科目一覧へ戻る | 2023/07/21 現在 |
開講科目名 /Class |
倫理学概論 (資格)/Outline of Ethics |
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授業コード /Class Code |
G000312002 |
開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
資格用科目/ |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
通年/FULL-YEAR |
曜日・時限 /Day, Period |
月5(前期),月4(後期)/MON5(SPR.),MON4(AUT.) |
単位数 /Credits |
4.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
平光 哲朗/HIRAMITSU TETSUROU |
科目区分 /Course Group |
【資格に関する科目】 〈教職課程に関する科目〉/*** COURSES FOR CERTIFICATION *** 〈TEACHER TRAINING COURSES〉 |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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平光 哲朗/HIRAMITSU TETSUROU | 人文学科/Humanities |
授業の方法 /Class Format |
講義 |
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授業の目的 /Class Purpose |
≪前期主題≫ 他者からはじまる倫理 ≪目的≫ 私たちはふだん、「自己」、「意識」、「主体性」、「理性」、そして「人間」といった概念を深く問い直すことなく用いています。しかしこれらの概念は、20世紀を通して根本的に問い直されてきました。「自己」に対して「他者」が、「意識」に対して「無意識」が、「主体的決定」に対して「構造的決定」が、「理性」に対して「欲望」が、それぞれ徹底的な仕方で対置されたのです。それによって私たちが近代以降前提にしてきた思考の形式が、「自我中心」、「自民族中心」、「人間中心」として批判されました。またそれとともに「人類の進歩」という言葉を、私たちはもはや素朴な仕方で信じることはできなくなりました。 この講義ではまず、第二次世界大戦後の実存主義という思想潮流が「自己」、「意識」、「主体性」、そして「人間」に強い信頼を保持していたことを確認します。そして、その次にあらわれた構造主義という思想潮流が、どのようにこれらの諸概念を批判し、「他者」、「無意識」、「構造」という概念に基づいて思考を展開したかを、ひとつずつ辿っていきます。 こうした講義の展開を通して、本講義では、現代に生きる人間の倫理を考えるための前提を受講者と共有します。そしてそのうえで、「他者」から出発する倫理の可能性を探究します。それは、ますます多様化し複雑化すると同時に、また断絶をも深める世界に生きる私たちが、「異なること」を受け入れて生きる仕方を模索する試みです。 ≪後期主題≫ 宗教の基礎的な理解を築く ≪目的≫ 私たちは現在、多様な諸文化が複雑に絡みあう世界を、また同時に、異なる諸文化が相互に断絶した世界を生きています。これらの多様性、異質性が生じる根には宗教の違いがあります。 本講義の中心は、三つの一神教、ユダヤ教、キリスト教、イスラームの解説です。それを通して受講者には、とりわけ一神教と多神教との違いについて、考察を促します。次いで仏教を取り上げます。そして大乗仏教における空の思想と唯識について理解を深めます。 本講義は、緩やかな仕方でベルクソンの宗教論を下敷きにしています。彼は呪術、精霊信仰、神話などから成る静的な宗教と動的な宗教を区別します。そして動的な宗教のなかでも特にキリスト教神秘主義において、人類が開かれた社会へ至る可能性を見出します。私たちは、講義全体を通して得た知見と考察から、最後にこの宗教論を批判的に検討します。 宗教は私たちが、私たちの生の全体の意味を、人間とは何かということを、根本的に問いなおされる審級です。本講義は、受講者がこの問いなおしに触れることで、私たちの生について思索を深めるよう誘います。 本講義は、人文学科DP1、2、4、5、7、8、9に対応しています。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
≪前期到達目標≫ サルトルの実存主義について理解し、説明できる。 構造主義者たちの諸理論について理解し、説明できる。 レヴィナスの他者論について理解し、説明できる。 他者から出発する倫理を理解し、自らの見解を述べることができる。 ≪後期到達目標≫ 一神教と多神教の違いを理解し、説明できる。 ユダヤ教、キリスト教、イスラームの基本的な理解を持つ。 仏教の基本的な理解を持つ。 神秘主義の意義を理解し、説明できる。 静的な宗教と動的な宗教の区別を理解し、説明できる。 |
授業のキーワード /Keywords |
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授業の進め方 /Method of Instruction |
これは講義です。受講者は講義を受けて考えたことを毎回コメントとして記述します。その内容を、教員が次回講義の冒頭で紹介します。それにより、受講者のみなさんが考えたことを、受講者全体で共有します。そうすることで、受講者がさらなる考察への刺激と啓発を互いに与え合うことができるようにします。こうした双方向的で相互的な授業過程をとおして、受講者のみなさんが問題の理解を深め、自発的に考察を続けていくよう促します。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
