科目一覧へ戻る | 2023/07/21 現在 |
開講科目名 /Class |
学習・言語心理学/学習心理学(学習・言語心理学)/Psychology of Learning |
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授業コード /Class Code |
BC00392001 |
開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
心理学部/Psychology |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
後期/AUTUMN |
曜日・時限 /Day, Period |
金1(後期)/FRI1(AUT.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
筒井 優介/TSUTSUI YUSUKE |
科目区分 /Course Group |
【専門教育科目】 〈専門科目群〉/*** MAJORS *** 〈SPECIALIZED SUBJECTS〉 |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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筒井 優介/TSUTSUI YUSUKE | 心理学部/Psychology |
授業の方法 /Class Format |
対面授業(講義) |
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授業の目的 /Class Purpose |
本講義は、心理学部のディプロマポリシーに示す、「1. 心理学の専門知識を習得し、医療・福祉・教育・産業・司法などの分野で専門知識を生かすことができる」、「3.心理現象を解明する適切な方法を駆使し、探求することができる」、「8. 教育現場で有効な、公民に関する体系的で専門的知識と指導法を習得することができる」を目指す。 本講義では、人間における行動変容の過程等、行動形成に寄与する諸理論−古典的(レスポンデント)条件づけ、オペラント条件づけ、モデリング等−を学修する。また、これらの理論に基づいた治療・支援法(問題行動の改善や不安の軽減など)が確立されており、医療・福祉・教育・司法現場において頻繁に用いられる。本講義では、事例を紹介しながら、これらの治療・支援法についても学修する。 なお、この授業は、教育・医療・産業領域において臨床業務に関わり、心理的支援の実務経験を有する臨床心理士・公認心理師である教員が担当している。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
初期学習(刻印付け、臨界期、生得的解発機構)について説明できる。 古典的条件付け(対提示強化、消去)、オペラント条件付け(強化、三項随伴性、報酬、罰)について説明できる。 恐怖条件付け、嫌悪条件付けについて説明できる。 馴化、脱馴化について説明できる。 般化、弁別、転移、実験神経症について説明できる。 逃避、回避学習について説明できる。 試行錯誤、洞察学習、潜在学習、社会的学習(観察、モデリング、自己効力感)について説明できる。 学習の生物学的基礎について説明できる。 |
授業のキーワード /Keywords |
学習、初期学習、古典的条件付け、オペラント条件付け、恐怖条件付け、嫌悪条件付け、馴化、脱馴化、般化、弁別、転移、実験神経症、逃避、回避学習、試行錯誤、洞察学習、潜在学習、社会的学習、学習の生物学的基礎 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
授業回ごとに「授業後課題」を課し、次回授業時にフィードバックする。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
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授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
事前学習として、「授業計画」を参考に、できるだけ授業の内容について自主的に調べ、授業に臨んでもらいたい。(目安として1時間)。 授業終了後に、きちんと内容が正しく理解できているかどうかを確認し、必要に応じて基礎的な事項や概念、用語について調べ直ししておく必要がある。(目安として1時間)。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
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成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
全授業後課題の3分の2以上の提出をもって、単位の認定・評価対象とする。授業回ごとに授業内容の理解度を確認する「授業後課題」(15課題)40%、学習内容全体の習熟度を測る「期末テスト課題」(1課題)60%とする。 |
テキスト /Required Texts |
