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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2023/07/20 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
地域学講義ⅠA/地域学講義Ⅰ(兵庫学)/Regional Studies ⅠA
授業コード
/Class Code
A004232001
開講キャンパス
/Campus
有瀬
開講所属
/Course
共通教育科目/
年度
/Year
2023年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
前期/SPRING
曜日・時限
/Day, Period
木3(前期)/THU3(SPR.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
山崎 整/YAMASAKI TADASHI
科目区分
/Course Group
【共通教育科目】 〈リベラルアーツ領域〉/*** GENERAL EDUCATION COURSE *** 〈LIBERAL ARTS〉
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
山崎 整/YAMASAKI TADASHI 共通教育センター
授業の方法
/Class Format
新型感染症コロナなどによる制限が無ければ「対面での講義」とします。対面が不可能となれば「オンデマンドによるオンライン式」に変更し、その際は「遠隔授業情報」欄にURLを記載します。オンライン式となっても「リアルタイム」では実施しません
授業の目的
/Class Purpose
兵庫県が日本の都道府県では最大の旧5カ国(厳密には7カ国)から成る事実をまず知り、それぞれ気質の異なる旧国がなぜ同じ県に集約されることになったのかを考えます。次に各地域に根付く「独自の文化」に思いをはせ、地域的特質に絡む「幅広い知識」を学ぶ過程で、発見した諸問題を解決に導き、習得した知識を社会で活用、生涯にわたり他者や異文化理解にもつなげます
到 達 目 標
/Class Objectives
兵庫県内の主要地名を聞いただけで、どの辺りに位置し、歴史上どんな事跡があったのか、さらに特産や、地域住民の話す方言についても、おおよそ分かるようになります。また県庁所在地の神戸については、「世界に開けた港町」としての特質だけでなく、どのようにして「ハイカラな街」となったのかを探ると、意外にも「外国人居留地の造成遅れ」に伴って窮余の一策として編み出した「雑居地」の存在が浮かび上がります。神戸や兵庫県の深層を理解していきます
授業のキーワード
/Keywords
初代兵庫県知事・伊藤博文、ハイカラ都市、大輪田泊(おおわだのとまり)、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)、私学の隆盛、醸造文化、環日本海、国生みの島・淡路、播州弁、兵庫県の多様性
授業の進め方
/Method of Instruction
時に学生への質問を交えて理解度を測りながら、教える側と教えられる側の双方向性を持たせます。原則として毎回の講義の初めに、最新(講義当日付)神戸新聞朝刊の記事を使い、今、神戸と兵庫県で、あるいは国内で、世界で「何が起きているか」について知り、地域の課題と併せて考えます
履修するにあたって
/Instruction to Students
細かい年代の暗記は必要ありませんが、日本歴史の大まかな流れや時代区分をあらかじめ知っておいてください。時に地域史から日本全体の歴史も眺めます。毎回の講義にはレジュメを用意しますが、各人が書き留めるノートがテキストであり、参考書となります。定期試験のためにも有用なノートを作成してください。自作のノートと配布したレジュメは定期試験に持ち込めます 
授業時間外に必要な学修
/Expected Work outside of Class
レジュメに掲載した「読み物」は、講義で触れられなかった場合でも、必ず読んでおいてください。また、地域の歴史や文化に日頃から興味を持ち、知的好奇心のアンテナを張り巡らしてください。関連する書籍や新聞・雑誌の記事を読む時間を含め1時間程度は必要でしょう
提出課題など
/Quiz,Report,etc
