―2019年の年頭にあたってのご挨拶―フロントライン

学長からの新年のメッセージ 「社会から必要とされる存在価値の高い大学」を目指して 神戸学院大学 学長 佐藤雅美

1 はじめに

2019年の年頭にあたり、謹んで新春のご祝詞を申し上げます。
本年も何卒よろしくお願いいたします。
私が学長となって3回目の新年は、平成時代最後の新春となりました。18歳人口の減少が進み、大学運営がますます厳しくなることが必至な状況の中、昨年11月には文部科学省の中央教育審議会の答申『2040年に向けた高等教育のグランドデザイン』が公表され、今後の高等教育の基本的な方向性が示されました。そこでは、「個々人の可能性を最大限に伸長する教育」への転換が期待されています。本学においては、引き続き「学生が自らの成長を実感できる大学」を追求しつつ、「社会から必要とされる存在価値の高い大学」を目指し、兵庫・神戸を代表する「後世に残る」大学としての基盤を整備していくことが、重要課題であると認識しています。

2 大学院心理学研究科の開設

2018年度から公認心理師の養成に対応するカリキュラムを擁する心理学部が本学10番目の学部として開設し、順調なスタートを切りました。本年4月には公認心理師に対応する大学院心理学研究科修士課程・博士後期課程を開設します。これにより、修士課程では学部のカリキュラムと合わせ新たな国家資格である公認心理師養成の教育システムが完成することになり、博士後期課程では研究者の養成にも対応していくことになります。

3 中期行動計画の実行と長期ビジョンの策定

2018年度からスタートしている「第2次中期行動計画(2018-2022)」は、本学が社会からの信頼を得る上で重要な実行計画を「教育」「学生支援」などの5分野にわたって策定しています。これらを着実に実行・点検することが最重要課題となります。また、大学創立50周年を機に公表した「未来50年―神戸学院大学が進むべき道筋」は、次の50年に向けて本学が取り組むべき7つの課題を提示しました。その多くは、すでにかなりの進展が見られますが、本年も引き続き実行していきます。なお、本学にとって長期計画の策定も重要課題です。前述の中教審答申が想定する2040年は本学では大学創立75周年、法人創立130年の時期に近接します。本学でもこの時期をにらんだグランドデザインを、30歳代、40歳代の教職員を中心にして策定する方向で検討したいと考えています。

4 キャンパス整備基本計画(2018-2028)の実行

今後20年余りの財務予測を精査した上で、2017年11月に策定した「キャンパス整備基本計画2018-2028」を着実に実行していきます。ポートアイランドキャンパス(KPC)については、この基本計画を前倒しする形で得られた夙川学院キャンパスを整備したうえで、2019年度後期から「ポートアイランド第2キャンパス(KPC2)」として開設します。課外活動団体の活動拠点、教育施設や図書館の補充機能を有するキャンパスとして活用されることとなります。他方、有瀬キャンパス(KAC)においては、進行中のキャンパス再整備に加えて、基本計画に基づき、老朽化した2号館・3号館に替わり、KACの新たなシンボルとなる建物を建設し、2023年度後期から活用する予定です。この建物の建設に伴って、KACのキャンパスデザインを刷新することも視野に入れて本年より検討を進め、具体的な作業に入っていきます。

5 「学生が成長を実感できる教育」の推進

本学の存在価値につながる最重要事項は、学生の成長を保証する教育の推進です。次期認証評価で重視される学習成果(教育成果)の可視化の一環として、離学率や留年率などの公表が求められ、ますます初年次教育(入学前教育も含めて)の重要性がクローズアップされます。各学部において学ぶ意欲や学ぶ姿勢を育成する創意工夫はもちろん、全学教育推進機構を中心に、FD活動、成績評価の標準化、厳格な成績管理と公表の在り方、学習成果・教育成果の可視化の方策などの全学的な教育課題にも継続的に取り組んでいきます。とくに「学習成果の可視化」との関連では、「学生の成長」をどのように評価し、公表(アピール)するかが重要なカギとなります。なお、離学防止策としては、すでにKACで試験的に始動している「学生の未来センター」を全学的な拠点として運営するシステムを構築します。

6 「成長のステージ」としての学部横断教育、国際交流、社会連携活動の推進

学生の「成長のステージ」として、医療・福祉系4学部が運営する専門職連携教育(IPE)、共通教育センターが運営するスポーツサイエンス・ユニット、神戸学院カレッジなどの学部横断的教育プログラムも本学の特色ある教育として推進していきます。また、2014年に策定された「国際化ビジョン」に基づき、海外大学との協定が50を超え、留学生数も130名を超えました。本年も国際交流センターを中心に、グローバル・コミュニケーション学部の牽引の下、海外留学・研修プログラムの開発、全学的な留学生の増加など、引き続き国際化の対策を講じていきます。他方、本学の社会貢献・社会連携活動の実績は、本学の存在価値を高める上で重要な役割を果たしています。教員とともに多くの学生が、学びの一環として、ボランティア活動、自治体や企業との連携活動に参加する実例の積み重ねは、本年も重視して推進していきたいと考えています。

7 総合大学としての強みを活かした研究の推進

教育を支える研究の推進のため、科学研究費申請の支援、学内での共同研究助成の継続に加えて、本学の強みを活かした学際的共同研究プロジェクトの開発や、発掘を全学研究推進委員会、研究支援センターの下で行っていきます。特に総合大学の強みを活かして、医療・保健系の共同研究プロジェクト、文理横断型の研究プロジェクトなどの開発を推進します。その過程で全学研究推進機構(あるいは研究所)の設置の必要性についても検討いたします。

8 高大連携の推進

神戸学院大学附属中学校・高等学校との連携を強化し、「オール神戸学院」としての魅力を高める多様な取り組みや連携教育プログラムを新たに開発していきたいと考えています。また、教育連携協定を結んでいる高等学校との連携教育についても継続して取り組むとともに、プログラム内容を検討し、さらに改善していきます。これらを通じて、高校生が大学での学びを経験する機会を充実させることにより、本学への信頼向上につなげていきたいと考えています。

9 男女共同参画推進計画の実行

2017年4月に公表された「神戸学院大学男女共同参画宣言」に基づき策定され、2018年度から実行されている「男女共同参画推進計画」の目標達成に向けてさらに努力いたします。男女共同参画推進室を中心として、全学および各学部での目標値達成に向けたさまざまな施策に取り組んでまいります。

むすびに――大学運営における内部コミュニケーションの重視

大学運営としては、前述の男女共同参画の推進に加えて、ハラスメントの未然防止、働き方改革への対応など、職場環境の改善を推進していく必要があります。さらに、学部間、部署間の壁を乗り越えて、「学生の成長」を支える教職協働の在り方を追求し、情報共有や内部コミュニケーションを強化していくことが必要であると感じています。そのような方向性を通じて、「兵庫・神戸を代表する大学」としての基盤形成のために、教職員が一丸となって進んでいきたいと考えています。
本年も何卒ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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