神戸学院大学

東日本大震災等の被災地支援活動

2月14日(金)~2月17日(月) 学生ボランティア派遣 報告書

本ボランティアバスは「ひょうごボランタリープラザ」との共同開催です。

標記の件、下記のとおり報告いたします。

プログラム名 宮城県災害支援学生ボランティアバス(大学主催)
日程 2014年2月14日(金)~17日(月) 3泊4日(2泊は車中泊)

行程・内容

活動場所 1日目(2月15日):石巻市の仮設住宅:南境団地:250世帯
2日目(2月16日):名取市の仮設住宅:箱塚屋敷:180世帯

2月14日(金)(全員KACに集合)KAC=神戸学院大学有瀬キャンパス

16:00 KAC 112F教室集合、事前研修会
17:00 KAC 15号館前にバス到着、備品等積み込み
17:30 KAC 出発。雪のため交通の事情を鑑み、予定よりバスを早くに出発させた。
活動の打合せはボランティア活動支援室学生スタッフの進行で車中で実施した。
バスにて宮城県へ。最初のSAでは夕食休憩として長めに休憩。その後は途中SAにて2、3時間おきに休憩 ―バス車中泊―

2月15日(土)※雪のため、大幅に現地到着が遅れた。

10:00 そば飯づくり

雪のため、バスの到着が遅れ、先行して現地入りしていた少人数滞在プログラムの学生3名(石巻斑)が、急きょ、そば飯をつくることになった。

12:00 バス到着
石巻市の仮設住宅で活動(石巻ミニストップで備品下ろし)
活動時間:午後の部(13:00~16:30)
活動:南境第4団地=踏み台木材搬入、集会所にて交流 他
16:30 活動終了、後片付け
17:30 宿泊施設に出発
18:30 松島町フットボールセンター(宮城県宮城郡松島町手樽字大蓬沢13-1)
―就寝前に、振り返り、翌日活動打ち合わせ―

2月16日(日)

07:00 朝食
~寝具の片づけ、部屋の掃き掃除、トイレ・風呂・洗面台の掃除~
08:00 宿泊施設出発
09:00 沿岸部視察(閖上地区)30分程度
10:00 名取市の仮設住宅で活動(ダルマ薬局手倉田店・駐車場にバス駐車)
活動時間:午前の部(10:00~12:00)、午後の部(13:00~16:00)
活動:箱塚屋敷= 集会所(マスコット作り、足湯、雛人形組み立て)、雪かき
12:00 昼食休憩(グループごとに活動にあわせてとる)
15:00 活動終了、後片付け
16:00 タクシーにて銭湯へ移動 ※活動備品も運ぶこと
17:00 スーパー銭湯極楽湯名取店で入浴
(宮城県名取市田高字原463 TEL022-383-1126)
18:30 銭湯を出発(バスは銭湯の駐車場で待機)
神戸へ。途中SAにて2、3時間おきに休憩 ―バス車中泊―

最初のSAにて1時間程度休憩(食事、活動の振り返り)

2月17日(月)※雪のため、到着が大幅に遅れた。

13:30 KAC帰着 学生、備品等のおろし
14:00 マナビーホールにて事後研修会
15:00 解散

参加者

本学学生19名 (一般申込み9名、ボランティア団体VAF1名、ボランティア活動支援室学生スタッフ6名、防災・社会貢献ユニット3名)
引率者2名 鷹野 正興(神戸学院大学 薬学部 教員)
川口 謙造(神戸学院大学 学生支援グループ 職員)※

川口は少人数滞在型プログラムの引率として先行して現地に入っていた。

事前・事後研修会講師1名 守田 敦子(神戸学院大学 心理臨床カウンセリングセンター カウンセラー)

