シラバス参照

授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2023/07/20 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
博物館資料保存論(資格)/Lecture on Museum Objects Conservation
授業コード
/Class Code
G002551001
開講キャンパス
/Campus
有瀬
開講所属
/Course
資格用科目/
年度
/Year
2023年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
前期/SPRING
曜日・時限
/Day, Period
月5(前期)/MON5(SPR.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
用田 政晴/YODA MASAHARU
科目区分
/Course Group
【資格に関する科目】 《博物館学芸員課程に関する科目》/*** COURSES FOR CERTIFICATION *** 《COURSE IN MUSEOLOGY》
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
用田 政晴/YODA MASAHARU 人文学科/Humanities
授業の方法
/Class Format
 授業は講義を中心に、原則として対面授業で進めます。講義での意見や質問については、その授業で可能な限り対応します。また、学外研修(博物館見学)も実施し、見学レポートを提出してもらいます。 
【注意】コロナ禍の状況あるいは受講者数等によっては、授業の方法・内容ともに今後変更の可能性があります。その場合は、事前に掲示・dotCampasあるいはMoodle・メール等でお知らせします。
授業の目的
/Class Purpose
 本科目では、人文学部のDPに示されているように、各受講生が、(1)人間の行動や文化に関する専門知識と技能を総合的、体系的に身につけ、(2)自己の将来を計画的に考え、それを実現に結びつける行動力を身につけ、(3)多様な他者と共存して、異なった価値観を尊重し、積極的に交流・協働できる能力を身につけることをめざします。
 本科目は、博物館学芸員資格を取得するための必修科目として設定されています。
 博物館に収蔵された資料は、末永く人類の財産としてそれぞれ資料の特性に見合った、良好な環境下で保管されますが、一方で資料は展示や研究等の博物館活動に利用されてこそ価値があります。つまり博物館資料の利用と保存は矛盾するものです。
 本講義では、博物館資料を保存する意義をはじめ、それを長期間にわたり良好な状態に保つための保存環境等について、いくつかの分野における資料ごとに具体例を参照しつつ、資料保存の意義と方法等を総合的に修得することを目的としています。
 なお、講義者は「湖と人間」をテーマとする総合博物館に26年間勤務した実務経験がある教員であり、博物館現場の業務に精通しています。講義の中ではそうした博物館現場で得られた知識・体験等も交えて話をし、学外研修も行うなど実務的教育で構成する授業です。 
到 達 目 標
/Class Objectives
 本科目では、以下の3点を修得することを到達目標とします。
(1)博物館における資料保存の意義、ならびに資料保存に関わるリスクと対応策を、分野別に具体例を3件ずつ挙げて説明できる。(知識)
(2)地域資源(文化財、自然環境)の保存と活用について、具体的な取り組みの実施例を一つ挙げ、その地域では地域資源をどのように保存・活用しているかを説明できる。(知識)
(3)歴史分野・美術分野等の具体的資料を5例あげ、それぞれの保存の方法を具体的に説明できる。(知識) 
授業のキーワード
/Keywords
地域資源、保存環境、資料の活用、総合的有害生物管理(IPM) 
授業の進め方
/Method of Instruction
 本科目は、講義を中心に進めます。受講者が講義の中でわからなかった点については、授業で講師が必要に応じて解説します。
 第1回は、講義の進め方、評価基準等についてのオリエンテーションをします。
 第2~8回では、資料を輸送する際の梱包・輸送の方法・留意点、資料の修復・複製(繁殖等含む)のための設備・機器、ならびに各種資料にかかわる保存環境条件等について学びます。
 第9~14回では、現在多くの博物館で実施されているIPM(総合的有害生物管理)や、盗難等も含めた各種リスク・災害に対する防止策と対応策(リスク・マネージメント)、さらには地域資源の保存と活用、ならびに博物館が果たすべき今日的な役割と課題について学びます。
 最終回には、講義各回の重要事項を復習することでまとめにかえます。 
履修するにあたって
/Instruction to Students
(1)各自で1年次に履修した博物館概論の資料保存関連部分を復習しておいてください。
(2)講義の中でわからなかった点については、自分自身でも図書館等へ行って積極的に調べるようにしてください。
(3)講義日程は学外研修(博物館見学)の日程等により変更されることがあります。講義日程の変更は、原則として事前に連絡します。また、博物館学芸員課程の掲示板でもお知らせします。
【注意】学芸員資格を強い意志をもって求めるなら、本科目は2年次にしっかり学んで修得しておくことが望まれ、3年次終了までには必ず修得しておくこと。
授業時間外に必要な学修
/Expected Work outside of Class
(1)事前に次回の講義テーマ等を伝えますので、関連情報を下記参考図書・インターネット等であらかじめ検索して目を通しておいてください(目安として20~30分)。講義資料は毎回授業時に配布します。また、事後学習として講義内容の重要な点をノートなどに整理しておいてください(目安として30~40分)。
(2)受講者は、期間中、自主的に身近な博物館関係施設を2個所以上見学するようにしてください。 
提出課題など
/Quiz,Report,etc
 講義時に課題を提示しますが、課題レポート(1回)、学外研修レポート(1回)。 レポート作成にあたっては、下記の指定図書等を参照してください。
 遅延してのレポート提出は認めませんので提出期限厳守のこと。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
 以下の4点を勘案して総合的に評価します。
課題レポート(1回)25% 学外研修レポート(1回)25% 小テスト等(2回)40% 受講態度(出席等の積極性など)10%
 レポートの提出のないもの、講義への出席が規定回数に満たない者(開始後5分以上の遅刻2回は欠席1回相当)等は評価対象外とします。
テキスト
/Required Texts
なし
参考図書
/Reference Books
(1)本田光子・森田稔(2012)博物館資料保存論,放送大学教育振興会,東京.
