神戸学院大学

ハラスメントの防止に関する取り組み

ハラスメント防止ガイドライン

2000年4月1日制定
2004年1月19日改正
2005年7月28日改正
2007年4月12日改正
2009年4月1日改正(制定)
2010年4月1日改正
2012年6月21日改正
2016年1月28日改正
2017年1月1日改正
2020年4月1日改正

I ハラスメント防止に関する基本的考え方

II ハラスメントの定義

III ハラスメントを受けたら

IV 申立てに基づく解決方法

V ハラスメント防止・解決のための体制

I ハラスメント防止に関する基本的考え方

1.ハラスメント防止に関する神戸学院大学の基本的な姿勢

教育・研究を行う学問の府である大学において、教職員と学生間、学生間、あるいは教職員間であるかどうかを問わずセクシュアル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、その他のハラスメント(以下「ハラスメント」という。)が行われることはあってはならないことです。

神戸学院大学(以下「本学」という。)は、すべての学生及び教職員が個人として尊重され、平等かつ平穏な教育・研究環境及び労働環境のもとで修学または就労できることを維持することが責務であると考えます。

したがって、本学は個人の尊厳を侵し、人権侵害や性差などに基づく差別でもあるハラスメントを強く非難するとともに、快適な学生生活や教育・研究環境、職場環境を阻害するハラスメントの予防・根絶のため、その発生原因、背景、実情や問題点の解明を深め、十分な理解を得るように、教育・研修・広報活動を通じ周知徹底、啓発に努力します。

また、本学は、被害を受けた学生及び教職員が、安心してハラスメントに関する相談や申立てができる窓口を設置し、ハラスメントの相談や申立てに対しては、被害者へのケア、権利回復を重視しつつ、慎重に効果的な対応をします。その際、関係者のプライバシーの保護と秘密厳守には特に配慮します。

ハラスメントは、人権侵害や性差などに基づく差別に関わる問題の一つです。本学は、ハラスメントなどこれらの問題の予防・根絶のため真摯に取り組み、大学としての社会的使命を果たします。

2.本ガイドラインの適用範囲及び対象

本ガイドラインは、本学の構成員であるすべての学生(大学院生、学部生、留学生、研究生、科目等履修生等本学で教育を受ける関係にある者すべてをさします。)、すべての教職員(教育職員、事務職員、非常勤の教員、客員教員、嘱託、パートタイマー、派遣職員等常勤、非常勤を問いません。)に適用されます。また、研究員等名称のいかんを問わず、本学の教育や研究について継続的関係を持っていると認められる者についても、本ガイドラインは適用ないし準用されます。そして、およそ被害者または加害者とされる者が本学の学生、教職員であれば本ガイドラインの対象となり、また、キャンパスの内外を問わず、実質的に本学の修学就労環境に重大な支障を与えると認められるハラスメントについては、本ガイドラインが広く適用ないし準用されることになります。

ただし、加害者とされる者がキャンパス内の出入り業者や委託会社社員、他大学の学生など本学の構成員でない場合については、その者が所属する機関に対して、本ガイドラインの趣旨、目的、概念を説明し、予防、再発防止、行為者の処分等を行うよう強く求めるものとします。

3.守秘義務と個人情報保護

ハラスメントの相談や申立てへの対応の過程において関与した相談員、調査部会委員、人権問題委員会委員等の教職員(以下「関与教職員」という。)は、その過程で知りえた関係者の個人情報を保護し、その秘密を厳守するとともに、プライバシーの保護に最大限配慮します。このような関係者の厳格な守秘義務は、お互いの信頼関係を築き維持するための基本であり、安心して何でも話せるための保障です。

4.相談や申立てに対する不利益な取り扱いの禁止

ハラスメントの加害者とされる者(相手方)は、被害者がハラスメントの相談や申立てをしたことで、被害者を脅迫、威圧したり、報復その他の不利益な取り扱いをしてはなりません。また、関与教職員および関係機関は、被害者が相手方から脅迫、威圧等を受けたり、報復その他の不利益な取り扱いを受けることがないように十分配慮します。そうでなければ、力の強い者がつねに弱い者を支配し服従させることになり、相手を対等の人格を持った存在としてではなく、性的な対象物などとみる風潮はなくなりません。被害者が相談や申立てをしたことで相手方または第三者から不利益な扱いを受けたり、脅迫、強要等を受けた場合、当該言動を行った者に対し懲戒手続を発動することもあります。

