科目一覧へ戻る | 2023/07/31 現在 |
開講科目名 /Class |
人間形成論特殊講義Ⅱ |
---|---|
授業コード /Class Code |
K001891001 |
開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
博士/ |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
後期/AUTUMN |
曜日・時限 /Day, Period |
火2(後期)/TUE2(AUT.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
平光 哲朗/HIRAMITSU TETSUROU |
科目区分 /Course Group |
〈博士後期課程共通科目〉 /〈DOCTORAL COURSE COMMON SUBJECTS〉 |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
---|---|
平光 哲朗/HIRAMITSU TETSUROU | 人文学科/Humanities |
授業の方法 /Class Format |
講義 |
---|---|
授業の目的 /Class Purpose |
≪主題≫ 省察的実践における暗黙性と創造性を、ベルクソンの哲学から再考する。 ≪目的≫ 省察的実践というD.A.ショーンによる実践知の認識論を、そのベルクソン哲学との類縁性を基盤として批判し、再構想する。 ショーンは「専門家は行為の中でいかに思考するか」と問い、専門家の専門性の実質を明らかにしようとした。その試みは、従来、理論的にも制度的にも従属的に扱われてきた専門家たちの実践的な知を、実践の中に埋め込まれた暗黙の理論として取り上げ、再評価するものである。ショーンのこの研究は、日本では教育学において紹介され、教育現場における教師たちのわざartistryの秘密を明らかにし、正当に評価するものとして受容された。 本講義は、ショーンの研究をベルクソンの哲学から捉え直すことで、省察的実践が持つ暗黙性と創造性を、ショーン自身の理解を超えて問い直し、明らかにする。 それにより、受講者の目を、混沌と錯綜のただなかで行われる新たな理解と行為の方向の模索へと、そしてそれを可能にするわざないしは方法へと、開く。そして、将来的に、受講者が省察的実践を行いうる知的土壌を培う。 本講義は、人文学科DP1、2、4、5、7、8、9に対応しています。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
≪目標≫ ・D.A.ショーンにおける省察的実践を理解し、説明できる。 ・M.ポランニーにおける暗黙知を理解し、説明できる。 ・ベルクソンの哲学の骨子を理解し、説明できる。 ・省察的実践をベルクソンの哲学から批判的に検討できる。 ・受講者が将来的に省察的実践を行う土台を築く。 |
授業のキーワード /Keywords |
|
授業の進め方 /Method of Instruction |
これは講義である。受講者は講義を受けて考えたことを毎回コメントとして記述する。その内容を、教員が次回講義の冒頭で紹介する。それにより、受講者のみなさんが考えたことを、受講者全体で共有する。それにより、受講者がさらなる考察への刺激と啓発を互いに与え合うことができるようにする。こうした双方向的で相互的な授業過程をとおして、受講者のみなさんが問題の理解を深め、自発的に考察を続けていくよう促す。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
|
授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
事後学習として、講義内容について自らの考察を深めること。(目安として1時間) |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
講義各回についてのコメント記述とレポート課題。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
講義内容の理解度と考察(75%)、レポート課題(25%) |
テキスト /Required Texts |
D.A.ショーン、柳沢昌一、三輪健二監訳『省察的実践とは何か ─プロフェッショナルの行為と思考─』鳳書房、2007年。 アンリ・ベルクソン、原章二訳『精神のエネルギー』平凡社、2012年。 |
参考図書 /Reference Books |
マイケル・ポランニー、高橋勇夫訳『暗黙知の次元』ちくま学芸文庫、2003年。 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
---|---|---|---|---|
1 | 第1回 | ガイダンス | 講義の全体像について。 | |
2 | 第2回 | 省察的実践とは何か | D.A.ショーン「省察的実践」の概要を理解し、日本の教育学におけるその導入と受容を概観する。 | |
3 | 第3回 | 「行為の中の知の生成」 | 「行為の中の知の生成」knowing-in-actionの概念を検討する。 ・「非論理的なプロセス」、言語化できない知 ・「否定する声」 ・M.ポランニー「暗黙知」 |
|
4 | 第4回 | 「行為の中の省察」 | 「行為の中の省察」reflection-in-actionの概念を検討する。 ・行為のプロセスに内在する省察 ・ジャズミュージシャンたちによるインプロビゼーションの例 ・子どもたちによるブロックのバランス実験の例 |
|
5 | 第5回 | 「実践の中の省察」 | 「実践の中の省察」reflection-in-practiceの概念を検討する。 ・専門家の専門性、わざartistryの構成要件 ・「自分の実践の中で(in)省察する」 ・四つの事例、トルストイの教員養成論 |
|
6 | 第6回 | 省察的実践と ベルクソンの哲学 |
D.A.ショーン「省察的実践」とベルクソンの哲学との類型性を検討する。 ・パルメニデス的思考とヘラクレイトス的思考 ・「行為内省察」とベルクソン哲学の直観論 |
|
7 | 第7回 | ベルクソンの哲学 | ベルクソン哲学の骨子を理解する。 ・持続とは何か。 ・記憶の潜在性 ・生成の「予見不可能性」と知性の批判 ・直観、生成に内的な反省 |
|
8 | 第8回 | 省察的実践の認識論と ベルクソンにおける直観(1) |
ショーン、「行為内知」における「質的理解」と「非論理性」 ベルクソン、持続の「質的多様性」と「言表不可能性」 |
|
9 | 第9回 | 省察的実践の認識論と ベルクソンにおける直観(2) |
「行為内知」とベルクソン哲学における直観の「否定の力」 | |
10 | 第10回 | 省察的実践の認識論と ベルクソンにおける直観(3) |
「行為内知」の暗黙性と記憶の潜在性 ・ベルクソン『物質と記憶』の記憶論 ・現在における過去の潜在的存続 |
|
11 | 第11回 | 省察的実践の認識論と ベルクソンにおける直観(4) |
「行為内省察」と生成に内的な「反省」 ・ベルクソン哲学における「反省」としての直観 ・「出来上がったもの」から「出来上がりつつあるもの」へ |
|
12 | 第12回 | 「行為内省察」を ベルクソン哲学から批判、再構想する(1) |
「行為内知」の暗黙性と、「行為内省察」における「フレーム実験」解釈との問題を、ベルクソン哲学における記憶の潜在性という観点から批判し、再検討する。 | |
13 | 第13回 | 「行為内省察」を ベルクソン哲学から批判、再構想する(2) |
「行為内省察」における「状況との対話」と「問題の枠組み転換」 ・ショーンによるデザイナーと学生のプロトコル分析 ・「予期しない変化」の発生と「問題の枠組みの変容」 ・専門家における「絶え間なく進化する意味の体系」 |
|
14 | 第14回 | 「行為内省察」を ベルクソン哲学から批判、再構想する(3) |
ベルクソンの哲学からショーンにおける「問題の枠組み転換」の可能性の条件を問う。 ・「行為内省察」の根底にあるプロセス ・記憶の潜在性から「行為内知」の暗黙性を捉え直す。 ・全体と部分とのあいだ、包括的なものと局所的なものとのあいだ ・「行為内省察」が持つ創造性の秘密 |
|
15 | 第15回 | 総括 | 講義全体のレビューと総括 |