緊張の連続だった広報という仕事
私は、大学祭中央実行委員会に所属しています。高校時代から、将来はイベント関係の仕事に就きたいという希望を持っており、大学ではなにか関連するサークルを探そうと思っていました。新入生勧誘の時に実行委員会のビラを受け取って興味を持ちました。それでも、まずはどこかのサークルで大学生活になじんで、本格的な活動をするのは2年次生になってからと思っていたのですが、結局1年次から入ることになりました。大学祭中央実行委員会は、中心となって大学祭の運営にあたる団体で通称を「中実」といいます。毎年新学期の開始直後からミーティングを重ね、半年以上の時間をかけて、さまざまな準備をします。中実にはいろいろな部署がありますが、本格的な活動をするのは2、3年次で、1年次の間は、その準備期間といっていいかもしれません。仕事の流れをつかみ、自分がやりたいことを決めます。
私が1年次で所属したのはアミューズメントパーク部という、子ども向けのゲームなどを考案する部署だったのですが、2年次になるときに事務局の広報部を選びました。それは自分が思っていたものとは全然違う仕事でした。パンフレットに掲載する写真を撮ったり、招聘(しょうへい)するアーティストの来場をアピールする横断幕やポスターを作ったりという、表面の仕事しか見ていなかったのですが、入ってみると、広告取りという難しい仕事が待っていました。2年次の新学期が始まると同時にスタートした仕事は、いろんな企業に働きかけ、大学祭のパンフレットに協賛広告を出してもらう交渉をする仕事でした。大学の周辺はもちろん加古川や姫路の企業もリストアップして、電話でアポをとり、訪問してお話をさせてもらいます。大学近くの企業など、毎年広告を出してくださっているところもありますが、やや遠方では神戸学院大学の大学祭ですというと、なぜうちにそのような申し出をと聞かれることもあります。検討してみましょうといってくださる企業は少数で、「うちは結構です」とすぐに電話を切られてしまうことも少なくありません。
もちろん、そんな経験は初めてでした。同じように広報部に入った同学年のメンバーが3人いましたが、こんなことをするとは思わなかったよね、と話していました。企業に対して、どう話を切り出していいのか分からず、電話をするのも勇気がいりました。回数を重ねても慣れることはなく、電話をかける前には深呼吸を繰り返し、心の準備をしました。そのようにして40社あまりにアプローチしましたが、いま思えば、得がたい経験をさせてもらったと思います。学外の方に対して話す度胸がつきましたし、自分の意見を発言することができるようになり、知識も増えました。そして、中実には何十人もの人がいるのでつながりが増え、よい仲間もできました。
11月3、4、5日の3日間開催される今年の大学祭のテーマは「1∞周年目の新歩」です。学校法人神戸学院の100周年とかけて、無限の笑顔を集めようと、数字の100の2つのゼロを無限大記号とし、新たな一歩を踏み出す年ということで新歩としています。記念の年なので、いつものメーンステージの他にサブステージを設置するほか、いままでなかった休憩スペースを設けたりと、人の動線を重視したレイアウトを考えています。中実の仕事は、私にとって、学生生活の中心を占めています。大学祭の時期に近づくほど忙しくなるので正直大変ですが、例年以上に華やかで、快適で、楽しい大学祭になるよう、仲間と一緒にがんばっています。