II ハラスメントの定義

5.ハラスメントの定義

教育・研究を行う学問の府である大学において、教職員と学生間、学生間、あるいは教職員間であるかどうかを問わずセクシュアル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、その他のハラスメントが行われることはあってはならないことです。ハラスメントは以下の定義に従いますが、ある言動がハラスメントに該当するかは、言動を行った者の主観的意図には関わりなく、原則として被害者の判断を基準とします。

(1)セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)

セクハラとは、他の者の意に反する性的な言動によって、他の者に不利益を与えたり、不快感を与えて、修学・就労や教育・研究環境を悪化させることをいいます。ここでいう「性的な言動」とは、性的な内容の発言及び性的な行動を指し、身体的な接触や性暴力、視線や卑猥な冗談等を含みます。

セクハラには、性的な言動によって相手が受ける被害の内容に応じて、相手がその教育・研究条件や労働条件に関する不利益を受けるもの(対価型セクハラ)と、当該性的な言動により相手の修学・就労や教育・研究環境が害されるもの(環境型セクハラ)があります。具体例については、別紙に示します。

(2)アカデミック・ハラスメント(アカハラ)

アカハラとは、教職員または学生が、教育・研究、就労等の関係において、他の教職員または学生に対し、地位または権力を利用した嫌がらせをしたり、不利益を与える等の言動をいいます。アカハラには、人格攻撃、指導の拒否、正当な理由のない教学上の不利益、研究妨害などが含まれます。具体例については、別紙に示します。

(3)その他のハラスメント

教職員または学生が教育・研究・就労等における優越的な関係に基づいて、業務及び活動の適正な範囲を超える言動により、他の学生または教職員に精神的・身体的な苦痛を与えたり、教育・研究環境及び労働環境を害するような行為をパワー・ハラスメントといいます。さらに、性別の違いを理由に特定の役割を担わせたり差別的扱いをするジェンダー・ハラスメント、人種・国籍や民族を理由とした差別的言動及び差別的扱いをするレイシャル・ハラスメント、年齢・出生・障がい・身体的特徴・セクシュアリティ(性的指向・性自認・性表現等)等を理由とした差別的な言動及び差別的取り扱い等の人権侵害、妊娠・出産・育児・介護やそのための制度の申出・利用に対する嫌がらせ等の言動及び不利益な取り扱いもその他のハラスメントに含まれます。具体例については、別紙に示します。

(4)ハラスメントによる被害の特徴

(1)〜(3)で示したように、ハラスメントには多様な形態が含まれますが、いずれも受け手に強い不快感や苦痛を与えるものです。このため心身の不調が生じ、学業、研究や職務の継続が困難になる場合も少なくありません。これらの言動によって、被害者が深刻なダメージを受け、精神的なトラウマを持つに至ることもあります。

6.ハラスメントの二次被害を与えうる言動

直接的なハラスメントの被害から派生した周囲の人の対応によって、被害者が二次的に心の傷を受けることを、ハラスメントの二次被害といいます。

ハラスメントの二次被害にあたる言動により、被害者はさらに心の傷を深めることになります。また、被害者はますます自分を責め、相談や申立て等がしづらくなってしまい、問題解決・防止が困難になります。さらには、加害者の態度を許容していくことになり、ハラスメント自体を許容する雰囲気をつくってしまいます。

したがって、ハラスメントの被害を見聞きしたり、相談を受けた場合に二次被害を与えうる言動を行ってはなりません。もし二次被害を与えうる言動を行った場合には、その者に対して厳しい態度で臨みます。

ここで言う「二次被害を与えうる言動」とは、「被害者に落ち度があったと責める」、「被害を矮小化する」、「加害者を擁護する」、「相談、問題化することを非難する」などの内容の言動を含みます。具体例については、別紙に示します。

