コラボレーション04《本学×兵庫県》フロントライン

シリーズ:プロジェクトK ~連携で生まれる新しい教育研究のかたち

連携がもたらす人々の健康と生活につながる研究活動

コラボレーション04 《本学×兵庫県》

インターンシップの一環として
学生主体で博物館を舞台にイベントを企画

イベント当日は、案内係や館内アナウンスも学生が担当
イベント当日は、案内係や館内
アナウンスも学生が担当

学生が、企業や自治体など実際の労働現場に一定期間就業し、社会人としての素養を身に付ける目的で実施されているインターンシップ。本学では、兵庫県加古郡播磨町にある兵庫県立考古博物館と連携して「博物館を助け隊」と題したユニークなインターンシップ授業を行っています。授業は半期で年2回行われ、半期ごとに学生を募集。参加学生は半年間で、来館者に勾玉や組み紐の指導をしたり、最終的には博物館を盛り上げるためのワークショップの企画を考たりします。ワークショップはこれまで、第1回「クイズでクッキー」、第2回「パズルラリーでゲットだぜ」、第3回「薬をGETして、はばタンの呪いをとこう」と題して開催されました。企画も、回を追うごとに館内を広範囲に使った体験型の内容へと工夫された形にレベルアップ。来館者に、博物館の展示物をより理解してもらえるような工夫が盛り込まれるようになりました。第3回目では、呪いにかかって苦しむ兵庫県のマスコット「はばタン」を、本学マスコットの「マナビー」が調合した薬で救うという、ストーリー仕立ての内容で実施。多くの来館者を得ることができました。

「おもしろがる学問」を追求し、
地域と学生の知的好奇心をくすぐる授業を展開したい

人文学部 人文学科
大原 良通 教授

人文学部 人文学科 大原 良通 教授

博物館といえば一見、社会とは隔絶したところに存在するいわゆる俗世間とは無縁の施設のように考える人もいるでしょう。ところが、実際には県民サービスの最前線であり、公務員・アルバイト・ボランティアなど多くの人が協力し合って維持運営しています。さらに訪れる人は、こどもから大人、個人や団体、勉強に、遊びにと、これほどいろんな人が出入りする所も珍しいでしょう。このような施設での就労体験は、学生にとって素晴らしい経験となっていると思います。

私が兵庫県立考古博物館と連携して授業を行いたいと思った理由のひとつは、そこが最新の博物館であるということです。入館者数など気にせず、ひっそりと宝物を保管・展示する施設ではなく、地域に積極的に働きかけ、自らその存在をアピールする博物館だからです。

学生には“サービス”と“アピール”の方法を学んでほしいと考えました。また、県の施設ですから公務員の仕事も観察できます。そこで働く職員の業務を知ることは、地域と結びついた仕事とはどんなものかを理解する有意義な経験になると考えました。

博物館は、学芸員だけではなく受付から清掃・設備・警備係まで、さまざまな業務の担当者で構成されています。そして、来館者すべてが、展示物を理解できるよう、飽きさせないような工夫が随所になされています。何をどう見せ、どう説明すれば理解してもらえるか、そのノウハウは学生が将来社会に出たときに必ず役に立つアイテムとなるでしょう。

何の手本も無く手探りで始めた授業ですが、学生たちの積極的な働きかけで、人文学部のテーマ「おもしろがる学問」を地域の人々に経験してもらうよい機会となっています。来館者を楽しませようと頭を悩ませる学生、かれらの企画が実現できるよう協力してくださる職員やボランティアの皆さん、さらに参加したこどもたちが大喜びする姿でもって、大学、博物館、地域の人々による大団円のハッピーエンド。こんな授業を今後も続けて行きたいと考えています。

単に訪れるだけの場所ではなく
若者が活発に活動し交流する博物館へ

兵庫県立考古博物館
村上 泰樹 学習支援課長

兵庫県立考古博物館 村上 泰樹 学習支援課長

インターンシップ授業のお話を打診された当初、まず、学生に何をしてもらうのかを考えることから始めました。今まで、半年という長期に渡って学生を受け入れるというケースはなかったからです。

うまく仕事を進めるには順序があるということを理解してもらい、社会人としての基本的な態度やマナーを身に付けてもらいたいと思いました。学生が社会人になったときに役立つことを学び、主体的に博物館業務に関わってほしいとの思いから授業の内容を考えました。その結果、来館者に対する簡単な接遇研修と勾玉や組み紐を教えるための指導研修を授業の最初に行い、こどもたちへの指導をとおして、そこにある「ニーズ」を把握し、館の活性化が図れるようなワークショップの企画を考えてもらうことになりました。

私が感心したのは、授業に参加した神戸学院大学の学生が大変素直で、常に前向きな姿勢で授業に取組んでくれたことです。こちらが特に注意しなくても、館内での礼儀や態度、服装にも気を配るなど“当たり前のこと”が出来ていることが印象的でした。何より、来館するこどもたちにとても人気があったので、館の雰囲気が明るくなりました。ワークショップの企画内容にしても、私たち学芸員には思いもよらない斬新な発想を投げかけてくれました。結果として、今までにない意欲的なワークショップを開催することができたのではないでしょうか。博物館は一般的に、大人の来館者がほとんどで、高校生や大学生の若者世代が一番少ないのが現状です。私たちは、学生に博物館を文化サークルの発表やコンサートの開催といった交流の場として大いに活用してもらい、幅広い世代が親しみを持って利用してほしいと考えています。私たちが目指しているのは、「楽しく遊んで(考古学)を学ぶ」博物館。今回の授業が、そのきっかけになることを願っています。

アイデアを形にする楽しさを実感
今後も自分を高められる授業に参加していきたい

人文学部人文学科3年次生
西岡 幸 さん (写真左)
人文学部人文学科3年次生
原 香苗 さん (写真右)

人文学部人文学科3年次生 西岡 幸 さん(写真左) 人文学部人文学科3年次生 原 香苗 さん(写真右)

私たちは、兵庫県立考古博物館と連携でのインターンシップ授業に参加し、ワークショップ「薬をGETして、はばタンの呪いをとこう」を企画しました。

ワークショップの企画内容については、今回は3回目でしたので第1回・第2回の先輩方のワークショップを参考にしながら、何度も練り直して作り上げていきました。ストーリー展開についてはさまざまな意見が出されましたが、中には「はばタン殺人事件」など奇抜なアイデアも(笑)。

大原教授や兵庫県立考古博物館の方に内容をチェックしてもらいながら、参加学生みんなでアイデアを出し合って完成させました。最終的に、兵庫県のマスコット・はばタンが不死鳥であることから、本学のマスコット・マナビーがこどもたちが集めてくれた薬ではばタンを救うというストーリーのある企画に決定しました。

最初は成功するか不安でしたが、実際にワークショップが開催されるとたくさんの方に来館いただいたので、とてもうれしかったです。自分たちが苦労して考えた企画が、実際に形となって大勢の人に喜んでもらえる。その事実を実感して、大きな達成感と自分自身に対する自信がわいてきました。何事に対しても、自分の意志を持ち積極的に行動しようとする姿勢も身に付いたと思います。

大学生活は自分から何かをしようと思わなければ、4年間はすぐに過ぎていきます。けれども 神戸学院大学には、こうした社会と直接触れ合えるような個性的で実践的な授業が多くあります。普段の大学生活ではできない貴重な経験をすることができ、また自分自身をレベルアップできるチャンスがたくさんあるので、他の学生の方にも参加してほしいです。私たちも今回の経験を活かして大学内外のイベントや企画にも積極的に行動していきたいと思います。

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