神戸学院大学

東日本大震災等の被災地支援活動

3月9日(金)~3月12日(月) 学生ボランティア派遣 報告書

このボランティアバスは、赤い羽根『災害ボランティア・NPO活動サポート募金』の助成を受けて実施しました。

標記の件、下記のとおり報告いたします。

プログラム名 宮城県災害支援学生ボランティアバス(大学主催)
日程 2012年3月9日(金)~3月12日(月) 1泊4日(バス車中2泊)
活動場所 名取市閖上中学校(名取市閖上字五十刈1番地)
閖上朝市会場(閖上5丁目15)

行程・内容

3月9日(金)(神戸学院大学神戸市西区有瀬キャンパス=KACと省略)

16:45 KAC 15号館151K教室集合、事前研修会
(1)活動の心構え、基本情報の共有
(2)互いを知り合う、現地でのチーム作り
(3)活動の打合せ 他
19:00 KAC 15号館前にバス到着、備品等積み込み、出発。
バスにて宮城県へ。最初のSAでは夕食休憩として長めに休憩。その後は途中SAにて2、3時間おきに休憩 ―バス車中泊―

3月10日(土)

08:00 名取市閖上中学校到着
08:30 周辺地域徒歩による学習、玄関前泥清掃
09:00 活動開始 「なとり観光復興プロジェクト」絵灯篭準備作業
活動内容:絵灯篭の組み立て作業、教室の清掃活動
15:00~16:30 活動終了後、名取市観光協会佐宗氏の案内による閖上視察
17:15 道中庵ユースホステル(宮城県仙台市太白区大野田2-3-7、TEL:022-247-0511)到着

3月11日(日)

05:15 宿泊施設出発
06:00 閖上朝市会場(閖上5丁目15)到着後、朝食
06:30 活動開始 「なとり観光復興プロジェクト」朝市のお手伝い
活動内容:
(1)朝市でのふるまい手伝い、笹かま焼き補助
(2)仮設住宅への送迎バスの補助
(3)閖上中学校にて第二部イベントの補助
(4)朝市会場片づけ
11:30 閖上中学校へ移動
13:30 昼食休憩ののち、スタッフの指示により絵灯篭組み立て、屋外設置を補助
14:46 閖上中学校体育館にて、整列し、黙とう(名取災害FM放送に沿って)
16:00~19:00 絵灯篭、竹灯篭の点火と会場整備の補助
19:00 活動終了
19:30 現地の銭湯で入浴
・スーパー銭湯極楽湯名取店(名取市田高字原463、022-383-1126)
21:00 銭湯を出発、神戸へ。途中SAにて2、3時間おき休憩 ―バス車中泊―

3月12日(月)

09:45 KAC帰着 学生、備品等のおろし
10:15 事後研修会(15号館151K教室)
(1)心身のケア
(2)感想の共有
(3)次回バスへの引き継ぎ事項のまとめ 他
11:30頃 解散

参加者

学生15名
一般申込み2名、ボランティア団体「ふ~ばる.com」1名、「VAF」1名、社会リハビリテーション学科5名、学際教育機構防災・社会貢献ユニット生5名、栄養学部1名(ボランティア団体枠で参加)
引率者2名
石田賀奈子(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部 講師)
大畑 仁美(神戸学院大学 栄養学部 講師)

活動詳細

3月9日(金)(神戸学院大学神戸市西区有瀬キャンパス=KACと省略)

16:45 KAC 15号館151K教室集合、事前研修会
(1)ガイドブックに沿って、活動や被災地での心構え、活動の注意点、具体的な活動の情報提供
(2)チームワークづくりについては、自己紹介(参加動機、今の気持ちを含め)のあと、リーダー1名、サブリーダー1名、備品担当1名を選任
19:00 KAC 15号館前にバス到着、備品等積み込み、出発。
バスにて宮城県へ。最初のSAでは夕食休憩として長めに休憩。その後は途中SAにて2、3時間おきに休憩 ―バス車中泊―

3月10日(土)

08:00 名取市閖上中学校到着

【閖上中学校について】

  • 宮城県閖上字五十刈1(現在子どもたちは名取市立不二が丘小学校内で授業実施)
  • 東日本大震災の津波により学校周辺、校舎1階及び体育館は甚大な被害を受ける。体育館では当日午前中、2010年度の卒業式が行われていた。今も体育館には校旗や式次第などが当時のまま残されている。

【今回の活動について】

  • なとり観光復興プロジェクトによる「3.11ゆりあげの集い」の準備および当日の運営の補助を行った。
  • なとり観光復興プロジェクトは、観光面から名取の復興を目的として、平成23年度名取市観光協会の事業の一環として発足したものである(協会HPより)
  • 当日のスケジュールは、次のとおりである。

第1部(6:00~12:00)

  • 旧朝市会場(閖上5丁目15)での一日だけの「ゆりあげ港朝市」復活

第2部 (17:00~19:15ごろ)