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授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
事後学習として、講義内容について自らの考察を深める(目安として1時間程度)。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
講義各回についてのコメント記述とレポート課題。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
講義内容の理解度と考察(75%)、レポート課題(25%)。 |
テキスト /Required Texts |
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参考図書 /Reference Books |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | 前期講義ガイダンス | 前期講義の全体像を理解する。 | |
2 | 第2回 | 実存主義 | サルトルの実存主義 ・「主体性から出発しなければならない ・神なき人間の在り方について」 |
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3 | 第3回 | 構造主義① | レヴィストロースの文化人類学 ・『親族の基本構造』 ・文化相対主義 |
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4 | 第4回 | 構造主義の二つの源泉 | フロイトによる無意識の発見 | |
5 | 第5回 | 構造主義の二つの源泉 | ソシュールの構造言語学 | |
6 | 第6回 | 構造主義② | ラカンの精神分析 ・「無意識は言語によって構造化されている」 ・主体を成立させる三つの次元 |
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7 | 第7回 | 構造主義③ | フーコー、知の考古学 ・『狂気の歴史』 ・『言葉と物』、エピステーメー |
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8 | 第8回 | ポスト構造主義 | フーコー、権力批判 ・『監獄の誕生』 ・『性の歴史』 |
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9 | 第9回 | 他者からはじまる倫理 | サルトルにおける他者 ・まなざしとしての他者 |
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10 | 第10回 | 他者からはじまる倫理 | レヴィナスにおける他者 ・顔における他者 |
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11 | 第11回 | 他者からはじまる倫理 | レヴィナスの他者論、二つの前提 ・フッサール現象学とその批判 |
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12 | 第12回 | 他者からはじまる倫理 | レヴィナスの他者論、二つの前提 ・ハイデガーの存在論とその批判 |
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13 | 第13回 | 他者からはじまる倫理 | デリダ、脱構築としての正義 ・デリダによるレヴィナス批判 |
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14 | 第14回 | 他者からはじまる倫理 | レヴィナスの応答 ・『存在するとは別の仕方で、あるいは存在の彼方へ』 |
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15 | 第15回 | 前期講義総括 | 前期講義の全体を振り返る | |
16 | 第16回 | 後期講義ガイダンス | 宗教とは何か | |
17 | 第17回 | 呪術、精霊信仰、トーテミズム | 呪術、精霊信仰、トーテミズムについて | |
18 | 第18回 | 神々への信仰 | 神話について | |
19 | 第19回 | 多神教 | 多神教の諸形態について | |
20 | 第20回 | ユダヤ教 | モーセ、十戒、トーラーとタルムード | |
21 | 第21回 | ユダヤ教 | ユダヤ教神秘主義、カバラー | |
22 | 第22回 | キリスト教 | イエス、隣人愛、キリスト教の成立 | |
23 | 第23回 | キリスト教 | キリスト教神秘主義 ・マイスター・エックハルト ・ニコラウス・クザーヌス |
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24 | 第24回 | イスラーム | ムハンマド、『クルアーン』 | |
25 | 第25回 | イスラーム | イスラーム神秘主義 ・イブン=アラビー ・スフラワルディー |
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26 | 第26回 | 仏教 | 輪廻と解脱、ブッダ、縁起の法と慈悲 | |
27 | 第27回 | 仏教 | 大乗仏教 ・空 |
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28 | 第28回 | 仏教 | 大乗仏教 ・唯識 |
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29 | 第29回 | 静的宗教から動的宗教へ | ベルクソン『道徳と宗教の二源泉』の宗教論 | |
30 | 第30回 | 静的宗教から動的宗教へ | ベルクソン『道徳と宗教の二源泉』の宗教論に対する批判的考察 |