シラバス参照

授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2023/07/20 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
人文の知B/人文の知3 ローカルの価値①/Knowledge of Humanities B
授業コード
/Class Code
B505584001
開講キャンパス
/Campus
有瀬
開講所属
/Course
人文学部/Humanities and Sciences
年度
/Year
2023年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
前期/SPRING
曜日・時限
/Day, Period
水1(前期)/WED1(SPR.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
矢嶋 巌/YAJIMA IWAO
科目区分
/Course Group
【専門教育科目】 〈人文の知科目群〉/*** MAJORS *** 〈SUBJECTS OF KNOWLEDGE OF HUMANITIES〉
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
井上 豊久/INOUE TOYOHISA 人文学科/Humanities
矢嶋 巌/YAJIMA IWAO 人文学科/Humanities
用田 政晴/YODA MASAHARU 人文学科/Humanities
授業の方法
/Class Format
対面授業(講義)
授業の目的
/Class Purpose
 グローバル化が進む現代、さまざまな分野において効率化が進み、画一的なシステムが形成されてきています。日本のどこにおいても、似たような風景が広がり、同じような社会の仕組がつくられ、色濃かった各地それぞれの文化も失われてきています。かつて、多様な自然環境のうえに、地域固有の歴史を経て、多様な社会、文化をなしていたローカル(地域・地方)は、その個性を次第に失いつつあるといえます。そうした中で、ローカルの価値が見直される時代ともなり、ローカルの宝を発掘し、その価値を見直し、それらを活かしていこうとしたり、ローカルスケールで生きていくことを志向する人たちが増えつつあります。
 本授業では、人文学部ディプロマポリシーに基づいて、複数の分野の基礎知識を教養として身につけるため、歴史環境と人間、社会的・文化的活動に関するさまざまな知識の相互関連について理解し、知識を活用しての問題を解決する考察力を修得するために、ローカルを活かす取り組みやまちづくりがどのように図られ、どういった情報が発信され、どのような生き方がローカルにおいて模索されるようになっているのかについて、歴史環境、教育、地域社会に関する実践的な事例から具体的に学び、それぞれの事例におけるローカルの価値と意義を学ぶとともに、次代へとつながるローカルな知を創造し開発していく視野を得ます。また、修得した人文学の知見にもとづき、知的好奇心をもって、自立的に深く学修できるようになることを求めます。そして、獲得した知識と体験と技能を活用して、自らが設定した課題や問題点を論理的な分析と考察をとおして解決・解明へと導く力を修得することを目的とします。
到 達 目 標
/Class Objectives
・ローカルにおける歴史環境・地域教育・社会のあり方が有する意味について理解できる。
・ローカルにおける歴史環境や地域教育、社会が、現在の姿へと変化してきたメカニズムについて考察できる。
・ローカルを活かす取り組みやまちづくりの意義について考察できる。
・大学における地域に関係する専門分野での研究や、地域に関係する業務を遂行するための基礎力を得る。
授業のキーワード
/Keywords
協働型市民社会 歴史環境 博物館 地域 まちづくり ローカルな知 学校・家庭・地域の協働
授業の進め方
/Method of Instruction
オムニバス形式で行ないます。毎回、授業内容を踏まえた小レポートを課します。ただし、10回目の井上担当授業では、授業時間でまとめレポートをおこないますので、指示に従ってください。第15回で、最終レポートを課しますので、決められた期日に提出してください。
履修するにあたって
/Instruction to Students
授業時間外に必要な学修
/Expected Work outside of Class
新聞やテレビ、インターネットでの報道などで目にした、環境、教育、地域社会に関するローカルでの出来事に関心を持ち、それがどのような意味を持つのかを考えることを心がけましょう。シラバスを参考にして、講義前に関係する事項について1時間程度の予習を、また、講義後には授業内容について1時間程度の復習をすることを心がけて下さい。
提出課題など
/Quiz,Report,etc