日常的に課題を提出させることはありませんが、提出させた場合は、「良い例」や「悪い例」を示した上で、必ず「改善策」を教示し、学生たちとの双方向性を確保します
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
成績は、期末の試験(100%)で評価します。講義で配布したレジュメ、各自が作成したノートは共に「持ち込み可」です。問題は、「マークシート5択方式」で50問出題します。講義をしっかりと聞いておれば決して難しくはありませんが、出席せず、レジュメだけ入手しても合格点は困難です。第15回の最終講義日に、試験の概要について説明します
テキスト
/Required Texts
テキストは用いませんが、毎回、レジュメを配布します
参考図書
/Reference Books
図書の指定はしませんが、各自の関心に応じて地域史関連の読書を勧めます。 参考図書は、山崎整著『幕末維新の兵庫・神戸』、神戸新聞社編『ひょうご全史㊤㊦』(いずれも神戸新聞総合出版センター刊)、神木哲男監修『神戸学検定公式テキスト 神戸学』、田辺眞人・谷口義子著『神戸の歴史ノート』など多数あります
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 1(4月13日) 5国を合わせて出来た兵庫県 明治維新で西摂津に置かれた小さな兵庫県(第1次)は、廃藩置県の進行でいったん摂津の西半分だけ(第2次)となり、府県の統合によって西摂津に加え、播磨・但馬・淡路の全域と西丹波を合わせた現在の大きな県域に成長した。県成立の経緯と、結果として5地域となった兵庫県を概観する。
2 2(4月20日) 神戸海軍操練所の意義 幕末の日本は、アジアを植民地支配しようと狙う欧米列強の餌食となる危機にさらされていた。にもかかわらず、国内では「開国」か「攘夷」かで国論を二分していた。この危急存亡の危機にありながら、西洋式艦船を扱える人材は皆無に近かった事態に危機感を抱いた幕臣の勝海舟が、長崎に続いて創設した、操船技術を教える学校が神戸海軍操練所だった。幕府の肝いりで誕生した神戸の教習施設がわずか1年で廃止され、責任者の勝も江戸に引き戻されてしまう。波乱の神戸海軍操練所の意義を考える。
3 3(4月27日) 神戸事件と初代兵庫県知事伊藤博文 伊藤博文は、かつて「千円札の肖像画」にも採用された著名な政治家だが、初代兵庫県知事だった事実は全国的には全く知られておらず、兵庫県民でもその知識を持つ者は少ない。そもそも伊藤が満26歳の若さで知事に抜擢されるに至ったのは「神戸事件」の勃発とその解決に奔走した実行力が、誕生したばかりの明治新政府に認められたからだ。いまだ謎を秘める神戸事件の真相に迫る。
4 4(5月11日) 伊藤博文とハイカラ都市の源流 神戸事件に遭遇し、その解決に奔走した結果、明治新政府から行政手腕を認められ、初代兵庫県知事に抜擢された伊藤博文。知事としては、わずか1年の在任だったにもかかわらず、大きな業績を残していた事実は、意外なほど知られていない。一方、神戸は今も「ハイカラ都市」であり続けるが、そのきっかけは、伊藤が手掛けた外国人居留地造成と深い関わりがある。なぜなのか。常識的には、貿易に従事する外国人が住む「居留地」が最新の西洋文化を持ち込んだ結果と考えられるが、より直接的には、外国人と日本人が混住した地域「雑居地」の存在が大きい。あまり聞き慣れない「雑居地」は、どんないきさつで出来たのか。開港直後の神戸の実情から説き起こす。
5 5(5月18日) 国際港・神戸港の原点―大輪田泊・兵庫津の繁栄 現在、国際貿易港としての神戸港は、大阪港、尼崎西宮芦屋港とを併せて「阪神港」と総称される。その源流は、僧行基が開いた播磨(摂播とも)五泊の一つ「大輪田泊(おおわだのとまり)」にさかのぼり、遣唐使船も発着した。その意味で古くからの国際港であった兵庫津と、東3.5㌔に位置し、幕末に開港した神戸港を比較しながら歴史を振り返り、明治以降に開けた「新しい街神戸」との巷間に流布した誤った認識を改めさせる。
6 6(5月25日) 小泉八雲の神戸時代 日本人以上に古い日本文化を愛した、ギリシャ生まれのアイルランド系英国人作家ラフカディオ・ハーンは来日後、松江、熊本を経て神戸で2年足らず暮らした。英字新聞「神戸クロニクル」に多数の論説記事を書き、帰化して小泉八雲と名乗ったが、生成人後、世界に残した足跡と共に、いまだ不明な部分が多い神戸時代の実像を探る。
