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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2023/07/20 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
知的財産法/Intellectual Property Law
授業コード
/Class Code
B203091001
開講キャンパス
/Campus
ポートアイランド
開講所属
/Course
法学部/Law
年度
/Year
2023年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
後期/AUTUMN
曜日・時限
/Day, Period
金4(後期)/FRI4(AUT.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
申 賢哲/shin hyeoncheol
科目区分
/Course Group
【専門教育科目】 〈一般専門教育科目〉/*** MAJORS *** 〈ADVANCED SUBJECTS〉
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
申 賢哲/shin hyeoncheol 法学部/Law
授業の方法
/Class Format
講義科目
授業の目的
/Class Purpose
 この科目は、リーガルマインドを生かして社会のさまざまな分野で活躍できる人材を育成するために必要な一般専門教育科目の一つとして位置づけられている。

 知的財産法は、技術的あるいは文化的な創造的活動の成果等である知的財産の保護と利用に関するルールを定める法分野である。技術・デザイン、ブランドや音楽・映画等のコンテンツといった知的財産を産業の基盤に据えることにより、我が国経済社会の再活性化を図るという「知的財産立国」が国家戦略の一つとして位置づけられる今、人々が、知的財産法の知識を有し、その知識を社会の発展に役立つように活用できるようになることが求められている。

 今年度の講義は、知的財産法のうち、特許法の基本を概観する。ちなみに、来年度は、音楽・映画等の著作物を保護する著作権法を取り上げる予定である。特許法は、著作権法とともに、知的財産法の中核をなし、その保護対象を発明、すなわち新しく創造された技術とするため、企業活動における新技術の開発、開発された新技術の利用に密接な関係のある法律である。よって、経済活動に携わる多くの人々にとっては、特許法の基礎的知識を習得しておくことの意義は非常に大きい。

 そこで、本講義においては、企業活動において重要性を増している発明の保護と利用に関するルールの基礎知識を修得して、特許法を体系的に理解することを目的とする。 
到 達 目 標
/Class Objectives
1.特許法の重要性を理解し、問題解決能力が向上され、就職活動での強みとなる。
(1)特許法の基礎として知っておくべき事項すべてを習得することで、特許法の基本的な事項を網羅的かつ体系的に説明することができる。
(2)新聞やテレビの特許権を巡るの事件や報道について興味が持てるようになり、授業で修得した知識を活かして、それらの事象について適切なコメントが述べられ、基本的な問題解決の基礎能力を身につけることができる。

2.国家試験への挑戦への動機づけとなる。
(1)「司法試験」では、知的財産法が「選択科目」とされている。また、「弁理士」という知的財産の専門家になるための「弁理士試験」では、特許法が、もっとも重要な科目として位置づけられている。
(2)「知的財産立国」の下で、企業や官公庁では、知的財産の知識を有しそれを活用するマネジメント人材が求められており、国家資格として「知的財産管理技能士」がある。

本講義を契機に、将来を見据えて、ぜひ国家資格の取得へ挑戦してほしい。 
授業のキーワード
/Keywords
・知的財産、特許、発明者、職務発明、排他的独占権、発明、特許要件、特許権侵害 
授業の進め方
/Method of Instruction
・本講義では、特許権の取得手続や保護範囲、そして侵害場面に関する基本事項について、講義形式で授業を行う。

・質問等があれば、以下のメールアドレスにてご連絡ください。
hshin@iprism.osaka-u.ac.jp (申賢哲) 
履修するにあたって
/Instruction to Students
・知的財産に関心のある学生であれば、特許法をよく知らなくても、歓迎する。ただし、民法の総則、債権や物権の講義を履修済みか、並行して履修していれば、なお理解が深まる。知的財産法が入っている六法を持参することが望ましい。

・毎回の講義では、授業内容に係わるレジュメを配布する予定である。これを参考図書と照らし合わせて読むようにすることが望ましい。

・私語は厳禁である。

<注>下記の授業計画は、目安であり、講義の進捗状況によって若干変更されることがある。
授業時間外に必要な学修
/Expected Work outside of Class
・毎回の講義の内容でわからないことがあれば、レジュメや参考図書をベースにして理解できるように復習する。発展的な学習のために自主的かつ主体的に関連文献や裁判例を調査し取り組むことが必要とされる。

