科目一覧へ戻る | 2023/07/20 現在 |
開講科目名 /Class |
物理化学Ⅲ[19~]/Physical Chemistry Ⅲ |
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授業コード /Class Code |
B410333003 |
開講キャンパス /Campus |
ポートアイランド |
開講所属 /Course |
薬学部/Pharmaceutical Sciences |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
前期/SPRING |
曜日・時限 /Day, Period |
木1(前期)/THU1(SPR.) |
単位数 /Credits |
1.5 |
主担当教員 /Main Instructor |
藤井 文彦/FUJII FUMIHIKO |
科目区分 /Course Group |
【専門教育科目】 《選択必修科目》/*** MAJORS *** 《SELECTIVELY REQUIRED COURSES》 |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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藤井 文彦/FUJII FUMIHIKO | 薬学部/Pharmaceutical Sciences |
授業の方法 /Class Format |
講義(対面) |
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授業の目的 /Class Purpose |
この授業の担当者は薬学部所属であり、この科目は、専門教育科目であり2年次に配当している。 この科目は、学部のDPに示す8項目のうち、2を目指す。 ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針) 物質は,温度と圧力の条件によって気体,液体,固体,またはそれらが混在した状態で存在する.こうした物質の状態のことを「相」といい,これは隣り合う相と明確な界面により区別でき,化学的にも物理的にも均一な性質を示す部分をいう.具体的には,固体あるいは結晶は固相,液体は液相,気体は気相などとよび,この3つをあわせて物質の三相という.例えば,水の三相は,液相の水,気相の水蒸気,そして固相の氷である.これらの相の間には平衡が成立する(相平衡).相平衡には,溶解,分配,界面,表面,吸着などの現象にも密接な関わりがある.また,氷が溶けて水になるように,温度と圧力の条件によって,物質はひとつの相から他の相へ変わることがある(相転移).このような相平衡や相転移は,原薬の合成・製造はもちろんのこと,それらを医薬品とするための製剤化技術およびそれに用いる製剤材料の性質を学ぶうえで基礎になる事項である.また,ヒトの生命活動では,多数の物質の状態変化のみならず,外界との間や体内で物質の移動と相互的な変換が起こっている.もちろん生物は開いた系であって,熱力学的に厳密な平衡は成立していない.しかし,生体膜内外での浸透圧や電位差など,局所的な現象に着目すれば,熱力学的平衡の原理を適用できることも多い.このように,物質の状態と平衡現象は,非生物のみならず生物系にもみられる様々な事象に深く関わっている.本科目では,薬学全般に広く関わるさまざまな非生物的・生物的事象を「物質の状態」の視点から捉えて,それを化学や物理の言葉で理解できるようになることを目標とし,その考え方の基本となる「物理平衡」を学ぶ.さらに,生物・非生物における物質の化学反応やエネルギー変換過程が溶液内で多くみられることから,その理解の基本となる「溶液の性質」についても学ぶ. |
到 達 目 標 /Class Objectives |
以下の各SBOsを到達目標とする. 【相平衡】 C1-(2)-⑤-1 相変化に伴う熱の移動について説明できる. C1-(2)-⑤-2 相平衡と相律について説明できる. C1-(2)-⑤-3 状態図について説明できる. 【物理平衡】 AD-C1-②-1 物質の溶解平衡について説明できる. AD-C1-②-2 界面における平衡について説明できる. AD-C1-②-3 吸着平衡について説明できる. AD-C1-②-4 代表的な物理平衡の観測結果から平衡定数を求めることができる.(技能) 【化学平衡の原理】 C1-(2)-④-1 ギブズエネルギーと化学ポテンシャルの関係を説明できる. 【溶液の性質】 C1-(2)-⑥-1 希薄溶液の束一的性質について説明できる. C1-(2)-⑥-2 活量と活量係数について説明できる. C1-(2)-⑥-3 電解質溶液の電気伝導率およびモル伝導率の濃度による変化を説明できる. C1-(2)-⑥-4 イオン強度について説明できる. 【溶液の化学】 AD-C1-③-1 イオンの輸率と移動度について説明できる. AD-C1-③-2 電解質の活量係数の濃度依存性(Debye-Huckel の式)について説明できる. 【電気化学】 C1-(2)-⑦-1 起電力とギブズエネルギーの関係について説明できる. AD-C1-④-1 Nernst の式が誘導できる. AD-C1-④-2 膜電位と能動輸送について説明できる. 【各種の化学平衡】 C2-(2)-②-4 分配平衡について説明できる. 【分散系材料】 E5-(1)-③-1 界面の性質(界面張力, 分配平衡, 吸着など)や代表的な界面活性剤の種類と性質について説明できる. |
