせていただきます。2013年度も、地域の皆さまに大学をもっと身近に感じていただくことをモットーに、さまざまなイベントを企画する予定です。ぜひともご参加いただけましたら幸いでございます。

 第1回『大蔵谷なう。』は、「沖縄のくらしと健康」をテーマに、沖縄のユニークな食生活・気質・人とのつながりのあり方・医療のあり方などをご紹介いたします。また、社会変化の中でこうした昔ながらのくらし方がどのように変わりつつあるのかを考えます。大学内外・老若男女問わず大歓迎ですので、どうぞお気軽にお立ち寄りくださいませ。皆さまのご参加をお待ちしております!

テーマ:『沖縄のくらしと健康』  
日時:201351日(水)17:0018:00(開場1630
話題提供:吉田 佳世(神戸学院大学地域研究センター 博士研究員)
会場:大塩邸(明石市大蔵八幡町5-23
※大塩邸は明石市の都市景観形成重要建築物です。
参加費・申し込み:不要
主催:神戸学院大学地域研究センター

2013年2月15日

報告書 『2012年度稲爪神社秋祭り調査報告書』を発刊しました。

 ⇒冊子PDF(3.58MB)

2013年2月12日

大塩家での勉強会のお知らせ

 ⇒flyer0226.pdf  

■2月 勉強会

日時:平成25年2月26日(火)14:00~16:00
テーマ:
1)「大蔵谷街道筋を訪ねてー蔵を探るー」
 釜床美也子(神戸学院大学地域研究センターPD)

2)「子午線ライン史跡再発見NO.10ー柿本神社ー」
牧野満徳(ぶらり子午線観光ガイド)

■3月 勉強会

日時:平成25年3月26日(火)14:00~16:00
テーマ:
1)「源氏物語と明石」
神岡素子先生(元高校国語教諭)

2)「大蔵谷の民家」
釜床美也子(神戸学院大学地域研究センターPD)

場所:大塩家(明石市大蔵八幡町5-23)
参加費:300円(資料、お茶菓子代)
申し込み:地域子育て見守り隊・地域の歴史発見隊 木下まで(078-911-3853)
主催:地域子育て見守り隊・地域の歴史発見隊
協力:神戸学院大学地域研究センター

2013年1月17日

『平成23年度研究成果報告書』を発刊しました。(明石グループ)

明石グループの活動報告、『平成23年度研究成果報告書』を発刊いたしました。PDFにてご覧頂けます。

2012年12月11日

講談公演 2/2(土)・9(土)
「第6回 大蔵谷なう。勉強会」開催

 ⇒0209flyer.pdf  

大学と地域との交流拠点・研究拠点として、7月から神戸学院大学地域研究センターがお借りしておりま明石市大蔵八幡町の町家・大塩家にて第6回目の勉強会を下記の日程で開催致します。講談師の旭堂南湖さんが、講談でバリのワヤンベベル(絵巻語り)を公演する日本とバリの伝統文化共演企画です。

スタソマ物語は、古代インドの仏教典が各地に伝わる過程でその地にあった物語へと変化したものです。主にバリ島で親しまれている話で、バリヒンドゥの世界観とも重なります。バリのスタソマ物語を日本伝統芸能の講談で紐解くコラボレーション公演です。ワヤンベベルとは、インドネシアで、絵巻物を紐解きながら少人数の音楽と語りで行う絵巻語りのことです。16世紀頃まで行われていました。

大学の内外を問わず、どうぞお気軽にご来場下さい。

                記

題目  講談絵巻ワヤンベベル ?日本とバリの伝統文化の共演?

