科目一覧へ戻る | 2023/07/20 現在 |
開講科目名 /Class |
地域学講義ⅡC/地域学講義Ⅲ(地方自治体の都市政策)/Regional Studies ⅡC |
---|---|
授業コード /Class Code |
A004242001 |
開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
共通教育科目/ |
年度 /Year |
2023年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
前期/SPRING |
曜日・時限 /Day, Period |
木3(前期)/THU3(SPR.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
大森 光則/OOMORI MITUNORI |
科目区分 /Course Group |
【共通教育科目】 〈リベラルアーツ領域〉/*** GENERAL EDUCATION COURSE *** 〈LIBERAL ARTS〉 |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
---|---|
大森 光則/OOMORI MITUNORI | 共通教育センター |
授業の方法 /Class Format |
【対面授業(講義)】 |
---|---|
授業の目的 /Class Purpose |
この科目は、学生が豊かな知識を備え、新しい価値を創造でき、将来にわたって自発的に学び続けることができる。そして、高い倫理観、責任感をもって社会に貢献するという本学が掲げるディプロマポリシーを踏まえ、さらに共通教育カリキュラムの地域学分野に示された履修系統における「地方自治体の政策」に属している。 具体的には、本学のキャンパスがある神戸市に焦点をあてて、自治体から市民に提供されるサービス(政策)は、どのような目的をもち、どのような手続きを経て実行されるのかを明らかにしたい。 また、自然災害やコロナの感染症(災害以外の災害)災害などを経て、神戸市は今後、どのよう都市に発展しようとしているのかを学生のみなさんと考えてみたい。 また、この科目では、行政事例を学ぶだけではなく、神戸市という自治体をとおして実学を学ぶ機会となる。実際に、神戸市において、政策を担当している幹部職員をゲストスピーカーとして招き、政策となる過程を学ぶことができる。 2020~2022年度に久元神戸市長をはじめ、副市長、局長級の幹部職員から特別講義を行っていただいた。 以上のことを学ぶことにより、学生自らが、自治体を分析し、問題点を見つけ、改善に向けた政策について考える力を養えるようになることを目的としている。 地方公務員を目指している学生や自治体政策に興味のある学生の積極的な受講を期待している。 なお担当教員は、神戸都市問題研究所の研究員として、地方自治体が発行する地方債や戦前戦後の外貨地方債について研究テーマとしていた実務経験のある教員である。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
学生が授業に参加するなかで以下の3点について修得できるようになる。 ⑴神戸市という自治体が、阪神大水害や米軍による空襲に遭遇しながらも、市民と行政が力を合わせて復興してきたことが理解できるようになる。 ⑵自治体が行う施策の企画立案や実行への過程を学ぶことによって、自治体の役割について大まかに理解することができる。 ⑶どのようにすれば市民の暮らしが向上するのかといったことが意識できるようになる。受講することにより、市民生活の改善に向けての政策が考えられるようになる。 |
授業のキーワード /Keywords |
地方自治、自治体、神戸市、神戸市長、福祉行政、国と地方、財政赤字、財政の仕組み、地方債、外貨地方債、マルク債と為替差益、自治体の運営手法、都市経営、神戸と災害、阪神淡路大震災、災害と職員 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
⑴講義を中心に行う。DVDなどの視聴覚教材も利用する。 教科書は使用せずレジメを配布する。 ⑵ゲストスピーカーの講義日程やテーマについては、授業時に日程表にして配布する。 ⑶一方通行の授業ではなく、学生からの質問や意見発表の時間を設ける。また学生が興味を持つ話題をテーマにしてディスカッションもしてみたい。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
⑴授業でわからないことは遠慮せずに聞いてほしい。また、レポートの書き方や期末テストへの取り組み方など、合格に向けた丁寧なサポートも行う。 ⑵授業での質問や意見発表は大いに評価する。 ⑶地方公務員を志望する学生や地方自治体に関心を持つ学生をはじめ、多くのみなさんの受講を期待している。 |
授業時間外に必要な学修 /Expected Work outside of Class |
⑴授業ごとのテーマについてインターネットでの検索や参考文献に目を通し、気の付いたことはノートに残す。 ⑵図書館を大いに利用することを薦める。また、新聞(週刊誌を含む)や居住する自治体の広報紙に眼を通すことも学修になる。 ⑶テレビやラジオのニュース番組を見聞きすることを習慣に。特にニュース解説の番組は就活するうえでの知識にもなる。 ⑷身近で生じていることから政策について考えてみる。例えば「高齢者の立場になって歩道の安全性を考えてみる」「利用者(市民)の立場から行政サービスについて考えてみる」ことも学修になる。 ⑸講義の内容をまとめる。参考文献を読む。そして、必要なところをノートにまとめてみる。これらの学修や作業はレポートの作成や期末試験対策にも有効だ。 ※これら授業の予習や復習は概ね各60分を目安にする。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
