2010年度 神戸学院大学入学式
2010年度 神戸学院大学入学式学長挨拶
岡田 芳男 学長 挨拶
入学おめでとう
大学を利用して自己の向上を図れ
神戸学院大学学士課程、大学院修士課程、博士課程、そして法科大学院に入学された皆さん、おめでとうございます。ご列席いただいております保護者の皆様にも心からお祝い申し上げます。
特にこの度、初めて大学生活を送ろうとしている学士課程の皆さんはこれからの大学生活に思いを馳せ、胸弾ませていらっしゃることと思います。これまで異なった環境の下で育ち、異なった個性を持つ方々が全国から神戸学院大学に集まりました。人生の最も情熱に溢れた青春時代を神戸学院大学で過ごそうとされている皆さんを心から歓迎いたします。神戸学院大学の重要な構成員となったことに誇りと自信そして責任を持ってください。自己を主張し個性を大切にすることは重要です。同時に他人の個性を尊重し他を思いやる気持ちを持ってください。神戸学院大学での出会いを大切にして多くの友人を作ってください。
皆さんのうちの大多数は未成年です。未成年者として守るべき法があります。飲酒や喫煙は禁止されています。順法の精神を育み基礎的マナーを身につけて成人式を迎えてください。また大麻や覚せい剤など薬物の使用や売買は法律でも禁止されており、健康上の問題を多く含んでいます。この世で得たかけがえのない貴重な命を大切にして大学生活を送ってください。
大学院生の皆さんは、これまで培ってきた基礎的な力を基にして、更なる知の発見と創造に向け大学を利用してください。大学の頭脳である図書館の充実度は私たちの誇りとしているところです。法科大学院生の皆さんは将来の法曹界を担うに相応しい力を養ってください。留学生の皆さんは文化の異なる日本での生活であり、不便を感ずることが多々あると思いますが、健康に留意し充実した大学生活を送ってください。日本とそれぞれの国を結ぶ懸け橋となってください。
これから生活する神戸学院大学について触れてみたいと思います。神戸学院大学は1966年に「真理愛好・個性尊重」という建学の精神のもと栄養学部が設置されました。設置当初から教職員は日本一の教育機関にしたいという気概に溢れ、学生を巻き込んだ活気ある大学としてスタートしました。その後、社会の要請に応えるべく、法学部、経済学部、薬学部、人文学部、経営学部、総合リハビリテーション学部が順次設置されました。さらにそれぞれの大学院と法科大学院が設置され、1万人の学生を擁する総合大学に発展してきております。この間、建学の精神は脈々と受け継がれ、日本一の教育機関にしたいという私たちの気持ちは変わっていません。2008年度にスタートした人間文化学研究科心理学専攻(修士課程)が2009年度に完成しました。2007年10月に心理臨床カウンセリングセンターが開設され、心理学専攻(修士課程)学生の実習の場となっております。2009年に日本臨床心理士資格認定協会が実施する臨床心理士の受験資格を有する臨床心理士第1種指定大学院に指定されました。また、2005年度に設置されました総合リハビリテーション学部が完成し、2009年度には総合リハビリテーション学研究科(修士課程)がスタートしました。各学部、研究科が相互に連携を保ちながら教育と研究を推進し、国際感覚を身につけた21世紀型市民としての有為な人材を育成するとともに、全ての人間が安心して暮らせる社会の構築に向けた貢献をしていきたいと考えています。本学は従来から国際交流を積極的に進めてきております。すでに海外の多くの大学と交流協定を締結して教員や学生の交流を進めてきております。2009年度に韓国の朝鮮大学校と新たに交流協定を締結し、相互の交流の促進を約束しました。科学技術の進歩は輸送手段や情報技術を発達させ、グローバル化を促進しています。島国・日本の中の文化だけでなく異文化にも触れ、国際感覚を養ってほしいと考えています。大学構内でも多くの留学生に出会います。お互いに機会をとらえて交流してください。それぞれ相手国の文化を理解し多くの友人を作ってください。
本学はすでに6万5千名の卒業生を社会に送り出しました。全国に17の同窓会支部があり、卒業生は国内外にて活躍しております。同窓会は大学と連携して就職活動の支援や課外活動、奨学金の支援を続けてくれています。同窓会組織が益々充実していくことを願っています。