日時  2013年2月2日(土)・9日(土) 13:30~15:40(13:10開場)
講演者 旭堂南湖さん(講談師) 加藤恭子さん
会場  大塩家(明石市大蔵八幡町5-23)
主催  神戸学院大学地域研究センター

※入場無料・事前申し込み不要ですが会場が狭いため定員30名様とさせて頂きます。

プログラム  
1日目:2013年2月2日(土)13:30~15:40
●13:30~14:30 第一部 講談:講談絵巻ワヤンベベル
「スタソマ物語」(前編)公演
・旭堂南湖さん  (解説:加藤恭子さん)
 (14:30~14:40 休憩)
●14:40~15:40 第二部 アフタートーク「講談とは?」 
・旭堂南湖さん×加藤恭子さん

2日目:2013年2月9日(土)13:30~15:40
●13:30~14:30 第一部 講談:講談絵巻ワヤンベベル
「スタソマ物語」(後編)公演
・旭堂南湖さん  (解説:加藤恭子さん)
(14:30~14:40 休憩)
●14:40~15:40 第二部 アフタートーク「スマソタ物語ができるまで」 
・旭堂南湖さん×加藤恭子さん

旭堂南湖さん:講談師。古典講談の継承や探偵講談の復活、新作講談の創造に意欲的に取り組んでいる。日本全国の講談会や落語会で活躍中。平成22年「文化庁芸術祭新人賞」受賞。平成14年「大阪舞台芸術新人賞」受賞。

加藤恭子さん:大阪芸術大学にて西洋音楽(ピアノ演奏)を専攻。卒業後、バリに留学。ガムランや舞踊などを学び現在もバリに在住。日本とバリを結ぶアート・プロデュース活動を行う。

【お問い合わせ先】
?神戸学院大学地域研究センター
?Tel 078-974-4232?Fax 078-974-4258
・mail:◆◆◆@human.kobegakuin.ac.jp(◆◆◆にはkamatokoをご入力下さい。)※上記電話が繋がらない場合:080-3929-4974

2012年11月5日

公開勉強会 11/14(金)
「第5回 大蔵谷なう。勉強会」開催

 ⇒flyer1114.pdf  

大学と地域との交流拠点・研究拠点として、7月から神戸学院大学地域研究センターがお借りしております明石市大蔵八幡町の町家・大塩家にて、第5回目の勉強会を下記の日程で開催致します。教員の研究内容を毎回ご紹介している公開勉強会です。

今回は、講義形式ではなく、軽食をとりながら、参加者が自由に意見交換を行う企画です。気候学と建築学の若手研究者2人が「気候風土と民家」というテーマでお互いの研究分野の関連について話題提供を行い、参加者で意見交換をしながら2時間ほど歓談できればと考えております。
食事は、大塩家にて簡単な料理を自作する予定です。お子様も大歓迎ですので、大学の内外を問わず、どうぞお気軽にご参加下さい。

テーマ  気候風土と民家  
日時   2012年11月14日(水)17:30~19:30
話題提供 福島あずさ
    (神戸学院大学人文学部 講師)
     釜床美也子
    (神戸学院大学地域研究センター PD)
会場   明石市大蔵八幡町5-23
     大塩家
食事代  400円程度
    (参加者の人数に応じて実費にて当日頂戴致します)
主催   神戸学院大学地域研究センター
申し込み ★食事の準備の都合上、参加して頂ける方は、恐れ入りますが前日までに下記までにお名前、人数をお知らせ下さい。

 【お問い合わせ・お申し込み先】
?神戸学院大学地域研究センター
?Tel 078-974-4232?Fax 078-974-4258
・mail:◆◆◆@human.kobegakuin.ac.jp(◆◆◆にはkamatokoをご入力下さい。)※上記電話が繋がらない場合:080-3929-49744

2012年10月22日

「熟議2012 in神戸学院大学」にて
活動内容について熱い議論が行われました

 
10月20日(土)13:00~17:45、ポートアイランドキャンパスにて、「熟議2012in神戸学院大学」が行われました。明石グループからは、文化資源の発見と活用、未来への継承に取り組むチームとして、明石市の大蔵谷地区で活動してき た、地域の方・学生・教員が一同に会して、活発に議論・発表を行いました
詳細

