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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2023/07/20 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
ネットワーク論/Studies of Social Network
授業コード
/Class Code
B001031001
開講キャンパス
/Campus
ポートアイランド
開講所属
/Course
現代社会学部/Contemporary Social Studies
年度
/Year
2023年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
前期/SPRING
曜日・時限
/Day, Period
火1(前期)/TUE1(SPR.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
宮田 尚子/miyata naoko
科目区分
/Course Group
【専門教育科目】 〈専門分野科目〉/*** MAJORS *** 〈Specialized Subjects〉
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
宮田 尚子/miyata naoko 現代社会学部/Contemporary Social Studies
授業の方法
/Class Format
対面授業(講義、演習)
授業の目的
/Class Purpose
 本科目の目的は、現代社会学科のディプロマ・ポリシー(卒業認定に関する基本⽅針)に示す「現代社会における⼈びとの暮らし、仕事と産業、および⽂化の形成に係る諸事象を多⾯的、総合的に理解」するうえで有効な知識と考え方を⾝につけることにある。
 本科目では、高齢者の社会的ネットワーク、ソーシャル・サポートについて加齢や環境の変動などとの関わりを検証した実証的な調査研究の学術書(文献)を題材に、ネットワーク論の理論や考え方の枠組みを使って、人びとの社会的役割や態度(価値観や社会意識を含む)とソーシャル・サポートの関係について検討する際のアプローチ⽅法や分析⼿法を学ぶ。さらに、受講生が自分⾃⾝や身のまわりの事例にもとづいて、文献で提示された理論で説明できる部分と説明できない部分を検討しながら、ネットワーク論の知識や考え方を実践的に活⽤できるようになることをめざす。
 講義でテキストの内容について解説するとともに、グループでの共同作業やディスカッションをつうじて学生同士で意見や考え方を共有しながら、テキストの内容の理解を深める。また、リアクションペーパーや課題レポートをつうじて、教科書の内容と自分の身のまわりの事例の共通点・相違点を文章で説明する練習をおこなう。
 なお、この授業は、意識調査を実施するシンクタンクで約4年の実務経験のある教員が担当し、定量的な社会調査データを用いた⼈びとの価値観や社会意識のよみとり方や、社会的属性や社会意識や態度、社会環境によって社会的ネットワークが異なることについても解説する。
到 達 目 標
/Class Objectives
(1)ネットワーク論の基本的な理論や概念、アプローチ⽅法について書かれた学術的な文献を、批判的に読み解くことができる。
(2)ネットワーク論の基本的な理論や概念、アプローチ⽅法を用いて、「現代社会における⼈びとの暮らし、仕事と産業、および⽂化の形成」に関する現象を、批判的に検討することができる。
(3)ネットワーク論の基本的な理論や概念、アプローチ⽅法を用いて、「現代社会における⼈びとの暮らし、仕事と産業、および⽂化の形成」に関する身近な例を、教科書の事例とは別に、2つ以上説明できる。
授業のキーワード
/Keywords
社会的ネットワーク、ソーシャル・サポート、道具的サポート、情緒的サポート、「重要な他者」、社会的孤立
授業の進め方
/Method of Instruction
(1)基本的に講義中心で進めるが、グループ・ワークやグループ・ディスカッションをつうじて受講生同士で意見や考えを共有し、内容の理解を深める機会を設ける。

(2)毎回、課題レポートやリアクションペーパーを課す。授業でとりあげた⽂献で提⽰されている概念や理論、分析結果と同様の理屈で説明できる事例や、そのように考える理由・根拠など、授業内容に関連した課題を作成する。課題は、指定した期限までに提出する。

(3)受講生が提出した課題レポートやリアクションペーパーは、翌回の授業のなかで紹介する。そうすることで、受講生が提示した事例を受講生同士で共有し、内容の理解を深める手がかりとする。
履修するにあたって
/Instruction to Students
(1)社会学概論I・IIで扱われている内容を理解していることが望ましい。

(2)ゼミなどで、⽂献の内容を要約しレジュメを作成して報告した経験をもつことが望ましい。⽂献の内容を要約し、レジュメを作成して報告した経験がない場合は、アカデミック・スキルに関するテキストを読むなどして、事前に勉強しておくこと。