2007年4月にポートアイランドキャンパス(KPC)を開設しました。2010年度において、KPCでは法学部、経済学部、経営学部の3、4年次生と2006年から始まった6年制薬学部1-5年次生が生活しています。6年制薬学部は2011年度で完成し、高度薬剤師に相応しい新薬剤師国家試験を受けることになります。一方、マザーキャンパスである有瀬キャンパス(KAC)では栄養学部、人文学部、総合リハビリテーション学部の全学年と法学部、経済学部、経営学部の1、2年次生が学んでいます。法科大学院のある長田キャンパス(KNC)を含む3つのキャンパスはそれぞれ立地条件が異なり、教育環境にもそれぞれの特徴を持っております。個々の特徴を生かし連携しながら教育、研究、社会貢献活動を推進する「新生神戸学院大学」としてスタートしてから4年目を迎えました。法学部、経済学部、経営学部、人文学部から構成されている学際教育機構の防災・社会貢献ユニットとスポーツマネジメントユニットはともに順調な歩みを続けています。人的、物的に甚大な被害を被った阪神淡路大震災から15年が経過しました。被災時に人と人との繋がり、思いやりと助け合いの大切さを学びました。防災・社会貢献ユニットでは地域と連携しながら防災・減災に関する取り組みを継続しているところです。2009年度において防災・社会貢献ユニットが中心になり、東京都の工学院大学、仙台市の東北福祉大学と連携した「防災・減災・ボランテイアを中心とした社会貢献教育の展開」を文部科学省に申請し高い評価を受けて採択されました。「ポーアイ4大学連携事業」に加え今回は日本列島を縦断する連携となりました。遠隔授業を活用した講義を実施し、その実績を次への発展の足掛かりといたしたく考えています。
先日の学位記授与式において見た卒業生の自信に満ちた顔と入学式で見る皆さんの顔とに大きな違いのあることに気がつきます。学生は4年間の学生生活における正課授業や課外活動を通じて自己を向上させていることが分かります。4年間の研鑽の結果「学士」の学位記が授与されます。これは単に「学士」の称号ではなく、「学士」としての力が保証され、グローバル化社会において世界に通用するものでなければなりません。皆さんは受動的に講義を聞き学ぶという姿勢から自ら学習する姿勢へと変わっていくべきだと考えています。大学を積極的に活用し課外活動にも参加して正課授業では得られない「人間力」を培ってください。
これからの4年間は皆さん自身のものです。全てのことに能動的に取り組んでください。人間は日々修行でありどこまで行っても道を極めることは難しいものです。私は「自ら選んだあるいは与えられた任務遂行に最善を尽くし最善の結果を得る」ことをモットーとして歩んできました。小さなことにも大きなことにも同じように最善を尽くして取り組まなければなりません。一瞬の成功に満足することなくそれを積み重ねていくことが大切です。皆さんも大学時代に何かに打ち込み、次々と目標を超え、やりきったという体験をして自信をつけてください。それには諦めない気持ちを持ち続けることが肝要です。戦う前から負けを認めてしまうような姿勢は許されません。自分の限界を決めず努力を継続することが大切です。人間の能力に差はありません。何事においてもいかに強く思い、努力するかによって結果に差が出てくることを肝に銘じてください。
日々新聞に目を通し社会で何が起こっているのか、社会が何を求めているのかを知る必要があります。毎年3万人以上の自殺者が出ております。貧富の差がますます大きくなり医療の場においても貧しい人から命を金で買うような事態が生じています。臓器売買がその例です。食の安全が脅かされています。環境問題を解決しなければなりません。子孫に美しい地球を残していかなければならないのです。今も国と国が憎み合い、宗派と宗派が対立して紛争が起こっています。自己の利益のみを考え、主張して相手の立場を理解し尊重しようとする態度が欠けていることにより生じます。平和を維持するためにと軍備の拡張を競い核開発が行われています。昨年行われた選挙の結果、政権が交代しました。行く先の不透明感はありますが、国民の力が政治の変化を選んだことは確かです。皆さんは常に社会情勢を分析し、今後も政治の行方を見守ってください。
論語の中に「後生畏るべし。いずくんぞ来者の今に如かざるを知らんや。(若者の力を侮ってはいけません。これからの人が今の自分たちに及ばないなどとどうしてわかるものか。)」という一節があります。皆さんの力は無限です。自信を持って先輩を追い越し、社会の平和と安全のため力を発揮し貢献してください。これからの4年間をそのための助走と充電の期間としてください。