防災・社会貢献ユニットの取組み(2)
阪神・淡路大震災15年特集
事例その2: 防災・社会貢献ユニットの取組み(2)
「1.17のつどい―阪神・淡路大震災15周年追悼式典」に
防災・社会貢献ユニット生が参加
2010年1月17日、兵庫県公館にて、「1.17のつどい―阪神・淡路大震災15周年追悼式典」が開催されました。皇太子同妃両殿下や鳩山由紀夫首相、井戸敏三兵庫県知事ほか、震災で亡くなられたご遺族の代表らが出席。防災・社会貢献ユニット2年次生の臼井さんが兵庫県の新成人を代表し、「県民のことば」としてこれからの防災に対する決意や抱負を述べました。
今回の貴重な経験を通して
防災教育を追究することの大切さを実感
学際教育機構 防災・社会貢献ユニット
(法学部 法律学科)
2年次生 臼井 達也 さん
防災・社会貢献ユニットの舩木先生から、追悼式典で「県民のことば」を述べる成人代表になってほしいとの打診があったとき、私は、その役を引き受けるのを躊躇しました。人前で話すのが苦手だったからです。ただ、こうした機会はめったにないので、この大役を引き受けることにしました。当日は、皇太子ご夫妻や鳩山首相をはじめ、多くの方々が見守るなかで言葉を述べなければならず、非常に緊張しました。このような大舞台を経験することで、かなり度胸もつきましたし、自信をもつことができました。苦手だった人前で話すことにも抵抗がなくなり、自分自身が成長できたように感じます。私は、神戸市垂水区の出身で、幼い頃に阪神・淡路大震災を経験しています。その際に、親戚が亡くなったこともあり、防災の大切さを身近に感じて育ってきました。そうした環境のなかで育ってきたことも影響し、本学の防災・社会貢献ユニットで防災教育を学びたいと思い入学しました。ユニットでは、中国・四川大地震で大きな被害にあった地域の現状を視察して、被災者の方々と交流しました。自分たちが知らない世界に触れ、視野を広げることができ、ユニットに入って本当によかったと思います。今回のことを含め、このようなことは本学で防災について学んでいなければできなかったことです。私の将来の夢は消防士になることですが、その夢の実現のためにも、さらに防災教育を追究し、特に阪神・淡路大震災について知らない世代の人に向けて、防災について伝えていくことができればと思います。
兵庫県災害対策センターでユニット生が皇太子様に防災・社会貢献ユニットの取り組みをご説明
皇太子様が「1.17のつどい―阪神・淡路大震災15周年追悼式典」終了後に、兵庫県災害対策センターを視察されました。その際、防災・社会貢献ユニット4年次生の梅本拓也さん、河田のどかさん、松本理恵さん、3年次生の高木洋輔さんの4名が、兵庫県立舞子高等学校の生徒とともに、防災や減災活動への取り組みについて説明しました。梅本さんは、ユニット全体の概要、河田さんは幼児向け防災教材、高木さんは小学生向け防災教材、松本さんは大人向けJICA研修用教材と、ユニットでの学びや自分たちが作成した防災教育の教材などについて、皇太子様に説明。ユニット生の説明に対して、皇太子様も気さくに質問をされるなど、なごやかな交流が行われました。
卒業後は直接人を助ける立場として
ユニットの貴重な経験を生かしたい
学際教育機構 防災・社会貢献ユニット
(法学部 国際関係法学科)
4年次生 梅本 拓也 さん
私は、皇太子様への説明を最初にさせていただきました。防災・社会貢献ユニットがどのようなコースで、どのようなことを学ぶのかといったことについて説明しました。ユニット生のトップバッターだったこともあり、非常に緊張しました。しかし、後に続く仲間のためにも、まず自分が手本を見せなければならないと思って臨んだためか、言葉をかむこともなく1分半という短い時間内で簡潔に説明することができました。説明の際に、皇太子様から何らかのご質問があるということを事前に知らされていましたが、どのような内容かは当日になってみないと分かりませんでした。実際にご質問を受けた内容は、小学校に防災教育の出前授業に行った際の感想でした。こうした機会はめったにありません。今回各メディアにも取りあげられたことで、より広い層に防災・社会貢献ユニットの活動を知っていただけたのは非常に意味のあることだったと思います。もともと私は、人の役に立ちたいと思い消防士や警察官を目指していたこともあり、防災・社会貢献ユニットに入りました。卒業後は、警察官になることが決まっています。ユニットでは、今回の件だけでなく防災に関する数多くの貴重な経験をさせてもらったので、これらの経験を自身の仕事に生かしていきたいです。また、できればユニットとの関係を社会人になってからも持ち続け、ボランティアのような形で恩返しができればと思っています。