2012年10月15日

講演会 10/17(水)
シンガポールのキャンパス演劇
中国伝統劇芸術教育の実験
flyer1016.pdf

日時:10月17日(水) 13:15?14:45
場所:神戸学院大学有瀬キャンパス 142D
主催:神戸学院大学地域研究センター 越劇班
入場料無料・事前申し込み不要です。
大学の内外問わず、ご自由にご参加下さい。

2012年10月9日

公開勉強会 10/12(金)
「第4回 大蔵谷なう。勉強会」開催

flyer1012.pdf

大学と地域との交流拠点・研究拠点として、7月から神戸学院大学地域研究センターがお借りしております、明石市大蔵八幡町の町家・大塩家にて、第4回目の勉強会を下記の日程で開催致します。教員の研究内容を地域の方にご紹介する定期勉強会です。大学の内外を問わず、どうぞお気軽にご聴講下さい。

題目  海流とうどん
日時  2012年10月12日(金)18:30~19:30
講師  鹿島基彦(神戸学院大学人文学部 講師)
会場  明石市大蔵八幡町5-23 大塩家へのアクセス
    大塩家(神戸学院大学地域研究センター 大蔵谷なう。活動本部)
主催  神戸学院大学地域研究センター
※参加費無料・事前申し込み不要です。

【お問い合わせ先】?神戸学院大学地域研究センター
?Tel 078-974-4232?Fax 078-974-4258
mail:◆◆◆@human.kobegakuin.ac.jp
(◆◆◆にはkamatokoをご入力下さい。)

※上記電話が繋がらない場合:080-3929-4974

2012年10月8日

11/10(土)アートバスツアー開催
“淡路島に息づくアートを体験しよう!!”

flyer1110.pdf
flyer1110-2.pdf

日  時  2012年11月10日(土)9:50~終日
集合場所  JR三ノ宮北側、フラワーロード沿いの代々木ゼミナール前
参加費   無料※食事代のみご用意ください(昼食800円、夕食1,500円)
参加人数  20名(申し込み締め切りは10月31日ですが
      定員になり次第締め切りますのでお早めにお申し込み下さい。)
参加方法  お名前、ご住所、電話番号、参加人数を
      下記のアドレスまでご連絡ください。
申し込み先 ◆◆◆@gmail.com
(◆◆◆にはhuman.kobegakuinをご入力下さい。)
主  催  神戸学院大学地域研究センター

2012年10月1日

10/6(土)7日(日) 展示会開催
“「宿場・大蔵谷」の町並み 今と昔”
flyer1006.pdf

西国街道の旧宿場町として知られる大蔵谷ですが、明治以降その宿場としての町並みも徐々に変わってきました。今年2012年に行った「今」の大蔵谷の町並み調査の結果と、1966年当時の「昔」の大蔵谷の町並みを、地図のパネル展示を通してご紹介いたします。地域研究センターが作成した近年の稲爪神社秋祭りの映像上映や、教員・学生の撮影した「今」の大蔵谷の町並み写真展も行っております。同時開催中の稲爪神社の秋祭りの休憩場所としてもお気軽にご利用ください。

日時  2012年10月6日(土)14:00~19:00
    2012年10月7日(日)12:00~19:00
会場  明石市大蔵八幡町5-23  ⇒大塩家へのアクセス
    大塩家(神戸学院大学地域研究センター 大蔵谷なう。活動本部)
入場料 無料
主催  神戸学院大学地域研究センター

2012年9月4日

9/8(土)淡路島アートバスツアー開催
flyer0908-.pdf へのリンク

2012年8月16日

9/8(土)市民向けワークショップ
参加者募集中
「大蔵谷の町家にて伝統的な
        ベンガラ塗装体験」

 flyer0908.pdf

「大蔵谷の町家にて伝統的なベンガラ塗り体験」開催のお知らせ

【参加費無料・要事前申し込み(先着12名)】

地域研究センターの研究拠点として7月からお借りしている
明石市大蔵八幡町の「大塩家」(明石市都市景観形成重要建築物)にて、
伝統的な塗料であるベンガラ塗りの体験ワークショップを行います。
大塩家の正面にて、伝統的な町家の外観を一時的に復元します。
(来年3月まで設置予定。)

