科目一覧へ戻る | 2024/07/24 現在 |
開講科目名 /Class |
労働法特殊講義/Advanced Lecture on Labor Law |
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授業コード /Class Code |
J011481001 |
ナンバリングコード /Numbering Code |
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開講キャンパス /Campus |
ポートアイランド |
開講所属 /Course |
修士/ |
年度 /Year |
2024年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
後期/AUTUMN |
曜日・時限 /Day, Period |
水3(後期)/WED3(AUT.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
表田 充生/OMOTEDA MITSUO |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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表田 充生/OMOTEDA MITSUO | 法学部/Law |
授業の方法 /Class Format |
演習形式を基本とする。 |
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授業の目的 /Class Purpose |
この科目は、法学研究科のDPに示された、学部段階で身につけた法的素養を前提として、労働関係に関わる各種法的問題につき、実社会や法実務において通用する高度な専門的知識を習得し、実践的な問題解決を示すことができるようになることを目指す。 労働法の領域には、雇用関係法(個別的労働関係法)と労使関係法(集団的労働関係法)という2つの主要な領域がある。いずれの分野も重要であるが、近年の労働立法の動向等も踏まえて、本講義は「個人としての労働者」に焦点をあてた前者にやや比重を置きながら展開する。 今年度は、イギリス労働法を検討対象とし、イギリスにおける個別的労働関係に係る労働契約理論がどのようになっているかを検討していく。イギリスにおける労働契約の成立から終了に至るまでの過程で生じる様々な法律問題を検討していくことにより、我が国との相違を理解し、比較参照したうえで示唆を得て、我が国における労働法の在り方を検討していくこと目的とする。 本講義では、イギリスにおける立法の動向等も踏まえて、裁判例や学説等を基に、イギリスにおける労働法の基礎知識を修得し、また、労使間対立が常に内在している中で展開していく法領域である労働法に関して、日英における労働法の相違を認識したうえで、日本における今後の労働法のあるべき姿を議論できる力を身に付けてもらう。さらに、労働法を通じて法的思考を鍛えつつ、様々な労使紛争の適切な解決案を提示できるようになることをも目的とする。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
到達目標: 1.イギリスにおける労働法上の基本的な概念や制度を理解し、なぜそのような制度等が設けられたのかを考察し、関連した法律規定や判例の内容を修得すること。 2.イギリスにおける労働法上のルールが、日本における労働法と相違している点を意識して、両国労働法の比較検討を通じて、労働法のあり方や労使紛争の解決手法を検討・把握すること。 3.イギリスにおける労働法上の個別のテーマに関してより深く考察・検討することにより、判例をも素材とした事実関係の把握や裁判所による法の適用に関する手法を検討することにより、労使双方の立場を考慮に入れつつ、バランスのとれた適切・妥当な労使紛争解決能力を身に付けることができるようになること。 |
授業のキーワード /Keywords |
イギリス労働法、英米法、不公正解雇、イギリスにおける労働条件の決定・変更、労働協約、労働組合、争議行為、性差別禁止法、労働審判所 等 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
本講義では、イギリス労働法のテキストを読みながら、労働法上のテーマごとに重要な法律問題を確認した後、時として裁判例をも素材としながら各問題について検討していく。イギリス労働法に関する英語原文によるテキストを読み進めながら、同国の労働法の基本知識を修得し、労働法上の様々な法律上の争点につき十分に考察してもらいたい。授業は演習形式を基本として行う予定である。(なお、授業計画に掲げた主題については、受講生の興味・関心も考慮に入れて相談のうえ若干の変更を行う場合もある。) 授業は毎回、テキストの内容を要約または翻訳していただきながら進めていくため、積極的に参加する姿勢で臨んでほしい。なお、受講生には指定のテキストで毎回取り扱う箇所につき翻訳をしてきていただき、受講生交替で報告を行ってもらう。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
