神戸学院大学

2023年4月経営学部改組 データサイエンス専攻設置

インターネットやスマートフォンに象徴される情報通信技術の発展によって、情報は社会にあふれています。
すべての産業において、AI・データを活用していくこれからの時代、
あふれかえる情報の中から自分たちにとって価値のある情報を探し出すこと、加工することが重要となっています。
データに基づきビジネスの現場で新たな価値創造の担い手となり得る人材を養成するために
2023年4月経営学部にデータサイエンス専攻を新設します。

経営学を軸としたデータサイエンスで
情報社会を牽引していく人材を

小川 賢

小川 賢

経営学部 経営学科
教授

林坂 弘一郎

林坂 弘一郎

経営学部 経営学科
教授

1
情報があふれる社会で
企業が抱える課題

デジタル化の進展により、膨大なデータが生まれ、そのデータを活用することで新しい価値を生み出す社会に変わっている。企業経営においても、従来の「ヒト」「モノ」「カネ」に「情報」を加えた4つの経営資源を有効に活用して、組織を運営することが基本となっている。社会にあふれるビッグデータを収集・解析して得られた情報が、マーケティング戦略を考えるうえでの判断材料として利用されるようになったのだ。

しかし、「多くの企業は膨大なデータを使いこなせているとは言えない」と経営学部の小川賢教授は話す。人々が無意識に発信するインターネットの閲覧状況やショッピング履歴などの情報を、企業は経営資源として収集している。だが、現状ではまだほとんどの企業が、ビッグデータを効率的に分析・処理する方法やデータの価値を理解していないために、業務の中で蓄積された貴重な情報を持て余しているのである。つまり、データを精査する機会は失われており、せっかく得た価値ある資源も効果的に運用できていない状況にあると言えるだろう。

さらに、近年では組織の利益を左右するような情報がサイバー攻撃によって盗み取られたり、危険にさらされたりするというケースが多発。小川教授は、「多くの企業は、プライバシー保護やセキュリティ強化など情報を守るブレーキと、情報を活用するアクセルのバランスに苦慮している」と警鐘を鳴らしたうえで、「これからの情報社会を生き抜くためには、教養を身に付けたうえで情報を分析・処理できる能力が必要である」と分析している。

2
知識と技能の双方を
身に付ける神戸学院大学が
取り組む情報教育

神戸学院大学では、学生がこれからの情報社会を生き抜くことができるよう、情報リテラシーや分析・処理能力の向上に力を入れてきた。2004年度に経営学部が設置され、2007年度にはコース制が発足。情報セキュリティや個人情報保護などを扱う経営情報科学コースを設けた。さらに、2019年度からはプログラミングの講義もスタート。初年度の学生は現在3年次生となり、システム開発など発展的な内容にも取り組んでいるそうだ。

また、2023年度には経営学部を改組し、2専攻に分け、経営情報科学コースの発展型として「データサイエンス専攻」を新たに設置する。データサイエンスとは、数学や統計学といったさまざまな領域の手法を用いて、ビッグデータから有意義な価値を導き出す学問である。データサイエンス専攻では、企業・自治体のマネジメント方法を扱ってきた経営学を軸とした教育を展開。経営に必要な情報を正しく抽出し、マーケティング戦略に活用する力を身に付けることを目的としている。教授陣は全員工学または理学が専門。自身も博士(工学)である同学部の林坂弘一郎教授は、「ビッグデータの効率的な分析・処理に必要な技術はもちろん、学生が興味のある領域に応じた最適な手法も教えていきたい」と意気込む。マーケティングだけでなく、気象情報、スポーツなど、あらゆる場面でビッグデータの解析が重要となる今、それらの能力は企業が求める資質となることは想像に難くない。

3
企業のイノベーション
創出に貢献できる人材を
育成する

神戸学院大学は今後、データを正しく扱い、組織運営に貢献できる人材の輩出に取り組んでいくという。「社会では仕事の流れを把握し、得られたデータから的確な判断を迅速に下すことのできる人材がより一層求められている」と林坂教授は語る。押し寄せるビッグデータから必要な情報を効率的に抽出するためには、経営学の知識とデータを分析・処理するための技術力が不可欠。経営学を軸とするデータサイエンスの学びは、企業イノベーション創出の要となるのだ。

また、神戸学院大学が行う全学的なデータサイエンス教育プログラムは、学生たちにとってこれからの社会をどのように生きていくかを真剣に考えるきっかけになると期待できる。1990年代中盤以降に生まれた「Z世代」である今の学生たち。彼らが物心ついたときには、インターネットを介した交流や情報の共有は当たり前となっていた。しかし、小川教授によれば、「つながっていることが当たり前の社会は、些細な不具合で、そのつながりを維持できなくなる脆弱性を抱える」と指摘する。今後、社会の中枢を担っていく彼らにとって、生活の中でかかわる情報やデータを適切に取り扱うリテラシーを高めることは、自分自身のためにも必要な学びであると言えるだろう。

東洋経済ACADEMIC 次代の教育・研究モデル特集Vol.1
「未来社会を担うDX・AI その真価を解き明かす」掲載・一部改編

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