基本情報/Basic Information

開講科目名 ／Class	刑事政策Ⅱ／Criminal PolicyⅡ
授業コード ／Class Code	B203182001
開講キャンパス ／Campus	ﾎﾟｰﾄｱｲﾗﾝﾄﾞ
開講所属 ／Course	法学部／Law
年度 ／Year	2023年度／Academic Year
開講区分 ／Semester	後期／AUTUMN
曜日・時限 ／Day, Period	水3(後期)／WED3(AUT.)
単位数 ／Credits	2.0
主担当教員 ／Main Instructor	佐々木　光明／SASAKI MITSUAKI
科目区分 ／Course Group	【専門教育科目】　〈一般専門教育科目〉／*** MAJORS *** 〈ADVANCED SUBJECTS〉
遠隔授業 ／Remote lecture	No

担当教員情報/Instructor Information

教員名 ／Instructor	教員所属名 ／Affiliation
佐々木　光明／SASAKI MITSUAKI	法学部／Law

授業の方法 ／Class Format	講義
授業の目的 ／Class Purpose	テーマ　「『不安』と『危機』への処方箋　−　統合予防論的刑事政策の検証と矯正・更生保護（含少年）Ⅱ」 　・規範覚醒と社会的責任論を基礎にした厳罰化のなかの再犯防止政策とその実情の検証
到　達　目　標 ／Class Objectives	犯罪化、刑罰化・重罰化を中核とした犯罪・非行予防と秩序維持を追求する総合的な刑事政策が注目されている。「制裁」による規制の強化（威嚇）を主体とする積極的一般的予防論に基づく刑事政策が展開され、その基礎理論においても規範的責任論があらたな支持を集め始めてもいる。 　また、立法と刑事政策の直結性が指摘されている。犯罪化と非犯罪化の交錯、「犯罪」との境界の曖昧化、「非行」の拡散化と網の拡大、予防策の多角化と多元化といった状況のなかで、刑事政策の歴史的・国際的視点からのトータルな分析視覚がいっそう不可欠となっている。 　前期の刑事政策Ⅰで示し進めてきた学習の知見にたって、刑事学、刑事政策をめぐる現代的特徴、とりわけ全面的な監獄法改正による「刑事収容施設及び被収容者等の殊遇に関する法律」（2007）、さらに「更生保護法」（2008）のもとでの矯正と更生保護に関するあらたな政策の展開と課題について、少年処遇を含めて検討する。なお、少年への刑罰を重くし検察官関与を拡大した少年法第４次改正案が2013年2月に法制審議会から答申され、翌2014年に成立した。厳罰化の進行がいっそう進むことになる。「少年院法」「鑑別所法」も同時期に成立し、2016年には施行された。 　2020年末、少年法適用年齢の引き下げと刑罰改革に関して法制審議会が3年にわたり検討したが、引下げを立法にゆだねて法相に答申した。その後、政府与党からの提起に基づき、適用年齢は引下げず18・19歳を「特定少年」とし、逆送対象を拡大する形式で2021年5月少年法第5次改正が行われた。少年司法にとって歴史的転換期ともいえる重要な時期にある。 　上記の立法に関する歴史的知見にもとづき、刑事司法、刑事政策の現代の課題を検討する基礎な力を涵養する。　 　上記の学習を通じて法的素養を基礎にした問題発見的態度を身につけ、社会的課題を確認し解決への指針を示す力をつける。これは法学部のDPとも連動するものである。
授業のキーワード ／Keywords	犯罪学　グローバリズムと刑事罰・制裁　刑事・少年司法　威嚇と支援　非犯罪化　バルネラビリティ　問題解決型刑事司法　修復的司法
授業の進め方 ／Method of Instruction	問いかけと応答による相互的講義
履修するにあたって ／Instruction to Students	「学ぶ」ことへ主体的な姿勢をとることで、意欲や関心も深まります。
授業時間外に必要な学修 ／Expected Work outside of Class	基本的に国内外の刑事司法制度や犯罪学に関わる社会的な動向や歴史、思想、文化等への関心を持つことが、講義の理解の促進に繋がります。講義の事前、事後にはテキストの関連箇所に目を通し、疑問点等は種々の事典や法律用語辞典等を活用することをお勧めします。関心を向ける時間、気づきの時間を大切にしてみましょう。
提出課題など ／Quiz,Report,etc
成績評価方法・基準 ／Grading Method・Criteria	原則として期末試験を評価の主たる対象とし、随時、基礎知識の習得や問題解決型トライアルテストを実施し総合的に評価する。
テキスト ／Required Texts	内田・佐々木共編著  『「市民」と刑事法』  日本評論社
参考図書 ／Reference Books	石原 他編著 『現代刑事政策』 青林書院、　岩井弘融他『日本の犯罪学１−４』東大出版、法務総合研究所 『犯罪白書』、　警察庁『警察白書』、　検察庁 『検察統計年報』、　最高裁判所  『司法統計年報』、　法務省矯正局『矯正統計年報』

No.	回 ／Time	主題と位置付け ／Subjects and position in the whole class	学習方法と内容 ／Methods and contents	備考 ／Notes
1	第1回～第３回	刑事政策学における現代的課題の理解	立法の時代とされるいま、刑事司法制度は大きな変化の中にある。刑法原理の大きな転換期の中にあると言ってもいい。実体法、訴訟法、特別法等の法改正がり返され、治安政策の大きな枠組みの中で、あらたな刑事司法に対する価値観の形成や制度作りが進行している。その中核が「厳罰化」である。 　厳罰化の実質は何か、具体的実例から考える。
2	第４回～第６回	新たな犯罪の創出と刑事政策	ストーカー、特殊詐欺等の現象への対応と課題
3	第７回～第１０回	社会内処遇の新たな展開	刑事司法における「司法と福祉の連携」の試みと展望
4	第１１回～第１３回	刑事人権保障論と刑事政策学	現代日本における刑事人権保障の現状と課題  …社会復帰の実情と支援の制度枠組みの構築
5	第１４回～第１５回	現代刑事政策学の理論的課題と展望	社会復帰思想の理論的課題と実態から今後の道筋を検討する