学生力 学部編
地域のなかで食に関する情報の提供や食育を積極的に実施
― 栄養学部を母体とする課外活動団体
学内外で積極的に食育活動を行っている、大畑仁美講師(栄養学部栄養学科)の専門は、公衆栄養学。コミュニティーの健康や栄養問題とそれらを取り巻く諸問題に関する情報を収集・分析し、総合的に評価する能力を養うための実践を伴う分野です。そのため、授業や自身が中心となって実施するイベントでは地域に積極的に出て行き、食や健康に関する意識を高める活動に力を注ぎたいと考えています。また、栄養学部を母体とする課外活動団体「food global communication(ふ~ばる.com)」と、任意団体である「神戸学院キッチン」は、それぞれ食育とメニューづくりや調理を主に担当。子どもから大人まで、幅広い世代に食に関する正しい知識を持ってもらえるよう、学生自身で企画を工夫し実践しています。
まずは学内をよい食環境に
将来的には健康的な周辺地域に
栄養学部 栄養学科
大畑 仁美 講師
地域への食に関する啓発活動を行う際、「ふ~ばる.com」と「神戸学院キッチン」は、非常に大きな戦力になってくれています。子どもたちに食の正しい知識を持ってもらうために、「大学コンソーシアムひょうご神戸」の地域交流事業の一環として行われた「キッズオープンキャンパス」などもその一例です。提案したテーマに沿って、学生が特色を生かした企画内容を考え準備、実施してくれています。学生たちはこのような学外の方と触れ合う活動を通して、コミュニケーションのとり方や現実を視る能力などを培っていくようです。
管理栄養士という食の専門家を目指すにしても、コミュニケーション能力は不可欠です。そうした意味でも、今後も学生とともに学外へ出て行き、実践的な教育を行っていきたいと思います。また、地域の団体と連携し、食の安全が守られた健康的な地域になればと考えています。足元の課題は食のメニューの提案や、学生自身が自らの食を選べる力をつけること。時間を要することですが、学生の力で学生をよい方向へと導けるよう、今後具体的に取り組んでいきたいと思っています。
※2009年に開催された「キッズオープンキャンパス」当日の模様は、學報トピックスのバックナンバーに掲載されています。
オリジナルのご当地ドッグを広め
栄養学の講義もできる料理教室を開きたい
栄養学部 栄養学科 4年次生
「神戸学院キッチン」部長
吉川 美子 さん
神戸学院キッチンは、食育イベントの際には調理を担当しています。
あくまでも、食育の一環で料理を作っているため、おいしさもさることながら栄養学的な面を考慮に入れたメニューを考えています。
昨年の10月に明石公園で開催された、兵庫県民農林漁業祭の明石ブースにご当地ホットドックを出店し、カロリーや栄養バランスを考えて、ヘルシーなものを発案しました。
中身は、パンに挟むメインの具に「サゴシ」というその時期に明石で捕れる魚を用い、長いもやごぼうなどを合わせてすり身にし、ハンバーグ状に形を整え、調理したキャベツや小松菜などの野菜を添えました。主催者からの条件として材料はできるだけ地元の物を使用してほしいと依頼され、すべてを明石産のもので仕上げました。ネーミングは、「魚ギョドッグ」。1個250円で販売した結果、当日完売の大人気でした。
また、春のイベントではサゴシに加えて「いかなご」を使用するなどのアレンジも試みました。今後、この「魚ギョドッグ」をもっと広めたいと考えています。
私は以前料理教室を開いておりましたが、生徒からの栄養に関する質問が増え社会人として本学に入学しました。卒業後は習得した知識を生かし、子どもから高齢者の方までが集う栄養学的な知識も学べる教室を開きたいと思っています。
活動を通じて得た自信を糧に
それぞれ希望する将来を目指して努力
栄養学部 栄養学科 3年次生
food global communication(ふ~ばる.com)
部長 桜井 理恵 さん
副部長 山本 万衣子 さん
私たち「ふ~ばる.com」は、有瀬キャンパス周辺地域の小学校や児童館などで、依頼をしてくれた栄養教諭や管理栄養士の方に協力していただきながら、小学生を中心にクイズや紙芝居による食育活動を行っています。小学校では、楽しみながら食に関する知識を理解してもらうため、栄養学の基本である3色食品群をテーマに、それぞれの食品群を戦隊ヒーロー風のキャラクターを考案。“食レンジャー”と名づけてパフォーマンスを行っています。この“食レンジャー”は評判もよく、地域の小学校では、ユニークな食育教育としてかなり定着してきています。これらの内容はすべて、私たち「ふ~ばる.com」が企画し実施しています。今年からは西神中央駅のコミュニティーセンターで食育教室を開催する予定ですが、ここでは対象年齢を引き上げて中高生にも参加してほしいと考えています。今までにない試みですのでアイデアを模索中ですが、活動の幅を広げるための勉強の場であると捉えてがんばりたいと思います。私たちは、「ふ~ばる.com」の活動のなかで、人前でも物怖じしない度胸がつき、さまざまな年齢層への対応にも自信がもてるようになりました。これからも授業の中で身につけた専門性や、「ふ~ばる.com」での経験を生かして努力していきたいと思います。
