ヴィッセル神戸 パートナーシップ事業

岡田学長×清水社長 対談

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岡田学長×清水社長 対談

神戸学院大学では、1995年1月の阪神・淡路大震災の大きな教訓として、人間社会における地域コミュニティの重要性と、地域に大学が貢献することの大切さを学びました。本学はスポーツマネジメントユニットを始め、「地域と共生する大学」として様々な活動を続けています。スポーツによる地域振興事業を積極的に実施し、大学や学生が関わるスポーツを通じた事業が、地域再生化あるいは活性化の一助へつながるものと考えています。

神戸市にはヴィッセル神戸(サッカー)のほかにもデウソン神戸(フットサル)や神戸製鋼コベルコスティーラーズ(ラグビー)などのプロスポーツチームや実業団が拠点を置いています。

1995年1月17日に初練習を予定していたヴィッセル神戸は、阪神・淡路大震災で被災しました。大震災を乗り越えて、今のヴィッセル神戸があります。

本学とヴィッセル神戸はともに、阪神・淡路大震災で得た教訓を心に「地域とともに」歩んできました。

神戸学院大学の岡田豊基学長が、パートナーシップを結ぶクリムゾンフットボールの清水克洋社長を迎えて、「地域貢献活動」をキーワードに対談を行いました。

―ヴィッセル神戸ではこれまでどのような地域貢献活動をされてきましたか。

清水社長

Jリーグ百年構想の理念の中でも地域密着が掲げられており、クラブとしても地域貢献活動が重要だと思っています。トップチームが頑張る姿を見ていただくことで、努力し目標を達成することの大切さなど色々な価値を伝えられる可能性があると思っています。しかし、それを伝えるためには、地域の方との接点を意識的に作っていかなければなりません。選手の小学校訪問や、クラブとして地域イベントへの参加をする中で、ヴィッセル神戸を身近に感じていただき、スポーツでこんなに楽しい思いができるんだ、スポーツでこんな学びがあるんだ、と感じていただけないかと。小学生からシニアまで地域も神戸市に限らず、兵庫県内のどこでも、選手やスタッフが稼働する機会を作っていかなければならないと思います。

―岡田学長もずっとヴィッセル神戸を見守ってこられたお一人だそうですね。

岡田学長

ヴィッセル神戸が誕生した時から、20年間ずっと見守っています。阪神・淡路大震災の1年後に、練習場の近くに転居しました。その時から身近に感じながら、過ごしてきました。だんだん強くなるヴィッセル神戸を肌で感じているものですから、感激していました。

清水社長

身近にという意味では、今季、改めてスタジアム近隣の方々に試合にお越しいただこうということで、試合への招待をさせていただいたんですね。そうすると想像の5倍、10倍の方がお越しになりました。自分たちの思い込みにとらわれず、地道に活動しなければいけないと感じました。

―ヴィッセル神戸は営利企業でもありますが、地域貢献活動とのバランスはどう考えられていますか。

清水社長

営利という意味では、トップチームの試合のクオリティの部分が重要です。サッカーに集中してしっかりそこを輝かせながら、地域活動にもトップチームの選手も出ていくのですが、そのバランスが難しいですね。ただ、ヴィッセルを好きになっていただくということはスタジアムにお越しいただくことにもつながります。好きになっていただくことが長い目で必ずプラスになります。

―年に1回ノエビアスタジアム周辺の清掃活動を選手の皆さんが地域の方と行っています。

清水社長

一番身近な地域の方との交流です。清掃には地域の商店会の方を中心に、地域の少年団のサッカーチームも参加してくれます。スタジアムの周りを清掃して帰ってきたら、サイン会をしたり、一緒にスイカ割りのようなイベントをしたり。選手と地域の方がお互いに顔を見て活動できる、貴重な機会です。

―パートナーシップを締結している本学はどのような存在でしょうか。

清水社長

クラブと大学ならではの貴重な接点を持たせていただいています。1つ目はインターンシップを通して、スポーツマネジメントやホームゲーム運営に携わっていただきます。2つ目には、学生サポーターの活動を通じて、大学生の方にスタジアムに足を運んでいただき、地域スポーツを盛り上げていただいています。その他、ヴィッセル神戸のアカデミーの選手が神戸学院大学附属高校に在籍していたり、ヴィッセル神戸から大学サッカー部の指導者を派遣させていただいたり、サッカー選手を育てる場としての接点もあります。

岡田学長

学生の可能性を伸ばしていただけると考えています。試合に応援に行くと、勝てば嬉しいですし、負ければ悔しい。そのような感動を味わえると思いますし、感動を友だちと共有することで仲間意識が高まっていくのではないでしょうか。昨年結成した学生サポーターはさまざまな活動を行うことで、ヴィッセル神戸を直接応援しているという満足感があると思います。

清水社長

スタジアムで楽しんで、興味をもっていただきたいですね。また、神戸学院大学はスポーツマネジメントユニットもありますし、インターンシップやさまざまな連携の中でスポーツマネジメントの現場を見て、学んでいただけると嬉しいです。