III ハラスメントを受けたら

7.ハラスメント相談

ハラスメント被害を受けたときは、本学のハラスメント相談室に相談をすることができます。ハラスメント相談室は、相談に際し、ハラスメントの被害を受けた相談者のプライバシーを最大限保護し、秘密を厳守します。

ハラスメント相談室にはハラスメントに関する専門知識を持つ専門相談員が待機しています。専門相談員は、相談者の事情を聞き、相談者の立場に立って迅速に相談に応じます。専門相談員は、適切な情報提供と助言を行い、問題解決のための全過程において相談者の自己決定と権利回復を援助します。

相談は直接面談によるほか、電話、ファックス、電子メール、郵便でも受け付けます。被害を受けた当人だけではなく、相談を受けた人、すでに本学を卒業した人、退職した人も相談することができます。

ハラスメント相談室のほかに、学生相談室、学長室のハラスメント相談専用窓口を利用することもできます。

ハラスメント相談室の権限と役割、相談にあたっての指針を明記した専門相談員に関する規程等は別に定めます。

8.ハラスメント解決のための方法

ハラスメントの問題解決の主な方法としては、ハラスメントの被害を受けた人から相談を受けた相談室(室長)が相談者の要望に沿って関係部局への改善の申し入れを行うことによって解決が図られる場合のほか、ハラスメントの被害を受けた人が人権問題委員会に申立てを行うことによって解決が図られる場合があります。

人権問題委員会への申立てに基づく解決方法としては、調停(和解)、通知(注意・警告)、事実調査に基づく措置の3つがあり、ハラスメントの被害を受けた人は、いずれかの方法を選択してハラスメントの申立てを行うことができます。申立ては、被害者本人が調停、通知、または事実調査に基づく措置の申立書に記入して行います。このとき、必要に応じて相談員が事実関係の経緯等をまとめた補足資料を添付することができます。申立書は、相談員がハラスメント相談室長に提出し、ハラスメント相談室長が人権問題委員長に提出します。

被害者がハラスメントの申立てを行う場合には、ハラスメント相談室の専門相談員から手続上の助言を受けることができます。

なお、被害者はいつでも申立てを取り下げることができます。

9.虚偽の相談・申立て等の禁止

ハラスメントの相談や問題解決の過程において、虚偽の申立てや証言を行ってはなりません。このような虚偽の申立て等を行った者には、厳しく対処します。

IV 申立てに基づく解決方法

10.調停(和解)

[趣旨]

ハラスメントにあった場合に相手方との間での問題を解決するための方法として、調停員の立ち会いのもと、当事者(被害者と加害者とされる者)間で話し合い、問題解決・再発防止のために必要な措置について合意を図ります。

[調停の手続]

  1. ハラスメントの被害者から調停開始の申し出があったときには、人権問題委員会が相手方の意向を確認した上で、調停の開始を決定します。
  2. 人権問題委員会委員長は、調停員若干名を委嘱します。調停員には、専門的な知識・経験を持つカウンセラー、弁護士等を加えることができます。
  3. 調停員は、公平中立な立場から当事者間の話し合いに立ち会い、当事者の主張を整理します。また、当事者の希望があるときには問題解決・再発防止のために必要な措置について意見を述べることができます。ただし、調停員は両当事者に和解を強要してはなりません。
  4. 被害者はいつでも調停の打ち切りを申し出ることができます。また、調停員に不適切な言動があったときには、調停員の交代を申し出ることができます。
  5. 当事者間の話し合いの結果、問題解決・再発防止のために必要な措置の合意がなされたときには、調停員が和解文書を作成し、両当事者が署名捺印をすることによって、和解が成立したものとします。調停員は、人権問題委員会に和解が成立した旨および和解の内容を報告します。また、調停員は、当事者間で合意が成立しなかったときには、人権問題委員会に調停手続の終了を報告します。
  6. 和解が成立したときには、加害者とされる者は、和解の内容に従い、問題解決・再発防止のために必要な措置をとらなければなりません。また、人権問題委員会及び関係機関は、和解の趣旨を尊重し、問題解決・再発防止のために必要な措置をとるものとします。