(3)毎回授業後に、課題レポートまたはリアクションペーパーを課す。
授業時間外に必要な学修
/Expected Work outside of Class
(1)事前学習:
授業計画の各回で指示された⽂献(教科書)の章を読むこと。そのうえで、文献のなかの学術用語の意味などを調べて、内容に関してわからない点を整理して授業の際に質問できるよう準備すること。(目安として1時間)

(2)事後学習:
各回でとりあげた章を再読し、そのなかで提示されている概念や理論、分析結果と同様の理屈で説明できる身近な事例を探し、そのように考える理由・根拠も含めてレポートを作成する。たとえば、自分自身や家族や友⼈、知り合いにあてはめたり、新聞やテレビ、インターネットの記事で見聞きした社会問題と比較したりして、レポートを作成し、応⽤しながら内容を理解すること。(目安として1時間)
提出課題など
/Quiz,Report,etc
各回でとりあげた教科書の内容や授業のリフレクション(振り返り)となるような課題を出す。課題の詳細はその都度指示するが、下記のような課題を予定している。

(1)各回でとりあげた教科書のキーワードを説明する。
(2)各回でとりあげた教科書の内容の要点をまとめる。
(3) 「A:各回でとりあげた教科書で提示された理論・考え方で説明できる、別の事例」や「B:各回でとりあげた教科書の内容で提⽰されている説明があてはまらない事例」を身のまわりから探して提示する。また、そのように考える理由・根拠を説明する。
(4)グループワークや受講生同士の議論の内容を整理し、自分の考えや意見をまとめる。