7 7(6月1日) 港都ゆかりの音楽―クラシックからジャズまで 神戸は、幕末の開港から西洋文明が次々と入ってきた。「音楽」も例外ではないが、日本人が西洋音楽を習得し、自在に作曲や歌唱・演奏できるようになるのは、かなり後のこと。しかし、明治20年代から唱歌の作曲をはじめ、徐々に頭角を現すようになり、大正末には日本で初めて本格的なジャズバンドが神戸に誕生。昭和戦前期には、クラシック界でも世界に羽ばたく人材を輩出するまでになる。そんな神戸ゆかりの音楽世界を、レコードに残された当時の音源を聴きながら概観する。
8 8(6月8日) 私学隆盛の土壌―日本初の福祉型幼稚園を生んだ寺子屋の伝統
早くから多くの私学が誕生した神戸。キリスト教系に加え、灘の酒造家が設立した灘、甲陽学院の両中学高校という独特の「私学文化」を育んできた。また神戸は、日本で初めて「福祉型幼稚園」が設立された地でもある。大きな寺子屋を営む家に育った創立者・間人(はしうど)たねの生涯を通じて、神戸の民間教育の伝統を探る。
9 9(6月15日) 知られざる醸造王国 神戸市灘区から西宮市にかけての大阪湾岸で造られる「灘の酒」は今も日本一の醸造量を誇るが、兵庫県は清酒だけではなく、広く「醸造文化」全般に優れていた。ペリーが来航した年、三田藩出身の化学者・川本幸民が日本人で初めて「ビールの醸造」に成功したし、神戸の「マルカン」は、日本最古の酢メーカーでもある。醤油、ワインも含め、醸造王国の秘密を探る。
10 10(6月22日) 「消えた鉄道」5国巡り 明治政府の近代化政策で全国に多数の鉄道が敷設された。開港地・神戸がある兵庫県も例外ではない。それどころか、神戸市街に網の目のように張り巡らされた路面電車をはじめ、神戸―大阪間にも阪神国道線なる市街電車が走っていた。全県を眺めれば、淡路・播磨・但馬・丹波の各旧国にも、今は無きユニークな鉄道が存在した。こうした廃線を通じて、なぜ敷設に至り、ついには廃止されたのか、地域の鉄路史を探る。

11 11(6月29日) 丹波はなぜまとまりにくいか 丹波国は当初、但馬・丹後の両国を含んでいたが、8世紀初めまでに2国が分離・独立した後の新「丹波」は、海岸から離れ、内陸の「山と盆地の国」となった。京に近いことから古来、時代に翻弄され続け、明治以降も京都府と兵庫県の東西に分断された。東部は京都丹波と呼ばれ、西の兵庫丹波には丹波市と丹波篠山市が存在するが、この両自治体名も紛らわしい。2017年末、当時の篠山市に「丹波篠山市」への改称費用にと匿名で1億円の寄付があったこともあり、改めて選挙で市民の意向を確認後、2019年5月に改称された。自治体名を巡っても揺れるなど、今も「まとまりにくい地域性」を歴史地理学的に分析する。
12 12(7月6日) 「環日本海」の視点で見る但馬 かつて❝裏日本❞と称され、何かと遅れたイメージを抱かれた山陰・但馬について考える。近年「鉄器輸入」の先進地だったとして、従来の「中央史観」が見直されている。弥生時代後期、文明の進んでいた朝鮮半島と日本海ルートを通じて直接、鉄器などを取引した但馬の王たちの隆盛を探る。
13 13(7月13日) 数奇な運命をたどった神話の島・淡路 古くから「国生みの島」との伝説がある淡路島について深く掘り下げる。『古事記』に記される「国生み神話」とはどんな話か。朝廷との結びつきの強さから、天皇家などに高級な魚介類などの食材を供給する「御食国(みけつくに)」となり、また皇族の配流地ともなっていた古代から説き起こし、阿波・徳島藩領の江戸時代を経て、明治初期に兵庫県に属することになった淡路島の数奇な歴史をたどる。2015年、南あわじ市でごっそり発見された7個もの銅鐸、そして2017年の鉄器生産拠点の確認は、さらに「神話の島」との印象を強くした。
14 14(7月20日) 播州弁から見る兵庫の方言 播磨国は古来、広く豊かな国として発展してきた。京・大坂にも比較的近い「準畿内」の意義も深い。こうした地理上の位置が「播州弁」に強く影響した。一般の認識とは違い、「狭義の関西弁」に入らない播州弁。東西の境界を分ける「はる」と「てや」という「敬語表現の違い」を基に、「播磨」から兵庫県の方言を考える。
15 15(7月24日) 兵庫県の多様性 兵庫県は、幕末~明治維新期の創設時から人工的に作られた「多様な県土」としての運命を担ってきた。このユニークな兵庫県が誕生する過程については初回で学習したが、最終回では、実際、どれほど多様なのか、分野別に実態を検証・考察したい。

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