学生は、毎回の授業終了時に出席カードに感想を記述し提出する。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
・評価の構成は、①授業への積極的な参加20%、②質問や意見発表等30%、③期末試験50%。加えて毎回の授業時に提出する感想等も評価の対象とするなど、合否については、それらを総合的に判断する。 ・受講生の積極性は最大限に評価する。 ・評価方法はすべて加点(プラス)方式とする。 ・評価方法の詳細は第1回授業で説明する。 |
テキスト /Required Texts |
テキストは使用しない。その都度レジメを配布する。 |
参考図書 /Reference Books |
以下の文献を薦める。専門書は学生にとって高額なものも多い。コロナ禍にあって日々の生活費の工面も大変だと思う。無料で利用できる大学や自治体の図書館を活用することを薦める。 ⑴伊多波良雄他『基礎から学ぶ財政学』(晃洋書房2018年) ⑵久元喜造、増田寛也『神戸市の挑戦』(ぎょうせい2017年) ⑷辻清明『日本の地方自治』(岩波書店1976年)絶版 ⑸宮崎辰雄『神戸を創る』(河出書房1993年) ⑹神木哲夫『神戸検定神戸学公式テキスト』 (神戸新聞総合出版センター2012年) ⑺神野直彦『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書2007年) ⑻神野直彦『地方自治体壊滅』(NTT出版1999年) ⑼増田寛也『地方消滅』(中央公論新書2014年) ⑽高寄昇三『近代日本都市経営史上巻』(公人の友社2019年) ⑾大森光則、伊多波良雄「外貨地方債の政府保証のメリットとデメリットに関する研」(『同志社政策科学』第11巻2009年) ⑿大森光則「水道建設と外資導入」『都市政策(135号)』 (神戸都市問題研究所2009年4月) ⒀大森光則「ドイツマルク債と為替差益」『都市政策(148号)』 (神戸都市問題研所2012年7月) ⒁岩田隆義「神戸とユダヤ難民」辻雄史「勝田銀次郎と陽明丸」(神戸市史紀要『神戸の歴史』第26号2017年) ⒂手嶋龍一『スギハラ・サバイバル』(小学館文庫2021)2012年7月)』 ⒃北室南苑『陽明丸と800人の子供たち』(並木書房2017年) ⒄白井勝彦他『神戸の戦災孤児たち』(みるめ書房2019年) ⒅中井英雄・齊藤愼『新しい地方財政論』(有斐閣アルマ2022年) |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
---|---|---|---|---|
1 | 第1回 | オリエンテーション | 授業の進め方、評価の方法と基準(点数の配分など具体的に)について説明する。図書館やPC相談コーナーの利用について、経験も踏まえて説明する。 | |
2 | 第2回 | 兵庫開港は神戸開港だった | 神戸港の歴史は古く「大和田の泊(とまり)」と呼ばれ、奈良時代からの歴史がある。神戸市が港とともに発展してきた「まち」であることを学ぶ。DVDも利用する。 | |
3 | 第3回 | 開港は開国だった | ペリー来航と鎖国の終わり、東アジアで残された最後の市場、不平等条約、居留地の誕生(神戸開港だった)、貿易が始まる、金本位制と交換比率の不平等、商事会社の設立と委託、貿易事務の委託。 | |
4 | 第4回 | 財政の仕組み⑴ | 財務省が提供している資料(オープンデータ)から日本の財政は「黒字なのかそれとも赤字なのか」を探ってみる。 | |
5 | 第5回 | 財政の仕組み⑵ | 神戸市が提供してる資料から地方自治体の財政状況を考えみる。 | |
6 | 第6回 | 自治体運営の手法⑴ | 民間の経営手法を取り入れた「神戸市都市経営」を取り上げる。 ①公共デベロッパー方式、②地方債(借金)を最大限に活用、③財政調整基金(積立金)の活用、④外郭団体(神戸市系列会社)の活用、ドイツマルク債と為替差益(開発資金を多額に確保)、「最小の経費で最大の効果(コスト意識)」について考える。 |
|
7 | 第7回 | 自治体運営の手法⑵ | 自治体が行う政策がどのようにして検討され成案化されていくのか、そして、どのような手続きを経て実現されるのかについて考える。市長が市民要求を把握する方法、市長と議会のバランス関係などについて考える。 | |
8 | 第8回 | (仮題)神戸市の課題 | 神戸市が進めようとしている「神戸市の課題」について 久元神戸市長に講演を依頼。 |
|
9 | 第9回 | 神戸と災害⑴ | 阪神淡路大震災から28年、当時のワークショップから被災者が求めていたのかを考える。 | |
10 | 第10回 | 神戸と災害⑵ | 自然災害と戦災(戦争による災害)をとりあげる。戦前や戦時下の阪神大水害(1938年7月)や神戸大空襲(1945年2月~)について、当時の記録映像から被害状況をみてみる。 | |
11 | 第11回 | 災害と自治体職員 | 阪神淡路大震災直後、市役所の機能が果たせない状況下で、現場の職員は市民からの要望に対して、災害対策本部からの指示待ちではなく、その都度、判断を求められるという困難ななかで闘いが始まった。 | |
12 | 第12回 | 命をつないだまち | 『命のビザ』をもった4千人を超えるユダヤ難民が神戸に滞在し、神戸を経由地としてアメリカへ渡った。 | |
13 | 第13回 | (仮題)今後の神戸のまちづくり | 神戸市今後のまちづくりについて 神戸市企画調整局幹部職員(技術職)に依頼。 |
|
14 | 第14回 | 人口減少問題 | 2008年をピークに日本の人口は減少に転じた。シャッター街、消滅可能性都市、高齢化、福祉水準の低下、自治体財政の悪化などについて考える。 | |
15 | 第15回 | まとめ | 学んだことを次のステップへ生かす。 期末試験の範囲や準備など、取り組み方について説明する。 |