防災・社会貢献ユニットの取組み(3)
阪神・淡路大震災15年特集
事例その2: 防災・社会貢献ユニットの取組み(3)
震災体験と教訓を世界へ 日中両国の学生らが議論
阪神・淡路大震災と、中国・四川大地震の教訓や体験をどのように伝え、生かしていくのかについて考えるシンポジウム「阪神・淡路大震災と四川大地震からの教訓~国際社会の防災をリードする若者たち~」が、1月24日に本学ポートアイランドキャンパスで開催されました。本学防災・社会貢献ユニット、舞子高校環境防災科、滝川第二高等学校、中国・四川省綿竹市など、計10校の高校生や大学生ら約500人が参加。斎藤富雄兵庫県元副知事や王宗謨准教授(中国・西南大心理学院)ら有識者4人によるパネルディスカッションや、日中両国の学生らによる分科会が行われました。
パネルディスカッションでは、「災害時に相手の立場に立ち、支援の方法や自分に何ができるかを考えて欲しい」と、それぞれが経験を通して得た教訓について学生たちにメッセージを送りました。
また分科会では、3つのグループに分かれ「出会い、支え合い」、「伝える、活かす」、「つながり、交流」のテーマで、本学ユニット生がファシリテーターとなり、次代を担う若者の役割について議論。全体会議では、河田のどかさん(防災・社会貢献ユニット4年次生)が進行役を担い、ユニット生が中心となって各分科会の意見をまとめ報告をしました。最後に、河田さんが、中国学生とともに「次世代に震災の経験を語り継ぎ、自分たちの被災経験を世界中に発信していきたい」と共同声明を発表しました。
このようなイベントを通じて
若い世代に情報を発信し防災意識を高めていきたい
学際教育機構 防災・社会貢献ユニット
(人文学部 人文学科)
4年次生 河田 のどか さん
私は、昨年の11月に防災・社会貢献ユニットの仲間とともに四川大地震の被災地を訪問しました。今回の「阪神・淡路大震災と四川大地震からの教訓~国際社会の防災をリードする若者たち」は、そのときの縁がきっかけで知り合った現地の学生に参加してもらいました。私がコーディネーターを引き受けることになったのも、この訪問がきっかけ。訪問したメンバーからコーディネーターを選ぶということでしたので、こうした機会は最後のチャンスだと思い、挙手しました。当日はぶっつけ本番だったので時間配分が難しく、パネリストとして参加してくれた各分科会のリーダーの学生が意見を述べる時間を、等分に配分できなかったのが非常に残念です。ただ、こうしたイベントを経験することで、人前で話すことに対しての抵抗感もなくなり、自信も随分とついたと思います。また、多くの方々を前にした場面の話し方だったり態度だったり、公的な場での振る舞い方も身につきました。今後も震災の記憶を継承し、皆の防災意識を高めていくためには、今回参加してくれた中国や日本の学生のような若い世代にもっとアピールすることが大事だと思っています。私は、卒業後、さまざまな関係機関と調整しながら、街の活性化のために活動する団体に就職が決まっています。仕事では、防災・社会貢献ユニットでの学びを生かし、若い世代を集められるような今回のようなイベントを企画できるよう、今後もがんばっていきたいと思います。
共同声明
兵庫と四川が経験した2つの震災。経験が100年後、200年後の未来でも生かされるために。様々な活動を進めていきたいと思います。
私たちは、防災には、「地域コミュニティ」の力が大切だということに気付きました。一見、防災とは関係ないイベントでもいろんな世代の人たちと出会える場が、災害時の力になる。
そのために、今ある地域のイベントを「つくる側」に参加をしていきたいと思います。「いろんな世代の人」が「得意分野を生かして」「継続的に」関わっていけるようなイベントのしかけをつくっていくこと。
これが、私たちが行いたいことの一つです。
2つ目は、震災の経験を伝えること。防災を広めていくこと。
大人はもちろん、私たちより若い世代にも伝えていかないと、阪神・淡路大震災の経験も四川大地震の経験もどこかで途切れてしまいます。
そのために私たちは、たくさんの人に私たちの震災の経験を知ってもらい、防災の大切さに気付いてもらう、「語り継ぐ」活動を進めていきたいと思っています。
そして、それだけではなくこれからは、「防災の大切さ」に気付いた人に、どんどん「伝える」側になってもらえるよう、そんな活動を展開していきたいと思います。
そして、最後に、私たちは、経験を世界中の人たちにも伝えていきたいと思います。未来だけでなく、現在、ハイチで起こった地震の被害で、苦しんでいる人たちがたくさんいます。そのために、私たちは自分たちの経験を日本と中国だけにとどめるのではなく、世界の人たちに伝える必要があることに気付きました。そして、私たちは世界の災害から様々な経験を学んでいきたいです。
今回のような世界の人と繋がるイベントを通じて、多くの人たちと学び合うことができました。
私たち若者は、「わたしたちにできること」の第一歩を踏み出し、少しずつ活動を進めていきます。そこで、大人の皆さんには、私たちの活動が発展できるようサポートをしていただきたい、というお願いをして私たちの共同声明とさせていただきます。