科目一覧へ戻る | 2023/07/20 現在 |
開講科目名 /Class |
ケア社会論/Sociology of Care Work |
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授業コード /Class Code |
BA00781001 |
開講キャンパス /Campus |
ポートアイランド |
開講所属 /Course |
現代社会学部/Contemporary Social Studies |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
後期/AUTUMN |
曜日・時限 /Day, Period |
水3(後期)/WED3(AUT.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
前田 拓也/MAEDA TAKUYA |
科目区分 /Course Group |
【専門教育科目】 〈専門分野科目〉/*** MAJORS *** 〈Specialized Subjects〉 |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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前田 拓也/MAEDA TAKUYA | 現代社会学科/Contemporary Social Studies |
授業の方法 /Class Format |
講義形式 (対面) |
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授業の目的 /Class Purpose |
この科目では、現代社会学部のディプロマ・ポリシー(卒業認定に関する基本方針)に従い、現代社会における人びとの暮らし、仕事と産業、および文化の形成に係る諸事象を多面的、総合的な理解を目指す。 病者、高齢者や障害者を十全に配慮し、社会に包摂することは、現代社会にとって喫緊の課題である。「ケアすること」(介護、介助、看護 etc.)はしばしば、そうした世界に縁のない者からすれば、どこか遠い「あちら側」のことがらだと考えがちである。その一方で、わたしたちは、「きっとあれは大変な仕事なのだろう」ということを、すでになんとなくは「知っている」。この「落差」について、わたしたちのあたりまえの日常のなかから、まずは考えてみたい。 わたしたちは、多かれ少なかれ、日々の暮らしのなかで経験するさまざまな感情を、社会的・文化的ルールに従ってコントロールし、演技しながら生きていると言える。そして当然ながら、「ケアの現場」もまた、そんなわたしたちの日常から地続きの延長線上にあるのだということに、現場で起こるできごとは気付かせてくれる。 この講義では、「障害者の自立生活」と呼ばれる実践をおもに取り上げ、その社会的な意義と、具体的な介助現場の事例を踏まえながら、ケアのなかでどうしても避けることのできない「ネガティブな感情」をどのように処理するかという問題について、おもに感情社会学、および障害学の視点から考える。 なお、この講義の担当者は、障害当事者団体での障害者介助の業務を8年間経験した、実務経験のある教員である。経験的データおよび実際的な観点から、ケア労働者の実態を明らかにすることを目指す。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
・病者、高齢者や障害者を「ケアする」営みの内実について、社会学の視点からとらえ、説明することができる。 特に、障害者への配慮と支援の技法を検討することを通して、持続可能な社会の形成を構想するための能力を獲得することができる。 ・他者同士のあいだに取り交わされる相互行為/コミュニケーションのありかたを、社会学理論を応用して説明、検討することができる。 ・関連するさまざまな差別事象、差別現象、人権にかかわる問題について、応用して問題設定できる。 |
授業のキーワード /Keywords |
ケア / 介助(介護) / 障害者 / 感情労働 / 身体 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
・講義形式でおこなう。 ・平常レポートおよび期末レポートが課される。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
・ゲストスピーカーを招く予定だが、先方の都合により、授業計画が前後する可能性がある。 ・2年次後期の「福祉社会学 II」もあわせて受講していることが望ましい。 |
授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
事前学習: 講義の対象となるテーマについて、インターネットを利用し、新聞・ニュース記事を読んでおくことで一定のイメージをつかんでおくこと (目安: 1時間程度)。 事後学習: 講義ノートを再確認し、講義内で紹介した各種統計資料や文献を積極的に読むこと (目安: 1時間程度)。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
・複数回の平常レポート、および期末レポートを課す。 ・適宜、授業内でフィードバックをおこなう。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
平常レポート : 50% 期末レポート : 50% |
テキスト /Required Texts |
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参考図書 /Reference Books |
前田拓也『介助現場の社会学──身体障害者の自立生活と介助者のリアリティ』生活書院, 2009年. → 詳細 - - - さらに、以下の参考文献を読んでおくと授業内容の理解がより深まる。 ・安積純子・尾中文哉・岡原正幸・立岩真也『生の技法 ──家と施設を出て暮らす障害者の社会学 第3版』生活書院 ・渡辺一史『なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える』ちくまプリマー新書 ・荒井 裕樹『障害者差別を問いなおす』ちくま新書 ・寺本晃久・岡部耕典・末永弘・岩橋誠治『良い支援? ──知的障害/自閉の人たちの自立生活と支援』生活書院 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | ガイダンス | 講義全体の進めかたを説明し、目標を確認する。 | |
2 | 第2回 | 「自立」とはなにか | 講義の中心テーマである「障害者の自立」の定義から、現代社会における障害者の位置付けを検討する。 | |
3 | 第3回 | 「自立生活」という暮らしかた 1 | 障害者の自立生活の意義を、「脱施設」という主張を通して理解する。 | |
4 | 第4回 | 「自立生活」という暮らしかた 2 | 障害者の自立生活の意義を、「脱家族」という主張を通して理解する。 | |
5 | 第5回 | 「自立生活」という暮らしかた 3 | 障害者の自立生活の意義を、障害当事者の「自己決定」との関係から検討する。 | |
6 | 第6回 | 当事者の語りから | 障害当事者をゲストとして招き、かれらの暮らしの実際とライフ・ストーリーを聴き、理解する。 | |
7 | 第7回 | 感情の社会学 1 | 「感情の社会性」を日常生活の具体例のなかから検討する。 | |
8 | 第8回 | 感情の社会学 2 | 身体をめぐるルール、とくに「身体距離」から日常世界を捉え直し、検討する。 | |
9 | 第9回 | 感情の社会学 3 | 「感情操作/感情管理」から日常世界を捉え直し、検討する。 | |
10 | 第10回 | 感情の社会学 4 | 感情労働という概念から、現代社会における労働と感情の関係を検討する。 | |
11 | 第11回 | 障害者介助の技法 | 感情労働の概念を用いて、「障害者を介助すること」の詳細を検討する。 | |
12 | 第12回 | ケアの感情社会学 | 「ケア」ないし「障害者の介助」における「ネガティブな感情」をどう扱うことができるかを考える。 | |
13 | 第13回 | ケアは「大変」か 1 | ケア現場においてセクシュアリティをどのように扱うことができるかを検討する。 | |
14 | 第14回 | ケアは「大変」か 2 | 「他者をケアする」というおこないが持ちうる独特の「大変さ」はどこにあるかを検討する。 | |
15 | 第15回 | 総括とふりかえり | 講義全体をふりかえり、要点を再確認する。 |