活動詳細

2月14日(金)事前研修会、出発

  • 活動前の班ごとの最終確認作業、当日の作業の流れについて話し合いを行った。心理臨床カウンセリングセンター協力で、子ども、住民とのかかわり方等の指導、戸別訪問のロールプレイも行った。
    大雪で出発時間を早めたため、事前研修会は短めに終了、皆、やや緊張の面持ちでバスに乗り込んだ。人文学部の西垣先生や学生支援グループの職員の方など多くの人達が見送りに来てくださり、身の引き締まる思いで、学生はバスに乗り込んだ。

出発前の学生の様子、元気一杯
まさかこの後、20時間近くバスに乗ろうとは思ってもいなかった。

2月15日(土)石巻市

  • 予定では、9時に石巻の仮設に到着のはずが、大幅に遅れた。途中のサービスエリアをでた瞬間、1時間ほど全くバスは動かず。あと100数十キロで到着なのに、もどかしい思いをしていた。

宮城県に向かう道中

石巻市仮設住宅 南境団地付近地図
石巻市仮設住宅 南境団地付近地図
  • 第1~7団地において、約750世帯の方が居住されている
  • 集団移転ではなく、様々な地域から集まってできた団地。班長、集会所管理人などが決まり、団地によっては住民主催の交流会が開かれている。仮設住宅周辺に戸建の新築住宅が建ち始めている

《石巻市第4団地での活動》

第4団地での活動
雪かき

お昼過ぎやっと石巻の仮設住宅に到着、早速、器材や木材を搬入。
しかし、ミゾレ交じりの雨天のため、踏み台の木材搬入だけで、踏み台作製は中止となった。そこで、急遽、踏み台作製班は、他の部署の手伝い、余った数人は外で雪かきを行った。
写真のように、住宅から外に出られないほどの雪で、しかも水を含んで大変重い。引率者(鷹野先生)も雪かきに回り、これがなかなかの重労働であった。学生が黙々と雪かきを行っていた。

一方、集会所組として、そばめし作製班と足湯班が活躍した。特に印象的だったのは、仮設住宅の皆さんの暖かい気持ちだ。皆さんが嬉しそうに、温かく迎えてくれたおかげで、緊張気味だった学生も、一気に打ち解けて、お話しすることができるようになった。そば飯は、微妙な評価で、「そばとご飯を一緒に食べるなんて」という方もおられた。これは文化の違いで致し方ない。むろん美味しいと仰ってくださる方もいた。

足湯も大好評だった。横で見ていて思ったのは、足湯は案外大変だということ。二人がかりでマッサージしながら、お話しして、お世話する。でも喜んでくださる方が多く、学生にとっては励みになったようだ。
活動を終え、松島フットボールセンターへ向かう。フットボールセンターも雪だらけ、でもやっとゆっくり眠れる、しかも、食事はなかなか美味しかった。

そば飯、寒天パパを提供
そば飯、寒天パパを提供
足湯
足湯
活動終了のシーン
活動終了のシーン

2月16日(日)名取市

《名取市仮設住宅 箱塚屋敷団地》

名取市仮設住宅 箱塚屋敷団地付近地図
名取市仮設住宅 箱塚屋敷団地付近地図
  • 約160世帯の方が居住されている
  • 集団移転ではなく、様々な地域から集まってできた団地。自治会があり、集会所も活発に活用されている
  • 少しずつ転出する世帯が増えている様子。空き住戸が出始めている

《沿岸部の視察》

  • 活動前に沿岸部、甚大な被害を受けた閖上地区の視察を行った(閖上地区)
  • バス内から被災状況を視察し、学生スタッフより閖上地区の被災状況や現在の状況について説明が行われた。
学生たちの祈り
閖上たこ焼きの佐藤さんと

ほとんどの場所が住宅の基礎で、多くの建物があったのだろう、それらが全くの更地になっている。あまりの凄まじさに、学生たちもほとんど無言、皆で黙祷したが、ここでどれだけ多くの人が亡くなったのかを想像すると胸が痛い。その中で、たこ焼き屋さんがお店を出していた。聞くと、わざわざ、神戸学院大学がくることを知り、お店を開いてくださったそうだ。お代を受け取ろうともせず、「神戸学院の活動が嬉しくて来たので、そんなものいりませんよ」とのお言葉、嬉しかった。
閖上から名取に向かった。市内はあまり除雪が効いておらず、混乱ぶりが伺える。

