更新日:2010/11/25
11/19(金)おどろき!そばパワー講演会第二回を開催しました。
11月19日(金)おどろき!そばパワー講演会を開催しました。
第二回は「ミャンマーの麻薬撲滅の取り組み~そばを通した国際協力~」
について、独立行政法人 国際協力機構 東南アジア第一・大洋州部 次長
である佐々木 隆宏氏に、ミャンマー現地での活動内容についての興味深いお話を伺いました。
講師の佐々木隆宏氏は、1984年にJICA入団以降、日本のODAを通した途上国の開発計画の立案、実施を担当され、2002年から4年間にわたり、JICAミャンマー所長として、中国国境のコーカン地区の麻薬対策に従事されました。
今回はその経験をもとに、現地での麻薬供給への取り組みを詳しくお話いただきました。
JICAの現地での創意工夫やチャレンジを紹介することでODAへの理解を、また、現在新聞などで報道される機会の多い政治不安を抱えたミャンマーという国への理解を深めてほしいという目的のもと、スライドの写真やデータをふんだんにも紹介していただきながら詳しくお話をしていただきました。
当日の司会進行役 浅野教授
学生たちは真剣にペンを走らせていました
1.ミャンマーの概況、歴史概観
2.麻薬対策、特に供給面への取り組みについて
3.JICAの取り組みとしての現場での創意工夫やチャレンジの紹介
の3点に基づいて進められました。
聴講生は若い世代が多いこともあり、1についてはミャンマーの近代以降の歴史、日本や日本人との関係について、詳しくお話をいただきました。
ミャンマーという国を現在の新聞報道だけではなく、長い目で見るきっかけ作りとして、一般の国民への理解、ミャンマーという国への理解を進めたいという強い思いが感じられました。
1988年以降は、国際社会から孤立状態にあり、国際的な支援の手もなかなか届きにくい状況になっているミャンマーで、JICAは紛争地、国境地帯へ第三者として関与、政府高官と少数民族との間に入り活動を進めているそうです。
そば栽培で麻薬を減らそう
特にシリーズ講演会としてのテーマ「おどろき!そばパワー」と関わるそばプロジェクト(1998~)は、ケシ栽培の代替開発として寒冷地に適したそば栽培を指導し、その結果一時は世界の4割を占めていたミャンマーでの生産量(93年)が、2006年には6パーセントにまでなる成果を収めています。
ミャンマー政府、少数民族との間に入り一緒に活動を進めた成果は、現在も民間主導での栽培に受け継がれているそうです。
JICAの現地での取り組みに「すごい!」の声
またJICAは、時局に応じての緊急支援、将来の自立的発展のための中・長期支援を6年間継続して行っています。道のないところをロバを雇ってキャラバンを組み、現地の農民宅に泊っての活動の様子に、驚き興味深く聴き入りました。
偏狭の地での活動の困難さ、専門家たちの熱意に、講演後には多くの感想が寄せられました。
(講演後の感想) ※一部抜粋
●現在のミャンマーなど世界の状況を知ることができよかったです。これからも日本は国際的に協力していけばいいと思い、麻薬が世界からなくなればいいと思います。(神戸学院大学 1年生男子)
●自分たちが知らない世界でいろんな動きがあって、苦しんでいる人がいるということにおどろいたし、まずは自分でも知っていこうと思った。(神戸学院大学 1年生女子)
●JICAはミャンマー人の生活と密接している麻薬の問題をそばで解決しようとしている。それは日本のアイデンティティを誇り、異なる文化圏の国にも伝えるという国際協力の素晴らしい在り方だと思うし、一つの平和の具体化だと思う。(神戸学院大学 1年生男子)
●今回の講義を聞いて、麻薬を撲滅するということはやはり簡単なことではなく、長期的な取り組みが必要であり難しいことだと改めて思いました。
(神戸学院大学 2年生女子)
熱意のあふれるお話ありがとうございました!
国際社会から批判される軍政のミャンマーには親日的な人が多く、これからも良い人間関係を築いていく必要性があるということ。
また麻薬対策に関しては、人々の生活もかかっているため生産拠点の撲滅には非常に時間がかかり、一貫して息の長い取り組みが必要であるということ。
途上国の問題を上から目線ではなく一緒の目線で考えていくことができれば日本ももう少しオープンな社会になっていくのではないか。日本が失ったことも、まだ途上国にはあるということを覚えておいてほしいという言葉で、講演会は締めくくられました。
質疑応答の時間には、ミャンマーの政治、経済についての質問や、せっかくミャンマーで減りつつある麻薬栽培がアフガニスタンで増えていることに対する質問などが相次ぎました。学生の皆さんの、ミャンマーについてもっと深く知りたいという気持ち、また初めて知った麻薬対策の現実に対する疑問や関心などを伺い知ることができる時間となりました。
◇講師の佐々木次長、貴重なお話をありがとうございました◇
◇当日参加いただいた方々、ありがとうございました◇