11.通知(注意・警告)

[趣旨]

ハラスメントの被害者が調停(和解)または事実調査に基づく措置を希望しない場合でも、人権問題委員会は、被害者の申立てに基づき、相手方に対して注意・警告を行うことができます。

[手続]

  1. 被害者から通知の申立てがあったときは、人権問題委員会は、直ちに通知(注意・警告)の必要性について検討するものとし、ハラスメント調査部会を設置します。
  2. 人権問題委員会は、ハラスメント調査部会と協力して、被害者から事情を聴いた上で、事実関係について相当程度の確認ができ、かつ通知の必要があると判断した場合は、相手方(加害者とされる者)に通知します。ただし、被害者からの申立てが虚偽であることが判明した場合には、厳しく対処します。
  3. 申立人はいつでも調査の打ち切りを申し出ることができます。ただし、人権問題委員会が、打ち切りは不適切であると判断したときはこの限りではありません。また調査部会委員に不適切な言動があったときには、委員の交代を申し出ることができます。
  4. 通知は、文書で作成し、加害者とされる者の所属する部局長(学部であれば学部長)立会いのもとで、人権問題委員会委員長から加害者とされる者に渡すことによって行います。ただし、通知文書においては、被害者が特定されないよう匿名とし、プライバシーの保護に最大限配慮します。
  5. 通知の内容は、厳重注意とします。ただし、加害行為が繰り返された場合は厳しい措置を行うことを警告し、報復、嫌がらせ等を行わないように勧告します。
  6. 相手方が、通知の内容に異議があるときには、人権問題委員会委員長に異議の申立てをすることができます。この場合において、人権問題委員会は、被害者のプライバシーを最大限に保護しつつ、通知の必要性について説明を行うものとし、また、異議に十分な理由があるときには、通知を取り消すことができます。

12.事実調査に基づく措置

[趣旨]

被害者が事実調査に基づく措置を希望するときは、人権問題委員会のもとにハラスメント調査部会を設置して必要な事実調査を行い、問題解決・再発防止のための措置をとります。

[手続]

  1. 人権問題委員会は、被害者から事実調査に基づく措置の申立てがあったときには、直ちに調査の必要性を検討した上で、ハラスメント調査部会を設置し、必要な事実の調査にあたらせます。
  2. 調査部会は、被害者及び加害者とされる者から事情を聴き、また、必要と認めるときは第三者から事情を聴くことを含む調査を行い、ハラスメント行為の有無について認定を行います。調査は公正中立を旨とし、かつ、原則として3ヶ月以内に必要な調査を終え、調査結果報告書を人権問題委員会委員長に提出するものとします。
  3. 被害者はいつでも調査の打ち切りを申し出ることができます。ただし、人権問題委員会が、打ち切りは不適切であると判断したときはこの限りではありません。また、調査部会委員に不適切な言動があったときには、委員の交代を申し出ることができます。この委員の交代の申し出は相手方も同様に行うことができます。
  4. 調査部会は、必要な調査を終えたときには、調査結果報告書を作成し、人権問題委員会委員長に提出するものとします。報告書の作成にあたっては、被害者をはじめとする関係者のプライバシー保護に十分配慮するものとします。また、調査報告書には、ハラスメントの問題解決・再発防止のための措置についての調査部会の意見を付すことができます。
  5. 調査の結果、ハラスメント行為の事実が認定されたときには、人権問題委員会は、教学上の措置、加害者への制裁・懲戒を含む問題解決・再発防止のための方策について迅速に検討し、関係機関と協力しつつ、必要な措置をとるものとします。

13.加害者への制裁・懲戒

ハラスメント調査部会の調査の結果、重大・深刻なハラスメントの事実が認定され、かつ加害者に対する制裁または懲戒が必要と判断された場合には、関係機関は、人権問題委員会の提案を十分尊重しつつ、制裁または懲戒の必要性及びその内容について検討します。

