Episode.5 医療系を目指す、
みんなが教えてくれた。
作業療法士として、
チームのために僕ができること。
総合リハビリテーション学部 3年次生 ※2020年取材時 冨田 創さん

おばあちゃんの笑顔が
僕の夢を決めた。

「僕には、何もできない」。小学生の時、骨折で祖母が入院した時に、痛感した。日に日に元気がなくなっていく様子を見守ることしかできない。それがとてももどかしかった。でも、ある日を境に祖母は嘘のように明るく元気になっていった。「いつものおばあちゃんが戻ってきた」幼いながら、医療の素晴らしさを実感した。高校1年生になって、授業で作業療法士の話を聞いてわかった。祖母の回復の裏には作業療法士によるリハビリや声かけがあったということ。僕の運命がつながった瞬間だった。これを機に僕は作業療法士を目指すようになった。神戸学院大学に入学を決めたのは先輩の話がきっかけとなった。何十年と現場経験のある先生が大勢いると教えてくれた。ここでなら座学や実習だけでは身につかない医療現場のリアルを教わることができると思った。祖母を笑顔にしてくれた作業療法士のように、身体だけでなく、患者さんの心のケアまでできる知識を身につけたい。だから入学後も、もっと成長できる場、挑戦できる場を探していた。そんなときに見つけたのがチーム医療の現場を学ぶIPE(専門職連携教育)※だった。

7学科の視点が交差する。
僕の世界は一気に拡がった。

神戸市看護大学の看護学部を含む5学部7学科のさまざまな専門職の学生が連携して学ぶ、それがIPEだ。正直、連携と言われてもいまいちピンとこない。普段ほとんど喋ったことのない他学部の学生と、何を話せばいいのか。不安もあったけれど、医療現場さながらの体験ができることに期待もあった。これこそ、僕が求めていた現場のリアルを学べる場だと思った。ある授業で、食事中に男性が咳き込むイラストを見て、グループで気づいた点を話し合った。始まると同時にさまざまな意見が飛び交った。「食べ物を最後まで飲み込めているか喉仏まで確認しないと」と看護学の視点で話す学生。「患者さんの表情を見て、食べられるタイミングを判断しよう」と心理学の視点で話す学生。「そんな視点もあるんだ!」。職種が変わればこんなにも見方が変わるんだと、驚くと同時にワクワクしている自分がいた。そう思ったのは僕だけではなかった。IPEの授業中のみんなのキラキラした目が、それを物語っていた。キャンパスの中にいたけれど、たしかに医療の現場に僕たちはいた。ここでなら僕は成長できると確信した。

挫折によって芽生えた、
作業療法士としての決意。

順調にIPEで成長を感じていた中、一つの壁にぶつかった。ある時、糖尿病を患っている方への服薬方針を発表する課題でのこと。IPEで学んできたことを生かして、これまで以上の発表にしたいと思った。先生や他のグループの学生にもわかりやすく楽しんで聞いてもらう。それが僕たちチームの思い描いた目標だった。でも、服薬方針を起承転結でわかりやすく整理する。その作業がいつまでたってもまとまらない。最後は服薬の専門知識がある薬学部生の意見に頼るしかなかった。「あれ、こんなはずじゃない」自分の知識だけではどうすることもできないという結果に落ち込んだ。作業療法士として、僕はどんな発言をすべきだったのか。悔しさの中、自問自答を繰り返した。ただ、だからこそ気づけたこともある。服薬に関する知識は、薬学部生には勝てないけれど、心の面からサポートする。そんな関わり方なら僕にもできたはずだ。「まだまだ僕は成長途中」未来の患者さんのために、一つでもできることを増やしていこうと心に決めた。

僕の経験のすべてを、
患者さんのために。

4年次の春から、病院実習が始まる。初めて僕が最初から作業療法計画を立てて担当する患者さん。不安がないと言ったら噓になる。思い出すのは、これまであった他学部との交流や実習経験。その度、悩みながらも乗り越えて、看護学、薬学、栄養学、心理学など作業療法以外の視点でも考えられるようになった。だからこそ、今回の病院実習を経験した後、どんな新しい自分に出会えるのかワクワクしている。せっかく長期の病院実習で現場を経験できるのだから、受け身ではなく、積極的に他職種の方と関わり、患者さん中心の治療に繋げたい。そんな強い思いが今の僕にはある。

神戸学院大学は実際の医療施設にも負けないくらいの充実した設備とカリキュラム、そして最高の先生方で応えてくれる。IPEだってその一つだ。今の医療現場に必要なものを、同じ世代の他学部の学生たちと共に体験し、成長も確かめ合える。キミが目指すのが管理栄養士でも、薬剤師でも、公認心理師でも。これからの医療人を目指すならIPEはきっと医療の最前線を教えてくれる。

冨田 創さんの
My Experiences

※IPE

専門職連携教育(Interprofessional Education: IPE)の略。保健医療福祉分野にかかわる専門職が連携し、患者・家族・利用者・地域中心のケアやサービスを実現し、向上していくために、複数の領域の専門職や学生が互いに学び合い、双方の理解や連携を深めていく学習法。

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