  • 旧朝市会場での弥生燈花会(追悼のための熱紙風船を上げる)
  • 旧閖上中学校での手作り絵灯篭点火、キャンドルナイトin閖上、護摩焚き供養
  • 10日の活動は、翌日の本番に備えての準備補助を行った。
09:00 活動開始 「なとり観光復興プロジェクト」絵灯篭準備作業
活動内容:
絵灯篭(約3000個)の組み立て作業、教室(技術室、美術室)の備品片づけと清掃活動
  • 当初、絵灯篭の数が多く、終日絵灯篭の準備のみの予定であったが、前日までに多くのボランティアが協力に駆けつけてくださったため、ニーズに応じて教室の清掃活動なども行った。
15:00~16:30 活動終了後、名取市観光協会佐宗氏の案内による閖上視察
  • バスで閖上の町内を視察ののち、仙台空港まで案内していただいた。
  • 日和山、閖上小学校ではバスを降り、佐宗氏に解説していただきながら視察することができた。
  • 佐宗氏ご自身は震災当日名古屋におられたとのことだったが、ご友人の話など、現地の方でなければ語れない2011年3月11日の閖上の様子をうかがうことができた。
  • 旧閖上小学校体育館では、自衛隊の方たちが収集してくださった写真、日用品、学用品などが「ゆりあげ思い出探し隊」により整理・展示されている様子を視察させていただいた。
17:15 道中庵ユースホステル(宮城県仙台市太白区大野田2-3-7、TEL:022-247-0511)到着、近隣にて各自夕食をとった

【活動終了後の振り返り】

  • 入浴後、全員で初日の振り返りを行った。気づき・感想、被災者の方から聞いたこと、困ったこと、明日への抱負などを共有した。
  • 翌日の活動の段取り確認を行った。

3月11日(日)

05:15 宿泊施設出発
06:00 閖上朝市会場(閖上5丁目15)到着後、朝食
  • 会場で使用できる食券をいただき、各自朝市で朝食をとった
06:30  活動開始 「なとり観光復興プロジェクト」朝市のお手伝い
活動内容:
(1)朝市でのふるまい手伝い、地元企業「佐々直」による笹かまぼこ焼きの補助(棒付け、火起し、焼き方アドバイス)
(2)仮設住宅への送迎バスの補助
(3)閖上中学校にて第二部イベントの補助
(4)朝市会場片づけ
  • 当初、笹かまぼこ焼き補助とステージ周辺の整備を求められていたが、早稲田大学学生ボランティアの人数との関係で、笹かまぼこ焼き会場補助と送迎バス補助の2グループに分かれて活動した。
  • 「佐々直」は地元名物「笹かまぼこ」の製造・販売企業である。津波で被害を受けたが、現在は営業を再開している。この日は佐々直による「笹かまぼこ試食」会場の補助を行った。
  • 大勢の方が行列を作って並んでくださった。「箱塚から来ました、神戸学院の作ってくれたベンチは活用していますよ」と声をかけてくださる人、「神戸からありがとうございます」と声をかけてくださる人などがあり、本学の継続的な活動が名取の地で定着していることを感じた。
  • 途中、第二部会場である閖上中学校の準備が遅れていることがわかり、男子学生6名に、先に閖上中学校に向かってもらうこととなった。
10:30 朝市会場からKPCの一周年事業会場への生中継リポート
11:30 旧朝市会場での片づけ終了
11:30 閖上中学校へ移動。道路渋滞の為、徒歩にて移動となる。先に活動していたメンバーと合流
13:30 昼食休憩ののち、スタッフの指示により絵灯篭の設置などを補助。ぬかるんだ野外で学生達苦戦。
14:46 閖上中学校体育館にて、整列し、黙とう(名取災害FM放送に沿って)
16:00~19:00 絵灯篭、竹灯篭の点火と会場整備の補助
19:00 活動終了
19:30 現地の銭湯で入浴
・スーパー銭湯極楽湯名取店(名取市田高字原463、022-383-1126)
21:00 銭湯を出発、神戸へ。途中SAにて2、3時間おき休憩 ―バス車中泊―

3月12日(月)

09:45 KAC帰着 学生、備品等の降ろし
10:15 事後研修会(15号館151K教室)
(1)心身のケア
(2)感想の共有
(3)次回バスへの引き継ぎ事項のまとめ 他
11:30頃 解散

事後研修会では、参加学生ひとりひとりから感じたこと、意見等を言葉にしてもらった。以下は学生コメントの抜粋である

(学生)