(2)日本博物館協会(編)(2012)博物館資料取扱いガイドブック-文化財 美術品等梱包・輸送の手引き,(株) ぎょうせい.東京.
(3)全国大学博物館学講座協議会西日本部会編(2012)新時代の博物館学,芙蓉書房出版.東京.
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 ガイダンス   講義の進め方を聴くなかで、受講者が博物館で資料(モノ)を保存する意義についての全体的なイメージを描く。あわせて、レポートの書き方、評価基準・方法等についての説明を聴く。
2 第2回 博物館資料の保全(1)-梱包・輸送  博物館が資料を収集・運搬する際には、事前に資料の状態を詳細に把握し、個々の資料の特性に沿った梱包、輸送が行われなければならない。ここでは資料の梱包、輸送に関する基本的内容を学ぶ。 
3 第3回 博物館資料の保全(2)-資料保存施設・設備・備品  博物館において資料を取り扱うゾーンにおける施設・設備の実際について、滋賀県立琵琶湖博物館を例に学ぶ。
4 第4回 資料の修復・複製(1)-博物館資料   博物館資料損壊の原因とその対応のあり方、資料修復時の留意点、複製(レプリカ)を製作する意義とその際の留意点について学ぶ。
5 第5回 資料の修復・複製(2)−琵琶湖博物館での例  博物館資料の修復・複製の実際例を琵琶湖博物館の資料から学ぶ。
6 第6回 資料保存のための施設、設備  博物館が資料保存のために整備すべき施設、設備(空調、収蔵庫、一時保管庫など)について具体例を参照し、現状における課題について学ぶ。 
7 第7回 資料の保存 (1)-博物館資料   博物館が資料を保管する場合における温湿度、光、大気などの物理化学的な保存環境に関する基本的事項について学ぶ。  
8 第8回 資料の保存(2)-東京国立博物館の修理保存展示  博物館における資料の修理保存について、東京国立博物館による指針展示からその基礎を学ぶ。
9 第9回 資料の保存(3)-IPM   博物館資料の保存に関し、伝統的な曝涼(虫干し)から、最近まで行われていた薬剤による害虫・菌類の防除までの歴史を顧みる。さらにIPM(総合的有害生物管理)に関し、その背景、考え方、および具体的な手法を学ぶ。  
10 第10回 資料の災害と対策  博物館における災害(火災、地震、風水害、盗難など)に対する資料保存に関わる予防措置、および災害による資料被害に対する低減措置に関し、いくつかの分類群について具体例を参照しつつ学ぶ。 
11 第11回 学外研修(博物館見学)   神戸市近辺の施設へ出向き、資料保存活動の実際、資料保存に関わる課題等について理解を深める。訪問館や実施日時などは、別途お知らせします。(訪問館についての予習20分) 
12 第12回 地域資源の保存と活用  地域には、さまざまな文化的資源が眠っている。ここでは、各地で展開されているエコミュージアム、フィールドミュージアム等も含め、地域活性化に果たすべき博物館の今日的な役割を、地域の宝の発掘と活用の面から学ぶ。  
13 第13回 文化財の保存と活用(1)   博物館が文化財(史跡名勝天然記念物、未指定文化財等も含む)の保存・活用に果たすべき今日的な役割と課題について具体例を参照しながら学ぶ。  
14 第14回 文化財の保存と活用(2)  歴史遺産と博物館が一体となってその保存と活用に取り組んでいる事例をいくつか挙げて、その実例に学ぶ。
15 第15回 まとめ  各回の講義の要点を復習する中で、博物館資料保存の意義や方法等についての理解を深める。(復習の目安として約60分) 

科目一覧へ戻る