授業のキーワード /Keywords |
(相,相転移,相平衡) 物質の三相,相律,自由度,液晶,超臨界流体,多形,相互溶解度曲線,臨界溶解温度,固溶体,共融混合物,分子化合物,沸点図,分留,共沸混合物,正三角座標,クラペイロンの式,クラペイロン・クラウジウスの式 (溶解平衡) 化学ポテンシャル,活量,活量係数,理想溶液,正則溶液,溶解度,結晶多形,非晶質固体,正の水和,負の水和,無機イオン,極性基,疎水基,静電相互作用,水素結合,疎水性相互作用 (界面における平衡) 界面張力,毛細管上昇法,滴重法,円環法,吊り板法,界面張力,付着仕事,凝集仕事,拡張係数,接触角,Youngの式,拡張ぬれ,浸漬ぬれ,付着ぬれ,Gibbsの吸着等温式,HLB,クラフト点,曇点,ミセル形成,臨界ミセル濃度,可溶化,物理吸着,化学吸着,単分子吸着,Langmuirの吸着等温式,分配係数,解離平衡,会合,抽出操作 (溶液の性質) 導電率,導電率測定法,コールラウシュの法則,束一的性質,蒸気圧降下,沸点上昇,凝固点降下,浸透圧,ラウールの法則,ヘンリーの法則,ファントホッフ係数,等張化,氷点降下法,食塩価法,容積価法 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
Powerpointで作成したスライドを使って授業を進めます.スライドは指定図書 『物理系薬学Ⅰ 物質の物理的性質』 を中心にまとめたものです.スライドを印刷したプリントを,主テキストとして配布します. |
履修するにあたって /Instruction to Students |
特に、復習をしっかり行ってください.質問があればいつでも教員の居室まで来てください。不在の時もありますので,事前に電子メール(fumihiko.fujii@pharm.kobegakuin.ac.jp)でアポイントメントを取ることを勧めます. |
授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
事前学習として,配られたプリントで予習してください(目安:0.5時間).事後学習として,授業で配られたプリントを中心に,指定図書や参考書も参考にしながら復習してください(目安:1時間). |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
授業時に指示する. |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
<定期試験> 範囲:第1回〜第12回の講義内容全て 形式:①マークシートによる回答方式(正誤問題,選択式(15問〜20問)),②記述またはマーク式(計算問題:3〜4問),③記述式(用語,事項について重要なキーワードを用いて説明:1問) 採点基準: ・重要なキーワードを用いて、的確に説明できている(100%) ・重要なキーワードを記述しているが、説明に誤った記述や不十分な説明がある(50%) ・的確な説明はされているが、キーワードに漏れや軽微な誤記・脱字が含まれる(50%) ・キーワードが正しく列挙できていない(0%) なお,成績は定期試験(100点)のみで評価する. |
テキスト /Required Texts |
主テキストとして,藤井作成のPowerpointスライド画面のプリント(授業前に配布)を使用する. |
参考図書 /Reference Books |
指定図書は,日本薬学会編 スタンダード薬学シリーズ2 『物理系薬学Ⅰ 物質の物理的性質』 東京化学同人. また,参考書は,『物理化学大義』京都廣川書店,ベーシック薬学教科書シリーズ『物理化学』化学同人. |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | 物質の状態Ⅱを学ぶ意義 | 本科目を学ぶにあたり,その薬学における学習意義,講義概容と到達目標の関連性,講義の進め方,準備しておくべきことを理解する. C1-(2)-⑤-1, C1-(2)-⑤-2, C1-(2)-⑤-3, AD-C1-②-1, AD-C1-②-2, AD-C1-②-3, C1-(2)-⑥-1, C1-(2)-④-1, C1-(2)-⑥-2, C1-(2)-⑥-3, C1-(2)-⑥-4, AD-C1-③-1, AD-C1-③-2,C2-(2)-②-4, E5-(1)-③-1, |