その他〜受講生に対する希望等 学部レベルの「労働法」の知識を有していることを前提として授業を進めていくので、学部において労働法科目を履修していなかった方は事前に労働法のテキストを熟読しておくことが望ましい。毎回の授業に要する予習及び復習の時間は、それぞれ最低2時間程度である(毎回、テキストの翻訳をしてくることを前提とするため、事前準備にそれ相当の時間を要する)。基本的には、法律英語の勉強を1年間ぐらいは行っていることを前提として授業を進めていく。 |
授業時間外に必要な学修内容・時間 /Required Work and Hours outside of the Class |
授業各回で取り扱うテーマに関わるテキストの該当箇所を事前に通読し、翻訳してくること、及び、その内容をある程度理解したうえで、日本の労働法との相違についても検討しておくこと。なお、毎回の授業に要する予習及び復習の時間は、それぞれ最低2時間である。ただし、毎回テキストの指定箇所の翻訳をしてくることが必要となるため、各受講生の英語力によっては相当の時間を要するかもしれないので、その心積もりで受講してほしい。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
下記の成績評価方法の欄にも記載してあるが、第14 回講義時に期末レポートを提出していただく。(なお、これは期末試験に替えて実施するものでもある。) 提出していただいたレポートに関しては、最終講義時にコメントする。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
出席を前提としたうえで、授業における質問等に対する発言内容、及び、演習におけるディスカッションへの積極的な姿勢(30%)、授業内での翻訳発表等(50%)、並びに、期末のレポート(1回実施:20%)で判断する。 |
テキスト /Required Texts |
テキストは、Smith and Woods, Employment Law [16th ed.](2023), M. Sargeant & D. Lewis, Employment Law [9th ed.] (2020), D. J. Lockton & T. Brown, Employment Law [10th ed.] (2020) などを考えているが、最終的にどのテキストを使用するかは最初の授業日に受講生と相談のうえ決定する。 |
参考図書 /Reference Books |
水町勇一郎『労働法[第10版]』(有斐閣、2024年)、及び、村中孝史・荒木尚志編『労働判例百選[第10版]』(有斐閣、2022年)。その他の参考文献等については、開講時にあるいは必要に応じて随時説明する。 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | イントロダクション 〜イギリス労働法を学ぶ意義 等〜 | 本講義内容の概要、イギリス労働法の意義と学び方、及び、労働法の日英比較について 等 | なお、第2回~第14回の授業内容については、受講者数等の状況等に応じて、受講生と相談のうえ、取り扱うテーマを一部変更する場合もある。 |
2 | 第2回 | イギリス労働契約の成立① | イギリスにおける労働契約の成立 | |
3 | 第3回 | イギリス労働契約の成立② | イギリス労働契約上の権利・義務 | |
4 | 第4回 | イギリス労働契約の終了① | イギリスにおける解雇制限のルール | |
5 | 第5回 | イギリス労働契約の終了② | 不公正解雇制度 | |
6 | 第6回 | イギリス労働契約の終了③ | 剰員整理(解雇) | |
7 | 第7回 | 英米法の基礎事項 | コモンローの概念等について | |
8 | 第8回 | イギリスの労働時間制度 | イギリスにける労働時間規制のあり方等について | |
9 | 第9回 | イギリスにおける賃金 | イギリスにおける賃金規制について | |
10 | 第10回 | イギリスにおける職場の男女平等 | 性差別禁止法 | |
11 | 第11回 | イギリスにおける労働組合 | イギリスにおける労働組合の生成・発展について | |
12 | 第12回 | イギリスにおける労働協約 | イギリスにおける労働協約の意義 | |
13 | 第13回 | イギリスにおける争議行為① | イギリスにおける争議行為の法的検討① | |
14 | 第14回 | イギリスにおける争議行為② | イギリスにおける争議行為の法的検討② | |
15 | 第15回 | 総括 ~現代イギリス労働法上の課題等~ | この講義の総括、及び、労働法の日英比較、日本の労働法への示唆 等 |