地域編
神戸学院大学は、「地域に必要とされる大学」を目指し、さまざまな地域交流をはかってきました。学生たちも、正課授業にとどまらず、課外活動やボランティア活動といった正課外の活動のなかで、地域とつながり、たくさんの経験を積み、協働する力、実行する力、自ら学び問題を発見・解決する力を培っています。さまざまな活動を通して、地域の人たちと積極的に交流する学生たちを紹介します。
「スペシャルオリンピックス支援・ひょうごトーチラン2010」に
ボランティアとして参加
9月17日、「スペシャルオリンピックス支援・ひょうごトーチラン2010」が行われました。このイベントは、2011年スペシャルオリンピックス夏季世界大会・アテネ」の国内選考を兼ねて開催される「2010年第5回スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・大阪」を盛り上げ、スペシャルオリンピックス活動への理解促進・認知向上などを目的として開催されたものです。兵庫県庁からポートアイランド市民広場まで約5kmのコースで、トーチをつなぐアスリートたちと一緒に、ボランティア活動支援室の学生スタッフ3名を含む本学学生8名がボランティアとして参加しました。
障がいに対する偏見のない社会、
誰もが共存できる社会にしたい。
経営学部経営学科2年次生
ボランティア活動支援室スタッフ
佐野 翔大 さん
スプリングボランティアのキャンプに参加したことをきっかけに、ボランティア活動支援室の学生スタッフをしています。ボランティア活動支援室では、毎年春と夏に行われるボランティア活動の企画・実施に向けた会議を定期的に行い、情報を広く提供することでボランティアを身近に感じてもらう活動を行っています。アスリートの方がトーチをつないで走る姿や、沿道で応援されている方々の姿を見て、「大会を通じて障がいに対する偏見をなくしたい」「障がいのある方の自立を支えたい」「障がいのある方も一緒に共存できる社会にしたい」「ボランティアを通じてもっと社会に貢献したい」という気持ちが強くなりました。秋以降、月1回私たちも参加するボランティアの企画を進めていますが、誰もが気軽に参加できる活動を提案し、もっとボランティアを身近に感じてもらえるように活動を続けていきたいと思っています。
多くの学生とともに、
ボランティアの意義と充実感を味わいたい。
法学部法律学科1年次生
ボランティア活動支援室スタッフ
山端 宏 さん
高校時代からボランティアに興味があり、活動支援室のスタッフになりました。実際にボランティアに参加すると、社会のいろいろな側面を自分の目で見て、感じることができますし、社会人の方、他大学の学生との交流など、人脈づくりの場にもなりました。今回のイベントでは、アスリートの方がトーチをつないで走る後方を、「スペシャルオリンピックス」の旗をもって、コース誘導など声がけをしながら一緒に走りました。イベントを通じて、スペシャルオリンピックスへの関心が高まり、障がいのある方への理解が深まるようになればと思っています。現在、10月下旬のキャンパス周辺の清掃活動を皮切りに、月1回自分たちでボランティアを行う企画を立てています。自ら動けば、動いた分だけ成果が返ってきます。多くの学生に、ボランティアの意義と充実感を一緒に味わってもらいたい、そのためにこれからも活動を続けたいと思っています。
「KGUサマーボランティア」に、のべ91名の学生が参加
ボランティア活動支援室では、学内外のボランティア活動に関する情報収集や活動の企画、活動に参加する学生の相談業務など、さまざまな支援を行っています。毎年支援室の学生スタッフが企画し、活動の場を提供するものとして春と夏の休暇期間を利用したボランティア活動支援を実施しています。今年の夏に行われた「KGUサマーボランティア」では、活動プログラム18件に、のべ91名の学生が参加しました。
企画し、計画し、実行に移すやりがい!
