―2024年年頭にあたってのご挨拶―フロントライン

輝くダイヤモンド・ジュビリーを迎えるために 神戸学院大学長 中村 恵

年頭にあたり、謹んで新春のお慶びを申し上げます。

昨年は、2020年以来続いてきた新型コロナウイルス感染症の扱い分類が、5月8日より2類から5類に移行したことに伴い、原則対面授業が全面復活し、教育・研究活動、課外活動、社会貢献活動含めて3年ぶりにコロナ前の活気が戻ってきた年でした。

一方、社会事象に目を向けると、2022年11月に発表されたChatGPTを含むいわゆる生成AIが注目を集めました。これに対応し、生成AIの意義とともにリスクについてもふれた学長声明を昨年6月に発表したところです。その際にも言及したように、生成AIの実社会での活用はますます進むと推測されます。民間企業や自治体の現場だけではなく、大学を含めた教育現場においても実験的な活用が進みつつあります。反面、生成AI出力データの信憑性が完全なものではないことに加え、情報漏洩の危険、著作権等の権利侵害などのリスクも広範に指摘、認識されており、その活用に向けて注意深い検討を重ねつつ、大学におけるDXを構築していく必要があると考えています。

一昨年に学校法人神戸学院は110周年を迎え、そして2026年には大学創立60周年を迎えます。昨年新たに実行あるいは議論してきたことを中心に、以下にお伝えしたいと思います。

1 第3次中期行動計画の実行と2024年度大学基準協会認証評価対応

2022年度に制定した「長期ビジョンと全学的戦略」およびそれを具体的項目に落とし込んだ「神戸学院大学グランドミッション」に基づきながら、各学部・研究科、部署での検討を経て、2023年度より始まる第3次中期行動計画を策定しました。新たに構築し直した質保証システムの方針・体制・手続きに基づき、実績を積み重ねていきたいと思います。
また、2024年度の大学基準協会認証評価受審を前に、2023年度はその報告書作成にあたっても協力していただきました。基準協会に提出する報告書の様式が「全学的観点から記述すること」となったことから、2023年度には現状の内部質保証推進委員会に認証評価委員の経験がある方を加えた新しい体制である拡大版内部質保証推進委員会、いわゆる「7条委員会」で報告書の最終とりまとめをすることとなっています。今年3月末に報告書を提出し、10月ごろに実地調査を受ける予定となっていますが、良き報告書が提出できますよう、改めて皆様のご協力をお願い申し上げます。

2 社会連携・地域貢献活動および社会や地域の課題解決に向けた研究の推進

神戸市内大学の社会連携・地域貢献活動および地域における研究活動をコーディネートする産官学共創の枠組としての「一般社団法人大学都市神戸産官学プラットフォーム」が昨年11月に登記され、その拠点となるKOBE Co CREATION CENTERも三宮センタープラザ9階にオープンしました。神戸市のほか大学等11校、民間企業18社および2経営者団体が設立時会員として立ち上がったプラットフォームは、1月下旬に設立総会、記者会見とともに、オープニングセレモニーを実施する予定です。
このプラットフォームは、①新たな学生コミュニティネットワークの構築、②地域の将来を見据えた人材育成プログラムの構築および実施、③大学等の研究シーズの社会実装化、④優れた外国人留学生の獲得と定着支援、⑤大学都市神戸の発信と共創拠点の整備の5つの目標が示されています。先行プロジェクトとして8つのプロジェクトが運転段階に入っており、リカレント(リ・スキリング)プロジェクトなどを中心として本学も関わっていくこととなっています。

3 入試マーケットに生きるブランド力醸成に向けて

入試環境は厳しさを増しています。本学においても残念ながら志願者の減少に直面しています。幸いなことに、大学全体としては入学定員以上の入学者を迎えていますが、一部の学部・学科では定員割れも生じています。こうした中にあって、志願者の減少を食い止め、さらに増加させる取り組みが求められています。
昨年は、上位校併願者の増加を狙い、2024年度入試から入学金を大幅に引き下げるとともに、昨今の物価上昇に鑑み、授業料等学費の値上げを決定しました。ただ、これだけで状況の改善ができるわけではありません。2025年度入試以降には総合型選抜の全学的導入など入試体系そのものの変更も検討していくこととなると思います。
2019年度から広報委員会の下に設置された「ブランド力醸成ワーキンググループ」の活動とも連携しながら、入試広報やオープンキャンパスの在り方も、高校生にとってより魅力的なものに変えていかなければいけないと考えています。
私は神戸学院大学がもっと評価されるべき大学であると信じています。本学の良さをいかに社会、とりわけ高校生以下の若年層に伝えていくか、皆さんの知恵をお借りしながら、ブランド力向上に努めたいと思います。

4 大学創立60周年に向けた有瀬キャンパスの整備について

「神戸学院大学キャンパス整備基本計画2018-2028」に基づき、大学創立60周年の2026年完成を目指した有瀬キャンパス1号館の基本設計が進んでいます。昨年9月には、2026年完成時点の景観を考慮して、2号館の撤去を従来の計画よりも前倒しすることが決定し、今年度いっぱいをかけて解体工事が行われることになります。2026年の1号館完成時には2号館跡地も含めて有瀬キャンパスのリニューアルが実現することとなります。また、1号館に入る予定の厚生施設についても、学生の要望も取り入れながら検討を進めています。今年から一時的に有瀬キャンパスに工事が入ることとなりますが、修学・就労環境が悪化しないよう、最大限の配慮をしていきます。

5 データサイエンス教育プログラムの充実

2022年度から共通教育科目としてデータサイエンスの基礎科目を、そして2023年度4月には経営学部データサイエンス専攻を開設して本格化した本学のデータサイエンス教育プログラムについて、昨年8月正式に文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)」の認定を受けることができました。データサイエンスは、経営学のみならず、文理含めたきわめて多くの学問分野で重要な地位を占めつつあります。そうした点にも目を配りながら、経営学部以外でもデータサイエンスに関する単位取得の認定制度を導入すべく、検討を開始したいと思っています。

6 「男女共同参画」のさらなる推進~Diversity & Inclusionへ

昨年3月に最終年度を終えた「神戸学院大学 男女共同参画推進計画 2018-2022」の成果とその検証に基づきながら、新たな「神戸学院大学 第2次男女共同参画推進計画 2023-2027」を策定し、昨年4月から計画がスタートしています。「男女共同参画」に加え、いわゆるダイバーシティ&インクルージョンにまで視野を広げていくとともに、KPIとして掲げている教員における上位職(准教授以上)女性比率「30.0%」、教員・事務職員管理職位者女性比率「20.0%以上」を、2027年10月1日までに達成すべく、努力していきたいと思います。そのためにも、教職員皆が働きやすく、働きがいがあり、そして成長できる職場を作るべく、尽力する所存です。

2026年創立60周年(ダイヤモンド・ジュビリー)を迎える神戸学院大学のさらなる発展のためにも、構成員皆様のご理解、ご支援ならびにご協力を心よりお願い申し上げます。

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