科目一覧へ戻る | 2024/07/29 現在 |
開講科目名 /Class |
アメリカ社会研究/Studies of American Society |
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授業コード /Class Code |
BA00161001 |
ナンバリングコード /Numbering Code |
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開講キャンパス /Campus |
ポートアイランド |
開講所属 /Course |
現代社会学部/Contemporary Social Studies |
年度 /Year |
2024年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
前期/SPRING |
曜日・時限 /Day, Period |
水4(前期)/WED4(SPR.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
神崎 隼人/KANZAKI HAYATO |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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神崎 隼人/KANZAKI HAYATO | 現代社会学部/Contemporary Social Studies |
授業の方法 /Class Format |
対面での講義形式 |
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授業の目的 /Class Purpose |
「アメリカ社会」という言葉から、みなさんの多くはアメリカ“合衆国”の社会を思い浮かべるはずです。しかし本科目ではまず、「アメリカ社会とは先住民の人々の生きる世界である」と、認識を新たにします。合衆国独立、さらにコロンブスによる“発見”の遥か以前から、先住民の人々がそこに生きてきました。人々は自然環境へ適応し、それぞれの宇宙観や神話を自らの言語で語り、独自の社会を築いていました。ヨーロッパ人の征服以降は、その元で搾取される一方で、それに対して抵抗もしてきました。そして現代では、気候変動を背景にダイナミックな運動を展開し、人々にとって望ましい「アメリカ社会」を回復しようとしています。このような先住民の歩みとしての「アメリカ社会」にかんする基礎的な知識を身に着けます。その上で、現代アメリカ社会研究へのアプローチ「政治存在論(せいじそんざいろん、political ontology)」を紹介します。聞き慣れない言葉ですが、前提知識がなくても理解できるように、本科目では具体的な事例やイメージ、そしてテキストを使って丁寧に紹介します。 本科目は、学修した知識を結びつけ現代の問題を紐解き、私たちの社会や環境との関わりを深く捉え直せるようになること(現代社会学部DP1に相当)を目指します。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
① 「アメリカ社会」を南北アメリカ大陸先住民の世界として認識し、人々の自然環境、言語、社会、宇宙論・神話、歴史、現代の気候変動との関わりについての基本を説明できる。 ② ①の知識、そして政治存在論を踏まえてテキストを敷衍し、論じることができる。 |
授業のキーワード /Keywords |
南北アメリカ大陸先住民、先住民運動、環境、資源、開発、人新世、政治存在論、多元世界 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
テキストであるブラジルの先住民活動家・思想家アイウトン・クレナッキの言葉を手がかりとして、その言葉を深く理解できるために必要な知識を深めていきます。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
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授業時間外に必要な学修内容・時間 /Required Work and Hours outside of the Class |
テキストや補足資料を、語彙や文脈を自ら調べ、講義内容と照らし合わせながら精読して予習・復習する。(予習1時間、復習1時間) |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
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成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
理解チェックテスト40% + 期末テスト60% = 100% 「理解チェックテスト」:講義内容の理解をチェックする小テスト+質問やコメント(複数回、詳細は授業内で説明)。授業内で講義後実施し提出。 「期末テスト」:学期末に実施する筆記テスト。A4用紙1枚(裏表)のみ持ち込み可。 |
テキスト /Required Texts |
アイウトン・クレナッキ『世界の終わりを先延ばしするためのアイディア––––人新世という大惨事の中で』国安真奈訳、中央公論新社、2022年(1,600円+税)。 |
参考図書 /Reference Books |
・富田虎男&スチュアート・ヘンリ編『講座 世界の先住民族––––ファースト・ピープルズの現在––––07北米』綾部恒雄監修、明石書店、2005年(4800円+税) ・黒田悦子&木村秀雄編『講座 世界の先住民族––––ファースト・ピープルズの現在––––08中米・カリブ・南米』綾部恒雄監修、明石書店、2007年(4800円+税) ・デ・ラ・カデナ, M.「アンデス先住民のコスモポリティクス: 「政治」を超えるための概念的な省察」田口陽子訳『現代思想』総特集人類学の時代45(4):46-80、青土社 ・エスコバル, A.『多元世界に向けたデザイン––––ラディカルな相互依存性、自治と自律、そして複数の世界をつくること』水野大二郎、水内智英、森田敦郎、神崎隼人監訳、ビー・エヌ・エヌ、2024年(4000円+税) ・ヴィヴェイロス・デ・カストロ『食人の形而上学––––ポスト構造主義人類学への道』檜垣立哉・山崎吾郎訳、洛北出版、2015年(2800円+税) ・その他の参考文献は適宜指示します。 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | ガイダンス | 本科目の授業の内容、進め方、評価方法、全体像を理解する。 | ||
2 | 落ちゆく天空 | 「人新世」という現代のキーワードを理解する。 | ||
3 | 環境への適応1 | 南北アメリカ大陸の多様な自然環境とそれに適応した先住民の諸文化について理解する。 | ||
4 | 環境への適応2 | 南北アメリカ大陸の多様な自然環境とそれに適応した先住民の諸文化について理解する。 | ||
5 | 野生の思考1 | 神話に着目し、自然物を通じた先住民による哲学について理解する。 | ||
6 | 野生の思考2 | 神話に着目し、自然物を通じた先住民による哲学について理解する。 | ||
7 | 他者の記号学 | ヨーロッパ人による南北アメリカの“発見”と征服について理解する。 | ||
8 | 魂の征服 | ラテンアメリカにおける先住民のキリスト教への改宗について理解する。 | ||
9 | 収奪された大地 | ラテンアメリカ諸国の独立以降の政治経済構造について理解する。 | ||
10 | 奇跡の犠牲者たち | 開発と近代化に晒された先住民について理解する。 | ||
11 | “インディオ”は語ることができるか | 開発と近代化による破壊に対する先住民による抵抗運動の高まりについて理解する。 | ||
12 | 思考の永続的な脱植民地化の運動 | ここまでの回を振り返り、政治存在論の導入を理解する。 | ||
13 | 多くの世界が収まる一つの世界へ1 | 政治存在論について具体的な事例を通じて理解する。 | ||
14 | 多くの世界が収まる一つの世界へ2 | 政治存在論について具体的な事例を通じて理解する。 | ||
15 | 世界の終わりを先延ばしするためのアイディア | 人新世における南北アメリカ大陸先住民による存在論的政治の意義を授業全体の整理を通じて俯瞰的に理解する。 |