加害者が学生の場合は、学則、大学院学則及び学生懲戒規程並びに賞罰委員会規程に基づき制裁が行われます。教職員の場合は、就業規則に基づき制裁を行うことになります。

人権問題委員会及び関係機関は、制裁または懲戒の手続を開始するときには、加害者に対してその旨を通知し、口頭または文書による弁明の機会を与えるものとします。

14.ハラスメント被害拡大防止のための緊急措置

人権問題委員会は、教員が加害者とされるハラスメントに関する申立てがあり、申立てをした被害者に対する加害行為が継続するおそれがある場合、または報復やプライバシーの侵害など二次被害行為が発生するおそれがある場合など、被害者の安全確保のために緊急の必要があると認めるときは、被害者の同意を得た上で、安全確保のために必要な措置を提案することができます。具体的には、教学上の措置として、加害者とされる教員の担当する講義、演習及び大学院科目等の全部または一部の担当を一定期間変更することを、当該教員が所属する教授会または研究科委員会に対して提案することができます。

V ハラスメント防止・解決のための体制

15.人権問題委員会

ハラスメントの防止・解決を含む人権問題について全学的な見地から検討し、対応するために、人権問題委員会を置きます。

[委員会の構成]

学長を委員長として、副学長、各学部長、共通教育センター所長、事務局長、学生支援センター所長、ハラスメント相談室長で構成します。

[委員会の役割]

本学でのハラスメントに関する基本的な政策を立案するとともに、ハラスメントの防止が適切に行われているか否か、そのための予防、教育、啓発、研修が十分図られているか等について全学的な見地から検討します。

ハラスメントに関わる問題が生じた場合には、関係機関と協力しつつ迅速に対応します。ハラスメント調査部会の調査の結果、ハラスメントの事実が認定されたときには、懲罰の手続を行うか否かを決定するとともに、懲罰の手続を行うことが決定された場合は、制裁または懲戒の内容を提案します。

委員会は、少なくとも毎年1回、本学におけるハラスメントの防止・事案の処理状況について、関係者のプライバシー保護に留意しつつ、公表するものとします。

16.ハラスメント防止委員会

本学におけるハラスメントの防止のため必要な施策をとるため、人権問題委員会の下にハラスメント防止委員会を置きます。

[ハラスメント防止委員会の構成]

ハラスメント防止委員会は、学長が指名する副学長、学長から委嘱された各学部及び共通教育センター教員、事務職員、専門相談員、カウンセラーで構成します。また、専門的な知識・経験を持つ弁護士等を構成員に加えることができます。

[ハラスメント防止委員会の役割]

ハラスメント及びハラスメント防止に関する情報の収集、教育研修、広報、調査活動等を行います。

委員会の活動内容は、適宜人権問題委員会に報告するとともに、必要に応じて全学に公表します。

17.ハラスメント調査部会

[ハラスメント調査部会の構成]

ハラスメント調査部会は、学長から委嘱された若干名の委員で構成します。部会に座長を置き、座長は、委員の中から学長が指名します。また、専門的な知識・経験を持つカウンセラー、弁護士等を構成員に加えることができます。

[ハラスメント調査部会の役割]

人権問題委員会からの諮問を受けて、当事者(被害者及び加害者とされる者)間におけるハラスメント行為の有無を含む問題解決・再発防止のために必要な事実の認定を迅速かつ公正中立な立場から行います。調査部会は、その調査結果を人権問題委員会へ報告します。また、問題解決・再発防止のために必要な措置についての意見を添付できるものとします。

18.ハラスメント相談室

[ハラスメント相談室の構成]

ハラスメント相談室は、室長、副室長、専門相談員、その他必要な教職員で構成します。室長は、本学の教職員のうちから人権問題委員会において選出し学長が委嘱します。室長は、相談室の業務の責任を持ちます。副室長は、本学の教職員のうちから室長の推薦に基づき、学長が委嘱します。副室長は、室長の職務を補佐します。専門相談員は、ハラスメントに関する相談を担当します。

[ハラスメント相談室の役割]