活動の努力が報われたと感じた
大舞台での大きな体験
学際教育機構 防災・社会貢献ユニット
(人文学部 人文学科)
4年次生 河田 のどか さん
私は、幼児向け防災教材の説明を皇太子様にさせていただく役目を担いました。個人的に幼児向けの防災教育を行うボランティア団体を立ち上げていたこともあって、私がこの役を引き受けることになったそうです。私が皇太子様に説明させていただいたのは、「ぼうさいマン」という教材で、地震・津波・火事の3つの災害を悪役キャラクターにして、それらと戦うための方法を子どもたちに考えてもらうというものです。私がそうした内容を説明させていただく間、皇太子様は、非常に熱心に耳を傾けて聞いてくださいました。説明させていただいた後に、「大変よくできていますね」と、微笑んでおられたのが印象に残っています。このように私たちの活動を、皇太子様のような立場の方に直接説明させていただくことで、私たち学生が今まで行ってきた努力が報われたと感じました。
さまざまな経験を与えてくれ
“何か”を得ることができるユニットの活動
学際教育機構 防災・社会貢献ユニット
(人文学部 人文学科)
4年次生 松本 理恵 さん
私は、私たち前林ゼミ生がJICA兵庫内の国際防災研修センターからの依頼で作成した、海外研修生向けの教材開発について、皇太子様に説明させていただきました。教材について1分半で簡潔にまとめることは、大変苦労しました。今回皇太子様に説明するにあたり、教室や現地の兵庫県災害対策センターに出向いて、自分たちで何度かリハーサルを行い万全の体制で本番に臨みました。本番直前までは比較的緊張していなかったのですが、いざ皇太子様が私たちの待機する部屋に入ってこられた時には、さすがに緊張感が高まりました。最初に兵庫県立舞子高等学校の生徒が、高校生らしい活動報告をし、その場の空気が和みました。それからは、私たちもリラックスして皇太子様にお話することができました。卒業後、私は水処理のプラントの管理やリースを行っている会社に就職しますが、将来的には海外業務に携わることを希望しています。海外研修生向けの教材制作や今回のご説明などのほか、防災・社会貢献ユニットで経験してきたことを、今後の仕事にも生かしていきたいと考えています。ユニットでは、何かにチャレンジしてみたいと考えている人であれば、必ず何かを得ることがきます。積極的な姿勢で臨めば、充実した学生生活が送れるのではないでしょうか。
将来は研究者として
地域や国際社会に知識の還元を図りたい
学際教育機構 防災・社会貢献ユニット
(人文学部 人文学科)
3年次生 高木 洋輔 さん
私は、小学生向けの防災教材についての説明をさせていただきました。教材の内容は、災害時、3日間生き抜くために何を家から持ち出せばよいかを9個のカードから小学生に選択してもらい、ゲーム感覚で楽しみながら防災を学べるというものです。皇太子様に、防災教育自体が特別視されているので、もっと親しみを持って子どもたちに防災について学んでもらいたいという思いから、このような教材を制作したことをお話しすると、何事も楽しく学ぶ姿勢が大事であることをにこやかにおっしゃっていました。私は、そもそも防災教育に興味があったこともあり、高校は兵庫県立舞子高等学校の環境防災科に進学しました。大学も、防災・社会貢献ユニットが開設されているということで、本学を選びました。防災・社会貢献ユニットは、海外研修などフィールドワークも多く、学んだ知識を実践できるところです。また、震災の被害にあった神戸という環境で学ぶ意義もあります。特に日本は、地震をはじめとする自然災害の多い国なので、どんな職業に就くにしても学んだことは無駄にはなりません。将来は、地域コミュニティや国際協力・支援のあり方について研究をし、研究者として地域社会に対して間接的に貢献したいと考えています。また、阪神・淡路大震災の際には、海外からの多大な協力を受けたので、神戸市民として、多少なりとも恩返しができればと考えています。そのため、国際的な協力活動も視野に入れて、研究活動を行いたいと思っています。