科目一覧へ戻る | 2023/07/21 現在 |
開講科目名 /Class |
倫理学概論(資格)/Outline of Ethics |
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授業コード /Class Code |
G000312001 |
開講キャンパス /Campus |
ポートアイランド |
開講所属 /Course |
資格用科目/ |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
通年/FULL-YEAR |
曜日・時限 /Day, Period |
土1/SAT1 |
単位数 /Credits |
4.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
能川 元一/NOGAWA MOTOKAZU |
科目区分 /Course Group |
【資格に関する科目】 〈教職課程に関する科目〉/*** COURSES FOR CERTIFICATION *** 〈TEACHER TRAINING COURSES〉 |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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能川 元一/NOGAWA MOTOKAZU | 人文学部/Humanities and Sciences |
授業の方法 /Class Format |
【4月18日更新】4月22日以降追って連絡があるまで、もしくは前期終了までは Zoom を用いたオンライン(リアルタイム/オンデマンド)の遠隔授業として行う。 講義形式による対面授業として行う。 講義資料は OneDrive を通じて配布する。以下のURLがこの講義用の共有フォルダとなる。 https://kobegakuin-my.sharepoint.com/:f:/g/personal/hm145017_human_kobegakuin_ac_jp/Ev2sqUSJFSBDssnJPXD5dOEB278KEMMpk0rjTOoYwGBpKA?e=Vk7Hrr |
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授業の目的 /Class Purpose |
私たち人間が社会的存在であるかぎり、私たちが行うことは不可避的に他者に影響を与え、また私たち自身も他者の行動の影響を被ることになる。ここから、私たちの行動の原則についての学としての倫理学(ないしは道徳哲学)が要請されることになる。 この授業の前半では倫理や道徳についての古典的な議論について学び、どのような問題が見出され論じられてきたのかを理解することを目的とする。上述のような条件は古今東西を問わず人間の生の基本的な条件であり、先人たちの思索の努力は今日を生きる私たちにとっても指針となりうるからである。 他方で現代に固有の倫理的問題が生まれていることも指摘されている。この授業の後半ではそうした新たな倫理的課題について、それらが現れてきた背景と主な論点を理解し、前半で学んだ古典的な倫理学の可能性と限界について自ら考えることを目的とする。 また教員を目指すものにとって必要と思われる、倫理学に関する知識を学ぶことも目的とする。また、本学ディプロマ・ポリシーに定める目標のうちとりわけ「広い教養を身につけ、豊かな人間性や社会性を涵養」と「幅広い知識を活用してさまざまな問題を発見し、それを解決する方策を導く」に関わる能力の学修を目標とする。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
(1)古典的な倫理思想、道徳哲学の主要な論点を理解すること、またそれを通じて、倫理的な判断を下す際に考慮を払うべき事柄としてどのようなものがあるかを学ぶこと。 (2)現代社会において新たに登場した倫理的問題についてその論点と背景を理解すること。 (3)現代を生きる私たちが自らの権利を守り、また他者の権利を守るために必要な実践的な知識を身につけること。 |
授業のキーワード /Keywords |
道徳的ジレンマ、徳(アレテー)、アパテイア、応報主義、寛容、善意志、定言命法、最大多数の最大幸福、自由主義、パターナリズム、応用倫理学、世代間倫理、ケアの倫理/正義の倫理 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
講義時に使用する資料等は OneDrive の「倫理学概論講義資料」フォルダ(URLは下記参照)にPDFファイルとしてアップロードするので、あらかじめ内容を確認したうえ、各自プリントアウトして持参すること。タブレット等、授業中に資料PDFファイルにアクセスできるデバイスを持参する場合には、プリントアウトは必要ない。 「倫理学概論講義資料」フォルダへのリンク https://kobegakuin-my.sharepoint.com/:f:/g/personal/hm145017_human_kobegakuin_ac_jp/Emldnjn1aWpOqQyYMErgNTMBNpAVF92yihgqi9_ZfbOUhA?e=zml3UH |
履修するにあたって /Instruction to Students |
第1回目の講義で講義の進め方についての詳細なガイダンスを行う。第1回目を欠席した場合には初回出席時に申 し出ること。 |
授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
講義ホームページで配布するPDFファイルの資料を講義前に閲覧し、理解の困難な箇所をチェックしておくこと(30分程度)。 講義後にも再び閲覧して、講義の理解度を確認しておくこと(30分程度)。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
各講義の最後に時間を設けて、その回の要点をまとめ ミニ・レポートを作成し、提出する。課題の評価ポイントについては次回講義時に解説する。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
