科目一覧へ戻る | 2023/07/21 現在 |
開講科目名 /Class |
認知心理学(知覚・認知心理学)/Cognitive Psychology |
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授業コード /Class Code |
BC00521001 |
開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
心理学部/Psychology |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
前期/SPRING |
曜日・時限 /Day, Period |
火4(前期)/TUE4(SPR.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
清水 寛之/SHIMIZU HIROYUKI |
科目区分 /Course Group |
【専門教育科目】 〈専門科目群〉/*** MAJORS *** 〈SPECIALIZED SUBJECTS〉 |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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清水 寛之/SHIMIZU HIROYUKI | 心理学部/Psychology |
授業の方法 /Class Format |
対面授業(講義) |
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授業の目的 /Class Purpose |
この授業は、主として心理学部心理学科3年次生と4年次生を対象に開講された専門教育科目です。心理学部心理学科のDP1「心理学の専門知識を習得し、医療・福祉・教育・産業・司法などの分野で専門知識を生かすことができる」とDP2「社会人として幅広い教養を身につけている」の獲得を目指します。 認知心理学(cognitive psychology)の立場から人間の認知と思考の過程について概説します。認知過程と思考過程はともに、広く「知」に関連した心の働きです。人間をはじめとする生活体は、絶えず外界との間で盛んに情報のやりとりを行っています。その際、きわめて選択的で能動的な情報の収集、分析、統合、貯蔵、運用、伝達がなされています。そうした認知過程と思考過程は、どのような仕組みになっているのでしょうか。本講義では、人間の認知と思考の過程にかかわる諸問題のうち、主として記憶、知識、概念、推論、問題解決などに関連した基本テーマを取り上げ、さらに、それらの障害についてもこれまでの認知心理学の成果を解説します。講義の中では、実験データや具体例をできるだけ多く盛り込みますので、人間のすぐれた「知の世界」について基礎的な理解を深めていただきたいです。さらに、今後検討すべき課題についても考えていきたいです。 なお、この科目担当者は、十数年にわたって神戸市教育委員会による「通常学級におけるLD等の特別支援」事業に基づいて神戸市内小中学校に巡回相談の実務経験のある教員です。したがって、認知と思考の障害に関連した事項については、実際の学校現場での実践の取り組みにも言及します。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
・認知心理学の研究対象、研究方法、歴史的背景、関連分野について説明できる。 ・人間の記憶・知識・概念について説明できる。 ・人間の問題解決・推論について説明できる。 ・人間の認知・思考の障害とその対処について説明できる。 |
授業のキーワード /Keywords |
認知心理学、記憶、知識、概念、問題解決、推論、認知と思考の障害 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
講義形式で行います。毎回、授業の最後に出席カードにコメント(質問、意見、感想など)を記入することを求めます。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
毎回、授業に関する説明資料を配付します。定期試験と授業内小テストはともに論述形式で、持ち込み不可です。それらとは別に期末にレポート課題を出します。この授業科目を履修するにあたって、できるだけ2年次生のうちに「心理学基礎実験実習Ⅰ(心理実験)」と「心理学基礎実験実習Ⅱ(心理実験)」は履修しておいてもらいたいです。 |
授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
