2010年9月
神戸学院大学で過ごす時間は 将来へのビッグチャンス
学生の「夢の実現」「地域社会との協働」が大学の使命
神戸学院大学の新学長に、岡田豊基教授が就任した。就任にあたり、今後の大学の方向性を示す指針として掲げたキャッチフレーズは「元気な大学、神戸学院!」。キャンパスがいつも若さにあふれ、はつらつとした雰囲気の場所であってほしいという願いとともに、「神戸学院大学の持つ情報や知的財産、教職員や学生などの人材などを学外にアピールし、大いに社会貢献していきたいという思いが込められています」と岡田学長は話す。その意欲は非常に強く「入学してきた学生が夢を見つけ、その夢を実現するためのサポートをすることも、広い意味での社会貢献だと考えています」。また、ワークライフバランスに基づく教職員の職場環境の充実にも触れ、「教職員が、心穏やかに業務に取り組める環境を整えてモチベーションを上げることも、大学全体の活気を高め、学生の可能性を伸ばす大きな原動力になります」と、時宜を得た方向性も打ち出している。
神戸学院大学の教育の特徴としては「文系学部と理系学部のバランスの良さ」があげられる。「文系のフィールドをトータルにカバーする人文科学系・社会科学系に加え、理系は、総合リハビリテーション学部・栄養学部・薬学部の医療系に特化されているため、それぞれの分野について補完しあいながら総合的に学んでいくことができます。また、文理両方があることで、全学共通の教養科目が多分野にわたり、他学部に刺激を受けながら視野を広げられると考えています」。
法律を学ぶことで、社会で賢く生きる知恵を身につける
専門は、商法の中の契約法。「商法とは会社に関する法律のこと。そして商法は、大きくは会社の組織全般に関する法律と、取引に関する法律とに分けられます。私は主に保険契約の分野に取り組んでいて、保険法の比較研究、地震と保険、遺伝子診断と保険に関する研究などを課題としています。生命保険・医療保険・損害保険などもすべて、保険会社と加入者との契約によって成り立っているのです」。そう言えば私たちの社会生活のほとんどは、契約によって成り立っていると言っていい。「意識していないだけで、コンビニなどにおける商品の売買も、店側と私たちの契約。電車やタクシーに乗る時も、実は電鉄会社やタクシー会社と契約しているのです」。
では、そういった社会生活の基盤ともいえる契約について学ぶことは、どんな意味があるのだろうか。「マンションや車など高価なものを買うといった契約や、保険など大きな金額が動く契約は失敗できません。しかし車や家なら商品が見えますが、保険の場合は実際に見ることができません。保険会社の説明を受けても私たちは細かい約款までは理解しておらず、場合によっては保険金が受け取れなくなるケースもあります。例えば阪神・淡路大震災では、火災保険に加入していたのに、家が焼けた理由が地震だったため、保険金を受け取れないということが問題になりました。地震による火災には保険金を払わないという約款があることを大抵の契約者は知らなかったのです。その後、保険法が大きく変わり保険会社の説明責任が重視されるようになりましたが、契約書に記載されている内容はやはり難解です。契約法を学ぶことは、賢く社会生活を営んでいくための知恵になると私は考えています」。
ゼミや課外活動で友人を見つけ、大学のサポーターに
精力的に学長職にいそしむ一方で、法学部で契約法のゼミを担当している。ゼミ生は、たとえば「友だちからバイクを買う場合」などの身近な事例を研究テーマに、裁判の判例などにも触れながら、契約法に関する専門知識を身につけていくという。神戸学院大学は1年次の前期から1クラス20人ほどの少人数ゼミを実施しており、ゼミを通して大学への興味をひきつけ、就職活動に備えたキャリア育成を支援している。「人生の中で、大学時代ほど自由な時期はありません。親友と呼べる友に出会い、打ち込める何かを見つけるビッグチャンスにしてほしい」。
そして、大学生活のもう一つの楽しみは課外活動だ。岡田学長は学長に就任するまで、サッカー部の部長を務めていた。「私自身、高校時代にはサッカー部に所属していました。フォワードで足の速さが自慢でしたが、レギュラーになれないまま、腰を痛めて2年生の半ばで退部しました。生涯得点は1得点。練習試合の時、ボールが目の前に来てインサイドキックで押し込んだシーンは、今でも脳裏に焼き付いています」。そんな自らの経験もあり、岡田学長は体育系・文化系を含めて、大学における課外活動を教育の一環として大いに重視していきたいという。「『元気な大学』を達成するには、課外活動の活性化も大事。ゼミと同じく、クラブやサークルで知り合った友だちは一生の友人になりますし、大学生活を充実させる場としてぜひ参加してほしい。課外活動に参加することで大学を好きになれると思いますし、卒業後は大学の『サポーター』になってくれるとうれしいですね」。
プロフィール
1977年大阪市立大学法学部卒業。84年神戸大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。2009年博士(法学)(神戸大学)。鹿児島大学法文学部助教授(84年~87年)を経て、87年から神戸学院大学法学部助教授に。同教授を経て2010年7月神戸学院大学学長に就任。2012年に法人創立100周年を迎えるにあたり「元気な大学、神戸学院!」を旗印に、改革に着手する。
主な研究課題
- 保険法の比較法研究(保険、保険契約法、保険業法)
- 地震と保険(生命保険、損害保険、火災保険、地震保険、地震損害免責条項)
- 遺伝子診断と保険に関する研究(保険、遺伝子診断、ヒトゲノム)