8月下旬に正面の木造の壁が完成予定で、その柱や腰板をベンガラで塗装します。
ベンガラは、大塩家のある旧西国街道沿いの町家では
通りに面した梁に木材の防腐や装飾の目的で塗られてきました。
小学生でも体験できますので、大学の内外を問わず、ぜひお気軽にお申し込みください。

■日時  2012年9月8日(土)
     9:30集合、説明や準備の後、
     10:00~12:00で塗装体験を行います。

■会場  明石市大蔵八幡町5-23
     大塩家(神戸学院大学地域研究センター 大蔵谷なう。活動本部

■お問い合わせ・お申し込み方法

     神戸学院大学地域研究センターの
     電話: 078-974-4232、または、
     メール:◆◆◆@human.kobegakuin.ac.jp(◆◆◆にはkamatokoをご     入力下さい。)まで、参加人数をお知らせ下さい。

■主催  神戸学院大学地域研究センター
大塩家へのアクセス

2012年8月10日

公開勉強会 8/29(水)
「第3回 大蔵谷なう。勉強会」
「人文学研究会 定期討論会」合同開催

flyer0829.pdfflyer0829-2.pdf 

地域研究センターの研究拠点として7月からお借りしている明石市大蔵八幡町の「大塩家」(明石市都市景観形成重要建築物)を会場として、一般公開の「第3回 大蔵谷なう。勉強会」・「人文学研究会 定期討論会」を合同開催致します。

大学の内外を問わず、お気軽にご参加ください。

日時  2012年8月29日(水)
会場  明石市大蔵八幡町5-23
    大塩家(神戸学院大学地域研究センター 大蔵谷なう。活動本部)

 スケジュール
●14:20~17:20 「人文学研究会 定期討論会」
  発表者  沖原総太 人文学科 3回生
       森田大樹 人文学科 3回生
       中村千種 人文学科 4回生

  題目   「地域猫活動からみる人間と動物の共生」、他 

●17:30~18:30 「第3回 大蔵谷なう。勉強会」
  講師   矢嶋巌(神戸学院大学人文学部講師)
  題目   「近代の但馬地方におけるスキーツーリズムから考える地域活性化」

共催  神戸学院大学地域研究センター、神戸学院大学人文学研究会

※参加費無料、事前申し込み不要です。

 【お問い合わせ先】
神戸学院大学地域研究センター
Tel 078-974-4232

大塩家へのアクセス

2012年8月2日

明石市の旧宿場「大蔵谷」に
大学との交流拠点がオープンしました。
文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 拠点
  町内へのごあいさつのポスター.pdf

明石グループでは、大蔵谷を中心として、地域との協働による伝統的民俗文化・地域産業等の地域資源の再発見や継承をテーマとした研究を行って参りました。

この度、その研究拠点として、平成24年7月?平成25年3月の間、大蔵八幡町の大塩家をお借りすることになりました。「大蔵谷なう。活動本部」として、今後、大学と地域の方との交流を目的として、教員や学生による勉強会や研究発表会、ワークショップ、イベント等を定期的に開催致します。HP上にてお知らせ致しますので、皆様どうぞお気軽にご参加ください。

大塩家へのアクセス

2012年7月20日

公開勉強会 7/31(火)
「木の倉/石の倉/土の蔵 
  ー日本の倉のつくり方ー」
第2回 大蔵谷なう。勉強会
  flyer0731.pdf

日時: 7月31日(火)18:30~19:30
講師: 釜床美也子(神戸学院大学地域研究センターPD)
場所: 大塩家(神戸学院大学地域研究センター大蔵谷なう。活動本部)
    明石市大蔵八幡町5-23
※参加費無料、事前申し込み不要。