成績評価は前期期間中の課題、後期については定期試験の成績または課題、および講義中に課すミニ・レポートによる。 総合的な評価に占めるそれぞれの比率は前期期間中の課題が40%、後期の定期試験または課題が40%、ミニレポートが20%(全講義期間を通じて)である。 |
テキスト /Required Texts |
なし。 |
参考図書 /Reference Books |
マーティン・コーエン、『倫理問題101問』、ちくま学芸文庫、2007年 E・トゥーゲントハット他、『ぼくたちの倫理学教室』、平凡社新書、2016年 徳永哲也、『プラクティカル 生命・環境倫理』、世界思想社、2015年 フィリッパ・フット、『人間にとって善とは何か:徳倫理学入門』、筑摩書房、2014年 ジョナサン・ハイト、『社会はなぜ左と右にわかれるのか―対立を超えるための道徳心理学』、紀伊國屋書店,2014年 浅見昇吾・盛永審一郎、『教養としての応用倫理学』、丸善出版、2013年 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | ガイダンスおよびイントロダクション | 講義のテーマ、講義の進め方などについてのガイダンスを行うとともに、倫理学を学ぶことの意義について概説する。 | |
2 | 第2回 | 道徳的ジレンマ(モラルジレンマ)はなぜ発生するのか? | 道徳的ジレンマと呼ばれる状況の典型例をいくつか紹介し、そのような状況がなぜ生じるのかを考える。また、それを通じて、道徳的判断の原理を明らかにしようとする倫理学はなぜ必要なのかを考える。 | |
3 | 第3回 | ソクラテスはなぜ死刑を受け容れたか | 古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、不当な告発により死刑判決を受けたが、友人たちによる脱獄の勧めを断り死刑を甘受する。このソクラテスの決断はなにを意味しているのかについて考える。 | |
4 | 第4回 | 「徳」は教えることができるか? | ソクラテスの弟子プラトンの著書『メノン』に依りつつ「得」は教えることができるか否かという問題について考える。これは「得」の本性に関わる問いであり、現代的な文脈においては道徳教育の可能性に関わる問いでもある。 | |
5 | 第5回 | 「優れた性格」とはどのようなものか | アリストテレスの倫理学における「中庸」について解説する。 | |
6 | 第6回 | 人間の本性とは? | ヘレニズム時代の哲学のうちキニク派とストア派の倫理思想について紹介する。 | |
7 | 第7回 | 応報主義について | 古代・中世の宗教思想から、「善行を積めば報われる」「悪行には罰が下る」という応報思想の倫理学的意味についての思索を紹介する。 | |
8 | 第8回 | 「自由意志」は存在するか? | キリスト教神学の伝統における「自由意志」をめぐる施策について紹介するとともに、その現代的な意義について考える。 | |
9 | 第9回 | 「寛容」について | 異なる宗教間の「寛容」をめぐるD・ヒュームの思想について紹介する。 | |
10 | 第10回 | なにが「善」を構成するのか?(1) | 現代倫理学における基本的な視座の一つ、功利主義について紹介する。 | |
11 | 第11回 | なにが「善」を構成するのか?(2) | 現代倫理学における基本的な視座の一つ、義務論について紹介する。 | |
12 | 第12回 | 「自由」とはなにか(1) | J・S・ミルの古典的な自由主義の定式化について紹介し、その可能性と限界について考える。 | |
13 | 第13回 | 「自由」とはなにか(2) | 「〜からの自由」とは区別された「〜への自由」としての自由論について紹介する。 | |
14 | 第14回 | 応用倫理学の歴史的背景 | 20世紀の後半に新たに浮上してきた倫理的課題を扱う「応用倫理学」の諸問題について、その歴史的な背景を解説する。 | |
15 | 第15回 | 応用倫理学の思想的背景 | 20世紀の後半に新たに浮上してきた倫理的課題を扱う「応用倫理学」の諸問題について、その思想的な背景を解説する。 | |
16 | 第16回 | 環境倫理(1) | 環境倫理学がとりあげてきた代表的な問題を紹介する。 | |
17 | 第17回 | 環境倫理(2) | 環境倫理学の問題提起のうち、世代間倫理について考える。 | |
18 | 第18回 | 環境倫理(3) | 「動物福祉」「動物の権利」という問題提起について考える。 | |
19 | 第19回 | 情報倫理 | SNS時代の新しい問題、「忘れられる権利」について考える | |
20 | 第20回 | 医療倫理(1) | 『安楽死』「尊厳死」についての古典的な事例を紹介する。 | |
21 | 第21回 | 医療倫理(2) | 「終末期鎮静」「胃ろう」などの事例について紹介し終末期の医療について考える。 | |
22 | 第22回 | 医療倫理(3) | 人体実験の歴史と臨床試験の倫理について紹介する。 | |
23 | 第23回 | 生命倫理(1) | 「リベラルな優生学」と呼ばれる事例について紹介する。 | |
24 | 第24回 | 生命倫理(2) | 「ハイテク義肢」など、人体改造の「いま」について紹介する。 | |
25 | 第25回 | 生命倫理(3) | スポーツおよびそれ以外の分野における「ドーピング」の事例について紹介する。 | |
26 | 第26回 | 生命倫理(4) | 「生命への人為的な介入はどこまで許されるのか?」について考察する。 |
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27 | 第27回 | ロボット倫理 | 自律的なロボットの過失や「犯罪」の責任は誰が負うのか? 自律的なロボットは道徳的な配慮の対象になるのか? 人間に近づきつつあるロボットが提起する倫理的問題について考える。 | |
28 | 第28回 | ケアの倫理と正義の倫理(1) | 倫理学に対するフェミニズムの問題提起について紹介する。 |
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29 | 第29回 | ケアの倫理と正義の倫理(2) | 「普遍性の追究」がもつ意義と問題点について考察する。 | |
30 | 第30回 | まとめ | 従前の講義について補足説明を行うとともに、受講生の関心の高いテーマについて討論する。 |