ただ目の前の人のために
行動し続けた。
憧れの消防士を目指して。
現代社会学部 4年次生 ※2020年取材時 臼井 雅人さん
被災者役として、本物の救助を目の前で。
憧れが目標に変わった、災害派遣チームの研修体験。
消防士になりたい。それは小学校の頃から変わらない僕の夢だ。高校卒業後すぐに消防士という道もあった。けれど、僕はその選択をしなかった。覚悟も自信もなかったが、大学の4年間で、防災知識を幅広く学び、消防士の仕事に生かしたいという強い思いがあったからだ。だからこそ、僕は防災について学ぶことができる神戸学院大学の社会防災学科を選んだ。入学すると、早速、現場を体験する機会が訪れた。1年次生の時にボランティアとして参加したDMAT(災害派遣医療チーム)研修で、自分が被災者役となり、神戸市消防局の専任救助隊の方に救助してもらった。「大丈夫ですか?」「どこを怪我されていますか?」。ある時は軽傷者の役、ある時は息が絶えた役。自分の元へ駆け寄り、専任救助隊の方が目の前で必死に声をかけてくれる姿に、感銘を受けた。もっと現場を知りたい。学びたい。気がつけば1年次生の時だけで3回も研修に参加していた。参加する度に、僕の中で「消防士になる」という思いが強くなっていった。その思いと比例するように、消防士になって生かせる、いろいろな経験や知識を身につけ、最前線で活躍したいと思うようになった。
深夜に車で駆け付けた8時間。
僕の世界を変えた被災地のリアル。
DMAT研修に参加してから、防災の学びを生かして人の役に立ちたいと強く思うようになった。あれからたくさんのボランティアに参加したけれど、特に印象に残っているのが2018年の九州北部豪雨。ニュースを見た瞬間、いても立ってもいられなくなって、僕は友達と一緒に真夜中から車で約8時間かけて九州へ向かった。そこで見た景色は、写真や映像で学んできた災害の様子とは違うリアルな姿があった。見渡す限り土砂で荒れた家と田畑。家には、豪雨災害の過酷さを物語る泥のシミ。僕が作業を担当した家は山の近くで、家は倒壊していた。夜通し走ってきたので、正直なところ疲れていた。けれど、家が泥だらけの惨状を見て「なんとかしないと」と必死だった。ひたすら泥を掻き出す作業を繰り返し、気がついたら夕方になっていた。作業を終えると、家主の方がお礼を言いにやってきてくれた。「ありがとうございました」と涙を流しながら発するその言葉に、僕も泣きそうになった。そして防災の学びとは、こんな涙を流す人を少しでも減らす学びなのだと、改めて心にぐっと刻み込んだ。
4,000人の消防団員がライバル。
肌で感じるプロの技術と本気。
ボランティアや防災関連の知識を身につけ、僕は3年次生になった。そして、ついに念願の学生消防団に入団した。神戸市の消防団員の指導のもと、現場さながらさまざまな訓練を受けることができた。一秒を争い、必死に心肺蘇生法を行った救命訓練。ホースの圧力に、「やばっ」と驚いた放水訓練。一つひとつの経験が、着実に夢へと近づいてくステップとなった。そう思うと、どれだけつらくてもワクワクした気持ちで訓練に励むことができ、より一層やる気がでた。訓練の集大成の一つとして、4年に1度のポンプ操法大会に参加した。出場するのは神戸市内4,000人の消防団員から選ばれたチーム23組。学生が現場経験のある団員たちと競って勝てるわけがない。多くの人はそんなふうに思うかもしれない。でも当時の僕たちは「自分たちのやってきた訓練はどこにも負けない」。そんな気持ちで挑み、結果は8位入賞。大金星だ。職員の方たちにも「すごい!」と褒めていただけたけれど、僕は満足はできなかった。そして、その悔しさと経験が、消防士という目標を確固たるものとした。将来消防士としてもっと腕を磨き、今度こそ誰にも負けない技術を身につけたいと。
実践と学びの繰り返しが、
何倍もの成長を生んだ。
「消防士になりたい」。小学生の時に芽生えた思いがいよいよ現実になる。僕は、来年の春にその夢を叶え、神戸市消防局で働く。振り返ると、神戸学院大学の4年間には、かけがえのない3つの時間があった。現場を知る実践の時間と、理論として防災を学ぶ時間。そして、同じ夢を持った仲間と切磋琢磨する時間。過ごした時間の中で手に入れた多くのものは、入学しなければ決して手に入らなかったものだ。「人の役に立ちたい」「消防士になりたい」という気持ちが、日々強くなっていったのも、この時間がさまざまな気づきを与え、育ててくれたからこそだと思う。入学前とは比べものにならないほど、何倍もの成長を遂げた。僕の歩んできた道は、間違いじゃなかった。この4年間で得た自信は、きっと消防士として働き続ける僕の支えになっていくと思う。
神戸学院大学は、防災を学問として教える全国でも有数の大学。災害時のボランティアや消防団活動など、誰かの役に立ちたいという想いを実際に生かせるチャンスがある。キミの中にあるその思いを、ぜひ4年間にぶつけてみてほしい。
臼井 雅人さんの
- DMAT(災害派遣医療チーム)研修に参加し、消防士になりたい想いを再確認。
- 災害ボランティアを通して、防災の学びの大切さが身にしみた。
- 現場を知る時間と学びを深める時間で、何倍もの成長を実感できた。
学生消防団
「神戸市水上消防団港島分団大学部」に所属する特別地方公務員として活動を行います。神戸市消防団としての基礎研修を受け、神戸市水上消防署や港島の地域の方々の指導を仰ぎ、規律訓練、防災訓練、応急手当等の訓練や神戸市のイベント警備等で知力・体力・技術を磨き、神戸市の地域防災や市民の皆さまの生命・財産保護に尽力しています。
学生消防団について詳しくはこちら