・講義の内容について予習・復習を行うことをお勧めし、予習時間及び復習時間は、それぞれ1時間程度を想定する
提出課題など
/Quiz,Report,etc
特になし
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
・成績は、定期試験(期末試験)を100点で評価する。
・定期試験の形式は、①問題文の括弧に適切な用語を例から選択する問題、②埋め合わせ問題、③〇か×を選択する問題、④論述、の一部又は全部で構成される。
・定期試験の問題は、レジュメとその内容に係わる参考図書の範囲内で出題され、定期試験では、六法、講義で配布したレジュメ及び参考図書のみを持ち込み「可」とする。

<注>以上の評価基準は目安であり、講義の進捗状況や履修生の受講態度等を考慮して変更されることがある。
テキスト
/Required Texts
・参考図書の各章の内容に係わるレジュメを配布したうえ、使用する。
参考図書
/Reference Books
・茶園成樹編『特許法〔第2版〕』(有斐閣、2017年) 
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 イントロダクション<知的財産法の体系>  知的成果物である「発明」、「商標」、「意匠」、「著作物」などの知的財産を保護する必要性を確認するとともに、我が国法体系上の知的財産法の位置づけ及び知的財産法制の全体像について理解し、知的財産制度の存在意義を考える。(参考図書第1章) 
2 第2回 発明 どのようなものが特許法の保護客体である「発明」になるのかを理解し、その成立要件や種類などの概念について考察する。(参考図書第2章)
3 第3回 発明者・冒認出願・職務発明 特許を受ける権利は、誰のものであり、窃取などによる特許出願やそれによる権利発生に対してどのような対応が考えられるかについて考察する。また、特許法35条が定める職務発明制度について学習する。とくに、職務上の発明は誰に帰属するか、そして、平成27年改正により、使用者と従業者との利益調整がどのようになされているかを理解する。(参考図書第3章) 
4 第4回 特許要件 発明が特許を受けるためには、一定の要件を満たす必要があることを理解したうえ、その要件はどのようなものがあるかについて検討する。(参考図書第4章) 
5 第5回 特許出願 特許権を取得するためには、どのような手続が必要であるかを理解し、我が国や外国で権利を取得するためにはどのような方法があるかについて講義する。(参考図書第5章)
6 第6回 審判制度 特許出願手続での行政処分に対して不服がある場合の手段として、特許庁での審判制度について概説する。(参考図書第6章)
7 第7回 審決取消訴訟  特許庁の行った行政処分である審決に対して不服がある場合の手段として、裁判所にその取消しを求める訴えについて概説する。(参考図書第7章) 
8 第8回 特許権・特許権侵害①<クレーム解釈> 特許権の発生、効力及び存続期間、そして、どのような場合に特許権の侵害になるかについて講義するとともに、特許侵害訴訟での特許請求の範囲の記載に基づく特許発明の技術的範囲の解釈について考察する。(参考図書第8章・第9章第1節第2節) 
9 第9回 特許権の侵害②<均等論>  特許保護の範囲を拡大する考えである均等論の意義及び要件について解説する。(参考図書第9章第3節) 
10 第10回 特許権の侵害③<間接侵害> 特許権の(直接)侵害を惹起させる行為を規制する特許法101条の間接侵害について概説し、間接侵害規定の存在意義について考える。(参考図書第9章第4節) 
11 第11回 特許権の効力の制限①<特許権の効力の制限・先使用権・無効の抗弁> 特許法69条が定める特許権の効力の制限、特許法79条が定める先使用権、特許法104条の3が定める無効の抗弁について説明し、特許権の侵害に対してどのような対応が考えられるかについて考察する。(参考図書第10章第1節~第4節)
12 第12回 特許権の効力の制限②<特許権の消尽・権利濫用> 特許権と特許製品を含む商品の自由な流通との関係で特許権の効力を制限する「消尽」、及び、スマートフォンに密接な関連のある標準必須特許の権利行使との関係で特許権の効力を制限する「権利濫用」について講義する。(参考図書第10章第5節・第6節) 
13 第13回 特許権侵害と民事的救済①<差止請求>  特許権侵害に対する差止請求の具体的内容及び特許法100条2項の侵害の予防に必要な行為について解説する。(参考図書第11章第1節第2節)
14 第14回 特許権侵害と民事的救済②<損害賠償請求> 特許権侵害に対する損害賠償請求の具体的内容及び損害額の算出方法について解説する。(参考図書第11章第3節~第7節)
15 第15回 特許権の利用・活用 特許権の利用方法にはどのようなものがあるかについて、特許権の移転(譲渡)、実施許諾、質権の設定を中心に説明し、実施権(ライセンス)の種類やその利用態様について考察する。(参考図書第12章)

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