相談室は、ハラスメントに関する相談、ハラスメントの調停(和解)、通知、または事実調査に基づく措置等の対応手続に関する相談 、ハラスメントに関する相談を行った者に対する支援、ハラスメントの防止のための相談、ハラスメントに関する教育・研修、ハラスメントに関する相談窓口との連絡調整、ハラスメントの防止のための諸企画の実施、その他ハラスメントの相談に関する業務を行います。

(別紙)ハラスメント等になりうる言動の例(II5,6関係)

以下に示すのは、本ガイドラインの下でセクシュアル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、その他のハラスメントになりうる言動の例です。ある言動がハラスメントに該当するかは、言動を行った者の主観的意図には関わりなく、原則として被害者の判断を基準としますので(5(4))、これらの言動はハラスメントに該当すると判断される可能性が高いものですが、これらはあくまでも例示であり、ここに挙げられていない言動であってもハラスメントに該当すると判断されることがあります。

ハラスメントを防止・根絶するために重要なのは、日頃からお互いの人格を尊重し合い、ハラスメントに関する言動の受け止め方には個人間、立場等によって差がありうることを認識することです。

1.セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)になりうる言動の例

(1)相手が望まない性的誘いかけをしたり、性的関心に基づいた態度を相手に要求すること
  • 相手が断りにくい状況でしつこく交際の働きかけをしたり、性的行為に誘うこと
  • ストーカー的な行為により、相手につきまとうこと
  • 性的な関心から、相手に特別な服装や振舞いを要求すること
  • 相手が希望しないのに写真撮影をすること
  • 必要もないのにむやみに相手の身体に触ること
(2)性的な言動によって、相手の教育・研究条件・労働条件に関する不利益を与えること(対価型セクハラ)
  • 研究指導、単位認定、進学、卒業、進路の決定等に関わる立場を利用して、相手の望まない性的誘いかけをすること
  • 自分の性的誘いかけに応じなかったことを理由に、指導の放棄、単位不認定、就職活動等に不利益な取り扱い、などをすること
  • 人事権や業務指揮権等の職務権限の行使に関連して、相手の望まない性的誘いかけをすること
  • 自分の性的誘いかけに応じなかったことを理由に、昇進を妨げたり、就業上不利益な取り扱いをすること
(3)性的な言動や掲示等によって、相手に不快感を与え、就学、就労、教育・研究環境を害すること
  • 相手の身体的特徴に関して、中傷したり、からかうこと
  • 不快感を与える性的な冗談を言うこと
  • 性的な経験や性生活について尋ねること
  • 不快感を与える性的ポスターや写真を掲示すること
  • 電子メールや匿名の掲示板などを利用して、本人の知らないところで性的な噂をすること

2.アカデミック・ハラスメント(アカハラ)になりうる言動の例

(1)人格攻撃
  • 教育・研究に関連して、名誉や人格を著しく傷つけるような発言をすること
  • 高圧的、一方的な教育や指導を行うこと
  • 指導と称して、暴力をふるうこと
(2)正当な理由のない指導の拒否・放棄
  • いったん指導を引き受けたのに、「専門外」という理由で必要な指導を行わないこと
  • 論文原稿を提出したが、添削・指導を行わないまま何週間も放置すること
  • 「あなたは能力が高いから問題ない」など、一見、相手の能力を認めるかのような表現を使い、実際には必要な指導を行わないこと
(3)正当な理由なく教学・研究上の不利益を与えること
  • 成績や研究業績について、不当に低く評価すること
  • 授業や指導を行っていないにもかかわらず、「単位さえ与えれば文句はないはず」など勝手な思い込みで単位だけを認定すること
  • 卒業・進路選択を妨害すること
  • 昇任について、資格・業績数に見合わない不当な取り扱いをすること
  • 実態を反映せず第一著者とするなど、研究成果を搾取すること
  • 課外活動の指導者や先輩から、授業よりも課外活動を優先させるよう言われており、その結果、必修科目の単位を落としてしまった。
(4)研究妨害
  • 図書、機器類を使わせないことなどによって、研究の遂行を妨害すること
  • 物品購入等に必要な書類の作成を正当な理由なく拒むこと