次の授業のときに受講生のリアクションペーパーやレポートをいくつか紹介し、前回の授業内容を振り返る。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
(1)授業中の自発的な発言、グループワーク、ディスカッションへの貢献:20%
(2)各回の課題レポート、リアクションペーパー:40%
(3)期末レポート:40%
テキスト
/Required Texts
中田 知生【著】
『高齢期における社会的ネットワーク――ソーシャル・サポートと社会的孤立の構造と変動』
明石書店 2020年 3850円(税込)
参考図書
/Reference Books
授業で適宜、紹介します。
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 イントロダクション パーソナルネットワークに関する社会学の研究分野について紹介し、その特色や社会的背景を概説する。
2 第2回 社会的ネットワークとソーシャル・サポート(1) 教科書「第1章 本論の目的」「第2章 ソーシャル・サポートの定義」:
社会的ネットワークにもとづいて社会現象を読み解く意義について解説する。また、社会的ネットワークの中心的な概念の1つであるソーシャル・サポートに注目して、論理的定義を紹介する。さらに、人と人とのつながりの構造と、ソーシャル・サポートの機能(人びとにどのように影響するか)を分析するための考え方について説明する。
3 第3回 社会的ネットワークとソーシャル・サポート(2) 教科書「第3章 ソーシャル・サポートの基礎的分析」:
社会調査データにもとづいて、ソーシャル・サポートが個人の健康のどのような側面に効果を与えるのかを検討する。その際、ソーシャル・サポートを道具的サポートと情緒的サポートに分けて分析する。また、援助が必要な個人に、ソーシャル・サポートが供給されているのかどうかについて、基本的属性を手がかりに検討する。これら一連の検討をつうじて、社会的ネットワークを分析する際のアプローチ方法について学ぶ。
4 第4回 社会的ネットワークとソーシャル・サポート(3) 教科書「第2章 ソーシャル・サポートの定義」「第3章 ソーシャル・サポートの基礎的分析」:
前回の授業のリアクションペーパーや課題レポートをいくつか紹介し、教科書の内容を補足する。また、ソーシャル・サポートを題材として学生同士のグループワークや話し合いをつうじて、身近な社会現象と教科書の内容を比較しながら、その共通点や相違点について考察する。
5 第5回 社会的ネットワークとエイジング(1) 教科書「第4章 加齢と社会的ネットワークの軌跡」:
社会調査データにもとづいて、ソーシャル・サポートがエイジング(加齢)とともにどのように変化するのかを検討する。さらに、高齢期における生活への適応に、社会的ネットワークがどのように作用するのかを検討する。
6 第6回 社会的ネットワークとエイジング(2) 教科書「第4章 加齢と社会的ネットワークの軌跡」:
前回の授業のリアクションペーパーや課題レポートをいくつか紹介し、教科書の内容を補足する。また、受講生の社会的ネットワーク(若年層の社会的ネットワーク)と教科書の内容(高齢期における社会的ネットワーク)を比較し、共通点と相違点について学生同士で議論する。議論を通じて、社会的ネットワークの機能や、年齢を重ねるとともに同一個人の社会的ネットワークが変化する様子について理解を深める。
7 第7回 ライフ・ステージと「重要な他者」の移行(1) 教科書「第5章 ソーシャル・サポート・システム」:
インフォーマルなソーシャル・サポート・システムを、個人を中心に同心円状に広がる社会的ネットワークととらえるコンボイ・モデルをとりあげる。このコンボイ・モデルと社会的ネットワークを手がかりに、個人をとりまく「重要な他者」が年齢やライフ・ステージ、社会的役割の変化とともにどのように変化するのかを検討する。
8 第8回 ライフ・ステージと「重要な他者」の移行(2) 教科書「第5章 ソーシャル・サポート・システム」:
前回の授業のリアクションペーパーや課題レポートをいくつか紹介し、教科書の内容を補足する。また、教科書で提示されたソーシャル・サポートにおける「重要な他者」の推移と、受講生にとって身近な事例(若年層にとっての「重要な他者」の推移)の共通点や相違点について学生同士で議論する。議論をつうじて、各ライフ・ステージや社会的役割の変化における「重要な他者」の構造や機能がどのように変化するのかについて理解を深める。
9 第9回 社会的ネットワークとジェンダー(1) 教科書「第6章 ソーシャル・サポートとジェンダー」:
ジェンダーによる社会的ネットワークの差異について検討する。社会的に期待されたジェンダー役割が、個人がもつ社会的ネットワークやソーシャル・サポートに与える影響について、社会調査データにもとづいて検討する。
10 第10回 社会的ネットワークとジェンダー(2) 教科書「第6章 ソーシャル・サポートとジェンダー」:
前回の授業のリアクションペーパーや課題レポートをいくつか紹介し、教科書の内容を補足する。また、教科書で提示された高齢期におけるジェンダーとソーシャル・サポートの関係と、受講生にとって身近な事例(若年層におけるジェンダーとソーシャル・サポートの関係)の共通点や相違点について学生同士で議論する。議論をつうじて、社会的ネットワークがジェンダーという社会的な役割期待によってどのように形づくられているのかについて理解を深める。
11 第11回 社会的ネットワークと地域(1) 教科書「第7章 ソーシャル・サポートの受け渡しと距離」「第8章 ソーシャル・サポート・システムと地域」:
親子間のソーシャル・サポートの受け渡しが、伝統的な価値意識や地理的な距離によってどのように影響を受けるのかについて、社会調査データにもとづいて検討する。また、地域コミュニティが高齢期における社会的ネットワークに及ぼす影響についても検討する。
12 第12回 社会的ネットワークと地域(2) 教科書「第7章 ソーシャル・サポートの受け渡しと距離」「第8章 ソーシャル・サポート・システムと地域」:
前回の授業のリアクションペーパーや課題レポートをいくつか紹介し、教科書の内容を補足する。また、教科書の内容と類似した事例を探し、パーソナル・ネットワークやソーシャル・サポートに影響する社会的要因やメカニズムについて、自分たちの身近な事例にあてはめながら学生同士で議論する。
13 第13回 ネットワーク論からみた社会的孤立(1) 教科書「第9章 社会的孤立と孤独感の分析」:
現代的な社会問題の1つである社会的孤立について、社会的ネットワークの観点から解説する。高齢期における社会的孤立が生じる要因やメカニズムについて社会調査データにもとづいて検討する。また、社会的孤立と孤独感の関連についても、考察する。
14 第14回 ネットワーク論からみた社会的孤立(2) 教科書「第9章 社会的孤立と孤独感の分析」:
前回の授業のリアクションペーパーや課題レポートをいくつか紹介し、教科書の内容を補足する。また、高齢期における社会的孤立や孤独感と、受講生にとって身近な事例(若年層における社会孤立と孤独感)の共通点や相違点について学生同士で議論する。議論をつうじて社会環境が人びとの社会的ネットワークに与える影響やそのメカニズムについて、理解を深める。
15 第15回 総合議論 教科書「第10章 結論」:
各回でとりあげた教科書の内容をふり返り、ネットワーク論の理論や考え方を使って社会現象を読み解く意義や利点、限界を検討する。

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