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2 | 第2回 | 相,相転移,相平衡(その1) | 相とそれに関係する基本事項(相転移,相平衡,相律)について学ぶ.また,相の間の平衡関係を表す状態図(相図)について,純物質の相図の描き方と読み方を学ぶ. C1-(2)-⑤-2, C1-(2)-⑤-3, |
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3 | 第3回 | 相,相転移,相平衡(その2) | 2成分系における平衡の特徴,2成分系の相図(液相-液相平衡,固相-液相平衡)の読み方と描き方を学ぶ. C1-(2)-④-1,C1-(2)-⑥-2, |
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4 | 第4回 | 相,相転移,相平衡(その3) | 2成分系相図(気相-液相平衡),3成分系相図の描き方と読み方,相転移に伴う熱の移動(クラペイロン・クラウジウスの式など)を学ぶ. C1-(2)-⑤-1, C1-(2)-⑤-2, C1-(2)-⑤-3, |
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5 | 第5回 | 溶解平衡(その1) | 相平衡の一例として,物質の溶解過程を取り上げ,溶解過程は溶質分子と溶媒分子の混合過程に基づくこと,混合するかどうかは自由エネルギー変化の正負で決まることを学ぶ. さらに,物質の溶解によって形成される溶液の状態や性質を理解するための熱力学関数として化学ポテンシャルの意味と活量の考え方を学ぶ※. AD-C1-②-1, C1-(2)-④-1, C1-(2)-⑥-2, |
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6 | 第6回 | 溶解平衡(その2) | その1に引き続き,溶解度に影響を与える因子として,固体の状態(結晶・結晶多形・非晶質)と溶解性の関係を学ぶ. さらに,分子間相互作用(水の性質,無機イオンの水和,極性基の水和,疎水性相互作用など)と溶解性の関係を学ぶ※. AD-C1-②-1, C1-(2)-④-1, C1-(2)-⑥-2, |
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7 | 第7回 | 界面における平衡(その1) | 物質の界面における平衡過程を取り上げ,その基本となる表(界)面張力の導出,測定法,ぬれと接触角について学ぶ. さらに,気相中あるいは液相中に形成される微小液滴の安定性と表(界)面張力の関係についても学ぶ※. AD-C1-②-2, E5-(1)-③-1, |
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8 | 第8回 | 界面における平衡(その2) | その1に引き続き,代表的な界面活性剤の種類とその基本的性質について学ぶ. さらに,界面における平衡に関係する事象の一例として,吸着を取り上げ,気相-液相界面および気相(または液相)-固相界面における吸着現象についても学ぶ※. AD-C1-②-2, E5-(1)-③-1, |
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9 | 第9回 | 界面における平衡(その3) | 界面における平衡の一例として,分配平衡を取り上げ,その成立条件,溶質の解離度と分配平衡の関係,溶質が会合する場合の分配平衡について学ぶ. さらに,分配の法則の薬学関係事象への応用についても学ぶ※. AD-C1-②-2, C2-(2)-②-4,E5-(1)-③-1, |
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10 | 第10回 | 溶液の性質(その1) | 薬学領域において関わりの深い電解質溶液を取り上げ,その基本的性質(電気伝導率,モル導電率の濃度による変化,イオン強度など)について学ぶ. C1-(2)-⑥-2, C1-(2)-⑥-3, C1-(2)-⑥-4, AD-C1-③-1,E5-(1)-③-1, |
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11 | 第11回 | 溶液の性質(その2) | 溶液が有する束一的性質(蒸気圧降下,沸点上昇,凝固点降下,浸透圧)について学ぶ. C1-(2)-⑥-1, |
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12 | 第12回 | 溶液の性質(その3) | その2に引き続き,溶液が有する束一的性質の薬学における応用について学ぶ. C1-(2)-⑥-1, |