神戸学院大学

社会連携

土曜公開講座を開催しました

2018/11/07

第76回神戸学院大学土曜公開講座を10月27日にポートアイランドキャンパスで開催し、147人が受講しました。

3回目は、薬学部の道田隆准教授が「薬と毒の歴史」と題し、どのように薬と毒に接してきたかについて講義を行いました。

「毒」とは、人の生命や健康に害になるものであり、「薬」とは、病気の予防や治療の目的で利用する物質のことをいいます。生物活性物質は適量用いれば「薬」になりますが、量を誤ると「毒」になります。

まず、誰もが皆知っている毒死の歴史として、囚人を使って毒の研究アピス(エジプトコブラ、神経毒)を見出したとされている、クレオパトラ7世について紹介しました。クレオパトラは、アクティウムの海戦に敗北した際に、コブラに自分の体を咬ませて自殺したと伝えられています。

次に漢方薬の歴史を学びました。後漢の頃に漢方薬の最古の経典「神農本草経」が表されていましたが、現存はしていません。古墳時代に朝鮮半島から薬師が薬草を持って渡米し、天皇の病気を治しました。遣隋使、遣唐使が多くの生薬や文献を持ち帰り、鑑真和上の渡米の際にも、多くの生薬がもたされました。室町時代以降日本では、独自の進化を遂げ、江戸時代には生薬の栽培も研究され漢方が発展しました。

最後は「薬害事件」の歴史です。その中でも、今回とりあげたのは、整腸剤として1899年に開発された「キノホルム」です。1967年から1968年にかけて、薬を服用したことによる副作用として、突然猛烈な腹痛に襲われ、やがて足の先からしびれ、全身麻痺を起して死に至るという事象がおこり、1万人以上の被害が発生しました。原因としては、医師の誤った処方によるものだったとされていますが、「薬」の責任となり、根本的な問題解決には至らないまま、1970年以降販売を中止されたことなどについて話しました。

受講者は講義が終わっても熱心に質問し、「薬と毒の歴史を学ぶことが出来ました。大変興味深かったです」と話していました。

次回は、現代社会学部の中山学准教授が10日、「『国難』をもたらす巨大災害にどう対処すべきか」をテーマに講演します。皆さまのご参加をお待ちしています。