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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2023/07/20 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
歴史文化概論Ⅰ/すまいの文化
授業コード
/Class Code
B507184001
開講キャンパス
/Campus
有瀬
開講所属
/Course
人文学部/Humanities and Sciences
年度
/Year
2023年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
前期/SPRING
曜日・時限
/Day, Period
金5(前期)/FRI5(SPR.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
北村 厚/KITAMURA ATSUSHI
科目区分
/Course Group
【専門教育科目】 〈人と社会と自然科目群〉/*** MAJORS *** 〈SUBJECTS OF ENVIRONMENT, HUMAN, COMMUNITY AND HISTORY〉
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
北村 厚/KITAMURA ATSUSHI 人文学科/Humanities
授業の方法
/Class Format
講義
授業の目的
/Class Purpose
この授業では、ヨーロッパの住宅政策の歴史を学習することを通じて、歴史学の専門知識と技能を総合的・体系的に身につけ、活用することを目的とします(人文学部DP2・4)。

私たちが何気なく過ごしている普段の生活は、実は世界の大多数の人々にとって当たり前ではありません。玄関で靴を脱ぐのも、浴室に必ず湯舟があるのも、畳も座卓も、日本では当たり前ですが世界の多くの国ではあてはまりません。このように、すまいの形そのものにそれぞれの国の文化があるのです。この授業では、日常生活からも世界の歴史をとらえることができるという観点から、近代ヨーロッパの「すまいの文化」を取り上げます。

しかしただ住宅の変遷を追っただけでは歴史を見ることにはなりません。その住宅がどのような歴史的・文化的・社会的背景を持って誕生したのかを探求することによって、より深くヨーロッパの歴史の特質をつかむことができます。この授業で取り上げるイギリスのカントリーハウス、イギリスやフランスの労働者住宅、ドイツの労働者の住宅などには、それぞれ地域や時代ごとの階級文化・思想・政策目標が存在しました。それらを理解することでヨーロッパ近代における住宅政策の文化と政治のあり方そのものについて考えることが、この授業の目的です。
到 達 目 標
/Class Objectives
1.ヨーロッパの住宅政策の歴史について概要を説明することができる。(知識)
2.日常生活からヨーロッパの歴史を語るという社会史的手法を身につける。(知識・技能)
3.社会経済史的な手法により住宅の歴史と現在の社会問題を結びつけて考えることができる。(思考力・判断力)
授業のキーワード
/Keywords
カントリーハウス 労働者住宅 コレラ 都市衛生 住宅政策
授業の進め方
/Method of Instruction
配布プリントとスライドを使って授業をします。ノートを積極的にとってください。授業の最後に課題を設定します。次回は課題のフィードバックから始めます。
履修するにあたって
/Instruction to Students
授業中はしっかりノートを取りましょう。課題提出期限の延長は認められませんので、すぐに取り組みましょう。
授業時間外に必要な学修
/Expected Work outside of Class
毎回の授業内容について1時間程度復習し、課題に取り組んでください。
提出課題など
/Quiz,Report,etc
毎回授業の最後に課題を設定し、Moodleで提出してもらいます。毎回の課題は、必ず授業日に提出してください。遅延は認めません。提出された課題のいくつかについて次回の冒頭でコメントし、フィードバックとします。
途中で「地域の建築物の文化」に関する調査とプレゼンテーションの課題を出します。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
授業課題80点満点(6点満点×15回)+地域の建築物課題20点=100点満点で計算します。
テキスト
/Required Texts
なし
参考図書
/Reference Books
毎回プリントで提示します。
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 すまいから見る歴史 「すまい」から文化や歴史を読み解くというのは、歴史学の分野では社会史や日常史というジャンルに当たります。それらの歴史学がどのような背景から登場し、どのような学問的意義を持ちえたのかを解説して導入とします。
2 第2回 イギリス貴族のカントリーハウス1 今もイギリス各地の郊外に残る広大な貴族の邸宅、カントリーハウス。なぜ彼らは都会の喧騒を離れて自然と共に暮らすことを望んだのでしょうか。カントリーハウスの歴史を通じて、大英帝国の発展を支えたイギリス流田舎生活の実態に迫ります。
3 第3回 イギリス貴族のカントリーハウス2 引き続き、カントリーハウスの歴史について考えます。
4 第4回 イギリス労働者の住環境1 優雅なカントリーハウスの生活とは裏腹に、産業革命期のイギリス労働者は狭くて汚い長屋生活を余儀なくされていました。社会の最底辺に置かれた彼らの生活は、大きな環境問題を引き起こし、政府は「住宅政策」の展開を余儀なくされます。
5 第5回 イギリス労働者の住環境2 住環境の悪化は都市衛生環境の悪化につながり、コレラ流行の原因にもなります。この問題に立ち向かったチャドウィックの改革などについて見ていきます。
6 第6回 イギリス労働者の住環境3 引き続き、19世紀イギリスの住宅と環境の問題についてみていきます。
7 第7回 フランスの都市改造1 イギリスに遅れて産業革命が推進されたフランスでも、住環境の悪化が社会問題になりました。これに対してナポレオン3世とセーヌ知事オスマンは、パリの大改造に着手します。
8 第8回 フランスの都市改造2 引き続き、パリ大改造の経緯と結果を見ていきます。
9 第9回 近代ドイツの住宅問題1 ブルジョワ階級の理想的生活とは全く異なる生活空間を作り出していたのが労働者階級です。19世紀後半のベルリンでは巨大な労働者向け集合住宅が数多く作られました。マイアースホーフなどを事例に、ベルリン集合住宅での労働者家族の生活を見てみましょう。
10 第10回 近代ドイツの住宅問題2 引き続き、近代ドイツの労働者の集合住宅について考えます。
11 第11回 近代ドイツの住宅問題3 引き続き、近代ドイツの労働者の集合住宅について考えます。
12 第12回 兵庫県の建築物 インターバルとして、兵庫県の建築物レポートの優秀作品発表を行います。優秀作品に対する投票も行います。
13 第13回 ドイツ住宅政策その後1 ドイツ帝国期に社会問題となった労働者住宅は、社会政策をかかげるヴァイマル共和国期になると、国家政策として整備拡充が計画されます。しかし予算不足により中途半端になり、ナチ期に入るとこれらの労働者住宅は左翼の温床として弾圧されました。第二次世界大戦期にいたる住宅政策の変遷を追います。
14 第14回 ドイツ住宅政策その後2 引き続き、戦間期以降のドイツ住宅政策について見ていきます。
15 第15回 まとめ 本講義で学んだイギリス・フランス・ドイツの住宅政策を、公衆衛生と階級という観点から比較分析します。

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