シラバス参照

授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2023/07/20 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
人類進化誌Ⅰ/行動人類学方法論/Evolution of Human Beings Ⅰ
授業コード
/Class Code
B508323001
開講キャンパス
/Campus
有瀬
開講所属
/Course
人文学部/Humanities and Sciences
年度
/Year
2023年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
前期/SPRING
曜日・時限
/Day, Period
火5(前期)/TUE5(SPR.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
竹内 潔/TAKEUCHI KIYOSHI
科目区分
/Course Group
【専門教育科目】 〈人と社会と自然科目群〉/*** MAJORS *** 〈SUBJECTS OF ENVIRONMENT, HUMAN, COMMUNITY AND HISTORY〉
遠隔授業
/Remote lecture
Yes

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
竹内 潔/TAKEUCHI KIYOSHI 人文学部/Humanities and Sciences
授業の方法
/Class Format
遠隔授業(オンデマンド授業)
授業の目的
/Class Purpose
最近、人を批判するときに「あの人は人間としてどうなのか?」といった表現がよく使われています。この表現の意味は、「あの人は人間の基本的な特徴である良心をもっていない」ということでしょう。では、「人間の基本的特徴」は、「良心」だけでしょうか?また、人間以外の動物は「良心」を持っていないのでしょうか?
じっさいには、人間だけが持っている心理的・行動的な特徴には、「良心」以外にもさまざまなものがあります。また、動物、とりわけ人間に近い類人猿には人間の「良心」的行動に似た行動が見られます。

この科目の前半では、人類学や霊長類学の知見にもとづいて、まず、私たち現在の人類が持っている基本的特徴について私たちの行動と類人猿の行動を比較して考えてみます。つづいて後半では、私たちが持つ基本的な特徴が、時間の流れのなかで、つまり、人類の進化のなかでどのようにしてあらわれたのかについて明らかにします。この二つの作業によって、私たち現在の人類が持つ基本的特徴、すなわち「人間性」の内容と起源を理解することがこの授業の目的です。前半、後半ともに、理解をすすめるために、毎回の授業で映像資料を使います。

なお、この科目では人文学部ディプロマポリシーの「人間の行動や文化に関する専門知識と技能を総合的、体系的に身につけている」と「人文学の知見にもとづき、知的好奇心をもって自立的に深く学修できる」の達成をめざします。
到 達 目 標
/Class Objectives
1. 現生人類の行動や能力について、基本的な特徴を説明できる。
2. 現生人類の行動や能力面の基本的特徴が、人類の進化の中でどのようにしてあらわれてきたのかについて説明することができる。
3. われわれの日常の行動に人類の進化が反映されていることに気づくことができる。
授業のキーワード
/Keywords
人間性、進化、類人猿、現生人類、化石人類、共時的、通時的
授業の進め方
/Method of Instruction
■最初(第1回)の授業は、この科目の概要を紹介するガイダンスです。
■第2回以降の授業の構成は次のとおりです。ただし、順序は授業ごとに変わります。
a) 前回の授業の質問や感想から代表的なものや授業の流れに沿ったものをいくつかとりあげて、回答や補足説明
b) 前回の小テストの解答例の紹介
c) 映像資料の視聴
d) パワーポイントを使った説明
e) 小テスト、質問・感想の提出
履修するにあたって
/Instruction to Students
★シラバスは、担当教員と受講生のあいだで交わすいわば「契約書」です。シラバスの内容をしっかり確認した上で受講してください。

■この科目は、「人類の歴史Ⅱ」の「詳細版」という一面を持っていますので、「人類の歴史Ⅱ」を履修していると授業内容を理解しやすいと思います。
■授業で使用するパワーポイント・スライドの配布資料は、授業前にMoodleにアップして知らせます。スマホにダウンロードするか、ストリーミングして、パソコンで授業を視聴する際の参考にしてください。
■授業の進捗や小テストの回答に反映される理解度によって、授業計画の内容や順序を変更することがあります。
■授業中に流す映像資料の大半は日本語音声ですが、字幕はついていません(外国語の映像資料には、日本語字幕がついています)。
■授業動画は小テスト回答期限後も視聴できるので、復習に活用してください(ダウンロードはできません)。
■小テストは【最初から最後まで授業を視聴していないと答えられない問題】を出します。オンライン授業だから単位が取りやすいということはないので注意してください。また、この科目に出席点はないので、授業を視聴せずに適当に書いた回答は零点となります。
■毎回の授業で前回の小テストの正解例や採点基準を示しますので、自己採点してください。
■小テストで友人に知らせてもらった回答をそのまま、もしくは少し変えて提出した場合は、知らせてもらった方も知らせた方も、両方とも零点とし、通算2回同じ行為をおこなった場合は単位を認定しません。
■友人の期末レポートをコピーまたは少し変えて提出した場合、不正行為として、写した方も、写させた方も単位を認定しません。
■ネットや書籍などに書いてあることを切り貼りしただけの小テストの回答や期末レポートは零点とします。


