科目一覧へ戻る | 2023/07/21 現在 |
開講科目名 /Class |
政治学Ⅱ (資格)/PoliticsⅡ |
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授業コード /Class Code |
B000201002 |
開講キャンパス /Campus |
ポートアイランド |
開講所属 /Course |
法学部/Law |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
後期/AUTUMN |
曜日・時限 /Day, Period |
金1(後期)/FRI1(AUT.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
森 達也/MORI TATSUYA |
科目区分 /Course Group |
【専門教育科目】 〈一般専門教育科目〉/*** MAJORS *** 〈ADVANCED SUBJECTS〉 |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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森 達也/MORI TATSUYA | 法学部/Law |
授業の方法 /Class Format |
遠隔授業(オンデマンド講義) |
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授業の目的 /Class Purpose |
この科目は、法学部のDPに示す、国内外の公共的事柄に関する知識を習得し、公平性と客観性を重視した判断ができるようになることを目指す。 英国の政治理論家バーナード・クリックは、「政治学とは、社会全体に影響を与えるような利害と価値をめぐって生じる紛争についての研究であり、また、どうすればこの紛争を調停することができるかについての研究である」と述べた。ここから政治学の二つの課題を指摘することができる。ひとつは人間による政治の営みを(観察者として)客観的に説明・理解するという課題であり、その研究はしばしば経験的(empirical)研究と呼ばれる。もうひとつは、(当事者として)あるべき政治の姿を考え、人間による政治の営みを改善するという課題であり、こちらは規範的(normative)研究と呼ばれる。 政治について考えるためには、この二つの方向性を自覚することが不可欠である。政治は「可能性の束」を取り扱う技術である。政治には選択や決断が伴う。それゆえ、経験的研究によって把握された客観的状況から唯一の正解が演繹されるわけではない。また政治は他者と共におこなう活動でもある。これらを承認しつつ、意見を異にする人びとと粘り強く議論し、紛争の平和的解決と社会生活の改善を柔軟に模索する姿勢こそ、政治に対する「現実主義的な」態度である。現代政治学の課題のひとつは、こうした「成熟した政治認識」の具体的なあり方について考え、現実政治(とりわけ民主政治)の質の向上に寄与することにあると考えられる。 以上の政治観に基づき、本講義は主として政治の規範的な側面を取り扱う「政治理論」という分野について解説していく。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
・政治における経験的なものと規範的なものの関係について理解する ・政治理論の諸分野に関する基本的知識を習得する ・習得した知識に基づき、現代の政治的諸問題について理性的に考察・議論できる能力を養う |
授業のキーワード /Keywords |
政治理論、リベラリズム、民主主義、権力、フェミニズム、ナショナリズムと多文化主義、公共性 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
講義を中心とし、質疑応答を適宜おこなう。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
・高校の「政治経済」または「倫理政経」の関連箇所を必要に応じて復習しておくこと。 ・普段から新聞等で国内外のニュースを読み、時事問題に通じておくことが望ましい。 |
授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
予習:教科書の次回講義範囲を熟読する(90分程度)。 復習:講義での不明な点や疑問点を調べ、ノートやレジュメに書き込むなどして整理しておく(90分程度)。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
・内容確認と質疑を目的としたコメントの提出(随時) ・小レポート(2回を予定) コメントに対しては授業時間内に応答する。 提出課題については授業中に講評し、個別の質問には授業後またはメールにて応答する。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
定期試験:60% 授業内課題(小レポート)および授業参加:40% |
テキスト /Required Texts |
田村哲樹・松元雅和・乙部延剛・山崎望著『ここから始める政治理論』有斐閣、2017年 あわせてレジュメを配布する |
参考図書 /Reference Books |
・川崎修・杉田敦編『現代政治理論(新版)』有斐閣、2012年 ・デイヴィッド・ミラー著『はじめての政治哲学』山岡龍一・森達也訳、岩波書店、2019年 ・高山・野口・山本編『よくわかる政治思想』ミネルヴァ書房、2021年 その他、授業中に適宜紹介する。 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | 講義概要説明とイントロダクション | 本講義の目的と概要について説明した上で、政治学における規範的な議論の役割を考える。 | |
2 | 第2回 | 政治とは何か | 「政治」を構成する基本的諸要素(意思決定、正統性、権力など)について考察する。 | |
3 | 第3回 | リベラリズム | リベラリズム(自由主義)の基本的な考え方とその多様な展開について考察する。 | |
4 | 第4回 | 分配的正義論 | 現代の分配的正義論を比較検討し、公平な分配や正義にかなう社会のあり方について考察する。 | |
5 | 第5回 | グローバル正義論 | 国境を超える正義の可能性、その基本的な考え方、その是非をめぐる論争を検討する。 | |
6 | 第6回 | 民主主義の理論 | 民主的意思決定の多様な方法を比較検討しながら、民主主義に関する一面的な見方を相対化する。 | |
7 | 第7回 | 熟議民主主義とラディカル・デモクラシー | 代表制民主主義の枠を超える、デモクラシーのさまざまなあり方を比較検討する | |
8 | 第8回 | グローバル民主主義 | 国境を超えるレベルにおけるデモクラシーの成立可能性を展望する | |
9 | 第9回 | 政治理論における個人 | 政治理論の方法論的前提のひとつである「個人」概念を批判的に考察する | |
10 | 第10回 | 権力 | さまざまな権力概念と、政治社会における多様な権力現象との対応関係をみる | |
11 | 第11回 | フェミニズム | フェミニズムによる公私二元論批判と、それを通じた「政治」イメージの変容について考える | |
12 | 第12回 | ナショナリズム | 国民国家の自明性を批判的に考察することで、ナショナルなものの規範的な価値を再考する | |
13 | 第13回 | 多文化主義 | 多文化共生のための理論と実践について、政治理論の観点から考察をおこなう | |
14 | 第14回 | 市民社会とコミュニティ | 公共性概念を歴史的に展望したのち、現代社会における公共的なものの成立可能性を考える | |
15 | 第15回 | 総括 | 講義内容を振り返り、現代社会において規範的な思考が果たすべき役割について再考する |