事前学習として、「授業計画」を参考に、できるだけ授業の内容について自主的に調べ、授業に臨んでもらいたいです。(目役として1時間) 授業終了後に、きちんと内容が正しく理解できているかどうかを確認し、必要に応じて基礎的な事項や概念、用語について調べ直ししておく必要があります。(目安として1時間) |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
およそ4回に一度の割合で小テスト(課題)を行います(全3回)。それとは別に期末にレポート課題を出します。詳細は授業のなかで説明します。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
全授業回数の3分の2以上の出席をもって、単位の認定・評価の対象者とします。本授業科目の全体的な教育目標達成度を調べる定期試験を50%、授業への積極的参加度(毎回の出席カードへの質問や意見・感想等の内容に基づく)とおよそ4回分ごとの授業内容の理解度を調べる小テスト(3回)と授業内容に関連した学生自身による主体的な関心や興味、動機づけに関する小レポート(1回)を合わせて50%とします。ただし、遠隔授業が実施された場合、期間中は「授業への積極的参加度」は調べることができないので、成績評価には含めません。 |
テキスト /Required Texts |
とくに指定しません。 |
参考図書 /Reference Books |
第1回目の授業で参考文献リストを配布します。授業内でも適宜指示します。 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | 認知心理学の対象・方法・歴史的背景・関連分野 | 認知心理学とはどのような学問分野であるかについて、全般的な解説を行う。認知心理学の対象と方法を中心に、歴史的背景や関連研究分野についても論じる。 | |
2 | 第2回 | 記憶の仕組みとプロセス | 記銘、保持、想起、忘却といった記憶過程についての基礎的な理解を図る。さらに、これまでに提唱された代表的な記憶理論や記憶モデル、及び主な記憶測定法について概説する。 | |
3 | 第3回 | 感覚記憶・ワーキングメモリの性質 | 数十秒からせいぜい数分以内の、比較的短い時間だけ情報を保持する場合の記憶システムについて考える。 | |
4 | 第4回 | 長期記憶の性質 | 比較的長期間にわたって情報を保持する場合の記憶システムについて、特に構成的な性質に焦点を当てて考察する。 | |
5 | 第5回 | 顕在記憶と潜在記憶 | 人間の記憶には、想起すべき対象への直接的・意図的な記憶もあれば、想起意識を伴わない偶発的・自動的な記憶もある。このことについて検討する。 | |
6 | 第6回 | 学習と想起のダイナミズム | なんらかの経験を通じて人間の行動が変わり、知識が増えていくということ、また、何かをきっかけに遠い以前の出来事がよみがえってくるということの認知心理学的な意味を探る。 | |
7 | 第7回 | 概念とカテゴリ化 | 物事の概念はどのように形成され、構造化されているのか、われわれは自分の知識内にある概念をどのように使うのかを考察する。さらに、多少違っていても同じものと見なしてしまうカテゴリ化の機能についても検討する。 | |
8 | 第8回 | 知識の表象と意味記憶 | スキーマやスクリプトといった長期記憶内の知識情報の構造や表現形式について考察し、それらと言語理解との関係を検討する。 | |
9 | 第9回 | 回想記憶と展望記憶 | 人間の記憶は必ずしも過去の出来事を保持することだけでなく、将来何をすべきかといった予定を忘れずに覚えておくことも含んでいる。こういった問題を検討する。 | |
10 | 第10回 | 思考と問題解決 | 思い考えることに関連した心理過程を、知覚によって獲得した情報と長期記憶内の情報の両方を利用し、操作する認知過程と捉え、特定の課題への問題解決を通してその特徴を検討する。 | |
11 | 第11回 | 演繹的推理と帰納的推理 | 人間は、与えられた命題をもとに論理的になんらかの結論を導き出すことができる。しかし、その過程は、純粋な論理学的な道筋とは異なる面が見られ、認知心理学的な研究が多くなされている。 | |
12 | 第12回 | メタ認知とメタ記憶 | 人間は自分自身の認知活動や記憶行動を評価し、制御・調整を行うことができる。それらの評価の正確性や、制御・調整の的確性に関連した問題を検討する。 | |
13 | 第13回 | 認知と思考の障害 | 人間の認知・思考の障害・疾患に関するさまざまな症例について概説する。 | |
14 | 第14回 | 認知・思考の障害への支援 | 人間の認知機能の障害・疾患の回復・克服にかかわるさまざまな支援の取り組みについて概説する。 | |
15 | 第15回 | まとめと展望 | 本講義の全般的なまとめを行い、人間の認知と思考の過程に関する認知心理学的研究及び関連諸科学における今後の検討課題について考察する。 |