名取市箱塚屋敷での活動

雪かき

ここでは、雪かきの必要が高かったため、男子学生主体で雪かきを行った。学生は総勢10人くらいか、お昼を挟んで仮設の方、40代、60代の女性お二人と一緒に作業した。女性だけど、男の私たちより雪かきは上手。しかし、凍てついた氷は本当に厄介で、なかなかとれない、それを彼らは粘り強く取り去った。終わりには、住宅の外周道路はほとんど雪がなくなった。

雪かき

羊毛フェルトでマスコット作り

室内では、羊毛マスコット作りを行った。学生に2時間くらいかと尋ねると、「とんでもない、4時間以上かかったのもあって、肩が凝りました!」とのことでした。

マスコット作り

足湯と茶話会

名取でも足湯を行った。おかげで集会所は和やかな雰囲気だった。

足湯

雛人表の飾りつけ
雛人形の組み立て、飾り付け

寺田金十 学生支援センター事務部長から寄贈された雛人形を、学生たちが現地で組み立てた。幼い頃、姉の雛人形の飾り付けを手伝っていた学生がおり、無事、完成し、学生たちも満足げだ。

【活動終了後の振り返り】

極楽湯という、スーパー銭湯に行き入浴をした。ここで振り返りを行う予定だったのだが、スペースも時間もなく、結局、バスの中で振り返りを行うことにした。一時間ほど早めに出発したのだが、その際、学生もきびきびと出てきて、スムースに出発できた。

【帰路】

振り返りを学生たちはきちんとバス内でやっていた。一方で、運転手と引率者は、ずっと道路状況の把握に、一杯一杯であった。当初の予定では、名取市内から国道4号線を30キロほど北上して、高速へ入るはずだった。ところが、出発して1時間でやっと名取から10キロほどしか進めず、そこからバスは全く動かなくなった。途中、コンビニへ入ると、全く、弁当やおにぎりはなかった。昨晩からの渋滞で物資の補給が追いつかず、トイレも混雑していた。バスは全く動かず、数百メートル動くのに、1時間以上かかる。5時半に出発したのに、4号線上で9時を回ってしまった。おかしいと思いネットで調べると、何と高速ではなく国道4号線が雪のため、「閉鎖」の赤文字だった。運転手さんに見せると、慌てて、バスはなんとかユーターンし、名取に戻り、迂回して高速にやっと乗れた。これが夜の11時過ぎだった。結局、神戸でも渋滞に遭い、大学に帰ったのはお昼過ぎの午後1時半、ちょうどバスに乗ってから20時間経過していた。
バス旅行についてはトラブルもあったが、学生たちの前向きな姿勢、なんとか役に立ちたいという気持ちがひしひしと伝わってくるボランティア活動だった。

12月23日(月)事後研修会(写真)