学生が参加し、運営する刑法討論会を実施
― 法学部佐藤雅美ゼミ
佐藤雅美教授のゼミでは、1999年より毎年12月にゼミ生による刑法討論会を実施しています。これは、2・3・4年次の後期ゼミの共通プログラムとして行われているものです。「刑法討論会」は、法学部を母体とする課外活動団体「法律研究会-Libra-」に所属していたゼミ生が、自分たちで行っている法律討論会の形式をゼミに取り入れることを提案したのがきっかけ。今年度で第12回を迎えます。討論会は全員参加が基本で、2年次生と3年次生がそれぞれくじで決められた4、5名のメンバーでグループを結成。11月の学年別予選大会で勝ち残った各学年の1位と2位のグループが決勝大会に進むことができます。4年次生は選抜メンバーによる2チームが編成されます。12月の決勝大会では3学年6チームで議論を戦わせることとなります。惜しくも予選で敗退したチームのメンバーは、運営スタッフとして活躍します。刑法討論会では、あらかじめ複雑な犯罪事例が課題として提示され、各チームがその法的な解決について立論と質疑で争います。審査については、担当教授だけでなく、ゼミOB・OGの大学院生、裁判所書記官、国家公務員、警察官など多彩な顔ぶれの方々が担当しています。昨年12月の決勝大会では下克上が起こり、2年次生のチームが1位と2位を独占。討論会の歴史のなかで、初の快挙となりました。今年度は12月18日土曜日に決勝大会が予定されており、初めてポートアイランドキャンパスで実施されることが決まっています。
法律の知識や思考力を深めるだけでなく
学生の“人間力”を着実に高める討論会
法学部 法律学科
法学部長
佐藤 雅美 教授
刑法討論会の大きな目的は、当然ながら、法律の知識や思考力のレベルアップを図ることにあります。しかし、それだけでなく、チームで立論を構築するために様々な文献を調べたり、レジュメに論旨を分かりやすくまとめたりするなど、学生それぞれが自分の役割を果たすなかで、コミュニケーション能力や企画立案能力、プレゼンテーション能力などを身につけることも大切な目的のひとつです。チームのメンバーそれぞれが力を発揮し、最後までやり遂げるなかで、こうしたスキルを学生のうちから養い、社会で役立つ人材を育てたいと考えています。この討論会には審査員としてゼミの卒業生がたくさん参加してくれています。討論会の後の懇親会で彼らと交流し仕事の内容を直接聞いたりすることで、学生たちがそれぞれの将来像を明確に持つことができます。このように、刑法討論会は総合的な“人間力”を養う重要な場です。これからも、これまで以上のレベルの議論を目指して討論会を続けていきたいと思います。
将来は法曹の世界で活躍したい―
そう決心させてくれた討論会
法学部 法律学科
4年次生
湯山 益美 さん
討論会を経験する前は公務員志望でしたが、この討論会を通じて法律や法曹の世界により興味を持つようになりました。法科大学院に進学して弁護士になろうと決心するにいたったのは、討論会で交流を図った裁判所の事務官や法律事務所に勤めておられる先輩に、いろいろとアドバイスをいただいたからです。また、この討論会を経験し、論理的に説明する力や、相手を説得する力、人前で物怖じせず話す力などがついたことで自信につながったこともきっかけのひとつとなりました。神戸学院の法学部は先輩方との交流も密で、意欲的な先生方が多くいらっしゃるので、やる気さえあれば充実した学生生活が送ることができると思います。法律家志望でもそうでなくても、法学部で学ぶ知識は日常生活でも役に立つことばかり。社会に出て一から勉強することはなかなか難しい学問分野なので、ぜひ神戸学院の法学部で法的思考力を身につけてください。
チームワークの良さと丁寧な研究で
初めての討論会で優勝を達成
法学部 法律学科
3年次生
林田 好信 さん
私は、昨年の討論会決勝大会で優勝したチームで、立論の原稿やレジュメをまとめたり、発表の際の質疑応答を担当したりしていました。優勝できたのは、まず、メンバー各自がそれぞれの担当をしっかりとこなし、チームワークが非常によかったこと。また、過去の大会のDVD教材を見て、立論や質疑応答の仕方をじっくり研究したことなどが主な勝因だと思います。特に、質疑の点数が高得点だったのですが、予想される質問がほぼすべて想定内であったため、うまく答えることができました。討論会で、個人賞も受賞しましたが、これは想定外。うれしい驚きでした。これを励みに将来に向けてより一層幅広く深く法律を勉強し、がんばりたいと思っています。法学部は将来の選択肢がたくさんあるため、卒業生は幅広い職種で活躍しています。大学というところは何もしなければあっという間に4年間が過ぎてしまいます。これからも切磋琢磨して充実した学生生活を送りたいです。