科目一覧へ戻る | 2023/07/31 現在 |
開講科目名 /Class |
労働経済論 [公共](公共)/Labor Economics |
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授業コード /Class Code |
B000531001 |
開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
経済学部/Economics |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
後期/AUTUMN |
曜日・時限 /Day, Period |
月1(後期),月2(後期)/MON1(AUT.),MON2(AUT.) |
単位数 /Credits |
4.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
岡本 弥/OKAMOTO HISASHI |
科目区分 /Course Group |
【専門教育科目】 (各コース科目・専門科目)/*** MAJORS *** (各コース科目・専門科目) |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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岡本 弥/OKAMOTO HISASHI | 経済学部/Economics |
授業の方法 /Class Format |
講義 |
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授業の目的 /Class Purpose |
この科目は、DP(学位授与方針)の「1.経済の歴史や制度に係わる知識を修得し、今日の経済情勢を歴史的・制度的に理解できる」、「2.経済理論の基礎を習得し、日常の経済生活や経済全体の動向について理論的に理解できる」ことを目指している。 この講義では、労働経済学の学習において必須となる基本的な理論モデルを学び、それを用いてわが国の雇用慣行や労働市場の特徴と近年観察される大きな変化について学習する。 この講義の担当者は、金融機関において融資渉外業務に約6年間従事した実務経験のある教員であり、労働経済学の主な分析対象とされる賃金の決定メカニズムや雇用調整などを、自らの体験を踏まえて現実を活写しながら経済理論と現実との間に存在するギャップを浮かび上がらせるといった実践性が特色のひとつといえる。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
目標として以下の2つを掲げたい。 ①現実にどのような労働問題が存在し、それがどういった理由で問題と認識されるのか、自分の言葉で説明できる。 ②新聞に掲載される労働問題に関わる記事に制度に関する知識を援用しながら経済学的な視点からコメントできる。 |
授業のキーワード /Keywords |
労働市場、賃金決定、雇用調整、日本的雇用 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
講義を行い、期中に数回、授業の最後に、講義内容に関する確認テストを実施する。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
労働経済学はミクロ経済学の応用分野であるため、授業についてゆくには、基礎レベルのミクロ経済学の知識は欠かせない。2年次前期配当のミクロ経済学において、B以上の成績であった者を主な受講者層と想定している。知識を増やすことよりも、知識をどう使うかを学ぶことに重きをおいているため、暗記主体で乗り切れると考えている者は要注意である。 |
授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
講義資料は毎回、A4表裏で4〜5枚とボリュームがあるので、その日のうちに1時間程度かけて復習することが望ましい。特に、経済理論については、授業があったその日のうちに講義内容を思い出しながら反芻しておくことが求められる。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
「授業の進め方」ですでに述べたように、期中に数回、講義内容についての確認テストを実施する予定である。極力、次回の講義において模範解答例を示しながら簡単な解説を行うこととしたい。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
中間試験(50%)・定期試験(50%)で評価する。これにレポートの点数も加算する。 |
テキスト /Required Texts |
テキストは指定しない。ただし、以下の参考書は講義をより深く理解する上で役立つと思われる。 |
参考図書 /Reference Books |
①大竹文雄(1998)『労働経済学入門』日経文庫 ②大橋勇雄・中村二朗(2004)『労働市場の経済学』有斐閣 ③樋口美雄(1996)『労働経済学』東洋経済新報社 ④中馬宏之(1995)『労働経済学』新世社 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1〜2回 | イントロダクション&ミクロ経済学の復習(1) | 【イントロダクション】 (1) 労働経済学の分析の枠組み (2) 2つの労働市場 (3) 労働市場の3つの特徴 【ミクロ経済学の復習(1)】 (1)効用関数と無差別曲線 (2)家計の効用最大化 |
