科目一覧へ戻る | 2023/07/20 現在 |
開講科目名 /Class |
人文の知D/人文の知6 ヴァーチャルなものと現実性 【②】/Knowledge of Humanities D |
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授業コード /Class Code |
B500825002 |
開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
人文学部/Humanities and Sciences |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
後期/AUTUMN |
曜日・時限 /Day, Period |
水1(後期)/WED1(AUT.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
平光 哲朗/HIRAMITSU TETSUROU |
科目区分 /Course Group |
【専門教育科目】 〈人文の知科目群〉/*** MAJORS *** 〈SUBJECTS OF KNOWLEDGE OF HUMANITIES〉 |
遠隔授業 /Remote lecture |
Yes |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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中山 文/NAKAYAMA FUMI | 人文学科/Humanities |
服部 亮祐/HATTORI RYOSUKE | 人文学科/Humanities |
平光 哲朗/HIRAMITSU TETSUROU | 人文学科/Humanities |
授業の方法 /Class Format |
遠隔授業(オンデマンド) |
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授業の目的 /Class Purpose |
ヴァーチャル・リアリティ(VR)は一般に、コンピューターによって作り出された仮想的(ヴァーチャル)なものが、現実であるかのように知覚されることを言います。例えばある種の装置によって、私たちは自分の部屋に居ながらにして空を飛び、または戦場を駆け巡ることができますし、遠く離れた誰かと恋に落ちることだってあり得ます。 コンピューター技術の進展は、ヴァーチャルなものの現実性を飛躍的に高めました。しかし私たちはずっと以前から、程度の差はあれ同じような経験をしてきましたし、またそれについて考えてもきたのです。 演劇は、そしてそもそも言葉というものが、私たちに現実とは別な世界を、可能なものの世界を開いてくれます。またある哲学者によれば、私たちは影絵を現実だと思って見ているに過ぎません。さてこうしたことと、現在の技術によって可能になっていることとは、何が同じで何が違うのでしょうか。 この講義では、ヴァーチャルなものとその現実性を、中国演劇、言語学、哲学、それぞれの観点から問い直します。 中国演劇では、「仮想的な異性を演じる男役」を持つことを劇種の特徴とする越劇の歴史について考察します。 言語学では、「言葉がわかる」とはどういうことかを、人間とAI(人工知能)の比較を通して考えます。 哲学では、私たちが現実と呼んでいるものがどのようにできているかを考察し、ヴァーチャルなものの現実性を問い直します。 本講義は、これら三つの学知からヴァーチャルなものとは何かを問い、私たちが持つその経験を明らかにします。 本講義は、人文学科DP1、2、4、5、7、8に対応しています。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
中国演劇:現実の男性と舞台上の男性を対比しつつ、女性が仮想する理想の男性像とはどのようなもので、それを男役がどのように形にしているかを、説明できる。 言語学:人間とAIを対比しつつ、「言葉が分かる」ことがどのようなことか、説明できる。 哲学:「現実」がどのように成立しているかを考察し、仮想的なものの現実性を説明できる。 |
授業のキーワード /Keywords |
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授業の進め方 /Method of Instruction |
これはオムニバス講義です。言語学(服部)、中国演劇(中山)、哲学(平光)、それぞれの分野ごとに1名の教員が講義します。みなさんは毎回、出席カードの記述欄に講義を受けて感じたこと、考えたこと、疑問に思ったことを記述します。第14回目の講義では、各分野担当者の3名が順に登壇し、それぞれの講義内容についてレビューを行います。第15回目の講義では、3名がそろって登壇し、座談会形式で講義主題について討論を行います。 第1回 担当:教員3名 第2~5回 担当:服部 第6~9回 担当:中山 第10~13回 担当:平光 第14、15回 担当:教員3名 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
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授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