3.その他のハラスメントになりうる言動の例

(1)パワー・ハラスメント
  • 大勢の者がいるところで部下を罵倒したり、人格を攻撃すること
  • 職務上必要な事項の連絡を行わないことなどによって特定の者を排除すること
  • 特定の者に不当に多くの仕事を与え、または特定の者のみ不当に少ない仕事を与えるなどの差別的取り扱い
(2)ジェンダー・ハラスメント
  • 特定の業務を一方の性にのみ押しつけること
  • 性別の違いを理由に、就学上、就労上の不利益を一方の性に与えること
(3)差別的な言動、差別的取り扱い
  • 人種、国籍や民族を理由とした差別的な言動を助長したり、扇動するような言動
  • 年齢、出生、障がいの有無を理由とした差別的な言動や、不利益を与えること
  • 身体的特徴をあげつらう差別的な言動
  • 相手方の性的指向に関して、中傷したり、からかうこと
  • 性的指向や身体的特徴を理由として、就学上、就労上の不利益を与えること
(4)アルコール・ハラスメント
  • 上下関係に基づいたり、部の伝統と称するなどしてアルコールを飲まざるを得ない状況に追い込むこと
  • 場を盛り上げると称して、アルコールのイッキ飲みや早飲み競争を行わせること
  • 酔いつぶすことを意図して飲み会を行うこと
  • コンパなどの席で、アルコールが飲めない者、弱い者に飲酒を強要すること
  • 酒に酔ったうえでの暴言や暴力を振るうこと
(5)ソーシャルメディア・ハラスメント
  • SNSで部下や後輩に対応や反応を求めたり、強要したりすること
  • 大学行事に関係のないプライベートな内容のメッセージが指導教員個人のアカウントから何度も送られてくること
  • ネット上に他者の個人情報を無断で公開したり、名前を伏せた状態で大学の知人、勤務先の同僚の悪口を書き込むなどで、就学上、就労上の不利益をもたらすこと
  • 実習先や勤務先などで非常識な行動を撮影し、SNSに投稿すること
(6)妊娠・出産・育児・介護のための制度の申出・利用に対する嫌がらせ等の言動及び当制度の申出・利用を理由とする不利益な取り扱い
  • 職場において、妊娠したことや育児、家族の介護が必要となったことだけで、配置転換をしたり、契約を更新しないなどの言動や実際に不利益な取り扱いをすること
  • 職場の上司や同僚からの産休、育休、介護休業等は認めないといった言動や、これらを取得したことによる解雇や減給、降格、配置転換などの不利益な取り扱いをすること

4.二次被害を与えうる言動の例

(1)被害の原因を被害者に落ち度があるとしたり、被害者の性格に帰して責めること
  • 「あなたにもスキがあった」「あなたから誘ったのでは」などの発言
  • 「あなたは神経質すぎる」「あなたは生真面目すぎる」などの発言
(2)被害の重みを被害者以外が判断し、矮小化すること
  • 「これくらい当たり前」「これくらい大したことない」などの発言
  • 「あなたよりひどい人もいる」「もう忘れてしまったら」などの発言
(3)加害者とされる者を一方的に擁護すること
  • 「あの人がそんなことをするとは思えない」、「男なんてそんなもんだよ」、「教育熱心なだけだよ」などの発言
(4)被害者についての噂を流布したり、誹謗中傷をすること
  • 「個人的な恋愛感情のもつれらしい」などと憶測のうわさを流し、被害者を孤立させること
  • 加害者とされた者の「被害者は、うそつきだ」、「自分をはめようとしている」などの発言
(5)相談、問題化することを非難すること
  • 「皆我慢しているのだから、我慢したほうがいいよ」、「なぜ今頃になって言い出すの」などの発言
(6)相談、問題化することについて被害者を脅迫・威圧したり、報復行為をすること
  • 加害者とされた者が「セクハラをされたと誰かに口外したら将来はないよ」と被害者に対して言うこと
  • 相談、問題化したことを理由として、さらなる就学、就労上の不利益を与えること