  • 今は頭のスイッチがオフの状態。一周年にボランティアで参加出来て良かった。朝市の手伝いや閖上中学校のゲスト室の掃除、絵灯篭の準備など裏方の仕事がメインだった。視察では、実際に見て被害の大きさ実感した。行ってみないと感じられないものを感じることができた。
  • 今は「帰ってこれたな」って感じ。頭がボーってしている。ボランティアのこころの話を聞いて就職に影響があったらどうしようって思う。裏方の仕事をしたが、参加者が自ら当時の様子を語りだすことがあったので傾聴に努めた。裏方を徹底してできたことで騒がず、寄り添うことができたと思う。一年前から参加したいと思っていたので、いい勉強になったと思う。
  • 今までのボランティアと違い重く感じている。今回の活動が良かったのかまだわからない。被災の写真や家を見たことが重かった。話を聞いて津波の怖さを改めて感じた。
  • 頭があまり回転していない感じ。灯篭を運んだり組み立てたりしたが、被災者に何かできたかな。できていない気持ちもある。閖上地区は思っていた以上に被害があって辛かった。一年経ってもあんな状態。自分は直接復興に関わるか分からないが、機会があれば参加したい。
  • バスでおじいさんが「ここに家があった」「日和山が小さくなった」と聞いて辛いなって思った。笹かまの焼き方を教えて「ありがとう」と言われ行ってよかったなと思った。
  • 特に何も感じていない。バスで話した女性がずっと明るい様子だったのでびっくりしたけど、他の人から話を聞くとき、どんな顔をして聞いたらいいのか分からない。追悼式では、どんな顔をしているのか、見ることができなかった。
  • 特に何も感じず、考えず。閖上地区は当時津波の様子がTVで放送されたが、そのあとは放送されていない。理由はなくなった人がいっぱいで写せなかったから。言葉にならない。失った人を探せない人、見つけることができない人はどんな気持ちなんやろう。朝市は楽しかった。笹かまを焼いて、たわいもない話をした。おじさんが話しかけてくれて、「神戸も大変だったでしょう」と言われ嬉しかった。
  • 今はあまり感じたことがまとまっていない。前回より埃っぽさ、独特の臭いなくてちょっと進んでいるかな。だけど、まだ片付いていないところもあり、これからもボランティア参加したい。
  • 脱力感と「普通の日常に帰れるんやな」という安心感。今回の趣旨は人との交流ではなく裏方だったが、バスの運転手に追悼式に誘うように言われ女性2人に声をかけて誘った。すると、今にも泣きだしそうな顔で「昨日から涙が止まらない」と言われた。だけど「ありがとう。ごめんね」と言われ、何に対して「ありがとう」、「ごめんね」なのか今でも分からない。
  • 朝市でおばあさんが「閖上の人は来ないよ。辛い記憶がフラッシュバックするし、ここには来たくないよ」と言っていた。イベントでは盛り上げている出演者もいるが、派手すぎないか?誰のためにやっているんだろうと感じた。神戸からきていることで色んな人が話しかけてくれて嬉しかった。震災を体験した者同士通じる部分があり、「ありがとう」といわれて「こちらもありがとう」と思った。
  • 明日のバイトをなんで入れたんかな。しんどいな。朝市では「頑張ってるね」「来てくれてありがとう」と言われて、現地の人の温かさにふれた。
  • 何もなくてびっくりした。女性が1人立ちすくんでいる姿をみて、その人の気持ちに近づくことはできても本当の気持ちにはなれない。普段の生活に感謝しないといけないと思った。
  • 頭がボーっとしている。TVとは違い行ってみないと分からないことがある。「きれいになった」というけど、自分はきれいになっていないと思う。「遠くから来てくれてありがとう」と言われたが、自分がその人のためになれたか、もっと色んなことができたのではないか。まだわからないでいる。
  • 疲れた。会場から閖上中学校まで長い時間歩いた。しっかりと歩いたことが今回の活動で意味があったのではないか。
  • ボーっとする。言葉にできず辛かった。絵灯篭では「来年は靴持っておいでや」「息子と同じくらいやわ」と言われ、言葉にならなかった。

(教職員)

  • 学生は全力でやってくれているなと感じた。神戸の震災は被災地が一部なので逃げ出せたけど今回は違う。何ともいえない空虚感を感じた。今回の活動で現地の人の気持ちを共有できたのかな。
  • 今までの活動にないしんどさがあった。予定を変更してまで中学校まで歩き、写真やランドセルをみんなに見せたこと。閖上の人がみんなに見せたかったことを感じてほしい。佐々直さんは「閖上のことをもっと話してほしいと言っていた。ツイッターや友達などに伝えていってほしい。
    学生はみんな文句も言わず上手に交流できていたと思う。「四宮さんはいないの?」と聞かれることもあり、神戸学院の活動がつながっているんだと感じた。

(ボランティア活動支援室担当者)

  • 今回は裏方の活動がメインであったが、ボランティアには2つの機能があり、人と人との関わりと、町づくりや前の生活をどう取り戻していくのか。復興の支援を考えると、その二つを念頭に、今後の活動を計画していきたい。

以上