科目一覧へ戻る | 2024/07/25 現在 |
開講科目名 /Class |
美術研究Ⅳ(2021年度以前入学生)/Studies in Visual Arts Ⅳ |
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授業コード /Class Code |
B504313001 |
ナンバリングコード /Numbering Code |
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開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
人文学部/Humanities and Sciences |
年度 /Year |
2024年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
後期/AUTUMN |
曜日・時限 /Day, Period |
月2(後期)/MON2(AUT.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
倉持 充希/KURAMOCHI MIKI |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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倉持 充希/KURAMOCHI MIKI | 人文学科/Humanities |
授業の方法 /Class Format |
対面授業(講義) |
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授業の目的 /Class Purpose |
人文学専門科目群の人間探求科目群に属する本科目は、人文学部のDPのうち、2「人間の行動や文化に関する専門知識と技能を総合的、体系的に身につけている」、9「学部教育と融合した教職教育をとおして、学校教育の目的や目標、地域社会の課題を理解し、さまざまな要求や問題解決に取り組み、生徒の知識や技能、主体的・協働的に学習に取り組む態度の育成を図る教員として活躍できる」ことを目指して、17世紀のヨーロッパ社会と芸術文化を学ぶ。 本科目では、17世紀にローマで活躍したフランス人画家、ニコラ・プッサンの画業と作品を分析する。当時の社会や信仰の状況、人文主義の芸術理論、芸術庇護、絵画の自由取引等の多様な観点から、社会の変化に対応する人間の文化活動を考察することを目的とする。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
1.芸術家の生涯に関する知識と、作家研究のために必要な分析手法を習得する。(DP2の知識・技能、DP9の教職志望者に対応) 2.作品の特色に気づき、それを適切な方法論を用いて論じる。(DP2の知識・技能、DP9の教職志望者に対応) 3.芸術文化の研究を通じて、時代とともに変容する価値観に対応し、社会の諸問題に向き合う姿勢を修得する。(DP2の知識・技能、DP9の教職志望者に対応) |
授業のキーワード /Keywords |
西洋美術史 カトリック改革 パトロネージ 絵画市場 作家研究 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
・プロジェクターで図版を見せながら、内容を解説する。 ・毎回の授業内レポートで、作品記述や制作状況等に関する論述に取り組む。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
・共通教育科目の「西洋美術」(ヨーロッパ・アメリカの美術の通史)と併せて受講するとよい。 ・人文学専門科目群(人間探究科目群)のうち、倉持が担当する以下の科目と併せて受講するとよい。 「美術研究I」(16世紀までの西洋美術の歴史、前期水曜3限、2年生以上) 「美術研究II」(16世紀以降の西洋美術の歴史、後期火曜1限、2年生以上) 「美術研究III」(神話画の図像学、前期月曜2限、3年生以上) 「文化交流論III」(宗教画の図像学、前期月曜1限、2021年度以前入学生のみ) |
授業時間外に必要な学修内容・時間 /Required Work and Hours outside of the Class |
・授業計画に挙げられた作例を予習する。(1週あたり60分以上) ・授業での解説を基に、キーワードや重要項目を整理し、レポートの準備を進める。(1週あたり60分以上) |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