疲れをいやすためのストレッチ体操、事後のケア(協力:心理臨床カウンセリングセンター)、学生の活動振り返りを行った。

事後研修会
事後研修会

事後反省会にて各自振り返り発表、アンケートの記入など行い、最後まで一体感を忘れない。
以下は参加学生及び引率者の振り返りコメント(一部抜粋)である。

【学生】

  • 一緒に活動できてよかった。感謝。学スタとして乗るときは不安ばかりだった。
    活動自体は反省点が多かったが、みんなが良かったと思ってくれるなら成功かな。
    大学にたくさんいる学生の中で19人という少ない人数が集まれたことは奇跡だと思う。
  • アクシデント等あったが、いい時間を過ごせた。皆切り替えが早くて良い。
  • ボランティアをしたことはなく、ボランティアバスも行けるなら行こうかなというくらいだったので、温度差を感じてしまったが反省し、良い方向へ向けた。やろうと思うことに意味がある、これからも色々な活動をしたい。
  • 気仙沼へ行きインターンをするので、今回のバスの経験を活かしたい。
  • 被災地へ初めて行った。テレビで状況を何回も見るより、自分の足で一度行ったら、改めて大きな地震があったことが分かった。
    もっと東北について調べて行けば良かった。そうすればもっといい経験ができたなと思った。
  • 雪等で予定通り行かなかったが、とても良い経験になった。現地の方からまだ震災の話が出るのは忘れられないことなんだということを実感しました。交流中の時間だけでも元気になってもらいたい。
    3回生のときに東日本大震災があったが、勇気がなく参加できなかった。今回のバスはとてもいい刺激をもらえた。
  • テレビでは最近報道はないが、まだ復興は終わっていない。現地の方が前向きな姿を見て力をもらえた。
  • アクシデントが多かったが対応できたかな?と思う。お礼やありがとうの重みが味わえた。大人の方とのコミュニケーションをうまくとれたかも。これから東北に行けなくても、違う形で支援したい。
  • 2回目の参加、3年前と復興の様子は変わらない状況。感謝されて、活動してよかったと思った。周りに助けられた。
  • ボランティアさせてもらっているという気持ちを持った。現地の方から色々教えてもらっているなと思った。コミュニケーションを取ることで、臨機応変に動けたかなと思う。東北のことをもっと調べたら良かった。
  • 勉強会等、参加すべきだった。現地での空き時間の有効活用ができない。
    みんなの支えがあってこその成功。学生が来るのを楽しみにしていたと言われ、活動してよかったと思った。東北に行くのは簡単ではないので、違う形で支えたい。
  • 寒さで帰りたいという気持ちを持ってしまったし、コミュニケーションが苦手だったが、皆が温かく迎えてくれたので良かった。自分の目で被災地を見て、無知だと実感した。
  • 誰かの役に立てる仕事に就こうと考えているので、参加しようと思った。思ったより復興がまだまだ進んでいない。報道されないのでわからない。皆が被災地の写真を撮影している気持ちが分からず複雑だった。
  • 実際自分の目で見ると受け取り方が違う。現地の方があたたかく迎えてくれたのでよかった。このままで終わらせたくない。
  • 現地の人と話して、このような活動がまだまだ必要だと思った。
  • 震災のことを忘れてはいけないと思った。活動中に自分に何ができるか考えた。この経験を持って帰って周りに伝えることが大切。復興に役立てる人間になりたいと思った。
  • 今まで何度か参加して、自分に何ができるか考えていた。コミュニケーションの取り方の勉強をして行った。特別扱いをすることなく、1人の人として付き合えたと思う。
  • 子どもから乱暴な行為を受け、どう対応すればいいかわからなかった。学祭で笹かまを販売しているのを見て知った佐々直さんの壊れた建物を見て、先輩たちのしている物産展等こっちでできる支援もしたいと思った。
  • 防災ユニットに入っていて、小学校・中学校で出前授業をしたこともあるから知識もあったけれど…、現地に初めて行って思ったのは、テレビや新聞や授業ではわからないことばかり。福島のパーキングエリアで203冊目の応援ノートを見て、見えないところでの人の温かさを知った。現状をメディアで伝えられないのなら、自分たちが伝えるべき。人に伝えることが大切。
    また、雪の大変さや怖さを知った。木から落ちた雪で車のガラスが割れる等、雪が降れば嬉しいということはない。
    皆が活動中にしんどい顔を現地の人に見せなかったのがすごい。1日目の反省を翌日に活かす姿勢、皆の連携があって良かった。

【引率】

  • 素晴らしい経験ができた。手作業等、活動にはどんな意味があるのかと思っていたが、お金で買えるものではない、若い人たちが現地で色々伝えようとしているのを見て、嬉しさや優しさが伝わることが大事なのだと教えてもらった。

以上