地域研究センターの研究拠点として7月からお借りしている明石市大蔵八幡町の大塩家を会場として、「第2回 大蔵谷なう。勉強会」を開催致します。今回はPDが研究内容を発表致します。大学の内外を問わず、どうぞお気軽にご参加ください。

石をはじめ日本では蔵といえば土蔵が主流となっていますが、日本各地には地方色豊かな木や石の倉があります。材料から見た日本各地の蔵のつくり方の特色について、スライドでご紹介致します。

2012年7月12日

明石グループ刊行物
学生の地域の事業所へのインタビュー集
 『大蔵谷なう。』が完成しました

  冊子PDFファイル(17.4MB)
※ご希望の方は神戸学院大学地域研究センターまでお問い合わせください。
2012年7月9日

講演会 7/18(水)
「台湾に残る日本」
第1回 大蔵谷なう。勉強会

  ポスターPDFファイル

日時: 7月18日(水)16:30~17:30 (16:30開場)
講師: 五十嵐 真子(神戸学院大学人文学部 教授)
場所: 大塩家(神戸学院大学地域研究センター“大蔵谷なう”活動本部)
    明石市大蔵八幡町5-23

研究拠点として、7月から明石市大蔵八幡町の大塩家をお借りすることになり、大学と地域の方との交流を目的として、教員の研究内容を地域の方にご紹介する勉強会を開催します。
 大学の内外を問わず、どうぞお気軽にご参加ください。

※参加費無料  事前申し込み不要

2012年5月7日

ワークショップ 5/13(日)
公開・桂迎先生演劇ワークショップ

  ⇒ポスターPDFファイル

日時: 5月13日(日)11:00~17:00
 (10:00開場、17:30閉場)
講師: 桂迎先生

場所: KPCのA号館6階、大会議室
桂迎先生は浙江大学演劇系教授で、キャンパス演劇の第一人者。中国でもっとも著名な大学生演劇サークル黒白劇社の指導者です。
昼食持参。動きやすい服装と靴でお越しください。

公開ワークショップ申し込みは5月6日まで。
⇒中山文 fumi◆◆◆  
 ◆◆◆には@human.kobegakuin.ac.jpを入力してください。

2012年4月20日

明石グループ報告書 『淡路島のアーティストに話を聞く』を発刊しました
 ⇒冊子PDFファイル(印刷用26.1MB)  

2012年3月16日

2011年度地域研究プロジェクト活動報告会を開催しました。

 ⇒報告会プログラム 冊子PDFファイル(印刷用24.7MB)
2012年2月30日

報告書 『2011年度稲爪神社秋祭り調査報告書』を発刊しました。
 ⇒冊子PDFファイル(印刷用12.1MB)

2011年12月28日

12/28~1/11 写真展「大蔵谷なう」
⇒学内広報記事

日時: 12月28日~1月11日
場所: 稲爪神社境内

2011年12月24日

12/24(木) 報告会 都市近郊農村のよりよい生活環境をめざして

⇒学内広報記事

日時: 12月24日(木)
場所: 県東播磨県民局

2011年12月23日

ワークショップ 黒板ワークショップ

日時: 12月23日(水)10:00~17:00
講師: 遠藤幹子(Office mikiko  一級建築士)
場所: 淡路島芸術大学(関西看護医療大学内)

2011年12月13日

ワークショップ ミニ気球を作ろう

日時: 12月4日(日)13:00~16:00
講師: 岡本純一(現代美術家 淡路島美術大学主宰)
場所: 有瀬キャンパス大学会館4階マナビーホール

2011年11月26日

11/17(木)講演会 アートで淡路島を耕す

日時: 11月5日(土)13:30~15:30
講師: やまぐちくにこ(NPO法人淡路島アートセンター理事)
場所: 有瀬キャンパス14号館141G教室

2011年11月17日

講演会 現代アートの楽しみ方

日時: 11月17日(木)17:00~19:30
講師: 岸野裕人(美術評論家 元倉敷市立美術館館長)
場所: 有瀬キャンパス14号館141G教室

⇒過去の活動報告はこちら