授業時間外に必要な学修
/Expected Work outside of Class
毎授業終了後、必ず、記憶が新鮮な当日のうちに映像資料の内容をスライド配布資料と関連づけて、ノートにまとめてください(30分程度)。
★この作業をおこなっておかないと、期末のレポートが書けません。
なお、授業動画は、小テスト回答期間終了後も視聴できます。
提出課題など
/Quiz,Report,etc
第2回~第15回授業では、Moodleで小テストの回答、質問、感想を提出してもらいます。
最終授業終了後、原則として試験期間中に、Moodleで期末レポートを提出してもらいます。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
■第2回~第15回授業の小テスト 1回5点×14回=70点
□Moodleを使って回答してもらいます。
□質問は「授業を聞いていたかどうか」を確認するような選択肢形式ではなく、授業内容の理解をもとに自分で考える記述形式です。
評価では、「自主的に考えようとしたかどうか」という点を重視します。したがって、誤答であった場合も、(一生懸命)考えたことが分かる回答には点をあたえます。
□授業内容に対する質問と感想も、主体的な授業への取り組みの観点から評価にふくめます。

■期末レポート 30点
□題目と字数は、小テストの回答に反映される授業の理解度や授業の進捗状況を考慮して、最終の授業で発表します。
□Moodleを使って提出してもらいます。
□評価基準は以下の2点です。
1) 映像資料を含め、授業内容がしっかりと理解できているか (80%)。
2) 自分の考えを分かりやすく論理的に表現しているか (20%)。
テキスト
/Required Texts
ありません。
参考図書
/Reference Books
以下の本は受講に必須というわけではありません。授業内容に関心を持ったら、図書館で借りて読んでください。
・山極寿一, 2008. 『人類進化論―霊長類学からの展開』, 裳華房.
・井原泰雄, 梅﨑昌裕, 米田穣, 2021. 『人間の本質にせまる科学: 自然人類学の挑戦』, 東京大学出版会.
・海部陽介, 2022. 『人間らしさとは何か : 生きる意味をさぐる人類学講義』,  河出書房新社.
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 ■ガイダンス 科目の内容、授業の進め方、成績評価方法について説明し、人類学という学問の概要についても説明をおこないます。
2 第2回 ■類人猿は人類に進化するのか? 生物分類上と生物進化における現生人類と類人猿の関係をもとにして、「類人猿は人類に進化するのか」という問いについて考えます。
3 第3回 ■類人猿は言語能力を持っているのか? 類人猿(チンパンジー、ボノボ)の言語能力実験をもとに、類人猿の言語を使う力と私たち現生人類の言語を使わないコミュニケーション(非言語コミュニケーション)について考えます。
4 第4回 ■類人猿は道具を作るのか? 野生のチンパンジーの道具の使用や製作についての実例をもとにして、現生人類との技術に関する基本的な違いについて考えます。
5 第5回 ■類人猿は協力したり、贈りものをしたりするのか? 類人猿と現生人類の協力や食料の分配に関する実験の結果を比較して、協力や分配における両者の基本的な違いについて考えます。
6 第6回 ■類人猿に家族はあるか? 野生の類人猿(チンパンジー、ボノボ、ゴリラ)の集団についての映像資料をもとに、生活の基本的な単位についての現生人類の特徴を考えます。
7 第7回 ■現生人類はどのような特徴を持つのか?
第2回から第6回の授業内容をもとに、類人猿と比較した場合の現生人類の基本的な特徴をまとめます。
8 第8回 ■人類はいつ、どのようにして家族を持ったのか? 森林の急激な減少という環境の変化に直立二足歩行で適応した生物が人類という存在であることを理解したうえで、直立二足歩行が私たち現生人類に至るまで及ぼすことになった影響について考えます。
9 第9回 ■人類はいつ、どのようにして道具を作るようになったのか? 草原化が進む環境で、二つの化石人類(ホモ・ハビリスとパラントロプス・ボイセイ)が生存のためにとった戦略を比較して、生存と絶滅を分けた要因について考えます。
10 第10回 ■人類はいつ、どのようにして食糧を分配するようになったのか? 完全に草原となった環境で、化石人類(ホモ・エレクトス)に生じた身体的変化と生活の変化について考えます。
11 第11回 ■ネアンデルタール人はどのような人類だったのか? 寒冷地で誕生したネアンデルタール人がどのような特徴をもった人類であったのか、考えます。
12 第12回 ■なぜネアンデルタール人は滅び、ホモ・サピエンスは生きのびたのか? ほぼ同時に誕生したホモ・サピエンスとネアンデルタール人の生存と絶滅を分けた原因について考えます。あわせて、異なる人類間の交雑とその影響についても考えます。
13 第13回 ■ホモ・サピエンスはいつ、どのようにして芸術や多様な道具を産みだすようになったのか? ホモ・サピエンスが、約5万年前に突如として壁画などの芸術や多彩な道具製作技術を発達させた原因を探ります。
14 第14回 ■ホモ・サピエンスはどのようにして地球上に広がったのか? ホモ・サピエンスがアフリカから地球上のさまざまな環境に進出することができた要因について考えます。
15 第15回 ■ホモ・サピエンスは生きのびることができるか? 第8回から第14回の授業内容をまとめ、さらに、現在のホモ・サピエンスが抱えている問題について考えます。

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