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Topic03

「マラソンレシピ」に取り組むことで、
めざす将来像が見えてくる

:お披露目会でも、どういった趣旨でつくったかなどを発表してもらっていますが、そのために関連することを勉強し、まとめて話してもらうことも成長につながっているように感じます。六甲バターさんにサポートしていただき、大学側としては非常にありがたいことばかりなんですけれども、企業としてはいかがなのでしょう。

黒田:地元企業として食でランナーの方々のお役に立てること、地域を盛り上げること、この2つの要素を目的にしていましたので、神戸学院大学さんと我々、同じ地域にある組織同士で取り組めるのはすごくありがたいです。しかも学生さんの学びの場としてもお役に立てていると考えると、一石二鳥どころか一石三鳥の地域貢献になっており手応えを感じています。

:地域のイベントを、地域の企業と地域の大学が一緒に盛り上げていくことは、確かに理想的とも言えますね。

黒田:授業の一環として取り組んでいただいたことが、継続につながっていると思います。「神戸マラソン」がコロナ禍により中止になった2020年、2021年も、「それでも走っている人はいる」という考えのもと、「マラソンレシピ」でランナーに向けたメッセージを発信し続けられたのは非常にありがたかったです。

:本当にそうですね。我々は管理栄養士を養成していますが、いくら栄養について学んでも、人につながらなければ意味がありません。さまざまな人と関わり合いながら、つくったものを届けるという経験を得られることが、六甲バターさんのような企業と一緒に取り組む大きなポイントだと考えています。

黒田:ランナーの方々に、チーズそのものだけじゃなく、それを使ったメニューでより楽しんでいただけるだけでもありがたいんですが、そこから商品を好きになってご購入いただければ、企業としてもさらにうれしいですからね(笑)。

:確かにそうですね(笑)。ランナーのサポートは第一なんですけれども、より広くお役に立てるようにと、コロナ禍でのレシピやポストコロナのレシピなど、時代に対応したテーマも設けてきました。今年は兵庫県の食材を取り入れることをテーマにしており、より地域に貢献できることをめざしています。せっかく10年分もレシピが溜まってきたので、また新たな活用もできるんじゃないかなと考えています。

黒田:新たな取り組みとして、第1回「神戸マラソン」優勝者で神戸学院大学准教授の上谷聡子先生ご協力のもと、「神戸マラソンレディスランニングクリニック」の参加者の方々をマラソンレシピ発表会にお招きしました。発表会にて実際に食べてもらい、直接学生に対して感想を述べていただく予定です。今後さらに進化していけそうな気がしています。

:そういった展開もいろいろ考えていきたいですね。学生や卒業生のみなさんは「マラソンレシピ」に関わったことや栄養学部で学んだことを振り返ってみて、いかがですか。

光武:就職活動をするにあたり、何がしたいか考えたときに「食品の商品開発をしたい」と思ったんですが、その大きなきっかけが「マラソンレシピ」でした。試行錯誤しながら一つのレシピをつくりあげる難しさや楽しさを経験したことで、めざす将来像が明確になり、とても有意義でした。

藤田:レシピを考える上で、栄養学や調理学などいろいろな授業で学んだことを組み合わせて横断的に実践できたことが、「マラソンレシピ」に取り組んでとても良かったところです。在学中はさまざまな社会連携活動に参加させてもらいましたが、レシピをつくって終わりじゃなく、自分のつくったものが人に届く喜びを経験したことが、今の商品開発という仕事につながっていると感じています。

道行:私もそうなんですよね。学んできたことを生かして、商品企画に携わっています。販売するにあたって必要になってくる栄養価計算についてもしっかり勉強できましたし、きれいに見せるスライドのつくり方などの知識も、仕様書をつくる際にとても役立っています。いろんなことを学べる学部だったので、すごく良かったです。

:皆さんが食品関係の会社に勤められることになったのも、「マラソンレシピ」が結びついているのは喜ばしいですね。食品を使って多くの人たちの健康に関わる六甲バターさんが、長く支援してくださっている賜物です。

黒田:管理栄養士さんは、つくるだけじゃなく人に届けるまでが仕事だというのは、まさにその通りだと思います。その人にとって必要なメニューを届けるのが大事です。これから栄養学部に入学してこられる方にも、実践的なプログラムとして提供し続け、お役に立てればうれしいです。

:学生一人ひとりが「マラソンレシピ」と向き合い、それぞれの考え方でその趣旨を理解し構築していったことが、学生たちの学習成果につながっていると感じています。本日は皆さん、誠にありがとうございました。

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