・毎回、授業内レポートに取り組む。当日あるいは後日、フィードバックを行う。 ・期末レポート(4000字)を提出する。レポート提出後、全体への講評をまとめ、Teams等でフィードバックする。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
・授業内レポートとそれに基づく議論 40%(到達目標1の達成度合い) ・期末レポート(4000字) 60%(到達目標2・3の達成度合い、特に適切な情報収集と論理的展開で判断する) |
テキスト /Required Texts |
レジュメや参考資料を配布する。 |
参考図書 /Reference Books |
適宜、紹介する。 ・大野芳材[ほか]『西洋美術の歴史6 17-18世紀 バロックからロココへ、華麗なる展開』中央公論新社 2016年 ・望月典子『ニコラ・プッサン 絵画的比喩を読む』慶應義塾大学出版会、2010年 ・栗田秀法『プッサンにおける語りと寓意』、三元社、2014年 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | 授業の概要 | マニエリスムまでの西洋美術史の流れ、プッサンの画業、授業の内容を概観する。 | |
2 | 第2回 | 17世紀ローマの状況 | 特に各地から芸術家が集まったローマの状況や絵画市場の成立等を把握する。 | |
3 | 第3回 | プッサンの画業:ローマ以前(1612-1624年) | プッサンが1624年にローマに到着する以前のパリ時代の活動を概観し、代表作《聖母の死》などを分析する。 | |
4 | 第4回 | プッサンの画業:ローマ初期時代(1624-1630年)(1) | プッサンが競争の激しいローマで、顧客を得るまでの戦略を考察する。絵画市場向けの売り絵や、枢機卿の注文を受けて制作した《ゲルマニクスの死》などを分析する | |
5 | 第5回 | プッサンの画業:ローマ初期時代(1624-1630年)(2) | 画家の制作活動の広がりについて、ティツィアーノの影響を受けて描かれた神話画《バッコスの前のミダス》や、サン・ピエトロ聖堂のための祭壇画《エラスムスの殉教》などの分析を通じて考察する。 | |
6 | 第6回 | プッサンの画業:ローマでの開花(1631-1640年)(1) | ローマ内外の顧客から注文を得られるようになった時期の作風や芸術的課題について、対作品《アシドドのペスト》・《フローラの王国》などの分析を通じて考察する。 | |
7 | 第7回 | プッサンの画業:ローマでの開花(1631-1640年)(2) | 複雑な群像表現や展示場所に即した工夫について、《サビニの女たちの掠奪》や、リシュリュー枢機卿のための《パンの勝利》・《バッコスの勝利》などの分析を通じて考察する。 | |
8 | 第8回 | プッサンの画業:ローマでの開花(1631-1640年)(3) | この時期の画家の戦略と古典主義的な画風の形成について、パリ在住の顧客に向けて制作された《マナの収集》や《アイネイアスに武具を指し示すウェヌス》などを通じて考察する。 | |
9 | 第9回 | プッサンの画業:パリ滞在(1641-42年) | 国王付主席画家としてパリに滞在した時期の制作活動について、祭壇画《日本の鹿児島で死んだ娘を蘇らす聖フランシスコ・ザビエル》や、ルーヴル宮の装飾などの分析を通じて考察する。 | |
10 | 第10回 | プッサンの画業:円熟期(1643-1652年)(1) | ローマに戻ったプッサンが、パリの顧客のために制作した《七つの秘跡》(第二連作)の分析を通じて、カトリック改革期に重要視された「秘跡」の図像や、画家の構想について考察する。 | |
11 | 第11回 | プッサンの画業:円熟期(1643-1652年)(2) | この時期の画面構成の特色や芸術理論への関心、顧客との関係性について、《エリエゼルとリベカ》、《ソロモンの審判》、2点の《自画像》の分析を通じて考察する。 | |
12 | 第12回 | プッサンの画業:円熟期(1643-1652年)(3) | 古代神話に基づく人物を含む、壮大な風景画について、《オルフェウスとエウリュディケのいる風景》や《ピュラモスとティスベのいる風景》などの分析を通じて考察する。 | |
13 | 第13回 | プッサンの画業:晩年(1652-1665)(1) | 晩年の物語画の構成や図像の特色について、《キリストと姦淫の女》、《エジプト逃避途上の休息》、《受胎告知》などの分析を通じて考察する。 | |
14 | 第14回 | プッサンの画業:晩年(1652-1665)(2) | 最晩年の理想的風景画の図像と、細かい筆触を用いた技法について、《ディアナとオリオンのいる風景》、連作「四季」などの分析を通じて考察する。 | |
15 | 第15回 | 総括 | プッサンの画業に関する総括を行い、作家研究を行う上で重要な観点を整理する。 |