貴重な体験を将来の仕事に生かしたい。
経営学部経営学科3年次生
阿部 有香里 さん
大学に入学するまで、ボランティア活動にそれほど関心があったわけではありません。しかし、活動支援室の学生スタッフをしている友人に誘われ、活動に参加することでボランティアの意義や必要性に目覚め、積極的に取り組むようになりました。私たちはただ単にボランティア活動に参加するだけではなく、メンバーが意見を出し合って自主的に企画し活動を行っています。その一つが須磨海岸の清掃奉仕です。オフシーズンで、しかも前日に他団体が清掃した後にもかかわらず、その汚れのひどさには唖然としました。同時に活動を一時的なもので終わらせず、継続させることの大切さを実感しました。また、沖縄で失われたサンゴの再生活動をされている「海の種」に賛同。大学の職員の方や学生に呼びかけてぬいぐるみや洋服などを集め、メリケンパークのフリーマーケットに出店して、その売上金を「海の種」に寄付しました。こうした活動を通じて感じたことは、私たち学生スタッフだけの運動に限定しないで、口コミやポスターなどを活用し、できるだけ多くの人を巻き込むことの必要性です。その反省点に立ってもっと多くの人に呼びかけ、清掃奉仕とサンゴ再生への協力を続けていく考えです。ボランティア活動を通じて学び取った、物事を広く見て企画立案し、計画を立て、確実に実行する難しさとやりがいを、将来希望している経営コンサルタントの仕事に生かしたいと思っています。
小さな積み重ねがやがて実を結び、
大きな成果につながる。
経営学部経営学科3年次生
大薗 美貴子 さん
ボランティア活動支援室で活動を始めたのは昨年の8月頃です。それまでボランティアに興味はあったものの、何をすれば良いかわからなかった私は、学生スタッフをしている友人に誘われて参加しました。支援室ではスタッフが定期的に集まり、企画や情報収集を行っています。企画を持ち寄って、意見を交わし、形にしていく作業は楽しく、「スプリングボランティア」では、ボランティア団体の方を講師に招いた講演会などを実現しました。「サマーボランティア」ではサポートと企画だけではなく、沖縄読谷村で失われたサンゴの再生活動をされている金城浩二さん経営の「海の種」に賛同し、大学の職員の方や学生に呼びかけて集めたものをフリーマーケットに出店して、その売上金でサンゴの種を購入するボランティアを実践しました。フリーマーケットの売上金約24,000円で、さんご礁の種を7株購入しました。今回のボランティアで学んだことは、「ものを売る」ことの難しさ、目的をもって積極的に行動することの大切さ、そして小さなことでも積み重ねれば大きな成果につながるということです。そして、同じ目標をもつ仲間と協働作業するなかで深い絆が生まれ、さまざまな世代の方と接するなかで言葉遣いや態度などのマナーも身についたと思います。ボランティアに参加したことをきっかけに、「社会貢献」というキーワードで企業活動をみる視点もできたので、ゼミの業界研究や就職活動に生かしたいと考えています。また、これから他大学のボランティア活動支援団体と活発に交流を深めていきたいと思います。
「レクイエムコンサート2010~あの日を忘れない~」に参加
2001年に明石市の大蔵海岸で起きた歩道橋事故と砂浜陥没事故で亡くなられた12人の市民を追悼する「レクイエムコンサート2010~あの日を忘れない~」が、7月25日本学メモリアルホールで開催されました。今年で9回目のコンサートには、管弦楽団・混声合唱団・学生放送局に所属している学生が多数参加しました。市民有志による実行委員会の相談役として第1回から関わっている角村正博教授、実行委員会のメンバー2名にお話を伺いました。
さまざまな世代の方と交流し、
学んだ社会との関わり方。
人文学部人間心理学科4年次生
混声合唱団パンドラ
川村 晃彦 さん
歩道橋事故が起きた当時、現場から1kmほどのところに住んでいて「何かやれることがあるんじゃないか」「でも何をしたらいいかわからない」という、もやもやした思いをもっていました。入学して合唱団に入り、レクイエムコンサートの存在を知ったときに当時のことを思い出し、学内の合唱団が歌っていないことに寂しさを感じ、「今の自分にならできることがある」と混声合唱団パンドラの一員として昨年度から参加しています。昨年は合唱団として歌いましたが、今年は、本学の課外活動団体である神戸学院大学ボランティア活動基金(VAF)、管弦楽団、演劇部、学生放送局と実行委員会との連絡・調整役として、コンサートの企画・運営にも携わりました。実行委員会の方は年配の方も多く、さまざまな世代の方と交流するなかで、社会のつくりや社会との関わり方を学ばせていただきました。今回学んだことを、将来人とのつながりを生かしたサービスや教育の分野で生かしたいと考えています。
一つのものを作り上げる喜びと
成功に導く大変さを、協働作業を通じて実感。
人文学部人文学科3年次生
混声合唱団パンドラ
末道 令平 さん
コンサートの開催に向けて、3月ごろから打ち合わせや練習をはじめ、合唱団のメンバーとして、また実行委員会の補佐役として企画・運営に携わってきました。今回パンドラとしてのステージはありませんでしたが、地域の方など多くの社会人の方と交流する機会があり、実社会のルールや社会との関わり方を学ばせていただきました。大蔵海岸での追悼コンサートでは、物品の搬入や舞台周り・照明、観客席づくりなど、多くの学生と協働作業を経験し、一つのものを作り上げていく喜びと、無事にイベントを成功に導くことの大変さを実感することができました。コンサート後に初めて、亡くなられた方への思い、事故への思い、コンサートに対する思いを遺族の方からお聞きして、「二度と過ちを起こしてはいけない」「事故を風化させていけない」との思いを強くしたと同時に、これからもずっと関わっていきたいと思うようになりました。
地域の方と行動を共にすることは、
社会の側面を学ぶ絶好の機会。
経済学部 教授
角村 正博
レクイエムコンサートには、第1回から多くの本学学生が関わってきました。今回も舞台周りの照明や会場の設営・警備などに、混声合唱団パンドラをはじめ70名ほどの学生が出演者、実行委員のメンバーとして参加してくれました。とくに今年は、初めて大蔵海岸に会場を設営し、事故が起きた7月21日に追悼コンサートを開催しました。事故を風化させず、再発防止を考える機会を提供するコンサートですから、観客の誘導・警備などの安全面の配慮は念入りに打ち合わせを重ね、学生一人ひとりの責任ある行動によって、無事成功に導いてくれました。このコンサートのように、地域の方と直接触れ合い、行動を共にすることは、社会のさまざまな側面や街で起こっている問題を体験的に学ぶ機会になりますし、多くの体験を重ねることは社会で生かせる力をつける近道でもあります。地域貢献を大切にする大学として、地域に根づいた教育を行う大学として、学生の皆さんには、積極的に地域と関わってほしいと思います。