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2 | 第3〜4回 | ミクロ経済学の復習(2) | (1) 企業の利潤最大化 (2) 余剰分の基礎 |
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3 | 第5〜6回 | 賃金と雇用量の決定 | (1) 最適な労働供給量の決定 (2) 最適な労働需要量の決定 (3) 競争均衡の性質 |
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4 | 第7〜8回 | わが国の労働市場 | (1) わが国の労働力の構成と労働力率の推移 (2) 近年の労働力の非正規化 (3) 労働時間の推移 (4) 不払い残業の増加とその背景 (5) 賃金の推移 (6) なぜ賃金が上昇しないのか |
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5 | 第9〜10回 | 労働供給 | (1) 最適労働時間の決定 (2) 賃金上昇と労働時間との関係(代替効果・所得効果) (3) 労働供給曲線の特徴 (4) 最低賃金制度の歴史的変遷 (5) 完全競争市場モデルによる最低賃金制度の余剰分析 (6) 最低賃金制度をめぐる論争 |
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6 | 第11〜12回 | 労働需要 | (1) 雇用調整速度の国際比較 (2) わが国における雇用調整速度の変化 (3) 雇用調整を遅らせる要因 (4) 雇用調整に対する解雇権濫用法理の影響 (5) 雇用調整のタイミング (6) 雇用調整と株価(企業価値)との関係 |
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7 | 第13〜14回 | 年功賃金 | (1) 賃金カーブの国際比較 (2) 年功賃金を説明する理論その1:人的資本仮説 (3) 人的資本仮説の問題点 (4) 年功賃金を説明する理論その2:後払い賃金仮説 (5) 後払い賃金仮説の問題点 (6) その他の仮説(生活費保障仮説・習慣形成仮説) |
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8 | 第15回 | 前半の学習事項のおさらい | 第14回までの学習事項の要点を復習する。 | |
9 | 第16回 | 中間試験 | 中間試験を実施する | |
10 | 第17~18回 | 労働組合 | (1)労働組合とは (2)労働組合の組織率の推移 (3)わが国の労働組合の特徴 (4)労働組合の賃金への影響 (5)労働組合の離職率への影響 (6)労働組合の雇用調整への影響 |
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11 | 第19〜20回 | 長期雇用 | (1) 国際比較 (2) 長期雇用のメリット・デメリット (3) 長期雇用と年功賃金の相互補完性 (4) 近年の転職市場 |
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12 | 第21〜22回 | 失業 | (1)失業率の国際比較 (2)わが国の失業率の推移 (3)自発的失業と非自発的失業 (4)需要不足失業・摩擦的失業・構造的失業 (5)UV分析 (6)なぜ失業が発生するのか (7)なぜ失業率が下がりにくいのか (8)インフレーションと失業との関係(フィリップス曲線) (9)失業率を下げるための政策 |
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13 | 第23〜24回 | さまざまな賃金格差 | (1) 賃金格差とその役割 (2) ローレンツ曲線とジニ係数 (3) 所得不平等度の推移 (4) 企業規模間・産業間の賃金格差 (5) 職種間の賃金格差 (6) 効率賃金仮説 (7) 怠業抑制仮説 (8) 補償賃金格差理論 (9) 年齢・勤続年数間の賃金格差 |
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14 | 第25〜26回 | 女性の労働 | (1) 女性の労働力率の国際比較 (2) わが国の女性の労働力率の推移 (3) 女性労働力の非正規化の進行 (4) 性的役割分担意識の変化 (5) 男女間の賃金格差 (6) 女性の労働供給に対する影響要因 (7)男女間の処遇格差 |
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15 | 第27~28回 | 非正規労働 | (1)非正規雇用者とは (2)非正規社員活用のメリット・デメリット (3)配偶者控除と就業調整 (4)パート社員の基幹労働力化 (5)正規・非正規労働者間格差 |
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16 | 第29〜30回 | 日本的雇用 | 今期の学習事項の総括として日本的雇用の特質と今後の改善点について解説する。 |