事後学習として、講義内容について自らの考察を深める(目安として週1時間程度)。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
講義各回についてのコメント記述または小テストとレポート課題。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
3人の教員それぞれにおよそ33点を配分し、合計100点満点で評価する。 |
テキスト /Required Texts |
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参考図書 /Reference Books |
川添愛『ヒトの言葉 機械の言葉 「人工知能と話す」以前の言語学』角川新書、2020年。 広瀬友紀『ちいさい言語学者の冒険 子どもに学ぶことばの秘密』岩波書店、2017年。 中国ジェンダー研究会編『中国の娯楽とジェンダー 女が変える/女が変わる』勉誠出版、2022年。 トマス・ネーゲル著、岡本裕一朗・若松良樹訳『哲学ってどんなこと?─とっても短い哲学入門─』昭和堂、1993年。 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | ガイダンス | 授業の概要と内容の説明。 | |
2 | 第2回 | 言語学篇1 言葉の聞き取り |
AIはどのように私たちの言葉を聞き取っているのでしょうか。そもそも「言葉を聞き取れる」とはどういうことなのでしょうか。機械による音声認識を通して、物理的な音の波を抽象的な音の単位に変換するメカニズムについて考えてみましょう。 | |
3 | 第3回 | 言語学篇2 会話をする機械 |
人間と見分けがつかない会話能力を持っている機械は、知性を持っていると言えるでしょうか。「言葉がわかる」とはどういうことなのか、自然な会話ができることと言語が理解できることの違いについて考えてみましょう。 | |
4 | 第4回 | 言語学篇3 単語の意味 |
機械に単語の意味を教える際、私たちの使っている辞書の内容をそのまま教えてやれば良いのでしょうか。また、何ができれば、言葉の意味がわかっていると言えるのでしょうか。意味とは何なのか、考えてみましょう。 | |
5 | 第5回 | 言語学篇4 話手の意図 |
「文そのものが表す内容」と「話す人がこういうつもりで言った内容」にはズレが生じることがあります。機械が言語をうまく扱えるようになるために、このズレをどのように解消していく必要があるのか、考えてみましょう。 | |
6 | 第6回 | 中国演劇篇1 | 中国演劇入門。中国伝統演劇は大衆に仮想の社会をわかりやすく伝えてきた。その便利のために舞台に生まれたルールについて知識を得る。 | |
7 | 第7回 | 中国演劇篇2 | 中国が最も近代化したのは1940年代の上海である。当時の社会に置かれた女性の状況と彼女らが仮想した男女関係について考える。 | |
8 | 第8回 | 中国演劇篇3 | 越劇名作「梁祝」を題材に、当時の上海女性が演じた男役について考える。 | |
9 | 第9回 | 中国演劇篇4 | 本学で上演された越劇「梁祝」の映像をみて、越劇の男役への知識を深める。 |
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10 | 第10回 | 哲学篇1 夢か現実か |
私たちは仮想的なものが現実のように見えていたとしても、それと現実とを区別しています。この区別は、仮想的なものが物質的、物体的な実質を伴わないことによるでしょう。では、ある物体がそこに実在すると、私たちは何によって知るのでしょうか。この問いからはじめて、私たちの見ている世界が夢であることはありうるか、と考えます。 | |
11 | 第11回 | 哲学篇2 洞窟の比喩 |
私たちは、生まれたときから手足を縛られて、洞窟の奥に映し出された影絵を見せられている。そしてそれが現実だと思って疑わない。プラトンは私たちが感覚によって物を見ていることを、そしてそれが現実だと思っていることを、このように例えて批判します。この議論を通して私たちが物を見ていることとその現実性とを考えます。 | |
12 | 第12回 | 哲学篇3 記憶の潜在性 |
私たちは何かを見ているとき、感覚に与えられたものをそのまま見ていると思っています。けれどもベルクソンは、知覚における像のほとんどは記憶に由来すると言います。そして記憶の在り方を、現在の知覚に対して潜在的な(virtuel)ものとします。ベルクソンの知覚論、記憶論とともにヴァーチャルということをもう一つの観点から捉えます。 | |
13 | 第13回 | 哲学篇4 ヴァーチャルなものと現実性 |
ドゥルーズが、ベルクソンの解釈から出発して、潜在的なものはそれ自体で現実性を持つ、と考えました。その時、彼は潜在的なものと可能的なものとを区別しました。このドゥルーズの議論を辿り、ヴァーチャルなものと現実性を巡る問題の理解を新たにします。 | |
14 | 第14回 | レビュー ヴァーチャルなものと現実性 |
3人の教員による講義内容の振り返りと総括。 | |
15 | 第15回 | シンポジウム ヴァーチャルなものと現実性 |
3人の教員による討論と質疑応答。 |