毎回授業内容についての小レポートの提出を求めます。また、最終レポートの提出を求めます。なお、小レポートについては、受講者の理解を深めるために、いくつかを選んで、次回の授業で匿名にて論評するなどのフィードバックを行ないます。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
毎回提出を求める小レポート60パーセント、最終レポート40パーセントを基準とします。最終レポートはA4二枚です。最終レポートについては、第15回の授業で改めて説明します。
テキスト
/Required Texts
使用しません。
参考図書
/Reference Books
田中 琢『考古学で現代を見る』2015年、岩波書店(岩波現代文庫)
日本社会教育学会編『〈ローカルな知〉の可能性』2008年、東洋館出版
山浦晴男『地域再生入門―寄り合いワークショップの力―』2015年、筑摩書房(ちくま新書)
安福恵美子・天野景太『都市・地域観光の新たな展開』2020年、古今書院
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 王と武将の水の道-歴史の見方-
巨大な歴史的構築物であり政治的なモニュメントである古墳と城郭から、水域を道として活用した古代と中世の権力者の姿を読み取り、地域と歴史の関わり・評価法を学ぶ。
2 第2回 湧水環境保全の考古民俗学的アプローチ-生活空間の見方- 琵琶湖地域と沖縄・竹富島における湧水環境の記録法開発と地域による水環境保全のための実践と論理を学び、身近な生活空間記録法を知る。
3 第3回 歴史教科書のウソとホント-教科書の見方- 義務教育における歴史教科書の間違いや評価すべき点を明らかにし、時代と共に変化する史観や国の方針などを読み取り、自らの歴史観形成の一助にする。
4 第4回 兵庫の古墳-遺跡の見方- 弥生時代墳丘墓、古墳時代大型円墳、大型前方後円墳など日本列島の歴史を代表するを代表する兵庫県内の遺跡について学び、身近な歴史環境の在り方を知る。 
5 第5回 兵庫の博物館-博物館の見方- 橋の科学館、野島断層保存館、小磯記念美術館、竹中大工道具館など身近にある小規模博物館と中規模博物館を概観し、博物館・資料館の見方・評価の仕方を知り、自らの研究調査利用の一助にする。
6 第6回 教育とローカルな知 教育の基礎・基本をまず理解し、現代教育の特徴をふまえた上で、教育とローカルな知との関係性を問う。地域形成における住民の学習活動・ボランティア活動をローカルな知の視点から位置づけ、地域における学習成果の社会還元の意味を問う。 
7 第7回 子どもの体験活動とローカルな知 子どもの体験活動の実態と課題をふまえて、子どもの体験活動と地域形成との関わりを検証する。特に子どもの体験活動の意味や意義について具体的・現実的に考察する。
8 第8回 まちづくりとローカルな知 現代のまちづくりや市民活動の視点からローカルな知の意味を問う。従前の社会教育とは異なる仕掛けであることから、ボランテイアを考察し、協働型社会構成要素としての可能性を検証する。
9 第9回 コミュニティスクールとローカルな知 コミュニティスクールの進展の中で、我が国の学校、家庭、地域の役割を問い、学校教育への参画を通して協働型市民社会の在り方を問う。
10 第10回 生涯学習とローカルな知 社会変化・時代と一生涯の視点、連携や協働の視点、そして、自己決定的学習の視点からローカルな知について考える。
11 第11回 水とともに生きる:福井県大野  城下町の各所で湧く「清水=しょうず」天然記念物の魚イトヨが象徴となっている福井県大野を事例に、水とともに生きる人々の暮らしと、かつて住民自らが招いた水の危機から、受け継がれていく地域の水が持つ価値とまちのあり方について考える。
12 第12回 企業の社会的責任と地域:和歌山県龍神・中辺路  和歌山県龍神・中辺路では、林業が縮小し、林業地域の過疎化が深刻化する中で、環境CSR活動として企業による森づくりの取り組みが広がりつつある。取り組む企業と地域の事情を通して、その意義と課題について考える。 
13 第13回 ものづくりの系譜:大阪府堺 ものづくりが地域の力の源となって発展した大阪府堺の自転車産業を事例に、現在も地場産業に残るものづくりの系譜と、地域の観光や生活、政策に散見されるものづくりの脈絡をたどり、それらの意味について考える。
14 第14回 観光によるまちづくりの光と影:大分県由布院   一寒村から日本有数の温泉観光地へと変貌した大分県由布院を事例に、観光によるまちづくりに活かされてきた地域の農村風景が持つ価値を踏まえ、まちづくりの背景や目指した方向性、バブル経済による変貌を明らかにする。
15 第15回 ため池に価値を:兵庫県加古川  兵庫県東播磨地域では、ため池が多い地域全体を博物館に見立てた、いなみ野ため池ミュージアムの取り組みが行われている。比較的降水量が少ない地域で大量の水を必要とする稲作を行うため、古来より築造されてきたため池が有する現代的問題と、それを活かそうとする地域づくりの課題について、兵庫県加古川での取り組みを例に考える。

科目一覧へ戻る