岡田学長

大学で学んだことをすぐ実践し、その結果を自分自身で検証して、大学に戻って勉強し直す。その繰り返しが彼らを大きく成長させると思います。

―大学の地域貢献活動の一つとして人材育成が挙げられます。

岡田学長

昨年、栄養学部とジェイアール西日本フーズのコラボ弁当を販売し、観戦チケットをセットにして「おいしいチケット」としてスタジアムで販売しました。学生が店頭で販売している時にリピーターの方から、「この前食べた弁当美味しかったよ」と言われ、それを聞いた学生は非常に喜びました。自分が作ったものを買って食べてもらい、お褒めの言葉をいただくというのは、お互い幸せになるような気がします。

―地域における大学はどのような役割があるのでしょうか。

岡田学長

学生は、我々が想像もできないことを考えていますので、それを実践して、表現する。地域に学生が入って来ると、地域の方も「久しぶりに若い人たちと話をした」と言って、元気になっていただけるのではないかと思います。学生の最大の持ち味である若さを活かして、社会に貢献していきたいと考えています。

―ヴィッセル神戸から見て大学生の地域での役割は何だと思いますか。

清水社長

学生の皆さんにスタジアムに足を運んでもらおうと考えた時に、今の学生の方々がどういうことを考えているのかを直接お聞きするのは我々としても貴重な機会でもあります。先ほどの「おいしいチケット」のお話もそうですが、学生の皆さんのフレッシュな発想でできた商品をスタジアムで実際に販売することで、スタジアムにお越しいただいているさまざまな方が喜ばれます。そうした学生ならではの発想力や実現力は、地域でも重要な役割ではないかと思います。

岡田学長

ベガルタ仙台がアウェイとして来られた際に、東北物産展をするといったことも可能かもしれません。本学の学生が大学祭や地域のイベントで東北応援物産展を実施していますので、そういうお手伝いをさせていただけると思います。

清水社長

クラブとしても、東日本大震災の時も仙台のサポーターさん向けにメッセージをお送りしたり、ビデオを流させていただいたり、東北の子どもたちをこちらにご招待させていただくといったことも行いました。仙台のみなさんへ、神戸だから出来るエールを送るとか、勇気を持っていただくとか。是非、パートナーシップの中でも、学生の皆さんともご一緒に、さまざまな事業を展開できればと思います。

―本学とクリムゾンフットボールクラブは2005年度よりパートナーシップ契約を締結しています。この地域振興という面でこのパートナーシップがもたらす地域への効果や、両者への効果・意義にどういうものがありますか。

岡田学長

「街を元気にする」ということ。身近にサッカーがあって、ヴィッセル神戸があることで、元気になっていただくのが、地域振興としての最大の目的ではないかと思います。7・8年前からヴィッセル神戸にご協力をいただき、神戸市内の小中学生を集めて、サッカークリニックを開催しています。ある時、クリニックに参加したお子さんが人工芝に寝ころんで、頬ずりしているんです。普段、土のグラウンドでやっているサッカーを人工芝でできたということに感激していたのだと思います。こういったことも継続してやっていくべきだと思っております。


神戸学院大学附属高等学校出身
小川慶冶朗選手

清水社長

ポーアイキャンパスは本当に素晴らしい設備がありますから、参加された小中学生の皆さんも、うらやましいくらいでしょうね。人工芝だとサッカーをやってて楽しいという喜びもあり、技術レベルも上がります。パートナーシップの中では、神戸学院大学附属高校とも、クラブにとって非常に重要な関係を持たせていただいています。ヴィッセルのユースの選手たちが神戸学院大学附属高校の教育と両立しながら、プロのトレーニングをさせていただいています。小川慶治朗選手ら、トップチームで活躍する神戸学院出身の選手も増えており、パートナーシップの大きな効果の一つです。

―大学とクラブが単体ではなくて、一緒に何かやるからこそできることがあると思います。

清水社長

ヴィッセルと神戸学院大学が組み合わさっていくと、色々な人への接点が増えるのかなと思いますね。

岡田学長

日頃から情報交換や話し合いをすることで、もっと可能性が広がっていくと思います。忌憚のない意見交換が重要ではないでしょうか。

―神戸学院大学に今後期待することはありますか

清水社長

先ほどの育成の部分では、既に着実にプロの選手が生まれています。大学・高校との連携を通して、さらに日本を代表するような選手を生み出すための、サッカー面での連携はより深めていきたいと強く思っています。また、学生の皆さんとスポーツマネジメントの現場をご一緒させていただくことについても、是非、いろんな切り口でそうした活動を広げていけるやり方を模索したいと思っています。学生の方にいろいろ経験していただきながら、スタジアム内外で面白いアイディアを実現していくことが、地域振興・地域貢献にもつながるのではないでしょうか。大学・クラブ共同で新しいものを作り上げるようなパートナーシップにより発展させていければと思います。

―これからのヴィッセル神戸に期待することはありますか

岡田学長

それはJ1優勝、そして、アジアチャンピオンリーグ優勝です。

清水社長

ともに頑張りましょう。

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