山内光哉・春木 豊(編著)『グラフィック学習心理学‐行動と認知‐』(2001年) サイエンス社 ¥2,550(税別) ISBN:4781909779 |
参考図書 /Reference Books |
楠見孝(編)『学習・言語心理学:公認心理師の基礎と実践⑧』(2019年)遠見書房 ¥2,600(税別) ISBN:9784866160580 実森正子・中島定彦『学習の心理 第2版:行動のメカニズムを探る』(2019年)サイエンス社 ¥2,300(税別) ISBN:9784781912431 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | 学習とは | 学習心理学の源流とその後の展開について概説する。 | |
2 | 第2回 | 初期学習(刻印づけ、臨界期、生得的解発機構) | 初期学習とは個体発生期に生じる学習を指す。初期学習における刻印づけとその臨界期、生得的解発機構について概説する。 | |
3 | 第3回 | 古典的条件づけ(1)(対提示強化、消去、般化、弁別) | ある刺激がある反応を応答的に誘発する過程である古典的条件づけ及びその獲得について紹介し、5つの刺激提示の型について概説する。ある刺激がある反応を応答的に誘発する過程である古典的条件づけの消去について概説する。また、条件づけされた刺激だけでなく類似した別の刺激に対しても反応するようになる般化と、類似した刺激の中から特定の刺激に対して反応するようになる弁別について概説する。 | |
4 | 第4回 | 古典的条件づけ(2)実験神経症/恐怖条件づけと嫌悪条件づけ | 弁別が困難な刺激で分化の訓練を行うと異常な興奮状態になり、それまでに形成された弁別までできなくなる現象がパブロフの条件づけ実験から導出された。これを実験神経症と呼ぶ。その形成と消去について概説する。恐怖反応を誘導しない刺激と恐怖反応を誘導する刺激を対提示すると、動物は両者の関連を学習し恐怖反応を示すようになるが、これを恐怖条件づけと呼ぶ。また、嫌悪刺激を用いるとネガティブな情動が条件づけされるが、これを嫌悪条件づけ呼ぶ。これらの条件づけについて概説する。さらに、系統的脱感作法や嫌悪性抗条件づけを取り上げ、行動療法への応用を紹介する。 | |
5 | 第5回 | オペラント条件づけ(強化、報酬、罰) | 生活体が環境に働きかけて自発する行動をオペラントと呼ぶ。あるオペラントがある刺激との相互作用によって自発頻度を変え、変容していく過程であるオペラント条件づけについて概説する。 | |
6 | 第6回 | 逃避、回避学習、三項随伴性 |
不快な刺激が引き続き起こらないようにする行動を指す逃避と、不快な刺激が与えられないように前もって示す反応を指す回避について説明する。その上で、逃避と回避が不可能な状況において嫌悪刺激を与え続けると、回避可能な状態になってもその刺激を受け続けるようになり、別の状況にも般化が起こり新たな回避学習ができなくなる現象ー学習性無力について概説する。さらに学習性無力感を消去する方法が教育・医療の現場に応用される例を紹介する。 | |
7 | 第7回 | 馴化、脱馴化 | ある反応を誘発する刺激提示が繰り返されるとその反応が減少する馴化、ある刺激に馴化させた後で別の刺激を与えると元の刺激に対する反応が大きくなる脱馴化について概説する。 | |
8 | 第8回 | 技能学習・協応動作・集中学習と分散学習 | 動作や技術の習得についての学習を概説し、人間の感覚系と運動系との協応からなる技能の学習がどのようにして成り立つのか概説する。また集中学習と分散学習における効果について概説する。 | |
9 | 第9回 | 転移 | ある学習の効果が類似の学習に波及する現象を転移と呼ぶ。前学習が後学習に促進的に波及する正の転移と、妨害的に波及する負の転移について概説する。 | |
10 | 第10回 | 社会的学習ー観察学習とモデリング | 他者の行動を観察することで成立する観察学習と、他者の行動を観察することで観察者の行動変容に結び付くモデリングについて概説する。また、モデリングの手法を応用した行動療法について紹介する。 | |
11 | 第11回 | 社会的学習の理論 | 社会的学習をめぐる3つの理論を紹介する。その上で、バンデューラが提案した、人間の行動を決定する重要な要因の自己効力感について概説する。 | |
12 | 第12回 | 試行錯誤・洞察学習・潜在学習 | 問題解決過程とはどのようなものであるか、行動主義心理学、ゲシュタルト心理学、情報処理理論という3つの立場から概説する。試行錯誤学習、洞察学習及び潜在学習についても概説する。 | |
13 | 第13回 | 探索・推理過程 | 問題解決を行う際に重要な役割を果たす、推理という心的機能がどのように発達し、また問題の構造などの要因とどのように関わっているのか概説する。 | |
14 | 第14回 | 学習の生物学的基礎 | 学習における研究対象は習得的行動であるが、学習には経験主義の視座では割り切れない生得的な能力もある。子どもの発達過程における学習準備性と学習適時性を取り上げ、学習の生物学的基礎について概説する。 | |
15 | 第15回 | まとめと展望 | 本講義の全般的なまとめを行い、人間の行動変容の過程や行動形成に寄与する心理学的研究及び関連諸科学における今後の検討課題について考察する。 |